日韓首脳会談開催「見送り」方針を韓国メディアが裏付
韓国側から「答え」が出てきました。やはり、現時点では今月末の日韓首脳会談については見送りの方向、という可能性が濃厚です。韓国側が諸懸案の解決策を示さず、それどころか竹島近海で無許可の海洋調査を実施するなど、日韓首脳会談を開く環境が整っていないとみられるからです。ただ、政権が代わったにも関わらず首脳会談が開かれないのだとしたら、文在寅政権が日韓関係を不可逆的に変えてしまったということなのかもしれません。
日本側が首脳会談見送り=産経報道
今朝の『政府、日韓首脳会談見送り=産経』では、こんな話題を取り上げました。
「今月下旬にスペイン・マドリッドで行われるNATO首脳会合に合わせて日韓首脳会談が行われるかどうかをめぐり、『複数の政府関係者』が14日、産経新聞に対し、『日韓首脳会談を行わない方向で調整に入った』と明らかにした」――。
その理由として産経ニュースは、いわゆる徴用工訴訟や慰安婦問題などで韓国側が具体的な解決策を示していないこと、韓国が不法占拠する竹島近海の日本のEEZ内で無許可の海洋調査が行われていたことなどを挙げ、日韓首脳会談を行ううえでの「環境が整っていない」と述べた、としています。
「首脳会談を行わない方向で調整」という表現もなんだか奇妙ではあります。
ただ、産経新聞はこれまでも、「日本政府が韓国に対し輸出管理の厳格化措置を発動する」などの情報を先行して報じてきたメディアでもあるため、今回の記事も、政府関係者が産経に対して明らかにしたものである可能性はそれなりに高いと見て良いでしょう。
もしこの記事が事実だとしたら、これまで韓国メディアからなかば既定路線であるかのごとく報じられてきた「日韓首脳会談」については、「韓国政府から申し入れがあったものの、日本政府側がお断りした」、という可能性が濃厚です。
これとあわせて、やはり韓国メディアからは先月以降、朴振(ぼく・しん)韓国外交部長官が6月中旬から下旬に日本を訪問する、といった観測報道が何度も出てきていたのですが、首脳会談見送りなら外相会談も見送りとなる可能性は高いでしょう。
【参考】2019年12月24日の日韓首脳会談
(【出所】外務省)
韓国メディアから「答え合わせ」
こうしたなか、韓国側からその「答え合わせ」のようなものが出てきました。韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)は本日、「韓日首脳会談の実現が遠のいている」、「日本側が会談に消極的な態度を見せ、開催の見通しがまだ立っていない」と報じました。
遠のく韓日首脳会談 韓国大統領室「必ずやるべきだとは考えない」
―――2022.06.15 13:28付 聯合ニュース日本語版より
聯合ニュースはこの日韓首脳会談について、「悪化している韓日関係の転換点になると期待されていた」としつつも、次のように指摘します。
「ただ、現段階で議題の事前調整が必要な首脳会談開催の可能性は高くない。来週になると予想されていた韓国の朴振(パク・ジン)外交部長官の訪日も今月中には困難との見方が優勢だ」。
その理由として聯合ニュースが述べるのは、来月10日に日本の参院選が行われるため、「日本としては選挙を控え、両国関係悪化の要因になっている歴史・領土問題で柔軟な姿勢を示すことが難しい状況」にある、というものです。
ここでいう「柔軟な姿勢」とは、「日本が国際法の原理・原則を捻じ曲げて韓国に譲歩してくれる」ことを指しているのは明らかでしょう(大変失礼ながら、参院選前であろうが参院選後であろうが、日本が韓国にこれ以上譲歩することはできないと思いますが…)。
そのうえ聯合ニュースは、韓国大統領室が「韓日首脳会談の開催の環境が十分に整っていないと判断しながらも、両国首脳が顔を合わせること自体に意味がある」との立場をとっていたとしつつ、「日本側が消極的な態度を示したことから、韓国側も積極的に推進しないもようだ」と結論付けています。
ただし、NATO首脳会合の最中、岸田文雄首相と尹錫悦(いん・しゃくえつ)大統領が「略式懇談などのかたちで顔を合わせる可能性」はある、などと指摘。実際、尹錫悦氏も15日のぶら下がり会見で、日韓首脳会談をめぐっては「まだ決まったことはない」と述べたそうですが、大統領室関係者は次のように述べたそうです。
「韓日首脳の対面はその特性上、多国間会議の当日午前に決まることもある。どのような形であれ、首脳が会うことが重要ではないか。まだすべての可能性が開かれている」。
日本の側に首脳会談のメリットは皆無
このあたり、岸田首相が首脳会談に応じたとして、日本に何かメリットがあるものなのでしょうか。
むしろ『政治家は鈴置氏「韓国の謝罪利権復活」警告を熟読せよ』でも指摘したとおり、韓国側は「日本の譲歩」を当然の前提に置いているフシもありますし、あの手、この手を使って日本に譲歩させ、「謝罪利権の復活」を狙っている可能性が濃厚です。
このように考えるならば、「韓国が日韓諸懸案についての解決策を準備しない限り、できるだけ会わないようにする」、というのは、現時点においては決して悪い選択肢ではなく、むしろ当面はそうせざるを得ないのではないか、と思う次第です。
あるいは、日本の首相が韓国の大統領と首脳会談を行うならば、密室ではなく、すべてオープンベースで行うというのもひとつの手でしょう(※そんな首脳会談、あまり前例を聞いたことはありませんが…)。
いずれにせよ、韓国で政権が交代したにも関わらず、日本側が会談に応じようとしないという事実をみるにつけ、日韓は新時代を迎えたと痛感せざるを得ないのです。
その意味では、文在寅(ぶん・ざいいん)韓国前大統領は日韓関係を「不可逆的に」変容させたといえるのかもしれませんね。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
また、「立ち話」を狙って待ち伏せとかするのでしょうか。韓国にしてみれば会談が略称でもあれば十分成果なので、仕掛けては来ると思います。
もうこの際NATO首脳会談はリモートに切り替えるのもありかも。
毎度、バカバカしいお話しを。
初代自民党総裁の孫の鳩山由紀夫(元)総理が、「自分が代わりに首脳会談する」と言い出したんだって。そしたら、韓国側も文(前)大統領が、「自分なら日韓首脳会談が出来た」と言い出したんだって。
本当に言い出しそうで、怖いです。
あ! それぜひ
パラレルワールドホラー物
SF映画化として見てみたい(笑)
半島優遇移民法と反日外国人参政権法を
成立させて長期政権になった民主党政権。
仕分けごっこ劇場の予算カットで
リストラ技術者は半島送り、
はやぶさも富嶽も太極旗を
貼り付けられた暗黒の日本。(笑)
えっ、鳩山さんって、もうとっくに韓国に帰化して韓国籍になったんじゃありませんでしたか?
これを受けて、ユンソンニョル政権は、どうするのですかね。”政策協議団”を派遣し「孤掌鳴りがたし」と申し入れても空振り、米国から圧力かけてもらおうとしたら、逆に岸田→バイデンで「あなたも副大統領の時、日韓合意に賛成したが、その後に何が起こったのか知っているではないか」と言われてしまい封じられてしまいました。このままでが「米国の次に日本を訪問する」といった公約も破ることになりますし、米国との「日韓関係改善に努力する」という約束も果たせなくなります。徴用工問題について日本に提示する”案”の韓国内合意のとりまとめに入りますかね。韓国内は百家争鳴で、政権体力のかなりを奪ってしまうでしょう。袋小路に追い込まれたような気がします。日本としては、高見の見物で良いのですが。
■今日の見出し■
【東亜日報】
静まる韓日首脳会談の可能性…”「確定したものはない」
【聨合ニュース】
どんどん狭まる日韓会談の可能性… 大統領室「必ずしなければならないと思わない」
【ソウル新聞
韓国のせいで韓日首脳会談がないという日本…本音は選挙のためか
【ノーカットニュース】
韓日首脳会談はなさそう。日本、また韓国のせいで
【国際新聞】
NATOで韓日首脳会談は難しそう。 「確定したものはない」
【アジア経済】
「韓日首脳会談保留」報道に…日本「決まったことはない」
【時事マガジン】
NATO韓日首脳会談、不発
【連合ニュース】
岸田「NATO首脳会議に日本首相として初めて出席」
【Money Today 】
岸田、NATO会議で韓日首脳会談しない」-産経
【ファイナンシャルニュース】
尹大統領「韓日首脳会談は確定していない」
つまり、日韓首脳会談の日程が見えなくなった= 韓国側は、日本側の求めることを満足させることができない、ということが分かった= 日韓の関係が回復する見通しが立たなくなった、ということですね。
すると、しばらくの間は、韓国メディアによる「日韓通貨スワップを期待する」とか、「包括的解決」とか、「歴史問題は被害者中心主義で」などという意味不明な記事を目にすることがなくなるのかもしれません。
通常、外交における首脳会談や閣僚レベルの会議は、事前に各国の実務担当者が細部まで交渉を詰め、出来上がった合意事項を確認する場とするのが一般的です。日韓関係に山積する諸問題を、両国外交当局が解決できない内は、首脳会談を行うことは不可能です。
尤も韓国の場合、国内政治でもトップダウンでできるので、実務者協議をすっ飛ばしていきなり首脳会談を行い、その場で諸問題に関する自己に都合の良い解決を押し付けて来ることも考えられます。
何にしろ、外交における定石を外さず、実務担当者による事前のお膳立てを省略しないよう、我が国は注意しなければなりません。
日韓請求権協定を踏まえた解決策を希望します。
『「慰安婦問題で日本から謝罪を受ける」と約束した尹大統領、現状は…=韓国ネット「可能性ゼロ」』
https://www.recordchina.co.jp/b895940-s39-c100-d0195.html
>尹大統領は昨年9月、大邱(テグ)の日本軍慰安婦記念館を訪れ、李さんに会っている。その際、李さんの「慰安婦問題を解決してくれる人に投票する。公約してもらえるか」との言葉に、「日本の謝罪を必ず引き出し、おばあさんたちが受けた心の傷を全て解決します」と約束した。しかし、今年3月に日本軍慰安婦ICJ付託推進委員会が大統領選の各候補者に「慰安婦問題のCAT付託を進める計画か」「進めるなら、就任100日以内に進行するか」と質問した際、尹大統領の陣営は返答しなかったという。
完全なユン・ソクヨルの自縄自縛。これを持ち出したら、絶対に首脳会談などできない。