無理がある「国民民主党を野党連合に引き戻す」の主張
昨年の衆院選で「野党連合」は議席を減らす一方、「野党連合」から距離を置いた国民民主党は議席を増やした――。こうした事実を踏まえるならば、国民民主党にとっては「野党連合」から距離を置いたこと自体が選挙戦略の勝利だったと言えるかもしれません。こうしたなか、その国民民主党を「野党連合」に引き戻すべきだ、といった主張が出て来ましたが、そうした主張自体、かなりの無理があるとしか思えません。
目次
衆院選をどう総括するか
昨年の衆院選では「第三極」が躍進した!
昨年10月の衆議院議員総選挙では、与党である自民党が15議席減らしたとはいえ、いわゆる「安定多数」とされる261議席を単独で辛うじて確保。「圧勝」とは言わないまでも、連立相手である公明党とあわせ、300近い議席を得ることで、結果的には安定的な政権運営が可能となりました。
その一方、事前の報道だと「公示前勢力を大幅に増やす」などとされていたはずの、最大野党・立憲民主党は、蓋を開けてみれば公示前勢力をむしろ13議席も減らし、獲得できた議席は96議席と、何と100議席を割り込んでしまいました。
また、その立憲民主党と「選挙協力」をしていた日本共産党も12議席から10議席へと2議席減らしましたし、社民党も1議席のまま現状維持となりました。例外は、1議席から3議席へと2議席増やしたれいわ新選組ですが、この4政党を合わせた勢力は、13議席の純減です。
その一方、いわゆる「第三極」とでもいえば良いのでしょうか、野党でありながら部分的には保守的な論調と親和性が高い日本維新の会は、11議席を41議席へと大幅に増やす「大躍進」を遂げましたし、国民民主党も8議席から11議席へと「躍進」しています。
以上をまとめたものが、次の図表1~図表3です。
図表1 2021年10月衆院選・公示前勢力と選挙結果(連立与党)
政党 | 公示前→選挙結果 | 増減 |
---|---|---|
自民党 | 276→261 | ▲15(5%減) |
公明党 | 29→32 | +3(10%増) |
合計 | 305→293 | ▲12(4%減) |
(【出所】各社報道をベースに著者作成。増減率は「公示前勢力」に対するもの)
図表2 「選挙協力」をしていた4野党
政党 | 公示前→選挙結果 | 増減 |
---|---|---|
立憲民主党 | 109→96 | ▲13(12%減) |
日本共産党 | 12→10 | ▲2(17%減) |
れいわ新選組 | 1→3 | +2(200%増) |
社民党 | 1→1 | ±0(―) |
合計 | 123→110 | ▲13(11%減) |
(【出所】各社報道をベースに著者作成。増減率は「公示前勢力」に対するもの)
図表3 「選挙協力」から距離を置いた2政党
政党 | 公示前→選挙結果 | 増減 |
---|---|---|
日本維新の会 | 11→41 | +30(273%増) |
国民民主党 | 8→11 | +3(38%増) |
合計 | 19→52 | +33(174%増) |
(【出所】各社報道をベースに著者作成。増減率は「公示前勢力」に対するもの)
※なお、ほかにも無所属議員などが存在するため、図表1~図表3の「合計」欄を足しても、(定数の)465議席にはなりませんのでご注意ください。
有権者の答えは、野党4党の選挙協力に対する「NO」
こうやって、改めて3つに分類してみると、大変わかりやすいと思います。
連立与党も10議席以上、勢力を減らしていますが、立憲・共産・社民・れいわという4つの左派政党グループも同様に10議席以上、勢力を減らしており、公示前勢力に比べた「パーセンテージ」でいえば、4野党の減少率が大変に大きいのです。
そのうえで、維新、国民という2つの「中道的」(?)な政党が33議席ほど勢力を増やしており、これは増加率でいえば174%(!)という驚異的なものですが、個人的には、この結果が「野党4党の選挙協力」に対する有権者なりの答えではないかと思えてならないのです。
公明党抜きでの改憲発議も可能に!
ついでに、もっと踏み込んだことを申し上げるなら、261議席の自民党、41議席の日本維新の会、11議席の国民民主党の3政党を合わせた議席数は313議席であり、この3党だけで、改憲の発議に必要な議席数(310議席)を上回っています。
もちろん、自民党は参院では単独過半数に達していませんので、実務上、自民党が今すぐ公明党との連立を解消してまで改憲の発議に踏み込む可能性は、非常に低いといえます。公明党が改憲に否定的であることを踏まえるならば、今すぐ改憲が発議される、という可能性も、あまり高くありません。
ただ、今後、参院でも立憲民主党などの「野党連合」がさらに議席を減らし、改憲に積極的な政党が参院でも徐々に勢力を増やしてくれば、将来的には自民党が「公明切り捨て」を決断し、改憲が達成される日も到来するかもしれません。
このように考えていくならば、「4党」が合わせて衆院でも3分の1の水準を大きく割り込んだ、という点については、単に「野党4党の共闘」に有権者が否定的であるだけでなく、将来的に日本の進路を大きく変える、大変に象徴的な選挙だったといえるのかもしれません。
野党連合vs第三極
野党連合と距離を置いたことが躍進の要因?
さて、ここで改めて考えておきたいのが、図表3に示したとおり、維新、国民の2党が「大躍進」した、という事実です。
念のため申し上げておくならば、当ウェブサイトの執筆者である「新宿会計士」本人は、両党の支持者ではありませんし、正直、どこか胡散臭さを感じているのも事実です。
ただ、それと同時に、世の中に「100%完璧な政党」というものは存在しませんから、基本的には、既存政党を評価する際には、「どこが一番マシか」という視点が重要だと考えており、この点においては、両党ともに現在の立憲民主党よりはいくぶんかマシだと考えている次第です。
立憲民主党のどこがダメであるかについては、当ウェブサイトでは『無責任な「泉健太体制」立憲民主党は漂流の末に瓦解か』を含め、これまでに何度となく議論してきたとおりですので、ここではその繰り返しについては控えたいと思います。
それよりも、本稿で考えておきたいのが、維新、国民ともに、公示前より勢力が増えたという事実について、です。
もちろん、相手は選挙ですので、その解釈はさまざまですが、著者自身が考えるに、これは「両党に対する支持が増えたから」ではなく、むしろ、立憲民主党を筆頭とする左派政党に対し、有権者が嫌気したからではないでしょうか。
やはり、日本共産党との選挙協力は、さすがに有権者からは嫌気されても仕方がなかったと思います。
左派政党への支持は将来的に枯渇する
この点、一部の分析に基づけば、日本共産党が全選挙区で候補者を立てることをやめたため、結果として左派政党全体で票を「奪い合う」という現象を避けることができたことが、立憲民主党の議席数を押し上げたのではないか、という見解があることは事実です。
ただ、個人的な感覚に基づけば、左派の4政党全体では、支持者層の平均年齢が、おそらくはどんどんと高齢化しています。ちょうど、新聞・テレビを中心とするオールドメディアを盲信する人たちが、社会全体から急速にいなくなっているようなものでしょうか。
そして、最近では高齢者層であっても、スマートフォンなどの電子デバイスを使いこなし、インターネットにアクセスする人が増えていますので、そのうち新聞の読者、テレビの視聴者が極端に少なくなり、したがって、左派政党の支持者についてもどんどんと減っていく、といった現象が生じるかもしれません。
つまり、左派政党への支持層は、オールドメディアを盲信する人たちと同様、将来的には枯渇することが予想されるのです。その速度は、思ったよりも早いかもしれません。
そうなれば、立憲民主党にとっての日本共産党との選挙協力は、ますます「有権者離れ」を加速させることにつながりかねませんし、とくに国民民主党が野党の選挙協力から距離を置いたこと自体、玉木雄一郎代表に「先見の明」があったのだ、と評価できるでしょう。
「国民民主党を野党連合に引き戻せ」
こうしたなか、朝日新聞に土曜日、こんな記事が掲載されていました。
市民連合・山口氏「国民民主引き戻すこと課題」 共産・志位氏は…
―――2022年2月5日 19時41分付 朝日新聞デジタル日本語版より
リンク先は「有料会員限定記事」ですので、有料会員でなければ全文を読むことはできませんが、無料で閲覧できる部分にはこんな趣旨のことが書かれています。
「『市民連合』呼びかけ人は5日、今夏の参院選に向け、『国民民主党を野党側に引き戻すことが課題だ』と訴えた」。
この点、正直、かなり無理がある発想だと思わざるを得ません。
少なくとも昨年の衆院選では、「野党連合」に「NO」が有権者の審判だった、と受け止めるのが自然であり、したがって、国民民主党が3議席ほど獲得議席を上積みしたのも、同党が野党連合から距離を置いたことが有権者に評価されたからだと見るべきではないでしょうか。
逆に、「野党連合」の側にとって、国民民主党を引き戻すだけの説得材料は、あるのでしょうか。
そもそも論ですが、立憲民主党自体、昨日も触れた「CLP/ブルージャパン問題」、「ヒトラー問題」、「虚偽文書問題」などの目の前の疑惑に答えていませんし、このインターネット社会において、こうした問題を放置し続ければ、そのこと自体が同党への有権者の支持率を下げる原因ともなりかねません。
有権者から選択機会奪う野党連合
いずれにせよ、「野党連合」の考え方は、非常にわかりやすくいえば、「野党同士が票を奪い合うことを避けましょう」という「野党の側の都合」に従って動いているものであり、私たち国民・有権者の側にとっては、逆に「選択の機会」を奪うものでもあります。
当たり前の話ですが、私たち国民にとっては、選択肢は多ければ多いほど良いはずです。
より多くの政党、より多くの候補者が有権者に対し、より魅力的な公約を提示し、そして国会議員に選ばれたら、次回の選挙で再び有権者に選んでもらえるよう、全身全霊をかけてその公約の実現を図る、というプロセスが続くことが大事です。
「野党の選挙協力」とは、不正競争そのものであり、一種の「談合」のようなものです(※なぜか左派系のオールドメディアは、「野党の選挙協力は不正競争であり、談合のようなものだ」などと批判することは絶対にないようですが…)。
いずれにせよ、国民民主党が全面的に信頼するに値する政党かどうかはとりあえず脇に置くとして、少なくとも国民民主党が昨年の衆院選で躍進したという経緯を踏まえるならば、今夏の参院選に向けて野党連合に戻る、というのは、国民民主党自身にとって合理的な選択肢ではありません。
「国民民主党は野党連合に戻って」と主張すること自体、かなり無茶な要求に思えてならないのです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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山口:玉木〜ん、一緒に泥舟に乗ろうよ。
立憲民主党は大船(タイタニック)に乗った気分でいたら良いと思われる
まさに野合。
本来なら、”政策理念の異なる政党による選挙互助会”なんて成り立たないはずなんですけどね。
「アンチ自民」の一点においてなら、第三勢力に投票したくなるのは当然のことだと思います。
(よく考えてみよう!)
「選挙における塊魂」を餌に移籍を誘い政党助成金をせしめた立民。
「政策性のない魂塊」に今さら合流できる国民では無いのかと・・。
ポジティブシンキングとして、逆に立件共産党など特定野党のいいところを探してみようと思ったが、綺麗さっぱり皆無だった。
仮に一つや二つ微かな美点があったとしても、それを覆して余りある枚挙に暇がないほど数々の劣悪さで存在価値の無さを否応なく物語っているけど。
結局のところ、マスメディア、自称有識者、自称リベラルの方々が、根本的な錯誤についての自覚がないために、おかしな方向しか見えないし、進めないということなのだと思います。
1. 選挙によって政権交替が(時々)起こることこそ、健全な民主主義としてあるべき姿である
まあ、この点について、あまり反対する人はいないでしょう。ただし、有権者にとって、政権交替は一つの手段であって、それ自体が目的というわけではありません。この時点ですでに手段と目的とを勘違いしている人が、(特にマスメディアに)少なからずいるように見えます。 そういう人たちは、「日本で選挙による政権交代が起きないのは、日本の民主主義が未熟なためだ(1′)」という謬見に陥りがちです。
2. 小選挙区制は二大政党に有利なシステムである。ゆえに、巨大与党に対抗するためには、野党は連携して候補を一本化しなければ勝ち目はない
選挙戦術としては、必ずしも間違っているとは言い切れませんが、複数の野党が存在する意味を完全に見失っています。主義主張や政策が異なるからこそ、違う党になっているはずです(本来ならばね)。従って、最低限でも政策協定を結び、政権交替が実現したらこうするという、すべての候補者を拘束する共同の公約が必要であるはずです。それなくしては単なる野合と言われても仕方がありません。というのは、政党にとっての選挙とは、政策を実現するための手段であって、選挙に勝つこと自体が目的となってしまっては無意味だからです。
というわけで、マスメディアなどの根本的錯誤とは、手段と目的とを思いっきり取り違えているという点にあります。いくつかのマスメディアは、政権交替が実現してほしいがゆえに野党第一党を贔屓しますが、実際に交替したらどうなるかという展望は何も持っていません。それもそのはず、現在の野党第一党自身が何も展望を持っていないからです。
かつての社会党や共産党などは、親ソ反米という明確な軸がありました(実現可能性はともかく)。しかし、ソ連崩壊後はそのような軸を失い、大慌てで人権とか環境とかの看板を掲げましたが、所詮は付け焼刃でしかないので、ウィグル、チベット、ミャンマーなどでの問題には口を噤むし、中国での大規模な環境破壊にも何も言わず、ただただそのダブルスタンダードぶりを揶揄されるだけになってしまいました。そしてそれを有権者に見透かされていることすら気づかないという知的頽廃ぶりです。自滅にしか向かわないのも当然でしょう。そして、野合にしかならない方向に動こうとしていること自体、無理があるというか、恐ろしく不誠実で頭が悪いようにしか受け取られないのです。
次の参院選は、与党である自民党と維新・国民・公明(二大政党制なら与党の
対局にいるべき層であるが、日本国民の為に働く姿勢をみせられない党群)と
それ以外の「いらない党集団」との戦いになると思います。
いかに「いらない党集団」を減らすかが大きな問題ですが、それよりも
中間集団の維新・国民・公明が、日本の為に働く気概をもっているかです。
特に維新、日本全国に維新の候補者を立てようとするでしょうが、
元来大阪地域限定の小集団であり、大阪を離れて日本全体の事を考える事が
できるかが疑問です。 候補者も維新の名前が聞こえが良いからと、立候補するのは
止めて欲しい。 ホントにそこがあなたがいるべき場所なのですか?
実質的に共産党主義者が維新に入党するのは、チョットね~。
追伸:参院選後に「一票の格差」と喚き、裁判を起こすのは本当にバカみたいですから
お止めになった方がよろしいです。数字を数えられないくらいのバカだとしか、思えません。
不満があるなら、「一票の格差」を叫ぶ人達とお仲間が、人口比が同じになるくらいになる
まで人口の少ない地域に引越しすればよいだけの話です。
ちょろんぼ様
追伸のとこに反応しちゃったのです♪
選挙のたびに「1票の格差」といって訴訟を起こす人たちって、なんで選挙前に申し立てをしないのかな?
って、思ったのです♪
制度そのものじゃなくて、気に入らない結果だったから訴えてるってことなのかな?
> 不満があるなら、「一票の格差」を叫ぶ人達とお仲間が、人口比が同じになるくらいになる
まで人口の少ない地域に引越しすればよいだけの話です。
違います。それは話のすり替えに過ぎず、全く解決策になりません。
解決策は人口の少ない地域の議席を減らして人口の多い地域に振り分ける事です。
あなたの主張は「都会の人間は代表議員が少なくて当たり前だ。黙ってろ」という暴論です。人口の多い地域に住む人、住まざるを得ない人へ対する差別です。
60年代革命失敗活動家の人たちが
日本人の寛容をいいことに
テロリストが占拠の手法で
メディアを利用して
正義と多数を騙ってきて
実際の少数劣勢を補完するために
他国の捏造加担までして
日本の道を左に西に踏み外してきての
どぶサヨ集団に堕ちてしまっての強がりが
今崩壊しつつあるのだと感じます。
もはやこの期におよんでは
「ヒトラーレッテル貼り手法」
ぐらいしかできない
民主党残党ラスボス菅直人氏や
ハッピー米山氏、
その口で騙る正義に
およそ似つかわしくない形相の
般若山口二郎氏などが
暴れて頑張るしかない状況は
戦後横着左翼の終焉を
呈していると感じます。