「公明が東京で自民推薦見送り」の影響をデータで見る
自公選挙協力なしなら影響が生じるのは8選挙区
東京で、候補者調整を巡る自公の協議が決裂し、自公選挙協力が中断する可能性が出てきたようです。いくつかのメディアの報道によると、東京で新設される選挙区のうち「東京28区」で、公明党が独自候補の擁立を見送る一方で東京で自民候補を推薦しない方針を固めたとされています。2021年のデータに基づき、これによる影響が生じる可能性が高いとしたら、自民党候補が「僅差」で勝利を収めた3選挙区、「僅差」で敗北した5選挙区のあわせて8選挙区ではないでしょうか。
目次
衆院選で東京の自公選挙協力は中断?
衆院選に向けて、またひとつ、動きが出てきたようです。いくつかのメディアの報道によれば、衆院小選挙区の「10増10減」で新たに設けられる東京28区で、公明党は独自候補の擁立を見送る一方で、東京での自民候補を推薦しない方針を固めたのだそうです。
【速報】公明「東京28区」への擁立断念 東京の自民候補は推薦しない方針
―――2023/05/24 18:48付 Yahoo!ニュースより【FNNプライムオンライン配信】
公明、東京で自民推薦見送り 28区は擁立せず、25日方針決定
―――2023年05月24日21時01分付 時事通信より
※ほか多数
これらのメディアの報道によれば、公明党はその方針を25日の党常任役員会で決定したうえで自民党に伝える見通しだそうです。これらの報道通りだとしたら、自公両党が候補者調整で、事実上、決裂したようなものでしょう。
時事通信の記事ではまた、「両党の交渉が不調に終われば、連立政権の運営に影響する可能性がある」、などと記載されていますが、もしも自公の選挙協力がなくなる事例が増えていけば、将来的に自民党としても連立解消に向けて動きやすくなるかもしれません。
すでに昨年、参院岡山で自公協力中断が発生していた
ただ、「自公両党が選挙協力をしなくなれば、自民党の候補者もいまほどの議席数を維持することはできないのではないか」、といった主張が出て来ることがよくありますが、これについて考察するうえでの「前例」は、じつは昨年、すでに発生しています。
参院・岡山選挙区(定数1)で、小野田紀美候補が公明党の推薦を拒否したのです。
[注目区を行く・岡山]全国で唯一の事実上「推薦拒否」、自公にきしみ
―――2022/07/03 05:00付 読売新聞オンラインより
小野田氏が改憲論者であり、安全保障政策などでも公明党とは相いれない政治信条を持っているということに加え、その小野田氏が現実の選挙にも非常に強いという「岡山の特殊性」があるため、こうした「自公決裂」はあくまでも「特殊事情」というのが、当時の自民党の考えだったようです。
もっとも、ふたを開けてみれば、小野田氏は有効投票総数の約55%にあたる392,553票を得て難なく当選しました。ちなみに小野田氏は2016年の参院選では有効投票総数の約56%にあたる437,347票を得ていましたので、得票「数」自体は44,794票減ったのですが、得票「率」自体はほとんど変わっていません。
つまり、「岡山選挙区」という「特殊な事例」ではあるとはいえ、自民党にとっては公明党との選挙協力がなくても議席を維持したという前例が存在するのです。
2021年の事例を踏まえると「僅差」は8選挙区
ただし、もしも今回、東京で自公協力がなくなった場合には、どのような影響が生じるのかについて、少し考えておく価値はあります。
これについては東京では便宜上、2021年10月の衆院選の事例を確認しておきたいと思います(※ただし、東京では区割りの変更も行われるため、前回の選挙結果をそのまま当てはめるわけにはいかないという事情はあるのですが、この点はご容赦ください)。
小選挙区というものは、1位にならなければ当選できません。選挙区の区割り計算上、だいたい10万~12万票を獲得すれば当選できることが多いようですが、仮に1位と2位の得票差が1万票を割り込んでいるようなケースを「僅差」と定義するなら、東京ではこの「僅差」の選挙区が8つありました。
まず、自民党は東京の全25選挙区のうち23選挙区で候補を立てたのですが、そのうち15選挙区を制している一方、8選挙区を落としています。
このうち自民党が制した15選挙区のうち、12の選挙区では、自民党候補者が2位以下の候補を1万票以上突き放して勝利を収めています。しかし、3つの選挙区(東京1区、10区、23区)の3つの小選挙区では得票差は1万票以内に詰められており、「僅差の勝利」でした。
また、自民党が落とした8選挙区に関のうち、当選者との得票差が1万票を割り込んでいる選挙区が5つあり(東京3区、5区、6区、18区、19区)、これらの選挙区では「僅差の敗北」、つまり「もう少し頑張れば当選できたかもしれない」、という状況です。
このように考えると、もし得票が前回並みだったと仮定すれば、公明党との選挙協力が失われることで直ちに影響が出る可能性が高い選挙区は8つであると仮定できます。12選挙区では公明党との協力がなくても当選可能性が高く、3選挙区では公明党との協力があろうがなかろうが当選は難しいからです。
(※なお、数値そのものについては本稿末尾に収録しておきます。)
公明党との連立の在り方自体を見直すべきでは?
もちろん、次回の衆議院議員総選挙では区割り自体が変更されるため、前回の結果をそのまま当てはめるわけにはいきませんが、それでも「僅差の勝利」となった3選挙区を落とす可能性があること、「僅差の敗北」となった8選挙区で惜敗率がさらに下落する可能性があることを、どう評価するか、という問題があります。
逆に言えば、「ただちに影響を受ける可能性が高いのは25選挙区中8選挙区だ」、という話でもあります。小選挙区の数が日本で最も多い東京都において、自公の選挙協力中断の影響が思ったほど多くなければ、自民党としてはそろそろ公明党との関係を清算するという決断ができるかもしれません。
くどいようですが、日本国民は2012年12月の選挙以降、自民党に小選挙区で圧倒的多数の議席を与えてきました。自民党は改憲を政権公約に掲げていますが、その改憲に向けた議論が遅々として進まないのも、公明党が足を引っ張っているという要因が大きいのではないでしょうか。
もちろん、改憲も含め、政策というものは是々非々で判断すべきものでもありますが、自民党を支持している有権者が必ずしも公明党を支持しているとは限らないことを踏まえると、自公連立が未来永劫続くという前提を、そろそろ自民党も考え直すべきです。
国民民主党との連立も視野に入れるべき
また、自民党が自公連立の枠組みを維持したままでも、公明党の発言力を抑える工夫はできるかもしれません。それが、「公明党以外の政党との協力」です。
野党のなかには日本維新の会や国民民主党のように、「政策を見て是々非々で判断する」と公言する政党も出現しているなかで、極端な話、自民党にとっては公明党よりもさらに考え方が近い政党が出てきている可能性がある、ということでもあります。
以前の『国民民主党が「台風の目」に?連立観測報道を考察する』では、国民民主党が連立与党入りするとの観測報道を話題に取り上げましたが、じっさい、この手の観測報道が出て来るだけでも、政権運営にはほど良い緊張が走ります。
もしも次回総選挙の結果次第で「自民より右」の政党が議席を伸ばし、それらの政党のなかで自民党との連立(あるいは閣外協力)を申し出る政党が出現した場合、自公連立の枠組みを維持したままでも、自民党政権にとっては現在よりも公明党に配慮する必要性が薄れてくるかもしれません。
(※もっとも、自民党が大きく議席を減らせば、結果的に自公連立を解消するにも解消できない、といった事態が発生する可能性もありますが…。)
そのような観点からは、今回の自公選挙協力の中断(の可能性)は東京限定の話ではあるにせよ、今後の動き次第では将来的な連立の枠組み、そしてこの日本国の針路そのものにも影響を与え得る可能性があることは、注目に値する論点のひとつといえるでしょう。
参考:東京選挙区・2021年の状況
選挙区 | 当選 | 当選者の得票数 | 2位との票差 |
1 | 自民 | 99,133 | 9,090 |
2 | 自民 | 119,281 | 28,859 |
3 | 立民 | 124,961 | 8,208 |
4 | 自民 | 128,708 | 66,422 |
5 | 立民 | 111,246 | 5,404 |
6 | 立民 | 110,169 | 4,983 |
7 | 立民 | 124,541 | 43,454 |
8 | 立民 | 137,341 | 31,960 |
9 | 立民 | 109,489 | 14,208 |
10 | 自民 | 115,123 | 7,203 |
11 | 自民 | 122,465 | 34,830 |
12 | 公明 | 101,020 | 20,697 |
13 | 自民 | 115,669 | 37,004 |
14 | 自民 | 108,681 | 27,749 |
15 | 無所属 | 76,261 | 17,283 |
16 | 自民 | 88,758 | 20,361 |
17 | 自民 | 119,384 | 67,124 |
18 | 立民 | 122,091 | 6,210 |
19 | 立民 | 111,267 | 2,136 |
20 | 自民 | 121,621 | 55,105 |
21 | 自民 | 112,433 | 13,343 |
22 | 自民 | 131,351 | 18,958 |
23 | 自民 | 133,206 | 6,474 |
24 | 自民 | 149,152 | 104,606 |
25 | 自民 | 131,430 | 41,439 |
(【出所】総務省『衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査 速報結果』データを加工)
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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連立解消。いいことですよ。本来の保守票が戻ってくるかもしれない。
このゴタゴタが長引けば解散は有り得ないだろう。
だが、自民党を支持する保守派は拍手喝采だろうね。
憲法改正も人権問題等と両党で相容れない部分を曖昧にしながらの連立が問題だった。
公明の支持がなくても全ての候補が危機なわけじゃない。
公明を支持しない有権者からの支援もあるかも知れない。
連立を解消したほうが「支持政党なし」の有権者に正直になれる。
自民党を支持する保守派は拍手喝采だろ。
憲法改正も人権とかも目指す方向が違うのに「連立」してることが政権欲しさのwin-winだからな。
実際、選挙が行われて「下野」しても何れ返り咲く。
その時は「単独政権」であれば良いが。
私みたいな中道保守からしたら、素晴らしい展開です
公明党や創価学会は日本にいらない
消えて欲しい
連立は、公明党にとっては利のあることであったはずです。
連立開始は、創価学会の会員数には上限があるということが見えた時に、公明党が次の選択として取った手だったはずです。
学会員にとっては、自分たちの活動が実際の政治に影響を及ぼすことができるという励みと目的になっていて、学会員の減少に歯止めを掛けることが出来ていたのではないかと思います。
公明党は、足立区で第一党になったので自信が付いたのかもしれません。
一方、民主党政権の失敗でもう野党の勢力が伸びることは無くなったと見た自民党には、公明党との連立の必要性は薄れていたのでしょう。
公明党との連立は、自民党にとっては僅差で負ける選挙区の補強になっていました。
公明党は、足立区の全勝と自民の惨敗がなければ、強気に出ることは無かったでしょう。
公明党にとっては、今回の選択は、碁盤の目の読み違いになるような気がします。
何故なら、公明党にとって、党勢が伸びているわけではないからです。そして、今後、党勢が伸びていくこともないように思います。
自民党には、党勢を伸ばす手はいろいろありますが、公明党にはもう手は無いはずです。
自民との連立が最後に残された奇手だったのですから。
あくまでも主観ですが、公明党の組織票を当てにするよりも、公明党との決別を声高に宣言する方が、保守層を中心に票が伸びるのではないかと思います。
少なくとも私は、公明党の政策を支持できません。自民党がこれ以上公明党に配慮するなら自民を巻き込む形で支持離れが進むのではないかと思います。
10年以上国土交通省の利権を渡して、十分に恩は返したのではないかと思います。
そろそろ、本気で連立解消してほしいと願います。
私は、本件で自公連立が解消に至るとは見ておりません。それは自公双方ともに連立に大きなメリットがある、と考えるからです。「猿は木から落ちても猿だが、代議士は選挙に落ちればただの人」という大野伴睦の名言にもある通り、衆院議員にとって計算できる創価学会票の有難みは、あの統一教会の比ではありません。都内8選挙区以外の代議士といえども、「本件の行方」を大いに気にしていると思われます。
その一方で、清和会の後継争いには、大きな影響があるのではと危惧しています。「森さんの意向は萩生田氏」「麻生さんも萩生田を評価」で、方向感が出つつあるかな、と思われたものが、また不透明になったのではないかな、と。「自分の”太客”の擁立に固執し“自爆”まっしぐら」(日刊ゲンダイ)が事実かどうかは知りませんが、都連会長としての責任は免れないでしょう。加えて「萩生田政調会長、早期の衆院解散に否定的」も、首相の専権事項への介入と、松野官房長官あたりはカンカンでしょう。
実質的に公明党の選挙を仕切る創価学会の佐藤副会長と、最も親密だとされるのは菅前総理ですが、萩生田さんは菅さんを動かせるのかな。安倍派後継への試金石でしょうね。
これで解散時期は、来年年始に延びる可能性が高くなったと、予想します。
加えて、解散後の人事で、萩生田政調会長の更迭も、かなりの確度ではないでしょうか。LGBT法案をめぐる対応に続き、二度目ですからね。
自民党にとっての自公連立のメリットは各小選挙区で1~2万票といわれる公明党の組織票を基礎票として計算できること。2021年の衆議院選挙では、自民党候補のうち次点との差が2万票未満の当選者が57名、うち1万票未満が33名(日刊ゲンダイ)とのこと。
次の解散総選挙で公明党との連立が解消されて公明党票が逃げただけでこの57名は議席を失う可能性があるし、そのまま次点候補に公明党票が流れれば失う議席はさらに増える(2万票減って相手に2万票入れば4万票差を逆転される)。自党でこれだけ議席を減らして、当てにならない国民民主党や維新と連立に賭けるメリットがあるかと問われれば答はノーだろう。
公明党の最後通告に対し茂木幹事長は持ち帰ると返答したそうだから、自民党から懐柔策が出るのでは。
別の匿名です。(こう書くと怒られる方もおられるますが、お許しください。)
この説明は分かり易いです。ありがとうございます。
つまり、全国57議席を失ってもいいのか?と言うジャブが、東京の選挙協力解消ですね?
創価学会会員数、多分、600万人前後を小選挙区数300で割ると、そんな感じですか?
下手すると、自公共倒れもあるか?
中国の走狗たる公明党を切り捨てるのは良い判断ですけど、東京だけですしね。
公明党も母体たる創価学会はカルト宗教としての加害者たる歴史がチラホラ聞こえてきますし、縮小・解散する分には賛成です。