「円暴落詐欺」で大金被害…共犯者は官僚とメディアか
虚報続けるテレビ局、処罰しない総務省、ウソ垂れ流す財務省―――。国家機関やメディアが「日本は財政破綻するかもしれない」というウソを堂々と垂れ流すのは、やはり大きな問題です。とある高齢女性がハイパーインフレ詐欺に騙され2000万円もの資産を失ったとする話題を見ていると、そもそも詐欺師に利用されやすい与太話を、省庁やメディアが垂れ流すこと自体、彼らが詐欺師の共犯者のようなものだという言い方すらできるかもしれません。
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高齢女性「テレビがウソをつくわけないでしょう」
人間、加齢とともに判断力が衰えるとされていますし、また、「自分は絶対に騙されないぞ」と思っていても、判断力が衰えることで容易に騙されることもあるようです。
著者自身の知り合いのなかにも、「自分はしっかりしている」、「自分は金融詐欺などには絶対に騙されないぞ!」、などと自覚している人がいたのですが、やはり晩年は妙な詐欺的商品に引っかかったり、高価な商品(着物など)をしこたま買い込んだりしていたのを思い出します。
いや、むしろ、「自分はまだ判断力がしっかりしている」と自覚している人の方が、厄介かもしれません。
自分の判断に絶対の自信があるからです。
社会全体が高齢化して来ると、言葉巧みに高齢者らを信頼させ、資産を掠(かす)め取ろうとする輩(やから)がのさばることも懸念されますが、ウェブ評論サイト『ゴールドオンライン』が3月31日付で配信したこんな記事を読むと、やはり不安になるのではないでしょうか。
テレビがウソをつくわけないでしょう…“年金月18万円”75歳母の「老後資金2,000万円」が失われた理由に、52歳長男が絶句【FPの助言】
―――2025/03/31 10:32付 Yahoo!ニュースより【THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)配信】
詐欺の手法自体はありふれたものだが…
記事を執筆したのはFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏で、記事タイトルからも想像がつくかもしれませんが、内容としてはよくある投資詐欺に高齢のお母さまが引っかかった、というもので、『ゴールドオンライン』が報じた詐欺の手法自体には、とりたてて目新しいものはありません。
75歳で夫と死別した女性がテレビ番組で「日本の財政破綻の可能性とハイパーインフレ」というテーマで、「昔からよく見かけるコメンテーターが解説している」のを目にして不安になり、海外の資産運用セミナーに参加して老後資金を預けてしまい、運用会社がドロンした、というものです。
詳細は記事を直接読んでいただきたいのですが、ただ、ここで特筆すべきは、投資詐欺に対し著者である小川氏が述べている助言内容が、きわめて常識的かつ冷静で、非常に的を射ているのです。気になる部分を抜粋要約すると、こんな具合です。
- 詐欺に遭った原因は、日本の財政破綻と日本円の暴落、ハイパーインフレと呼ばれる状態を過度に不安に思い、正体不明の金融商品に手を出してしまったことにある
- たしかに日本の毎年の税収と政府支出のバランスは赤字であるが、過去40年以上もの経常収支黒字国であり、対外純資産高は世界最大であること、国債の保有者の内訳など、そのほかの要素を総合的に考慮すると、少なくとも財政危機などと呼べる状況ではない
- 国債残高のみをクローズアップし、あたかも日本の財政が危機的状況であるかのように誤解してしまうような報道はオールドメディアを中心に行われ、そういった不安に付け込んで海外の金融商品を販売する流れが以前より存在している
…。
日本の財政破綻リスクはほとんど皆無
というよりも、小川氏という方が淡々としつつも、ここまでハッキリと冷静に、日本の財政破綻リスクがほとんどあり得ないことをわかりやすく指摘してくださっていることについては、感謝するしかありません。
じつはこれ、当ウェブサイトでも資金循環統計や国際収支統計などの具体的な数値をもとに、何年も前から、「日本は世界で最も財政破綻リスクが低い国のひとつである」、と唱え続けてきたことと、基本的にはまったく同じ内容です。
ちなみにアルゼンチンやギリシャ、ロシアの例に見るまでもなく、国債であってもデフォルトしたり、それに近い状態に陥ったりすることはあり得ます。しかし、それと同時にこれらの事例はいずれも外貨建てで国債が発行されているというものであることを忘れてはなりません。
そして、戦争直後などの特殊な事例を除けば、基本的に自国通貨建ての国債がデフォルトすることはほとんどありません。デフォルトしそうになれば、その国の法律の許す範囲で中央銀行が国債の直接引受を行ったり、政府が紙幣を発行したりして、デフォルトを回避することができるからです。
この点、日本国債は全額、日本円という自国通貨建てで発行されているため、この条件に当てはまります。
実際、財政法第5条では日銀による国債等の直接引受は禁じられていますが、「特別の事由がある場合」に「国会の議決を経た範囲内」で、日銀による国債の直接引受ないしは政府の日銀からの直接借入が認められているのです。
財政法第5条
すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。
最後の手段である日銀借入の前の段階でも国債は心配ない
もちろん、この日銀借入は、いわば本当に困ったときの「最後の手段」です。財源の裏付けなしに政府が国債を乱発し、引き受けてくれる投資家もいなくなれば、いずれ日本をハイパーインフレが襲い、通貨価値が暴落することだってあるからです。
しかし、現在の日本は国債を「発行しすぎている」とはとうてい言い難い状況です。
たとえばここ数営業日、日本国債市場では利回りの上昇(=債券価格の下落)が続いていて、3月31日の引け値は1.493%であり、また、マーケット関係者の間では長期国債(10年債)利回りが2%を目指すとの見方も出ているそうです。
日本国債が世界最大の損失を記録、日銀の金融政策正常化で金利上昇
―――2025年3月31日 8:35 JST付 Bloombergより
しかし、「10年で2%」というのは諸外国と比べても極めて低い水準であり(たとえば直近のメディア報道などによると、米国債10年利回りは4.188%、独国債10年物利回りは2.728%、英国債10年利回りは4.50%)、これで「金利が上昇している」なんていわれても、困惑する限りです。
ただ、日本の通貨・円は国際的にも広く通用する「ハード・カレンシー」であり、その通貨で発行されている日本国債は、外国人投資家から見て極めて投資しやすいアセットクラスでもあります。
日本国債の利回りが上昇すれば、(ちょうど現在の米国債や英国債がそうであるように)外国人の資金が旺盛に円資金に集まり、日本国債を買い支えることとなるため、基本的には日銀直接引受に依存する必要性は極めて少ないと考えて良いでしょう。
しかも、『最新版資金循環で見る「国債発行残高が足りない日本」』などを含め、当ウェブサイトではこれまでずいぶんと説明してきた通り、現在の日本は資金循環構造に照らし、数百兆円レベルで資金剰余を生じている状況です。
残念ながら、外国人投資家が日本国債に群がる前に、日本の機関投資家が日本国債を買い占めてしまうため、金利が数パーセントレベルで急騰するという状況にありません(※ちなみにこれこそが、10年債利回りが四半世紀、2%を超えていない理由でしょう)。
オールドメディアの報道を鵜呑みに信じるのは危険
ただ、それよりもっと深刻な話があるとしたら、むしろオールドメディアの報道姿勢でしょう。これらの報道をうのみに信じるのは、大変危険です。
実際、先ほどのゴールドオンラインの記事によると、くだんの騙された高齢女性が海外投資に資金を投じるきっかけとなったのが、こんな報道だったとしています。
「日本の借金は1000兆円を超え、政府は年々赤字を増やしている。日本円の価値が大暴落し、紙くずになってしまう……」。
この「円の紙屑化」論は、一部の新聞、テレビが昔からまことしやかに垂れ流してきた虚偽の主張で、実際問題、1ドル=500円、1000円といったレベルの円の価値暴落は発生していません(ここ数年の円安もせいぜい1ドル=160円程度が限度でしょう)。
しかし、普段からインターネットに接しておらず、オールドメディアが垂れ流す情報を「テレビ(や新聞)がウソをつくわけないでしょう」、などと鵜呑みに信じる人たち(※多くの場合は高齢者だと思われます)からすれば、やはり将来の不安に拍車をかけるものでもあります。
令和6年版高齢社会白書によると、2023年10月1日時点において、65歳以上の人口は3623万人と、わが国の総人口(1億2435万人)に占める割合が29.1%に達したそうです。
また、図表1、図表2に示すとおり、近年では若年層を中心にテレビ視聴時間が激減しているのですが、60代以上に限ってみると平日のテレビ視聴時間数はこの10年あまりでほとんど変わっていません(※新聞購読時間については激減しているのですが…)。
図表1 年代別メディア利用時間(平日、2013年)
図表2 年代別メディア利用時間(平日、2023年)
(【出所】いずれも総務省『情報通信白書』)
その意味では、じつは社会の高齢化はこうした詐欺のリスクを極めて深刻化させる可能性があるものです。
虚報続けるテレビ局、処罰しない総務省、ウソ垂れ流す財務省
そして、こうした状況も結局、テレビ局に対し公正中立な報道を義務付けている放送法をテレビ局がまったく守っていないという実態、あるいは放送局(民放、NHK)が明らかに放送法に違反したコンテンツを垂れ流していてもまったく行政上の措置を講じない総務省の不法行為がもたらした複合的な問題の表れです。
ただ、さすがに財務省が長年垂れ流してきた「日本は財政危機だ」だの、「日本の借金の状況は深刻だ」だのといった虚偽情報は、看過し得ないところに来たと断じざるを得ません。
まずは、財務省ウェブサイトの『これからの日本のために財政を考える』という虚偽の情報を満載したウェブページを閉鎖するとともに、このページの作成を命じた担当者に対し、懲戒免職を含めた厳重処分を下すなど、適切な措置を講じるべきではないでしょうか。
『これからの日本のために財政を考える』
(【出所】財務省)
まさに、財務省、総務省、テレビ局といった者たちが、「財政破綻詐欺」の共犯者のようなものでもあるからです。
もちろん、詐欺師は人の不安心理につけこみ、利用できるものは何でも利用します。
だから、このウェブページを廃止したうえで財務省を解体するなどしたとしても、この手の詐欺がなくなることはありません。
ただ、政府官庁が積極的に虚偽の情報を垂れ流している状況は、極めて大きな問題であり、言語道断です。
『ゴールドオンライン』の記事にもあった通り、「国債残高のみをクローズアップし、あたかも日本の財政が危機的状況であるかのように誤解してしまうような報道」は「オールドメディアを中心に行われ」ているのですが、これも結局は官僚とオールドメディアが癒着しているからこそ生じる現象でもあります。
その意味では、高齢となり判断力が衰えてしまった人たちの財産をつけ狙うかのごとき悪質な虚偽報道については、やはりきちんと取り締まるか、それができないならば、反省しないオールドメディアが廃業せざるを得ない程度には、スポンサー企業が良識を持つべきでしょう。
余談:フジ報告書が公表
そういえば余談ですが、例のフジテレビ問題については、フジ・メディア・ホールディングスが31日、第三者委員会から調査報告書を受領し、これを公表しているようです。
ただ、ざっと読んだ感覚ですが、アンケート調査によれば、類似事案もわりとあったようですし、中には女性アナウンサーが番組の懇親会などに参加を強要されたり、何らかのセクハラを受けたり、あるいはパワハラまがいの行為も横行していた可能性があります。
そして、前時代的で野蛮で反社会的なのは、もしかして、テレビ業界全体の問題ではないでしょうか。
かかる観点からは、フジテレビにCM出稿を差し控えてきたスポンサー企業が、この第三者委員会報告書の提出をもって直ちに同社グループへのCM出稿を再開できるかは微妙ですし、むしろフジ問題がテレビ業界崩壊の号砲を告げる事件となる可能性すらあります。
その意味では、テレビ業界の動向には、引き続き、注目に値するといえるかもしれません。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
![]() | 日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
毎度、ばかばかしいお話を。
ある高齢女性:「テレビが嘘をつくはずないでしょう。嘘をついていたら総務省が処罰しないわけないでしょう。財務省が嘘を垂れ流すはずないでしょう」
テレビ局&総務省&財務省:「今日は4月1日です」
そのうち、「AIが嘘をつくはずないでしょう」になるのでしょうか。
上手い
AI=April 1なんてね。
確かに、AIは毎日ウソついてます。
A◯◯◯I?
『コンピューターだから間違えるわけがない』から変わっていないような…
前提が間違ったことを学習したら、アウトプットの内容も当然おかしくなるでしょう。
だまされた75歳のおばあさん。
典型的な詐欺師のカモだね。
この詐欺と財務省、テレビを結びつけるのはちょっと牽強付会かな。
こういう人は何にでも騙される。
こういう人が無一文になっても最低限の社会保障は貰えるよう、厚生年金保険料の半分は会社負担(実質は自己負担だけど)、残り半分も掏られる前に給料天引きしてあげる日本政府の親心。
自分もボケたらこうなるのかと思うと不安だわ。個人の経験だが、真面目で善良、立派な人ほどボケてる。その落差が見ていて辛い・・・ん?なら立派じゃない俺はボケないかもな。
バブル崩壊後からマスゴミは盛んに財政破綻論を唱えてきました。それを信じた国民が増税は仕方がないと思い、さらに自民党なら何とか財政を立て直してくれると信じているのが、今の高齢者です。
その集団心理を利用しているのが財務省であり、実行しているのがマスゴミです。そして無能な自民の議員が洗脳されて増税=正義としているのです
日本が財政破綻すると危機感をあおりつつ、個人国債は元本保証で安全だから買いませんか?とCMをやっているのだから、せめてどっちかはっきりしろと言いたいですね。
私は日本国が今日このような状況に陥っているのは、財政法第四条の規定にあるように考えております。
「第四条 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。 但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」
この条文を盾に取って財政規律ガァ-!プライマリイーバランスガァ-!と叫んでいるのが財務省とその手先になっている政治家やオールドメディアだからです。
財政法第四条で検索したら、こんな動画を見つけました。戦後の日本を弱体化させる目的で作られた法律や昭和25の特例公債法が、現在まで日本を縛っているという構図であります。
よろしかったらご覧あれ。
https://www.youtube.com/watch?v=0PyTm1yD-Qo&t=30s