「平日に少しでもテレビを見る」若年層は半数に留まる
昨夜、産経ニュースに配信された記事によると、「NHK放送文化研究所」が昨年実施した調査結果が20日に明らかになり、「平日の1日に少しでもテレビを視聴する」と答えた割合が、若年層で半数に留まったのだそうです。コロナ禍でスポットCMが減るなどの要因で、テレビ業界は軒並み減収・減益を記録していますが、業績の悪化が本格化するのは、これからなのかもしれません。
意外と堅調:テレビ局の業績
先日の『コロナ禍でのテレビ局経営:在京5局はすべて減収減益』でも触れたとおり、民放テレビ局の親会社の2021年3月期における業績については、軒並み「減収・減益」を記録しました。
【参考】『コロナ禍でのテレビ局経営:在京5局はすべて減収減益』(2021/05/16 05:00)
その大きな要因は広告収入(スポットCMなど)の大きな落ち込みなどによるものですが、ただ、興味深いことに、各局の経営状態にはまだまだ余裕があることも事実でしょう。製作費や販管費の削減により、どの局もテレビ事業に関しては、営業利益段階ではそこそこの利益を確保したからです(図表)。
図表 在京キー局の親会社のメディア・コンテンツ事業等の営業利益(2021年3月期)
会社 | 事業セグメント | 営業利益 |
---|---|---|
株式会社フジ・メディア・ホールディングス | メディア・コンテンツ事業 | 137.23億円(▲2億円) |
株式会社TBSホールディングス | メディア・コンテンツ事業 | 28.81億円(+5億円) |
日本テレビホールディングス株式会社 | メディア・コンテンツ事業 | 386.24億円(▲20億円) |
株式会社テレビ朝日ホールディングス | テレビ放送事業 | 110.59億円(+41億円) |
株式会社テレビ東京ホールディングス | ― | 52.28億円(+1.95%) |
(【出所】各社決算短信等より著者作成。なお、テレ東に関しては不動産事業等のセグメントが開示されていないため、全社の営業利益を表示している)
このあたり、「テレビはもうダメだ」、などと一律に決めつけるのではなく、冷静に分析していくことが大切であることは言うまでもありません。
テレビ業界は先細り?
もっとも、2021年3月期決算に関しては、「経費節減」などで何とか前期並みの利益を捻出したことは間違いないにせよ、地上波テレビの経営は今後、右肩下がりに悪化していくのではないか、との見方は、決して杞憂ではありません。
その証拠でしょうか、産経ニュースに昨日、こんな記事が掲載されていました。
仕事時間減、テレビ視聴初めて8割下回る NHK国民生活時間調査
―――2021.5.20 19:26付 産経ニュースより
産経によると、「NHK放送文化研究所」が昨年10月に実施した『国民生活時間調査』で、「1日に少しでもテレビを見る人の割合」が80%を割り込んだことが20日にわかったのだそうです。
ただし、NHK放送文化研究所の該当ページを閲覧しても、現時点でデータは公表されていないようですので、その調査内容についてはあくまでも産経ニュースの報道をベースに確認してみましょう。
産経は同調査について、「1960年から5年ごとに行っている」としつつ、「1日に少しでもテレビを見る人の割合」が「8割を下回るのは初めて」としているのですが、とりわけ興味深いのは、仕事時間の減少にもかかわらず、テレビ視聴時間の増大につながっていない、という事実でしょう。
産経が報じた調査結果によると、「仕事を持つ男女の仕事時間は男女ともに前回より減少した」のだそうですが、もしかするとコロナ禍の影響などもあったのでしょうか。記事には「在宅率が増えた」とも記載されています(※「在宅率」の具体的数値は記載されていません)。
若年層中心に、「テレビ視聴習慣」は徐々に消滅
そして、興味深いのが、「平日の1日に少しでもテレビを見る人の割合」が、前回の85%から今回は79%に減少した、という事実に加え、若年層のテレビ離れです。
「60代以上はほぼ変わらないが、16~19歳では71%から47%に激減し、20代でも約半数しか視聴していなかった」。
要するに、「平日の1日に少しでもテレビを見る」人が、若い人の半数を割り込んだことが、数字のうえからもハッキリと裏付けられた、ということでしょう。これに対してインターネットを利用する人の割合は全体で45%、16~19歳では80%にも達したのだそうです。
そのうえで産経ニュースは、「テレビを毎日見る習慣がなくなっているのではないか」という担当者のコメントを紹介しているのですが、このあたりの事情については、総務省の例年の調査結果(『インターネットに完敗する新聞、視聴者が高齢者に偏るテレビ』等参照)とも整合しています。
テレビ業界で現在、「広告主離れ、視聴者離れ、クリエイター離れ」という三重苦が静かに進行している、という点については、当ウェブサイトではこれまで何度か議論してきたとおりですが、意外と遠くない未来において、視聴者離れは一気に加速するかもしれません。
新聞業界の苦境:映画界には久々の大ヒット
こうしたなか、産業の斜陽化で先行する新聞社の場合、優良不動産物件からの賃料収入で経営に余裕がある朝日新聞社などの例外を除けば、多くの社はすでに青色吐息で、なかには資本金を1億円に減資して中小企業としての優遇措置を受けようとする社も出現しているほどです。
【参考】『毎日新聞「1億円への減資」と資本剰余金の「使い道」』(2021/01/21 07:00)
『なぜテレビ局は「日本のディズニー」を目指さないのか』でも報告しましたが、これらのテレビ局の決算を眺めていて、個人的に思ったのは、「なぜ彼らは経営に余裕があるうちに、現在の本業を生かした総合的なコンテンツビジネス産業を目指さないのか」、という点です。
【参考】『なぜテレビ局は「日本のディズニー」を目指さないのか』(2021/05/19 07:00)
多くの場合、民放の地上波テレビ局の売上高は広告収入が非常に大きな部分を占めていますが、たとえば映画の場合だと、コンテンツの上映自体で興行収入が得られます。
ちなみに「有限会社興行通信社」が運営する『CINEMAランキング通信』というウェブサイトによると、2021年5月16日時点において、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(東宝/アニプレックス配給)という作品の興行収入は、昨年10月16日の公開以来、399.7億円に達しているそうです。
そして、この『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の事例だと、海外でも大ヒットし、とくに米国では「ポケモン以来の快挙」との声もあるようです。
全米No.1となった劇場版『鬼滅の刃』米国での「リアルな評価」
―――2021/05/20付 マネー現代より
すべての映画がこのように大ヒットするというものではありませんが、まさにわが国には優れたクリエイターが多くの人を感動させるアニメやドラマ、マンガやゲームなどのコンテンツを生み出している実績があるわけですから、これらを総合的に展開していく事業者があっても良いのではないかと思うのです。
将来の展望が見えないテレビ局
もっとも、民放テレビ局の2021年3月期決算短信等を眺めていて思ったのですが、あまり将来の展望は見えて来ません。少なくとも民放テレビ各局(の親会社)は地上波テレビを本業にし続けるのでしょう。
このあたり、これから将来、いつまで当ウェブサイトを続けているのかどうかはわかりませんが、もし継続しているならば、いまから2~3年後、あるいは5~6年後、テレビ局の業界、業績などがどうなっていくのかについては興味深いと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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> 全米No.1となった劇場版『鬼滅の刃』米国での「リアルな評価」
> すべての映画がこのように・・・
で、思う事。
日本人はやたらと海外の、〇〇賞と言うものをありがたがる傾向にあると思うのですが、事、アニメに関して言えば、日本が世界で一番優れた作品を生み出しているように思います。
アカデミー賞を逃した、なんだと、日本のアニメを海外で評価されるよりも、むしろ世界中のアニメを日本が評価するようになればいいな、と思います。
アニメに関しては、日本の賞が世界一の権威の賞となるようにすれば、業界も少しは活発になるような気もします。
ちなみに、アニメ作品まで政治思想を持ち込んで、内容を改変させる、り地域には、アニメは輸出しないでもらいたいです。
自己レスすみません、ちょっと補足。
わざわざ日本のアニメを海外で評価してもらわずとも、肥えた日本人の目で見た、日本でヒットした映画は、基本的に「高評価」と言う評価でいいと思う。
数値が高すぎるように感じる。
テレビ『番組視聴』ではなく、テレビという『機械』を少しでも見るなら納得するが。
自分がリモコン操作した結果、テレビを見る人はどれだけいるのだろう…
若い世代でいるのだろうか
>16~19歳では71%から47%に激減し
5年毎の調査だったら、前回の調査時には、11〜14歳だった人たちですね♪
そのデータと比較できれば、元々テレビの視聴する習慣が無かったのか、それとも年齢が上がって視聴しなくなったのかが、わかるかもですね♪
ちょっと興味があるので、続報を期待なのです♪
鬼滅の刃は、アニプレックスと言うソニーミュージックの子会社がプロデュースしています。アニメ化、映画化、宣伝、アニメ会社、声優、スタッフ、配給などなど。
アニプレックスはアニメーションから派生する権利ビジネスの複合体という造語だそうですから” 総合的に展開していく事業者があっても良いのではないかと思うのです”に相応しいのではないでしょうか。
その他にもソーシャルゲームや音楽レーベル、ミュージカル、イベントなどなども手がけ海外展開もしています。
ふと夕方の民放のニュース番組を見てたのですが、人名間違いやテロップのミスが、1つの番組で複数みられました。
もともとテレビのレベルが低いとここの読者さまなら言いそうですが、私が言いたいのは、その低いレベルが更に最近急激に落ちているということです。
多分投入される広告費が激減してて、極限まで経費節減して利益をひねり出しているんでしょう。
テレビにかぎった話ではありません。新聞だって雑誌だって、腰を落ち着けてじっくり取材して記事を書くなんてもうあり得なくて、例のハッカー記者みたいな事案が頻繁するわけです。
大切なのは、もともとレベルが低かったという点ではなく、最近急激に劣化しているという認識です。
昔は、視聴者参加番組ってかなりあったように思います。最近はそういったものがほとんどなくなって、芸能人が単に会話するだけの番組だらけになっています。一般人をうまく扱って想定外の面白さを引き出すといった丁寧な番組作りが出来なくなっているのでしょう。
まあ、最終的には淘汰されるのですが、ただ、そこまでの悪あがきで我々が被害を受けることも多そうで、何らかの対策を考えなきゃいけませんね。
素人が素朴な質問をします。
若者はテレビ番組とネット動画の区別を、意識しているのでしょうか。
回答、よろしくお願いいたします。
我が家の3人の子供(中学・高校)は...区別と言うより、テレビの存在忘れています。
6人家族、各自が自分のパソコンを持っています。
・一番下の子は「元テレビだった居間の40型モニター」を使用しています。
・中学生二人は...動画はyoutube中心。
ゲームもする。ゲーム中にチャットしている。
・高校生は.....動画はniconico中心。動画を作って上げたりしている。
ゲームもする。ゲーム中にヘッドセットで会話している。
実は「元テレビだった居間の40型モニター」にはアンテナが繋がっているので、見たければ見ることが出来るのですが、誰も見ないです。ちっちゃい頃はみてましたけどね。
最後に見たのは先日の東北の地震の時に15分位。
第一報は子供たちのチャット先から「いま、ゆれている」でした。
正直なところ、「半数もの子供がテレビを見ている」ことに驚きました。
矢塚様。ありがとうございました。
つまり、子供たちにとって、テレビ=大型モニターということですね。
NHKの強硬な姿勢がさらにTV離れを加速させると思います。
先日の裁判で、NHKを映らなくしたTVでも「ブースターをつければ視聴できるから受信料を払え」という大変乱暴な判決が出ました。
この事は、今まで「ながらでTVで民放をかけていた視聴者層=あまりTVに執着がない」人たちが、TVを置くことをやめる行動の後押しをすると思われます。
アニメに偏ってしまいますが、放送権を握るテレビ局と原作所有する出版社の意識の違いは鳥嶋和彦氏と佐藤辰男氏の対談記事が興味深かったですよ。
新聞メディアで20日に報道したのは朝日と産経のみ その他大手は時事一社
yahooランキングには朝日のみランクイン
産経との違い
21日には調査データをNHK放送文化研究所のホームページ(https://www.nhk.or.jp/bunken/)で公開する予定。
>ただし、NHK放送文化研究所の該当ページを閲覧しても、現時点でデータは公表されていないようです
現在 サイト内のリンクから閲覧できます
漫画家の富永一朗さんがお亡くなりになりました。
「お笑い漫画道場」はよく観ていました。
あの頃は、テレビは面白かったですね。