日韓観光統計からみる「日韓交流は韓国の一方的求愛」
日本政府観光局(JNTO)が18日に公表した訪日外国人データと、韓国観光公社が発表した訪韓外国人データを突合すると、あらためて興味深いことがわかります。2018年に1000万人を超えた日韓往来の内情がそうだったように、日本を訪れる韓国人が急増する反面、韓国を訪れる日本人はさほど増えていないのです。これは出国日本人全体の人数が依然低迷しているという要因もあるのかもしれませんが、それでも日韓往来は相変わらず「韓国の日本に対する一方的求愛」なのでしょうか?
目次
訪日外国人は2022年を通じて383万人
日本政府観光局(JNTO)が18日に公表した『月別・年別統計データ(訪日外国人・出国日本人)』によれば、2022年12月に日本を訪れた外国人は137万人で、2022年を通じて日本を訪れた外国人は383万人だったことが判明しました。
データが存在する2003年以降(図表1)の推移で見れば、過去最大だった2019年の3188万人には到底及びませんが、それでも入国者が25万人にとどまった2021年と比べれば、およそ15倍に増えた計算です。
図表1 訪日外国人データ(暦年)
(【出所】JNTOデータをもとに著者作成)
中国人の入国正常化が見えないなかで「6000万人」目標は?
ただ、日本政府はコロナ禍以前に、訪日外国人目標について、「(東京五輪が予定されていた)2020年までに4000万人にまで引き上げる」、「2030年までに6000万人にまで引き上げる」、といった目標を掲げていましたが、この目標の達成は、果たして可能なのでしょうか。
ちなみに著者自身は産経新聞社『月刊正論』2020年5月号に寄稿したとおり、著者自身は観光客の「人数」を政策上の目標値として設定することについては反対する立場を取っています(『【宣伝】正論2020年5月号に論考が掲載されました』等参照)。
しかし、この点の是非についてはとりあえず脇に置くとして、単純に「政策上の目標」として見るならば、この「2030年6000万人」以前に、短期的に「4000万人目標」を達成することは、現時点においてはなかなかにハードルが高そうです。中国からの入国者が今すぐコロナ前の水準に戻ることは難しいからです。
3年前は中国人が全体の3割を占めていた
2019年の例でいえば、入国者3188万人のうち959万人、すなわち全体の約30%が中国人でした(図表2)。
図表2 訪日外国人(2019年1月~12月)
国 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
1位:中国 | 9,594,394 | 30.09% |
2位:韓国 | 5,584,597 | 17.52% |
3位:台湾 | 4,890,602 | 15.34% |
4位:香港 | 2,290,792 | 7.19% |
5位:米国 | 1,723,861 | 5.41% |
6位:タイ | 1,318,977 | 4.14% |
7位:豪州 | 621,771 | 1.95% |
8位:フィリピン | 613,114 | 1.92% |
9位:マレーシア | 501,592 | 1.57% |
10位:ベトナム | 495,051 | 1.55% |
その他 | 4,247,298 | 13.32% |
総数 | 31,882,049 | 100.00% |
(【出所】JNTOデータをもとに著者作成)
昨年のトップは韓国人
これに対し、2022年に関しては、中国からの入国者は18.9万人に過ぎず、3年前と比べてじつに50分の1(!)にまで減少した格好です(図表3)。
図表3 訪日外国人(2022年1月~12月)
国 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
1位:韓国 | 1,012,665 | 26.43% |
2位:台湾 | 331,105 | 8.64% |
3位:米国 | 323,540 | 8.44% |
4位:ベトナム | 284,132 | 7.41% |
5位:香港 | 269,282 | 7.03% |
6位:タイ | 198,063 | 5.17% |
7位:中国 | 189,042 | 4.93% |
8位:その他アジア | 132,121 | 3.45% |
9位:シンガポール | 131,905 | 3.44% |
10位:フィリピン | 126,900 | 3.31% |
その他 | 833,142 | 21.74% |
総数 | 3,831,897 | 100.00% |
(【出所】JNTOデータをもとに著者作成)
それにしても、日本政府が外国人の入国を正常化したのは昨年10月のことですが、それ以降、韓国からの入国者が突出して多いのは気になるところです。韓国からの入国者数はたった3ヵ月で89.4万人にも達し、通年で100万人を突破したからです。
日韓の往来(月次)比較
これについて、韓国観光公社が公表する『韓国観光統計』のデータと比較してみると、非常によくわかります。図表4は、著者自身が独自に算出した、日韓両国民の往来に関する月次データです(※ただし、韓国に関しては2022年12月分のデータはまだ公表されていません)。
図表4 日韓の往来(月次)
(【出所】JNTOデータおよび韓国観光公社データをもとに著者作成)
これによると、「韓国を訪れた日本人(A)」、「日本を訪れた韓国人(B)」は、2003年以降、東日本大震災が発生した2011年3月ごろまではほぼ拮抗していたか、むしろAがBを上回っていたことがわかります。日本における「韓流ブーム」(?)のためでしょうか?
実際、「B-A」の値は、とくに2008年後半から2012年末にかけて恒常的にマイナスを記録していますが、これは「韓国を訪れた日本人」の人数が「日本を訪れた韓国人」の人数を、恒常的に上回っていたことを意味しています。
しかし、この傾向は、2013年以降、明確に終わりを告げました。日本を訪れる韓国人が急増したのです。
訪問者数の日韓逆転は2013年1月頃から生じ始め、2014年6月以降はほぼ恒常的に、「B-A」がプラスを記録するようになったのです。これが「韓国人の日本旅行ブーム」です。
ただ、この「B-A」の値は、2019年8月に入り、突如マイナスに転じます。日本政府が韓国に対し、輸出管理の厳格化(ないしは「適正化」)措置を講じたことで、韓国国内ではこれが「強制徴用」(※自称元徴用工のこと)判決への経済制裁であると誤認され、ノージャパン運動が発生したのです。
もっとも、このノージャパンとは別次元の出来事であるコロナ禍が生じたことで、日本政府が韓国国民などに対するビザ免除制度を中断し、韓国もこの対抗措置として日本国民向けのビザ免除制度を中断すると、日韓の往来は、毎月数千人、酷い月だと数百人というレベルにまで落ち込んだのです。
2018年には1000万人に達した日韓往来:しかし内情は…
図表5は、この期間の日韓往来を、年単位で示したものです。
図表5 日韓往来(年次)
(【出所】JNTOデータおよび韓国観光公社データをもとに著者作成)
日韓両国の往来は、両国のデータが存在する2003年時点では326万人でしたが、2018年には1049万人(日→韓が295万人、韓→日が754万人)と史上初めて「1000万人の大台」に達しました(ただし、翌年の2019年には、886万人(日→韓が327万人、韓→日が558万人)に減少しています)。
もっとも、2018年に日韓往来が1000万人に達したことは事実ですが、グラフを冷静に見てみるとわかるとおり、日本人の訪韓人数はさほど増えておらず、むしろ韓国人の訪日人数が激増していることがわかります。図表5を加工してみると、それは明白でしょう(図表6)。
図表6-1 日韓往来(年次)※日→韓のデータを抜いたグラフ
図表6-2 日韓往来(年次)※韓→日のデータを抜いたグラフ
(【出所】JNTOデータおよび韓国観光公社データをもとに著者作成)
日本を訪れる韓国人は急増中だが…逆はそうでもない
さて、最近になり徐々に人的往来も正常化しつつあるなかで、非常に大きな特徴があるとしたら、少なくとも日韓往来に関しては「韓国の日本に対する一方的な入国超過」です。
韓国を訪れる日本人の数は、コロナ直前だと、毎月20~30万人程度で推移していました(上記図表4参照)。しかし、韓国観光公社のデータから「韓国を訪れた日本人の人数」を2022年6月以降で抜き出してみると、毎月少しずつ増えているものの、まだコロナ前の水準には程遠いことがわかります。
韓国を訪れた日本人(A)(2022年6月以降)
- 6月…5,855人
- 7月…11,789人
- 8月…26,482人
- 9月…27,560人
- 10月…67,159人
- 11月…62,422人
(【出所】韓国観光公社データ)
12月分のデータはまだ出て来ていませんが、果たして「訪韓日本人」は劇的に増えるものなのでしょうか。
その一方で、日本を訪れる韓国人は急増中です。
日本を訪れた韓国人(B)(2022年6月以降)
- 6月…11,168人
- 7月…20,384人
- 8月…28,515人
- 9月…32,764人
- 10月…122,900人
- 11月…315,400人
- 12月…456,100人
(【出所】JNTOデータ)
とくに、訪日外国人全体のうち、韓国人が3分の1を占めていることについては、昨日の『訪日外国人が3年ぶり百万人突破も…3分の1は韓国人』でも指摘したとおりですが、それにしてもこの増え方は、なかなかに印象的です。
たとえば10月は、「韓国を訪れた日本人(A)」は67,159人だったのに対し、「日本を訪れた韓国人(B)」は122,900人で、すでに倍近い差がついていました。しかし、11月には(A)が62,422人に対し、(B)は315,400人で、5倍以上の差がついています。
これについては単純に、出国する日本人がまだそこまで多くないからなのか、それともなにか「別の理由」があるのかについては、現時点では見極めることは難しそうです(韓国以外の国に渡航している日本人のデータを調べた限り、前者の可能性も相応に高いとは思いますが…)。
日本にとって韓国は「死活的に重要」?
さて、客観的なデータから見る限り、日韓両国の人的往来は2018年に1000万人を超え、コロナ後も訪日外国人を牽引しているのが韓国人であることは間違いありません。ただ、これをもって「日本にとって韓国は重要な国だ」と結論付けるべきなのでしょうか。
コロナ禍以前に関して言えば、韓国を訪れる日本人の人数が日本を訪れる韓国人の人数と大きく逆転していたことを思い出しておくと、日韓関係の重要性は韓国の日本に対する「一方的な求愛」という性質が強いように思えてなりません。
このように考えていくと、日韓関係は、韓国にとっては「日本との関係は死活的に重要」かもしれませんが、日本にとっては「韓国との関係が死活的に重要」と結論付けて良いのかは、非常に微妙ではないかと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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昨今のオールドメディアの流行りは「ウィズコロナでインバウンド需要がー」だが、その一方で観光業界は人手不足で悩んでいるらしい。
浅草のとある企業の担当者は「コミュニケーション能力が高くて語学も堪能な人が来ないとおもてなしクオリティが保てない」とインタビューで言っていた。
そんなハイクオリテイ人材は他業界でも引く手あまただろうから、中国頼りで先が見通せない業界にはまだまだ戻ってこないと思われる。
観光業界を本気で育てたいなら、ブログ主様のおっしゃる通り、量より質で業界全体の生産性を上げる方がよい。
インバウンドの”売上効率”的には客単価の低い層が3割も来て受け入れリソースを喰うのは…よろしゅうアリマヘンなぁ
訪日韓国人出国者数の統計もほしいところ。
現在日本からは月に6〜7万人で、韓国からは数十万人。これはもう何か事あれば、日本に侵入(逃げる)すること前提の訪日ですね。ビザ免除プログラムを15日に制限するべきです。またハロウィンのソウル梨泰院雑踏事故のように、日本からの訪韓客は良く考えて行く国を決めろと、申し上げたい。安ければ安いなりの事しかありません。一部、女性の狂信的ファンが居るようですが、行くのは勝手、日本政府に甘えないで下さい。
韓国は知れば知るほど嫌いになる国です
関わる必要なし
往来人数について、特に少なかった月を”著しい月”などではなく”酷い月”と表現されたトコロに微細な引っ掛かりを覚えた朝にございます
人数はいくら増えても、国的に偏りがありすぎる
インバウンドの実態を是正する良い機会。
特に海外旅行大好きで金を使うドイツ人にまるで少ないのは問題。
中国なんていくら増えたところで外交情勢次第でどうにでも転んでしまう国に依存してしまうは好ましくない。
同意します。既に中国は日本の水際対策にプライドを傷付けられたのか、ビザ発行停止してきた。
何か気に入らないと理不尽な嫌がらせをしてくる国に依存する産業構造は望ましくない。
それを平気で煽るマスコミもどうかしているとしか(←今さら
訪日客を何万人と、数量を目標にするのは如何なものか?
例えば、10人しか入れないラーメン屋に100人の客が入ったらどうなるか?簡単に想像できますよね。
管理出来なくて、食い逃げ、器物破損、喧嘩等 良くない事が多発します。
そうならない様に、店内に入れる客数を制限し店の外に椅子を並べ行列をつくらせ、混乱なきよう管理します。
しかるに、管理能力の拡充をせずに野放図に訪日客の増加を目標とし、その混乱のツケを国民にまわして何を目的にしてるのか?
もちろん、技能実習生なる移民政策もそう。管理能力を越えた実習生を企業の要請に応えて入れてもその後の管理に誰も責任を取らない。
訪日客を増やすなら、受益者に管理費用を請求し管理出来る人数しか入れないのが正しいやり方だと思います。
例えば、訪日客には保証金を出させ 期限内に帰国したら返す。また、保険に確実に入らないと入れない。等、簡単に出来る工夫は沢山あるはずです。
人数を目標にするのではなく、日本の国益を目標にすべきです。
>訪日客を何万人と、数量を目標にするのは如何なものか?
以前にも話題になり解決済かと?
計画期間における基本的な目標
国内旅行消費額
平成32年までに21 兆円にする。【平成27年実績:20.4 兆円】
訪日外国人旅行者数
平成32年までに4,000万人にする。【平成27年実績:1,974 万人】
訪日外国人旅行消費額
平成32年までに8兆円にする。【平成27年実績:3.5 兆円】
訪日外国人旅行者に占めるリピーター数
平成32年までに2,400万人にする。【平成27年実績:1,159万人】
訪日外国人旅行者の地方部における延べ宿泊者数
平成32年までに7,000万人泊にする。【平成27年実績:2,514万人泊】
https://www.mlit.go.jp/kankocho/kankorikkoku/kihonkeikaku.html
※コロナ以前の目標で修正がはいると思います
わかりやすい訪日者数をメインに報道するメディアのバイアスにひっかからないことも大事
参考
インバウンド再開の現状とアフターコロナに実施すべきインバウンド対策とは?【2022年最新版!】【前編】
https://www.altcircle.jp/column/20220628
【2022年最新版!】【後編】
https://www.altcircle.jp/column/20220628_02
わんわん様
ありがとうございます。
情報が古かったですね。
確かにイメージ先行の批判でした。
自身の欲求を満たす行為にまで、”見返り”を求めるのが彼らです。
「恩着せがましくするな」が口癖の北の同胞はよく解っています。
(一方的な求愛に見る心の在りよう)
見返りを求めぬ慈愛の心がアイ(相容)のカタチ → 「愛」は真心。
見返りを求める自愛の心がコイ(乞い)のカタチ → 「恋」は下心。
日本に落とす金額が低いだけで周囲の迷惑を考えない自己中な騒々しい振舞いで我が国の観光地の雰囲気を壊し,更に中華コロナを撒き散らすだけの韓国からの訪日客は,日本経済にとって殆ど有用でありません.
従って,自称徴用工の件に関して日本側が一切の出捐を拒絶することで再び韓国内で反日機運が再燃してNO JAPAN運動が韓国で再び盛り上がり韓国民の意識が「日本になんか意地でも行くものか」となってくれればと願っています.
(個人的には,訪日韓国人は少なくとも新大阪駅より東には御遠慮頂きたく思っております.西側には訪日韓国人の落とす金を当てにしている都市もあるかも知れませんが,東側は内需=日本国内の観光客や米豪などからの観光客で賄えますので客単価が非常に低く効率の悪い訪日韓国人は全く不要です)