ポーランドがドイツに1兆ドル超える損害賠償を請求へ
法的に決着がついているにも関わらず、過去の問題を蒸し返し、巨額の賠償金を求めるという行動自体、国際法秩序に対する挑戦です。ましてや、ロシアによるウクライナ侵略という違法行為が現在進行形で行われているなかで、結束すべき西側諸国同士で賠償要求がなされることは、理解に苦しむ行動です。その「理解に苦しむ行動」をとり始めた国が出現しました。
目次
過去の問題と法
過去の問題をいつまでも蒸し返すことの問題点
べつに実名を出すつもりはありませんが、とある国は外国に対し、ときとしてありもしない問題を捏造してまで、しつこく「過去にわが国に対して酷いことをした!」と言い張り、「謝罪しろ」だの、「反省しろ」だの、「賠償しろ」だのと要求しているらしい、とする話題を耳にすることがあります。
こうした行動には、しかし、いくつかの問題が伴っていることは間違いありません。
大別して、「法的に決着がついているのかどうか」という視点と、「その『過去の酷い行為』が道義的に見て許されるのかどうか」という視点、さらには「その国が主張する『過去の酷い行為』とやらが事実なのかどうか」、という視点です。
これは、私たち個人の生活に当てはめて考えれば、何となく理解できるかもしれません。
あなたが「A家」の一員だったとしましょう。そして、あなたの家の隣の敷地に住んでいる「B家」が、あなたを含めたA家に対し、常日頃から、「A家はB家に対して、今から80年前に酷いことをした!」「謝れ!」「賠償しろ!」「反省しろ!」などと言ってきているとしましょう。
このとき、あなたはA家の一員として、A家を代表してB家の皆さんに謝りますか?
あるいは、A家の一員として過去に二度と「酷いことをしない」と誓い、反省したうえでB家に対して賠償しますか?
法による解決は人類が生み出してきた知恵
じつは、人間社会においては、トラブルはつきものです。
そこで多くの場合、「悪いことをした」ときには「ごめんなさい」と謝罪し、必要だったら相手におカネを支払います。これが「和解」です。人類はお互いのいさかいを、こうやって解決していく知恵を身に着けてきたのです。
たとえば、悪いことをした側であるA家が、被害者であるB家に対し、ちゃんと真摯に謝罪し、場合によってはB家に生じた損害を、いくばくかの慰謝料も上乗せして補償しているのであれば、A家の対応としては完璧といえるかもしれません。
しかし、A家がB家に対し、過去の罪に対してホッカムリを決め込み、真摯な謝罪に応じなければ、どうなるでしょうか。この場合、B家としては納得が行かないでしょうし、ケースによってはB家はA家に対し、いつまでも謝罪や賠償を要求し続ける、といった展開も予想されます
だからこそ、B家としては、社会のルールに照らし、A家を場合によっては警察に告発したり、裁判所に訴えたりして、損害を回復させる、という手段もあります。これが「法的解決」であり、また、いったんこうした公的解決が図られたならば、やはりその時点で問題は解決したことになります。
そうしないと、人間というものは無限に請求をし始めてしまうものだからです。
やってもいないことで謝ってしまうと…?
すなわち、A家がB家に対し、「過去に悪いことをした」として、どこかの時点でいちどちゃんと法的に清算をしておけば、その件についてはBはAに対し、二度と請求することができない、というのも人類が生み出してきた知恵でもあります。
先ほどは「B家がA家に対して要求している」という話題を例に出しましたが、A家にはA家で言い分があるかもしれません。そして、もしもB家が法的に決着のついていることまで蒸し返してA家に不当な要求を続ける場合、A家だってB家に対して請求をし返すかもしれません。
したがって、法的に決着がついていることを「蒸し返す」のは、私たち人類が獲得してきた「法を守る」という知恵からは、大きく逸脱する行為でもありますし、ましてや「ありもしない罪を捏造する」というのは、絶対にやってはならないことです。
歴史的事実ではないことをB家が勝手に捏造し、そのありもしない事実をもとにB家がA家に対して何らかの要求をした場合は、そのこと自体が不法行為となり得ます。B家が好きな「被害者・加害者」フレームワークで考えるなら、この場合、B家こそが「加害者」であり、A家は「被害者」なのです。
その意味では、ある国がほかの国に対して「歴史問題」をもとに強硬に批判を続けるという行動自体が、新たな不法行為である、という言い方もできるのかもしれません。
また、逆にA家としては、本当は自分自身がべつに悪いことをしたわけではなくても、ご近所づきあいを円滑に進めるために、とりあえずは「すまなかった」と頭を下げることもあるかもしれませんが、これには非常に大きな問題があります。
B家が味を占めてしまう可能性があるほか、「C家とD家」、「E家とF家」、という具合に、こうしたトラブルがご町内全体に広がってしまう可能性があるからです。
ポーランドの無法
ポーランドがドイツに1.3兆ドルの賠償要求方針
さて、どうしてこんなことを申し上げたのかといえば、欧州でこうした事態が発生しているようだからです。
Poland puts its WW2 losses at $1.3 trillion, demands German reparations
―――2022/09/01 23:50 GMT+9付 ロイターより
ロイターなどの報道によると、ポーランド政府は第二次世界大戦による損害額を6.2兆ズロチ(約1.3兆ドル)と見積もり、ドイツに対して公式に賠償を求める方針を示したのだそうです。
ちなみに9月1日といえば、ドイツによるポーランド侵攻(1939年9月1日)から83年目にあたるそうですが、ロイターの記事では、「ドイツはこれまでポーランドに対し、第二次世界大戦に関連するすべての金銭的請求は解決済みとする姿勢を示してきた」、とも記載されています。
ではなぜ、唐突にこんな話題が出てきたのか。
ロイターによると、2015年にポーランドの政権を取った「法と正義」(PiS)という政党は、これまでもドイツに対する戦時賠償を求める考えを示してきたのだそうですが、この1.3兆ドルという金額についても「最も限定的で最も保守的な方法で計算されたもの」、などとしているそうです。
これについては、先ほどの「A家・B家」のフレームワークに照らすならば、A家がドイツ、B家がポーランドでしょう。
もしもドイツがポーランドに対し、過去において十分な賠償や謝罪を行っていないのであれば、ドイツがポーランドの要求に応じ、追加での補償を行う、といった選択肢は考えられるでしょう。
なぜロシアに言わない?そしてなぜ今それをやる?
ただ、ここで不審点がいくつかでてきます。
1つ目は、どうしてポーランドがドイツに対して「のみ」、賠償を求めているのか、という点です。
歴史的事実で見るならば、たしかにドイツはポーランドに侵攻した国のひとつではありますが、ポーランドはソ連からも軍事侵攻を受けていますので、もしもポーランドの理屈が通用するならば、ロシアに対しても同様に賠償を請求しなければおかしいのではないでしょうか。
2つ目は、これがポーランドにとって、「いま行わなければならないこと」なのかどうか、という点です。
ロシアによるウクライナ侵攻という現在進行形の不法行為がなされているなか、ロシアとはベラルーシを挟んで隣り合うポーランドにとって、どうしてその「無法国家」であるロシアに対してではなく、自国にとって最大の貿易相手国でEUやNATOの同盟国であるドイツを苛立たせようとする行動を取るのでしょうか。
国際法秩序に対する挑戦
そして3つ目は、ポーランドの請求自体が法的に見て妥当なのかどうか、です。
歴史書などをひもとくと、ポーランドに対してドイツが行った行為はたしかに大いに問題があるようですが、それと同時に、いちおうドイツの言い分どおり、戦時賠償の問題は解決しているはずです。その解決済みの問題を蒸し返すこと自体が、国際法秩序に対する挑戦でもあります。
もしもポーランドの請求が罷り通るなら、同じくドイツの侵略を受けた国々、あるいは「ドイツに侵略された」と主張する国々(たとえばギリシャなど)が同様にドイツに対して損害賠償を請求するかもしれませんが、それだけではありません。
場合によっては、「過去に欧米列強による苛烈な植民地支配を受けた」などと主張する国々が、相次いで欧米諸国を訴えるかもしれません。そうなったら、下手をすると、国際法秩序そのものが崩壊してしまうでしょう。
このように考えていくならば、もしも「戦時賠償の問題は法的に解決済み」とするドイツの主張がただしければ、やはりポーランドの言い分は、とうてい容認できるものではありません。
個人的には、ドイツが過去のすべての責任を「ナチス」におしつけるかのやり方自体、決して褒められたものではないとは思いますが、過去の問題に向き合うのはドイツ人が考えるべき責任でもありますので、この点については我々日本人としてなにか言うべきことはありません。
しかし、ポーランドのドイツに対する請求は、国際法秩序に悪影響を与えかねないものでもあり、「法の支配」を掲げる日本や米国などにとっても容認して良いものではありません。ましてや西側諸国がロシアに対して結束しなければならない局面では、なおさらでしょう。
国際社会はこの無法を許すのか?
いずれにせよ、こうした国際法を無視する請求が世界各地で広まり始めていることは、非常に由々しき問題です。その意味で、ポーランドの今回の行動自体、国際法秩序に対する挑戦であることは間違いありません。
もっとも、本件については私たちの国・日本にも、間接的な責任があるのかもしれません。「過去に自分がやってもいない罪を認めて謝罪した」という事例がどこか1箇所で発生したら、「侵略戦争の被害を受けた」などと自称する他の国も次々と真似をし始めるのは当たり前の話でもあるからです。
いずれにせよ、国際社会は「国際法に反した請求をすること」自体を容認してはなりませんし、もしもポーランドがそれをやるならば、国際司法裁判所(ICJ)を通すなど、あくまでも国際法の枠組みに従わなければなりません(ICJがそれを認めるかどうかは別として)。
今回のポーランドの要求に対し、欧州連合(EU)を含めた国際社会がどう対処するか(あるいは対処しないのか)については、しっかりと注目する価値がある論点のひとつといえるでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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ちょっとよく分からないんですけど、ポーランドとドイツの間では平和条約とか結ばれて請求権について解決されているんでしょうか
そういったことが無ければ、この動きは国際法違反にはならないのではないですか
東ドイツとは1953年に賠償免除協定で一部領土の割譲を、西ドイツとは1970年にワルシャワ条約を結び、経済支援や強制労働に動員された人々への補償金の支払いを行ったようです。ただ当時、ポーランドはソ連の強い影響下にあり、上記の動きもソ連主体で行われた、と法と正義党は思っているらしく、改めてポーランド主体で戦時賠償を行いたいようです。なんか某国と同じような感じですね。
ドイツの戦後賠償の流れを斜め読みすると、roro様のご指摘の通り、1953年の賠償支払いの免除等に関する議定書、および1970年のワルシャワ条約による国境画定が2大ポイントですよね。
1953年はポーランド政府の公式声明で同意なされており、いまさら「ソ連の影響下で本意ではない」なんて言い出すのは無理筋ですよね。
改めて戦後賠償について考えさせられたのは、勝ち負けが大事だということ。つまり、ウクライナ侵攻はロシアが敗戦しなければならない、ということです。
世界が荒れている、と感じさせられるケースですね。
別に韓国だけが「理不尽な事をしてくる国」なのではなく、
オンリーワンには程遠いと言うのがなんともわびしい。
ヨーロッパは昔からずう~~~~っと争い続けてきたとは言え、
またバラバラになって争いまくる可能性が出てくるのはやりきれない気分になります。
日本は戦国時代などは国内での話なので対外賠償など無いのと違い、欧米各国は対外侵略の歴史でしたし未解決の問題も大量に残っているでしょうね。
南半球各国からの損害賠償請求にはどのような詭弁で回避しようとするか、見ものです。下手すりゃアノ世界的な宗教が完全悪と認識されて戦争になりかねない。
確か現在のポーランドの西側領土は旧ドイツ領では?
ロシアの飛び地になっているところも旧ドイツ領だったはず。
「第二次大戦の原因は第一次大戦だった」とよく言われる。
自国の領土に交戦国が入っていない状態で講和条約を結び、天文学的な賠償金を課されたのがヒトラー台頭の原因になっている。
ヨーロッパ社会は不可解ですからね。
対露強硬派のポーランドが、
対露協調派だったが対決に転換したものの、今冬エネルギーで妥協しそうなドイツに
損害賠償請求しているわけです。
カチンの森の虐殺は、ロシアの凶行ですから当然宇露戦争終了後は対露請求もあるでしょう。
請求するぞ詐欺でドイツの対露協調を防止して戦線の維持をするならポーランドの立派な政治手腕だと思います。
ヨーロッパ世界で過去に対する請求をされると一番困るのはロシアではないのかと思ってます。
最近、韓国がポーランドに戦車を売るなど、ポー韓交流があるので、韓国がポーランドをそそのかしたのでは?(全くのあてずっぽうです)。ポーランドがドイツとソ連にひどい目にあわされたのは事実で、両国がどう対応するかは興味深々(と言っても法的にはもう済んだ話のようにも思うけど)だけど、今更感が強い。これも「韓の法則」かな。
ポーランドにも「法則発動」が起きたのでしょうか。
まさかポーランドが韓国化していた…?
これも一種の韓流ブームなんですかね…
私も同じようなこと思いましたね。
韓流タカリ術を伝授したか、あるいは似たような連中だから兵器の輸出入でつるんだのか。
どっちにしても、国際法や人間社会の秩序を踏み躙ってでも利を得ようとする賤しい心根が伝播していくのは見るのもおぞましいですね。
トルコが北欧2国のNATO加盟をクルド問題をたてに拒否して要求を通させたのを手本に
ポーランドもウクライナ侵攻では支援の重要な位置取りをしているのだから
常時では顰蹙を買うような過去の補償問題を言ってごね得を狙ったのかもしれません
このニュースには、驚きました。
感想をいくつか出してみたいです。
まず、記憶が間違っていなければ、請求は2度目です。以前の請求時かどうか覚えていませんが、独Po間の戦後問題処理は終わっています。かつ独は、何度も大統領・首相が、謝罪と慰霊をおこなっています。
独は卑屈なくらい、旧同盟国もおなじですが、今日まで充分に気を使って来ました。確か10年ほど前にもWW1のエチオピア戦後処理をやってました。
で、今回の賠償請求は、どう転んでも不当であり不遜です。今か、と自分もそう思います。あまりにも自分勝手。受け付けるで精いっぱいあとは無視でよいとおもいます。
百歩譲って、9月1日の記念日に道徳的に非難するにとどめるのが、まともな政府の態度でしょう。
今わかる根拠としては、国内問題のすり替えです。第二は、与党の問題の目くらましといえます。第三は、ウクライナ避難民支援の重圧となかなか腰を上げてくれない独に対する不満ではないでしょうか。経済的に低迷を続けるPoで、何かとEU問題児のPoとしては、独ならばok,さもありなん。
新宿会計士さんも述べられていたので、じぶんもひとこと。
よく独は真摯に戦争犯罪に向き合った。日本は向き合っていない。などといわれますが、ダッハウで生き残った伊ユダヤ人故プリーモ・レイビーは、SS・ナチス、知りながら黙認した無実とされる国防軍、同じく共犯の多くの独逸人、戦後生まれの忘れようとしたりなかったことにしようとする独逸人を許さないと言っていました。
約3年前になります
侵攻から80年、なぜいまポーランドはドイツに賠償を求めるのか?
https://newsphere.jp/world-report/20190906-2/
わんわん さん データありがとうございます。
追加で、コメントの皆さんにもいくつかか紹介します。
一つは、思い出しましたのですが、アウシュビッツなどの遺構などについて、現政府が伏せたたがる問題ですが、これには背景があります。Poが苦難の歴史をおくってきたのは、間違いないのですが、強制収容所の発足よりまえ東西分割以前から独以上にユダヤ人迫害虐〇に手を染めていたこと。一村皆〇しなどあったようです。
しかも近年証拠が次々に明るみに出ています。それだけではありませんが、独に加担はあきらかだといえます。
これは、ヨ―ロッパ最大のユダヤ人コミュニティーがPoだったことにもよると思います。
一つは、新宿会計士さんやコメントを読んで感じが強くなったことですが、Poと独との賠償問題は、異常ではありますが、日韓問題と比べると軽度です。
たしかに、ヨーロッパもボスニアヘルツェゴビナ・北アイルランド・キプロス・マケドニアなどありますが、なおそういえます。
対日本でアジア太平洋の他の国々を考えても異常は重度です。これに近いのが中でしょう。
その違いは何かと言えば、その国の経済の発展の後発さではありません。
共通するものは、ゆがめられた集中教育とほとんど為にする反日扇動です。
中の場合は、統一国家としての正当性を誇示するために、抗日路線を国民党に乗っかって踏襲する必要があった。半島の場合は、抗日がなければ、国は与えられたもになってしまう。
意図的な反日扇動は中韓で折あるごとに繰り広げられてきました。
半島では、国の存立意義をかけたものであり、愛国心と尊厳そのものになっています。 なまじ中華5000年とか大韓4000年とかの歴史をほこらなければ、後は、お金しかないですから。
ポーランドの世論調査、51%の国民が賠償請求すべきと答えている、と言うものもあるようです。
ポーランドの政権は露宇戦争でもドイツの及び腰ぶりを度々公に批判しています。これはドイツの拙さもありますけど。また、国防方針は現政権で大転換して欧州最大の陸軍国になる勢いです。
おそらくですが現政権・与党は、政権維持と政策遂行のために、国民のドイツに対する敵愾心を利用していると思います。
国家として賠償請求まではしていないそうですが、世論を焚きつけて利用すればそのうち後戻りできなくなることもあると思います。半島の国のように。
被害者ポジションに身を置きたいのでしょうか
ホロコーストに加担したとの汚名を着せられないために
実際には請求できないことは、わかってのことだと思いますよ
昔
朝日新聞「日本はドイツを見習え」
左翼「日本はドイツを見習え」
韓国政府「日本はドイツを見習え」
今
ポーランド「ドイツは賠償せよ」
ドイツ「Nein、解決済みだ」
朝日新聞「……」←あれ?「日本はドイツを見習え」って言わないの?
ポーランドがドイツに賠償請求する事について、気持ちはわからなくもありません。
中共は対日賠償こそ放棄しましたが、代わりにODAによる援助を要求し、日本政府もそれに応えました。対中ODAは42年間で総額3兆6600億円に上ります。
ドイツ政府はポーランド政府やポーランド人に対する賠償を行っていません。 1970年のワルシャワ条約及び、1990年のドイツポーランド国境条約で、ポーランドが(西)ドイツへの賠償請求を放棄した事が根拠となっています。
ODAによる援助もポーランドには行っていません。ソ連崩壊以降、ドイツ企業によるポーランドへの投資は行われていますが、ドイツ政府からの賠償はありません。
だから、ドイツは賠償せよ、という憤りをポーランド人が抱くのも無理なからぬ事でしょう。この点、賠償請求を放棄しながらそれを上回るODAを要求した中共、経済援助の名目で賠償を受けておきながらおかわりを要求する韓国とは異なります。
ただし、ポーランドがドイツに賠償請求を放棄したのは、(西)ドイツ政府がオーデルナイセ線以東のドイツ東部領(ヒンターポンメルン、シュレジエン、ブランデンブルク東部、東プロイセン南部)に対する領有権主張を(西)ドイツ政府が放棄する事、ドイツ東部領を追放されたドイツ人によるポーランド政府への賠償請求権を失効させる事の交換条件です。ポーランド政府がドイツ政府に賠償請求をしたら、ドイツ東部領にいたドイツ人とその子孫もポーランド政府へ賠償請求を行える事になります。800年前の先祖から守ってきた財産をポーランド政府に奪われ、補償もなく泣き寝入りしてきたのですから。
だからポーランド政府がドイツ政府に賠償請求を行ったら、やぶ蛇になりませんかね?
「過去の条約は社会主義体制が決めたものだ。民主主義体制に代わったから無効だ」
「西部北部領土(=ドイツ東部領)は東部領の代償として『ソ連から』得たものだ。ドイツからは何の賠償も受けてない」
「ドイツ人は長年に渡りポーランドから略奪し続けてきた。ポーランドが西部北部領土のドイツ人から略奪して何が悪い」
ポーランド人はこんな認識のようですが、果たして国際社会で通用するでしょうか?かえってポーランド政府の首を絞める事になりそうですけどね。
> もしもポーランドの理屈が通用するならば、ロシアに対しても同様に賠償を請求しなければおかしいのではないでしょうか。
ロシアに賠償請求しないのは、カーゾン線以東の領土をソ連に割譲する代わりに、ドイツ東部領を代償として獲得したからです。領土は2万平方キロ狭くなりましたが、小麦畑や湿地帯や森林が広がるカーゾン線以東の領土(現在のベラルーシ西部、ウクライナ西部、リトアニアのヴィリニュス)よりも、炭鉱の多いシロンスク(シュレジエン)、港町グダニスク(ダンツィヒ)や工業都市シュチェチン(ステッテン)を擁するポモージェ(ヒンターポンメルン)の方が経済的に豊かであり、ソ連、ロシアへの賠償請求を放棄しても十分お釣りが来る程です。それでポーランドはドイツ東部領の併合を以ってソ連との領土問題、補償問題を解決としています。
これを蒸し返してロシアに賠償請求したところで、ポーランドには百害あって一利なしです。カーゾン線以東の領土は既にロシア領でないため取り返す事は不可能であり、むしろドイツ東部領をドイツへ返還する事態になりかねませんから。
とある福岡市民様
歴史的経緯はその通りだと思います。賠償放棄に解釈の幅をもつ余地があることも大きいでしょう。
なぜ今この要求がまた顕在化したかですが、ウクライナ戦争に対するドイツとポーランドのスタンスの違いにあると思います。ポーランドはバルト三国やチェコと共に徹底抗戦派でウクライナに勝たせるべきということで軍事支援も突出しています。一方、ドイツはロシアにエネルギーを依存しすぎているためロシアに配慮してウクライナへの軍事支援も経済規模に比してかなり少ないです。そのため、ポーランド人はドイツを信用してませんし、ドイツに対する不満はかなり溜まっていることが賠償要求の再燃に影響してると見ています。
ウクライナに対する各国の支援をグラフにしたものを見ると
ポーランドの本気度と、ドイツのやる気のなさが明らかです。
https://www.ifw-kiel.de/topics/war-against-ukraine/ukraine-support-tracker/?cookieLevel=not-set
GDP比では、ポーランドに加えてバルト三国の支援が目立ちます。
欧州の中でもあまり裕福とは言えない国々が
身を削って支援しているのですから、ドイツに対する不満が高まるのも無理ないかと。
日本は円安になると日本の不動産や企業が外国資本に買収されてしまう事を恐れなければならないけれど、韓国はウォン安になると韓国に投資していた外国人投資家のキャピタルフライトを心配しなければなら無い。一応ポーランドもユーロ圏EUですから韓国ウォンの様な暴落はしないと思うが、EU域内の貿易不均衡は益々進行していてEUの富はドイツ一国に集まる。世界中の膨れ上がったドルがアメリカ一国に回収されて、更にはドルの公定歩合も高くなりますますドル(投資が引き揚げられて)干上がってしまう。韓国ウォンの様な通貨安が無くても、キャピタルフライト。こう言う事が未曾有の勢いで発生していて他国の事なんか考えられない。そんな焦りを感じてしまいました。
いつも知的好奇心を刺激する記事の配信ありがとうございます。
緩衝地帯の国家がモラルハザードすると時々見られる行動ですね。韓国を含めて相手が自分たちを必要と思って立場が弱いと妄想(おもった)相手にフッカケるという。
対韓国同様、基本的に黙殺でオイタが酷い場合はプーチンがゼレンスキー相手にキレた様に力で制裁するパターンかと(笑)。
日韓関係のようなものは,EU内でもいろいろな2国間で存在していることが認識してもらえたと思います。そういう問題には,第3国は無関心を決め込むことが多いです。
短絡的に考えたら、そもそものポーランドの見解に加えて露宇戦争における難民問題が乗っかり、あたかもより正当性を得た感覚なのかなー、と見てます。EUの問題児とされるポーランド、の対極、つまり優等生(?)のドイツが弱りきってるからこそ益々燃えさかっている状況とも言えるでしょう。EUが一枚岩では無いからこそPiS政権の台頭が続き、また排除したくとも加盟国の全会一致という条件で同じく問題児とされるハンガリーと共闘関係にある。WWⅡを招いた反省で立ち上げた筈のEUが国際的に主導権を取り始めようとした時から避けられなかった災禍なのかもしれません。知らんけど。
敢えて飛躍して将来の露解体となった時、北方領土問題を抱える日本含めてナチスドイツの再来となるような状況を起こさないようにすることが求められるでしょうね。その点でもポーランドの無理難題は将来ロシアを通じて、日本にも降りかかる問題だろうと思っています。
弱い人間に限って、周りが落ち着くと、自分の権利ばかり主張し、また、相手から損害を受けた、とグチャグチャ言い出す。
そういう人にお聞きしたいのですが、あなたのその強がりを保障してくれるのは、誰ですか?という事です。
一国の中であれば、国家権力が法に基づいて、あなたの主張が法に基づいて正当であれば、あなたの言い分が通るようにしてくれるかもしれません。
が、国際社会では、誰が一国の国家権力のような事をしてくれるのですか?
誰があなたを守り、あなたの権利を保障してくれるのですか?
そういう存在が無いから、今ロシアの行為をやめさせられないのでは無いですか?
ポーランドに限らず、先ず、自国が簡単に侵略されないように、自国が多面的に強くなるように努めるべきてはないか?
多面的とは、軍事だけの事ではなく、外交交渉力、同盟関係、産業力、つまり、簡単に攻め込まれないような存在力、つまり、一目置かれるような存在力のある国になる事です。
K国も、虐げられた、と裁判ごっこをしている暇があったら、自力を付ける事に力を注いだらいいのにと何時も思います。
K国にとっての、真の脅威はN国ではなく、C国である事は、歴史的にも地政学的にも、明白ですから。
ポーランドも、地政学的には、西と東が喧嘩を始めれば、真っ先に甚大なトバッチリを被るのに、西と東の力の均衡が何となく生まれて、一見平和があるように見える今、自分達にどんな力があると思って時代錯誤の主張をするのか?
こういう頓珍漢な事をすると、今かろうじて均衡を保っているヨーロッパの不安定化要因になります。そして、ヨーロッパが不安定化すれば、ポーランドが一番甚大な損害を受けるのは、歴史的地政学的に明白なの事です。
詳しいヨーロッパの歴史を書かなくても、ポーランドが自国の力で強国であった事はないです。
ポーランドの現政権は、歴史音痴、政治音痴・・・?
ポーランドがドイツに賠償を請求するのは百歩譲ってまだわかるとして
世界各地にナチスの被害に遭った少女像とか建て始めたらどうだろう
韓国がどれだけ異常かわかるよ
コメント失礼します。
波蘭が独逸に賠償(悪い事やったと認めて金払え)請求ですか。合法の選挙で堂々と選ばれたナチスと今の独逸を別物としてる自分勝手な輩(エネルギー問題でも迷走してるなぁ)が受け入れるとは思えないです。受け入れたとしても補償(俺は悪くねぇけど少し金は払ってやる)かな。
国際法(国際常識)の基本は、
・自国を正当化しろ
・自国が悪かったらもっと正当化しろ
・悪くも無いのに謝るな
です。国際法は国内法(強制法)と違って慣習、合意法。平たく言えばやくざの仁義なので、守った方が得なら守れば良い。逆も又然り。報復が無いのなら破った方が得なのは支那、露、朝鮮の挑発行為(正当な理由が無い)を日本国が許し続けている事でも明らか。まともな主権国家なら何かしら報復、反撃をしている事でしょう。日本の常識は世界の非常識。
国際常識で他に大事なのは、
【伝統や文化=長く続いてるものは凄い】
というのがあります。日本国は世界一古くて長い国家であり、古代言語も受け継いでいるし外国語翻訳も頑張っていた(幕末明治の翻訳は今でも使われている言葉が色々有ります。民主主義、人民、共和国等。最近はカタカナ言葉が多く翻訳が少ないのは残念です。思考は言語でするものだから、自国語に変換するのは教育や国防上とても大事)。王朝(権威)も天皇と皇室で変わらず。十七条憲法もその精神が今でも生きている。憲法は国柄、国民の意識や考え、伝統を示すものだから、成文化は必須ではない。在った方が分かり易いだけ。
https://intojapanwaraku.com/culture/10397/
政治的には「日本は帝国時代に侵略=虐殺凌辱強奪し捲った世界一邪悪な国家の末裔であり、ナチスと違って滅びてないのでこれからも永遠に詫び続けます」ですが、歴史的事実と当時の国際常識(戦争も海外領も植民地化は悪い事ではない)を知れば帝国は別段悪行は行っていないし、した輩は処罰している。むしろ国際法守り過ぎて蒋介石殺せなかった(計画爆撃順守。米みたいに民間人諸共の無差別爆撃はしていない)ようで。
そんな実は立派で凄い日本国が主様仰る様に、しなくてもよい謝罪と賠償をしているのだから、集る輩が出て来るのはしょうがないです。六四天安門事件後の天皇訪支然り、外国への影響力はかなり強く大きい。
日本が悪い!で大事なのは、
・帝国時代は日露戦争勝利後、国防の緊張の糸が切れ、世代交代の際の知恵の継承(特に外交や戦争の終わらせ方)に失敗。試験に合格すれば報酬と権限だけ与えられ無責任で良いという間違ったエリートの生産の結果帝国滅亡。
・現在は日本国にとって正しい歴史を学ぶ情報は解放されているけど、教える人が全然居ない。自己責任で学ぶ。帝国の負債である間違ったエリートは健在。これではまともな「国民」は全然増えない。財務省が経済成長を拒むから、自ら学ぶ余裕も生まれない。
と私は認識してます。要は「日本を悪く言うなら正しく言って糧とし、悪い歴史を繰り返さない様にして欲しい」です。
波蘭が本気で賠償金欲しいなら、日本国に言えば良いのではないかと。悪しき前例を自ら築き上げてるので。帝国時代ナチスと同盟組んでたし。政治家は投票者の代表=つまりまともな知識も知恵も無いのが珍しくない(私含め投票者の程度が低い)のでいけるかと。河野、村山に続いて岸田乃至林談話が生まれたら厭ですけど、愚民化教育を改めないのは日本人の罪というか不作為なので。国民主権は恐ろしい。
彼我の価値観や歴史、状況を知り、後先考えた上で日本人が行動しない事には、投票者の代表である政治家は変わらない。帝国は邪悪という自虐史観も期限切れ(帝国時代を1868~1945年で考えると77年。1952年から再独立と考えるなら70年。後7年で帝国時代に並ぶ。それでも過去の虚像に縋り今の自分を正当化するのはまともな認識、生き方とは私には思えません)が迫っている。侵略=虐殺凌辱強奪される前に多くの日本人が日本国民に目覚めてくれると良いのですが…。
調べてみたら1939年にソ連が占領したところは1921年終結のポーランド=ソビエト戦争で奪われたとこなのね。
つまりポーランドは
一次大戦後のどさくさで戦争により領土を確定した
のね。
…ヒトラーがまさか英仏は宣戦すまい、と思ったのもうなずける。
また1991年のドイツ=ポーランド善隣友好協力条約に
・ドイツはポーランドのEU加盟に努力する
・ドイツはポーランドの経済発展を支援する
という片務的条項があるんだけど、
東ドイツを抱えながらポーランドの市場経済移行も手伝うドイツは大変だったろうに、30年たったら70年前の賠償を言い出すとか恩知らずだなー。
うがった見方をすると
・ウクライナを支援するのは(18世紀の)ポーランド再興のため
・ロシアから賠償金をもらってしまうと東部国境確定を助長してしまうためロシアには請求しない
など想像してしまう。
過去の栄光が正義で現状の自分は被害者などとポーランドが考えているのだとしたら危険だなー。
昔から定期的にポーランドは対ドイツ賠償を請求しているらしいぞ
韓国大統領がドイツまで行って、ドイツの戦後補償について褒め称えた時も
直前にポーランド議会でドイツ賠償請求決議が出ていたため
ドイツ人は「はるばる韓国から嫌味を言いに来たのか?」と思ったとのこと