「派閥の長」辞めない岸田首相を週刊誌で批判=菅総理
政界で「岸田おろし」の動きは発生するのか――。岸田文雄首相の前任者でもある菅義偉総理が、岸田首相自身が派閥の長の座にあることなどに批判的なメッセージを出したことが話題になっているようです。一部週刊誌は「岸田おろしののろしが上がった」などと囃し立てているフシもあります。ただ、こうした発言が話題になること自体、菅総理の潜在的な政界への影響力に加え、岸田首相の求心力が低いことを象徴しているように思えてなりません。
「こんな首相で大丈夫か?」
「岸田文雄首相には『首相として』以前に、『政治家として』、どうにも危うい点が多々あるように思えてならない。こんな首相で大丈夫か?」―――。
これは、以前から当ウェブサイトで報告してきた、著者なりの「感想」です。
たとえば防衛費の大幅な増額にともない、唐突に「1兆円増税」を打ち出したことは、正直、支離滅裂という以上に、岸田文雄氏には最低限の党内・閣内の意思疎通すらできていないということを懸念させるに十分な事件です。
そもそも昨年度の税収が3兆円も上振れしているなかで、1兆円ていどの増税が財源として意味をなすというものではありません。日本の財政において、数兆円程度であれば、正直「誤差の範囲」です。歳出の見直しや国債発行などにより十分に捻出可能です。
結局のところ、この「岸田増税」も、「何かに理由をつけて増税をする」という財務省の「増税原理主義」を体現したようなものだと考えて良いでしょう。
「宏池会政権」は伝統的に官僚・役人のいうことをよく聞く傾向がありますが(※著者私見)、官庁(とくに財務省や外務省など)の「言うこと」自体、国益より省益を重視したものが多く(※これも著者私見です)、必ずしも日本の国益のためにつながるというものではありません。
あるいは、『今度は岸田首相長男?「官邸情報ダダ漏れ」の雑誌報道』でも取り上げたとおり、昨年は岸田文雄首相の長男である翔太郎氏が官邸の機密をフジテレビの女性記者に漏洩していたとされる疑惑を、雑誌『FACTA』が報じるという「事件」もありました。
この疑惑そのものについては続報はありませんが、岸田首相の長男が秘書官を更迭されたという報道もありません。過去の発言が左派メディアなどに攻撃され、昨年末に総務省政務官を更迭された杉田水脈氏のケースと比べると、いかにも「身内に甘い」対応と思わざるを得ません。
このように考えていくならば、岸田首相の政治家としての適性自体、非常に怪しいところでもあります。
岸田「政権」としてみれば良い
ただ、それと同時に岸田「政権」として見てみるならば、この困難な内外情勢のもとで、最低限の「やるべきこと」をこなしている、という評価もできるでしょう。
最近の例でいえば、『安保3文書巡る米中露台韓5ヵ国「わかりやすい反応」』や今朝の『朗報:政府が既存原発などの「最大限の活用」方針示す』でも取り上げた、安保3文書の制定・改訂や原発の再稼働・新増設などについては、(中途半端ながらも)それなりに評価できるものです。
この点、宏池会自体が自民党内では所属議員数が党内第5位の「少数派閥」であり、その勢力は最大派閥である安倍派(清和政策研究会)の約半分に過ぎません。
こうしたなかで、岸田政権も運営は結局、自民党内の「集団指導体制」に従わざるを得ず、「経済安保法制」、「安保3文書」、「原発再稼働」といった政策も、結局はこうした自民党内の力学が健全に機能している証拠といえるのではないでしょうか。
それに、『「岸田首相が辞めればバラ色の未来」論の大きな間違い』などでも述べたとおり、岸田首相が今すぐ辞めたとして、岸田首相に代替する「素晴らしい総理」が就任するという保証はどこにもありません。
このように考えていくならば、岸田政権には首相やその取り巻きの言動の怪しさという側面はありながらも、最低限「やるべきこと」をやっている以上、個人的には少なくとも岸田首相の自民党総裁としての任期が切れる2024年9月まで、政権の動向を見守るしかない、などと考えています。
あの人物が沈黙を破る:「岸田おろし」か!?
ただ、こうしたなかで、これまで岸田首相への批判を控えてきた「あの人物」の発言が報じられました。いくつかのメディアが似たような話題を取り上げていますが、ここではそれらのうち、日経電子版の記事を取り上げておきます。
菅義偉前首相、派閥会長続ける岸田首相に注文 月刊誌で
―――2023年1月11日 19:40付 日本経済新聞電子版より
これによると菅総理(記事中の表記では「菅義偉前首相」)は10日発売の月刊誌『文芸春秋』のインタビューで、岸田首相が岸田派(宏池会)の会長を続けている点に注文を付け、次のように述べたのだそうです。
「派閥政治を引きずっているというメッセージになって、国民の見る目は厳しくなる」。
そのうえで、自民党の派閥に対し、たとえば党総裁選の際に「国民の負託を受けて当選してきた政治家が、理念や政策よりも派閥の意向を優先してしまう」と説明した、などとしています。
これについてはすでに日経電子版以外にも複数のメディアが「菅総理による岸田批判」、「岸田おろしののろし」などと報じており、なかには「二階(俊博・前自民党幹事長)らと結託して『岸田おろし』をするつもりだ」、といった観測にまで発展させている週刊誌などもあるようです。
また、ツイッター界隈では、「派閥の長を辞められないのも、外相を更迭できないのも、岸田首相が派閥をグリップしていない証拠だ」、などと発言する人もいます。「あの外相」を更迭して閣外に追放した瞬間、ご自身の派閥が「乗っ取られる」ことを、岸田首相自身が恐れている、という分析でしょうか。
菅総理の真意と「発言に浮足立つ政界」
ただ、この菅総理の発言自体、「岸田おろし」と短絡的に決めつけるのはいかがなものかと思います。
日経電子版によると、菅総理は自身が首相在任時に派閥推薦を受けなかったとしつつ、岸田首相については「派閥とうまく付き合いながら人事を決めている」との述べたからです。
このあたり、岸田首相が「派閥とうまく付き合っている」というよりはむしろ、「岸田首相は派閥力学から逃れられない」、つまり「派閥の意向を無視した政治をすることはできない」というだけのことではないでしょうか。
この点、著者自身が菅総理と個人的な知り合いではない以上、菅総理の意図については、あくまでも報じられた内容から判断するしかないのですが、おそらく菅総理のメッセージは「国民の声が政治に届きづらくなっている」という点にあるのではないでしょうか。
もっと言えば、「正論と政治力で派閥の力を封じ込める」、「人事を握って役所の力を封じ込める」という荒業は、故・安倍晋三総理のもとで官房長官を務めていたころからの菅総理の得意技でもありました。そんな菅総理から見て、岸田首相の政治力にはもどかしさを感じているのかもしれません。
それに、「無派閥」であり、かつすでに首相ではなくなった菅総理の発言で政界が浮足立ってざわついていること自体、現在の岸田首相の求心力がいかに低いかという点に加え、安倍総理なきいま、菅総理の潜在的な「影響力」を象徴しているように思えてなりません。
いずれにせよ、著者自身としては菅総理に今回の菅総理の発言でただちに「岸田おろし」の動きが実現するとは考えていませんが、「仮に政局が生じるとしたら」、それがいかなるものとなるかについての想像を働かせるきっかけくらいにはなるのかもしれない、などと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
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岸田首相の能無しぶりは、もう既に発揮しまくってます。もっとも安倍晋三総理、菅義偉総理と比べられるのはツライところです。しかし、私も当初は生ぬるく見守っていましたが、正直言って、もうアカンなと思ってます。任期切れの2024年9月まで、少し長過ぎです。でも、国内外の情勢を見てますと、岸田首相でも大難は遭っても、任期全う出来そうです。
菅氏の
「総裁選で派閥の意向に反発すれば、閣僚や党役員のポストからはじくとか、従った議員と差をつけるとか、私はずっと疑問に思ってきた」
「派閥に入っていなくても、政策本位で、適材適所にポストに就けるのが大事」
「派閥の領袖に従わなければならない、自分の意見を言えない状態にすべきではない」
には同意します。
派閥は政党内に政党があるようなものとは言え、弊害ばかりでなく利点もありますので…ただ、せめて宏池会会長は離れるべきでしょうね。
適材適所に人材を配置するのであれば岸田さんは辞任せねば笑
岸田さんが据える総理というのも怖いですが。
前の国会会期中あたりから、政治部記者が政局を待ち望んでいるのがヒシヒシと伝わってきます。黄金の3年間じゃ困るんでしょうかね。
自分は、岸田総理は総理として非常に頼りないなと思う一方で、今すぐ辞めさせちまえというほどヤバい奴でもないと思っているので、辞めちまえと見放すよりも、ちゃんと仕事しろとコントロールしていく方が、何かとメリットがあるんじゃないかと思っています。
今回の岸田総理に対する菅前総理の批判(というかご意見)のコメントがそれなりに注目され、自民党内からも「菅前総理の言ってることも分からんではない」といったコメントが出たりしているというのは、自民党として岸田総理をうまくコントロールしていこうという動きの表れなのかなぁと、少し期待しています。
自民党が岸田総理に対して、「さあ岸田総理、今こそ『聞く力』を発揮する局面ですよ」と水を向けているような雰囲気もあり、岸田総理がうまくこの状況を活かして対処すれば、「岸田総理も、自民党がフォローするなら、そう捨てたもんじゃないかも」という感じで、世間が岸田総理を見る目も変わるかもしれません(と自分は期待しています)。
より個人的に自分が菅前総理に期待することがあるとすれば、安倍元総理に代わって、菅前総理に岸田総理のお目付け役になってほしいなぁと思っています。意思も能力も薄弱で役所の言いなりになっているようにも見える岸田総理も、安倍元総理が存命でお目付けがあるうちは、それなりに安定しているように見えました。菅前総理が安倍元総理の役割を引き継いでくれれば、岸田総理の安定感も少しは増すのではないでしょうか(と自分は期待しています)。
神輿は軽い方が良い(神輿に失礼かも)
安倍さんが御存命ならそれで良かったのかも
しれませんが、今は糸の切れた凧のような
状態です。財務省や外務省のおこす風にフラフラ
流されているように思います。
岸田総理ではなく岸田「政権」で考えるので
あれば、菅さんのように的確な意見で手綱を
握れるような方がいれぱと良いのかなと思います。
当の岸田さん自身が周りからの進言をどこまで
理解しているか、ですが。
昔から週刊誌などのメディアは「政局」が大好物です。いろいろな憶測や怪文書が飛び交ったりするような状況だと、いろいろと面白おかしく書き立てることができるからでしょうね。
最近でこそ音沙汰がありませんが、長きにわたって小沢一郎氏が週刊誌などで大人気だったのは、彼が政策などはそっちのけで「政局」に専念しており、むやみに乱を起こしたがる人だったからなのかもと思ったりもします。
岸田政権が、安倍派、茂木派、麻生派の三派の支持によって成立しているのは周知のとおりです。最近では、ボスを失った安倍派の統制が乱れつつあるように見えますが、茂木派と麻生派に動きがない限り、岸田下ろしも不発に終わるでしょう。菅前総理の発言も、現時点ではガス抜き以上の意味は持たないと思います。もっとも、一部で噂されているように、菅前総理が二階派を継承するなんてことになったら、党内情勢がもっと動くかもしれません。
翔太郎氏でひとこと
以前上海で領事館勤務の方が自殺しました。
よくある女関係です。
海外ではこれへの対処が定型化されており日本では一人で抱え込んでしまう事が問題。
翔太郎氏がこれに該当するかは分かりませんが良い経験だった? かも知れません。