NHKは、民放を道連れに放送業界を破壊しているのか
NHKがテレビ設置届け出義務や氏名照会制度の創設を希望していたとする話題は『NHK「テレビ設置届け出義務化要望」は本末転倒』でも触れたとおりですが、これに民放連の会長が噛み付いていたようです。NHKの強引な受信料制度改革で視聴者離れが進むと、民放を道連れにテレビ業界を破壊しかねない、という指摘ですね。
NHKを巡る5つの疑問
以前からしばしば言及しているとおり、当ウェブサイトとしては、NHKを巡っては次のような論点を含め、さまざまな問題があると考えています。
- ①現代の日本社会に公共放送というものは必要なのか
- ②公共放送を担う組織として、NHKは適切なのか
- ③そもそも受信料制度自体が妥当なのか
- ④NHKの現在の受信料水準は妥当なのか
- ⑤1兆円超の金融資産などはNHKの経営に必要なのか
そもそも現代の日本社会では、テレビの送信設備、受信設備は全国津々浦々に行きわたっていますし、情報を入手する手段は地上波テレビに限られません。衛星放送、新聞だけでなく、PC、タブレット、スマホなどのデバイスを使い、インターネット環境にアクセスすることも容易になってきています。
さらに、インターネット上の動画配信サイトに関してはYouTubeなどの無料動画サイトだけでなく、NetflixやAmazonプライム、YouTubeプレミアムなどの有料サービスも存在していますし、条件にもよりますが、安いものだと月額数百円も払えば視聴し放題、という事例もあります。
こうしたなか、テレビを設置したというだけの理由で、極端な話、見てもいないのに受信料を支払わなければならないという仕組みが、本当に公平で合理的なものといえるのかについては、正直、甚だ疑問です。
しかも、NHKはかき集めた受信料を使い、職員1人あたり少なくとも1550万円を超える人件費を負担したり、巨額の剰余金を発生させたりしていますし、目に見えて確認できるだけでも1.1兆円を超える金融資産を抱え込んでいます(※年金資産を含む)。
(※ちなみに財務省あたりが「将来のために消費税を増税しなければならない」と言い張るのであれば、まずは国全体として、余計なことに使っている資産があれば、それを売却して財源を捻出する方が先ですが、NHKを解体して職員を解雇すれば、下手すると数兆円の財源が国庫に入るかもしれませんね。)
民放連「NHKがテレビ文化を破壊する」
ただ、NHKを管轄する総務省は、NHKを巡って、「合理化」とは完全に逆行する動きを見せていることもたしかです。その一例が、『NHK「受信料逃れへの割増金」構想は「だまし討ち」』でも説明した、「割増金」構想でしょう。
以前の『NHK「テレビ設置届け出義務化要望」は本末転倒』でも触れたとおり、もともとNHKは「テレビを設置した場合の届け出の義務化」、「NHKへの未契約者の氏名を照会できる制度の導入」などを含めた制度改正を要望していました。
この「届け出義務」、「氏名照会」は、「割増金構想」を押し付けるためのだまし討ちのようなものでしょう。
ただ、非常にみもふたもない言い方ですが、社会正義にも経済合理性にも反する無理なことを続ければ、仕組み自体が壊れてしまいます。
普段、地上波の民放局に対して、当ウェブサイトとしては冷ややかな視線を送っている側だと認識しているのですが、ごくたまには「あぁ、なるほど」と思える情報が出て来ることもあります。その一例が、時事通信に先週掲載された次の記事です。
民放連会長「放送文化壊れる」 NHKへのテレビ届け出義務化で
―――2020年11月19日19時17分付 時事通信より
これは、民放連の大久保好男会長(日本テレビ放送網会長)が19日の定例記者会見で、テレビ設置の届け出の義務化を巡って、「テレビを買わない人が増えて放送文化全体が壊れかねない」と述べたのだとか。
この視点は、なかなか面白いと思います。
正直、テレビ産業といえば、NHKも民放も電波利権や記者クラブ制度などに乗っかる「究極の既得権益」の代表格ですが、そのテレビ産業内でも、いちおうは広告料収入に依存しなければならない民放と、法律で年間7000億円の売上が保証されているNHKだと、立場が大きく異なっているのでしょう。
放送業界全体が腐敗し切っている
ただ、「NHKが現在のままであれば、テレビ視聴人口自体が激減する」というのが民放連の立場なのだとすれば、この発言だけでは弱いと言わざるを得ません。「テレビを設置したら事実上、一律で受信料を支払わなければならない」という受信料制度そのものに、もっと踏み込むべきでしょう。
というよりも、テレビ業界が「テレビの視聴者数が大きく減少する」という危機感を抱いているのであれば、それをNHKだけに責任するのもおかしな話でしょう。
総務省のウェブサイトに、民放連が2020年3月4日付で作成した、『災害時における放送の確保について』と称するPDFファイルが掲載されていますが、そのなかに、大いに違和感を覚える記述があるのです(同P3)。
- 災害現場に駆けつけて取材し、音声と映像で的確な情報を迅速に届け、地域住民の生命と財産を守ることが、地上基幹放送事業者の使命です。
- 災害時に放送を確保するためには「取材」と「放送」の継続が必要です。
以前の『雲仙普賢岳の過熱報道で「市民殺した」と悔やむ元記者』でも紹介したとおり、1991年6月3日、雲仙普賢岳の噴火による火砕流で多くの犠牲者が出たという事件は、テレビ局や新聞社の人間が災害報道で一般市民を巻き込んだという意味では、れっきとした人災でしょう。
それなのに、この資料を読むと、あれから30年近くが経過しているにもかかわらず、放送業界は何も学んでいないと言わざるを得ないのです。あるいは腐敗し切っている、といった方が正確でしょうか。
やはり、NHKに限らず、放送業界には電波オークション制度の実施などを含め、自由経済競争の徹底など、抜本的なメスが入った方が良いのかもしれません。
その意味では、NHKと総務省が受信料を巡る強引な制度改革をゴリ押しすることで、結果として視聴者のテレビ離れとテレビ業界の崩壊を招いているのだとしたら、それはそれで自業自得という気がしてならないのです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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NHK放送技術研究所のかたの発言を耳にしたことがあります。トンでもに自分には聞こえました。時機は2018年のいつ頃かでした。ところはひよしの大学でした。ある最新プロセッサ技術のカンファレンス会場です。
技研のかたはどういったか。この有望な技術を活用してぜひTVを作ってください。
電機産業界がTVに興味を失って久しいけど、相手してもらえなくなったので、場違いにもここで発言しているのか。TVはつまらない商品なので聞く耳持つ技術者・経営者なんか今はもういない。昔はどうだったか知らないけど、分かってないな、放送技研。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(なにしろ、NHKと違って自分は間違う存在であると自覚しているので)
NHKやマスコミ業界だけではありませんが、周囲から同調圧力を受けるのは、日本社会からだけでなく、会社から、または業界からもあります。しかし、人は他人が同調圧力を受けているのは分かりますが、自分が同調圧力を受けているのは気が付かないふりをするものです。そのため、NHKの人間は、「NHKの主張がおかしいかもしれない」との疑問すら抱かないようにするのかもしれません。
蛇足ですが、人は自分が信じたくないものは、理解できない生き物なのかもしれません。
駄文にて失礼しました。
更新ありがとうございます。
NHKは「テレビを設置した場合の届け出の義務化」、「未契約者の氏名を照会制度」にして、そして奥の手「割増金構想」を出して来ました。
もし、このまま総務省、NHKが突き進んで行ったら(100%無いですが)、この機会にテレビ契約を止める人は続出するでしょうが、送り手として先にヘタレるのは民放です。今でさえ赤字スレスレライン、視聴者が減ったらスポンサーが撤退しますし、安上がりの番組ばかりになります。というか番組が作れない。
ところがNHKにはターップリの内部留保と、各地方の一等地があります。そら、民放は怒るでしょうし、怒るだけじゃなくて、NHKの存在について、議論をすべき(でも今まで無策というのも民放は情けない)。
「何故、NHKは公共放送なんだ、どこが違うのだ、視聴者から何故一方的に受信料取れるんだ、65年も70年前のテレビが無いのが当たり前の時代と全く今は違う」という事を是非攻めて欲しい。もっと潰し合いをヤレ〜!(笑)。私は総倒れでも構わんし、天気予報と公平なニュースだけを公共放送はやってくれたらいい。
民放連は民放連でズレていますね
特権階級の間での縄張り争いなんてどうでもいいんですよ、非特権階級からすれば
N国党「NHKをぶっ壊す!」
NHK「NHKがぶっ壊す!」
「設置届け出義務化」はNHKのマイクパフォーマンスで民放連とレフェリー総務省込みのプロレスなんだろうなあと
割増請求案みて思いま
NHKは、コロナ禍で困っている体の不自由な子供たちが体操のお兄さんと一緒に出来る体操を考案したり、農家を応援したり、BBCの素敵なドキュメンタリーを放送したり、そこは私は好きなのですが、ニュースはいただけない。どこの国の国営放送だよ!と思います。部門を分けるのは出来ないのでしょうか?世界はすごい(自然大好き)、日本すごい(頑張れニッポン!)、その他。視聴者の層が違うと思います。
ぷー様
全てを今のNHKでやる必要はないと思います。
NHKの組織を分離して、「政府委託放送局」をつくり、無料放送するべきです。
健康長寿関連番組、体操番組など → 厚生労働省が予算を出し制作する
教育番組、ドキュメンタリー番組など → 文科省が予算を出し制作
防災などの番組 → 総務省が予算を出し制作する
テレビ放送だけでなく、ネット無料配信すれば、国民は、いつの時間帯でも
過去に放送された有益なコンテンツをいくらでも無料で楽しめることが
できます。
むしろ、ほとんどの人は、テレビ放送ではなく、ネット配信で視聴すること
でしょう。
テレビ離れは、ますまか加速し、テレビを持たない家庭が多くなると思います。
時代遅れのテレビに固執するNHKがおかしいのです。
匿名希望の平民さま
>NHKの組織を分離して政府委託放送局をつくり無料放送するべき
これはすばらしい着想と思います。
当方は英国放送協会ことBBCをかなり信用しています。というか、してきました。NHKがベンチマーク(到達目標)にしているのはBBCでしょう。間違いなく。
ですが近年BBCの実力は低下しています。地球の裏側から、ニュース報道だけに注目しての判断ですが。二軍級記者が記事を書いているのではと思えるほどです。現政権と乖離していることが原因。現職英国首相はBBCを嫌っているのです。理由は? 現職合衆国大統領がメディアを嫌悪しているのと同じです。
「NHK処分」はこれから大いに巷間を騒がせることになるでしょう。放送技術研究所を非難する発言を当方は昨日しました。放送技研は任務を完了した。もう必要じゃなくなっているとすれば、その組織に国民はどう審判を下すべきでしょうか。
コメント失礼します。
アワ♪アワ♪ インターネッツ キラー ザ フェイクメディア♪
https://www.nicovideo.jp/watch/sm5744609
日本国民の多数派の利益を損なう電波屋は無用かと。
業務用無線とかも使い易い帯域を使ってるそうだから、電波オークションで携帯会社が買い取って運用して欲しいです。
金を払うのは投票と同じで、支持の表明と責任の付与だと思ってます。ちゃんと仕事しなくても金貰える仕組みはどんどん減らさないといけませんね。
電磁波を浴びながら見ているテレビ。誰も気が付きませんが、テレビからは結構、電磁波が出ています。これが癌の元にもなります。こんなにまでして、嘘をつき放題のテレビを見る必要が本当にあるのでしょうか?
正月早々からもバカ番組満載で、価値あるものは夜中が多い。
色彩が狂っている・花の生け方もグチャグチャ・節度もなく言葉も下品で汚い。
どこか人間本来の感性ではない、最近のテレビ。NHKがいらないと答えた日本人は。確か90%でしたね。普通の人類はそれが本音ですよ。普通の人類は。
個人的にはTVを見ない方だと思っています。メインはニュースです。後は人が見ているから見る程度です。最近チューナレステレビが出現して、今後が楽しみです。私の場合、TVを余り見なくなって50年位になります。記憶に残る古い報道は、浅間山荘事件です。2011年の東日本大震災はラジオを聞いていました。1995年の阪神淡路大震災は、朝7時のラジオのニュースで聞きました。911のテロ事件の時はなぜかテレビで見ていました。災害などの報道はテレビが便利ですが、それ以外は、余りテレビに魅力がありません。テレビ放送が出現してかなりの時間が経過してきましたが、時間と共に、放送内容に魅力が無くなってきているように思われます。災害の報道も、同じ事を何回も放送するようなら、くどいので、インターネットニュースの方が良さそうです。映画を毎日見ていたら面白いかどうかは疑問です。