政府、ビジネストラック等を当面停止=1月21日以降
菅義偉総理大臣は昨日、中国、韓国、ベトナム、シンガポールを対象にしたビジネストラックや、これらを含めた11ヵ国を対象にしたレジデンストラックについて、2月7日までいったん停止すると述べました。これを遅いと見るか、早いと見るかはさておき、本稿では菅総理の発言や外務省・法務省ウェブサイトの記載、そして空港での陽性者数の国籍についてのデータを紹介しておきましょう。
菅総理の発言の要旨
昨日の『【速報】菅義偉総理、「ビジネストラック」等を停止か』でも速報したとおり、菅義偉総理大臣は昨日の記者会見で、いわゆる「ビジネストラック」、「レジデンストラック」と呼ばれる入国の仕組みを一時停止すると発表しました。
新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見
―――2021/01/13付 首相官邸HPより
ここで、ビジネストラックの対象国は中国、韓国、ベトナム、シンガポールの4ヵ国であり、レジデンストラックの対象国はこの4ヵ国にタイ、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマー、台湾、ブルネイの7ヵ国を加えた11ヵ国です。
【参考】入国の仕組み(昨年12月26日時点)
(【出所】外務省HPより)
この仕組みが、どう変わるのでしょうか。
菅総理の発言の要旨を当ウェブサイトの文責でまとめると、次のとおりです。
- 先ほど開催した新型コロナ対策本部で緊急事態宣言の対象に栃木、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の7府県を追加することを決定した(期間は2月7日まで)
- 7府県では新規感染者数、病床の利用率など、いわゆる「ステージ4」に相当する指標が多く、大都市として人口が集中しており、全国に感染が広がる前に対策を講じる必要があるなどの要素に基づき、専門家の意見を踏まえて判断したもの
- 対策の内容は①飲食店の夜8時までの時間短縮、②テレワークによる出勤者数7割減、③夜8時以降の不要不急の外出の自粛、④スポーツ観戦・コンサートなどの入場制限の4点とする
- 医療体制の確保にも全力を挙げていく所存であり、ワクチンについてはできる限り2月下旬までには接種開始できるよう、各自治体において会場の設定などの準備に入っていただいており、国として接種の費用を全額負担し、全力で支援する
- 水際対策について、あらゆるリスクを予防的に取り除くために、ビジネストラック及びレジデンストラックについては、今後速やかに相手国との調整を完了し、緊急事態宣言が発令されている間、11ヵ国からの新規入国を一時的に停止する
緊急事態宣言は先週7日に1都3県に対して発令されたばかりですが、今度は2府5県に対しても追加発令され、あわせてビジネストラック、レジデンストラックについても停止される、とのことです。
菅総理自身は、これまでビジネストラック、レジデンストラックの対象11ヵ国からの入国者に変異株の感染が確認された事例はないとしていますが、英国からの帰国者によるクラスターでの変異株、ブラジルからの帰国者から新たな変異株などの発見事例があることなどを「大変重く受け止め」たとしています。
外務省・法務省ウェブサイトの情報更新
これを受けて、外務省のウェブサイトに掲載されている『新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について』のページも更新されています。
昨日の『青山繁晴参議院議員が政府にビジネス往来全面停止要請』では、現在のわが国の入国・帰国に関する仕組みは非常に複雑だ、と申し上げていたのですが、現時点では基本的にシンプルなものに戻りました。当ウェブサイトなりの文責で「外国人の入国」を要約すると、次のとおりです。
①上陸拒否
日本上陸前14日間に「上陸拒否対象国・地域」に滞在歴がある外国人は、当分の間、「特段の事情」がない限り上陸を拒否する
②検疫の強化
2021年1月14日以降、すべての国・地域から入国・帰国する場合、相手国の出国前72時間以内に実施したCOVID-19に関する「陰性」証明書の提出に加え、入国時の検査を実施する。あわせて自宅等で14日間待機するとともに、国内において公共交通機関を使用しないことが要請される
③すでに発給されたビザの効力停止
昨年3月から4月にかけて発動されたビザ効力停止措置に加え、1月21日午前0時以降、緊急事態宣言が解除されるまでの間、ビジネストラック、レジデンストラックなどに基づくビザの効力を停止する
④ビザ免除措置の停止
68ヵ国・地域を対象としたビザ免除措置についても、引き続き、その多くの国・地域において一時的に停止される
⑤航空機の到着空港の限定
中韓からの航空機便の到着空港を成田、関空に限定(ただし、昨年9月25日以降は各空港における入国時検査能力の確保等の状況を踏まえ、順次緩和を検討する)。また、中韓からの船舶による旅客運送を停止するよう要請する、など
⑥「特段の事情」による入国
法務省ウェブサイトの『新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る上陸拒否について』(※PDFファイル)の「2.特段の事情」などに列挙されているような事情がある場合には、外国人の上陸を許可することがある
また、法務省・出入国在留管理庁は昨日時点で、『新型コロナウイルス感染症の感染拡大に係る上陸拒否措置等及び国際的な人の往来の再開の状況(概要)(令和3年1月13日現在)』という資料を公表しています。
これによると、ビジネストラック、レジデンストラックについては「令和3年1月21日から緊急事態解除宣言が発せられるまでの間、効力を停止し入国不可」とあります。
入国禁止は必要ない?それとも遅すぎた?
さて、菅総理の発言にもあったとおり、政府の言い分は、「ビジネストラック、レジデンストラックを利用して入国した人に、変異株などは見つかっていない」、とするものです。
菅総理の昨日の発言は、「科学的には安心だが、国民の不安を取り除く必要があるからビジネストラックやレジデンストラックを停止する」というニュアンスだと思います(著者私見)。
ただ、昨日の『青山繁晴参議院議員が政府にビジネス往来全面停止要請』でも触れましたが、参議院議員の青山繁晴氏は「国民に厳しい制限をお願いしておきながら、ビジネスだけで入ってきているはずの、特に中国の方々で、観光している人が非常に多い」などと指摘しています。
とりわけ、厚生労働省が発表する『新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和3年1月13日版)』によれば、空港での陽性者数は3月と4月を除くと、一貫して日本人よりも外国人の方が多いことが示されています(図表)。
図表 空港陽性者数と国籍
空港陽性者数 | 日本人 | 外国人 |
---|---|---|
3月…66名 | 60名(90.9%) | 6名(9.1%) |
4月…80名 | 68名(85.0%) | 12名(15.0%) |
5月…45名 | 19名(42.2%) | 26名(57.8%) |
6月…124名 | 31名(25.0%) | 93名(75.0%) |
7月…277名 | 58名(20.9%) | 219名(79.1%) |
8月…197名 | 77名(39.1%) | 120名(60.9%) |
9月…173名 | 69名(39.9%) | 104名(60.1%) |
10月…217名 | 75名(34.6%) | 142名(65.4%) |
11月…353名 | 128名(36.3%) | 225名(63.7%) |
12月…359名 | 169名(47.1%) | 190名(52.9%) |
(【出所】厚生労働省『新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和3年1月13日版)』より著者作成)
空港陽性者数に占める外国人の割合は、11月に63.7%、12月に52.9%と低下していますが、それと同時に11月以降、中国、韓国など11ヵ国からの入国者に対しては、入国時のPCR検査などが免除されているという点を踏まえる必要はあるでしょう。
個人的には、現実に日本国内で発表される新規陽性者数が急増したのとビジネストラック開始は無関係なのかといわれると疑問ですし、また、中国当局が「わが国の新規感染者はゼロ」などと発表しているのを鵜呑みに信じるというのにも、非常に強い抵抗感があります。
もちろん、感染症対策の一環として外国人の入国に厳しい制限を課せば、その分、経済にも悪影響が生じることは間違いありません。しかし、「国民に負担を強いておきながら、ビジネストラック、レジデンストラックを継続する」というのは、やはり対応としてはちぐはぐに見えてなりません。
いずれにせよ、いったんビジネストラックとレジデンストラックを停止して様子を見ましょう、という考え方については、当ウェブサイトとしては賛成したいと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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更新ありがとうございます。
少し行動が遅いですが、それがそしたら、いつ迄なら良かったのか、正解は無いと思う。11月以後、日本が第3波に見舞われる直前に、入国時のPCR検査などが免除されているという点を踏まえると、中韓あの2カ国は極めてグレーです。
別の話ですが、韓国の原子力発電所は、トリチウムを基準を遥かに越すダダ漏れでしたから、コロナウイルスも韓国は年末〜年明けに爆発的に増えてるので、シャットアウトのタイミングとしては理由も明白で良かったと思います。
この問題はすごく難しいように感じます。
感染対策という観点からは間違いなく正しいと言えますが、果たして悪影響がどういった形で出てくるか…
ビジネストラック停止に賛成していたのが厚生労働省、反対してたのが農林水産省と経済産業省と聞きます。どちらも省益もさることながら、末端からの要請を受けての事でしょう。1次・2次産業に多大な影響が出ることが予想され、物価とか物流、企業の収益力とかで目に見えて結果が出てしまいそうな気がします。
悪く言えば、国民の声に押されたことです。結果は国民が受けねばならないでしょう。自分の杞憂であればいいのですが。
なぜ直ちに実施せず21日まで待つのか、
なぜ春節(2月12日~17日)には解除してしまうのか、
色々と疑問があります。
政権内で国益と売国の葛藤があるのでしょう。
ガースー、ある種ぴよぴよ状態にも見えます。
ここで上手く(←どうやって?)働き掛ければ(←誰が?)、消費税凍結罪務省解体害務省大変革くらいの大ナタ振るってくれそう…という白昼夢をみた…ような気が…しないようなしなかったような…
外国人の入国は医療リソースが逼迫していると言っている時ですから、禁止すべきと思います。入ってきた外国人が感染していた場合、倉庫のようなところで隔離とワクチン以外の薬だけあげるというをする覚悟があるなら別ですが。
韓国に仕事が有り、ビジネストラックを利用して渡航する予定でした。しかし、今回の措置で、渡航は断念せざるを得ません。
ビジネストラックによる渡航の状況をレポートしようと考えていた小生の企みも消えてしまいました。
11月から手続きを開始し、ビザ発給までは漕ぎ着けたのですが、日韓のCovid−19の状況を観察している間に渡航ができなくなりました。
渡航が再開される頃には恐らく「ワクチン接種証明書」の提出が義務付けられると思います。日本もワクチン接種の時期が明確でなく、韓国に至っては入手時期すら不明です。そうなると、両国間の渡航はほぼ不可能になります。特に韓国はワクチンの入手で後手を踏んでいるため、日本以外の他国への渡航は困難な状況が予想されます。そうなれば、韓国の産業にも大きな影響を与えることになります。
久々に韓国の状況をこの目で見られると思ったのですが、残念です。
駄文にて失礼します。
元韓国在住日本人 さま
お久しぶりです。
>「ワクチン接種証明書」の提出が義務付けられると思います。
非感染証明書とワクチン接種証明書が、必要になるんだと思います。
日本国内の状況を見れば、適切な対応だと思います。
ブログ主様>これを遅いと見るか、早いと見るかはさておき、
ビジネス絡みなので規制開始が規制発表の翌日ではなく1週間の猶予を加えた21日からというのは理解出来ない訳ではありませんが、それにしても菅首相は重要な事柄に対する決断が遅い。
そしてそれ以上に問題なのはビジネストラックやレジデンストラックに対する規制解除を2月7日にしている点です。これでは共産チャイナの春節の開始前になってしまい、日本国内のチャイニーズ業者が発行するデタラメな証明書を使ってのビジネス客を装った観光客の大量来日は排除できない。
新たな変異株を日本に持ち込まれるリスクを低減する目的で来日外国人をシャットアウトするのであれば、今年は2月11~17日にある共産チャイナの春節が終わるまでシャットアウトを継続すべきなのは明らかです。春節の開始前に共産チャイナへの入国を緩めるのは全くの「頭隠して尻隠さず」であって、我々国民に対して「国民の皆さんが心配している外国人入国への規制はちゃんとしますよ」という単なるアリバイ作りに過ぎずその効果は甚だ疑わしいと言わざるを得ない。
(今年の春節の日程は人民網日本語版による: http://j.people.com.cn/n3/2020/1126/c94475-9791126.html)
今回の規制の遅さも解除の早さも、要するに菅首相は自分を首相にしてくれた二階幹事長の意向(つまり旅行業界関係の利権)に逆らえないということなのでしょうが、いい加減に「自分は70をとっくに過ぎた歳だし今回の首相就任が最後のご奉公だから二階さんが俺の首を飛ばしたいなら飛ばしてもらって構いませんよ」ぐらいに割り切って二階幹事長の顔色なんて窺わずにやるべき事をやって国民に良い印象を残すことに専念すれば良いのですがね。
まあそれが出来ないというのが菅さんは自分で決断を下す立場である将の器ではないということなのでしょう。安倍政権の菅さんを見ると番頭としての能力には長けていたと思いますが、この人はトップの器でないなあとつくづく感じますね。(今回の外国人来日に対する決断の遅さだけでなく)
記者会見でも官房長官時代の冷静で安定したプレゼンとその後の質疑応答の姿が消え失せて、プレゼンでは官僚の用意したペーパーに頼り切り、そのペーパーの誤読や質問に対するピントの外れた答えなどが増えている理由は、菅さん自身が自分の身の丈には合っていない将の立場に就いてしまったのが原因という部分は大きいと思いますね。
この人は首相などならずに官房長官を務め続けていたほうが当人にとっても国民にとっても幸せだったのでしょう。官房長官としてならば現在の加藤さんよりも遥かに有能でしたから。
昨春の安倍総理が全く同じ叩かれ方をしていましたね。金payコクヒンの邪推がない分ガースーたんのがまだ多少は楽かw
私もこの問題には正解などないと考えています。
動きが早いのか遅いのかも、表に出ている情報だけでは判断のつけようもない。
特亜即時排除論者は、ルービックキューブが一面揃えば満足するタイプなのでしょう(若さあふれる比喩表現)。
ガースーたんがやってるパズルは何百面あるかわからんですけど。
とはいえ、ガースーたんからお疲れと若干の怯みを感じなくもないです。
長年間近で総理のプレッシャーを見てきた方でも、実際に自分が受けてみるとそりゃあしんどいでしょうな。
まさに内憂外患、凶悪な国難と激変する世界情勢に対処する一方、キチパヨ議員だのマスゴミだのには日々SAN値を削られ、挙げ句一部ウヨさんまで「2Fソンタクガー」とかマスゴミの走狗を開業してんの、ガースーたんが自宅のベッドで「■ね!■ね!」って叫んでてもワイは驚かない。
でも頑張ってもらうしかないので!
せめてあんまり足引っ張らないようにしよっと……。