リモートワーク時代でも都心部の不動産価格は値上がり
リモートワーク推進の理由がコロナ対策から従業員のワークライフバランス向上に移りつつあるなかではありますが、一部企業はリモートワークの禁止・廃止などに動いているようです。こうしたなかで目にしたのが、「コロナ禍で東京都内の自宅を売却して地方に移住したが、勤務先がリモートワークを禁止し、都内に戻ろうとしたら不動産価格が急騰している」、という、何とも辛い話題です。
テレワークは半数の企業が導入しているが…
コロナ禍は私たちの生活を大きく変えました。
なかでも大きな変化があったとすれば、それは、リモートワークの普及でしょう。
総務省『令和6年版情報通信白書』によると、リモートワーク(総務省の用語は「テレワーク」)については、2023年において、回答した企業の約半数が導入していて、これはコロナ直前の2019年の20.2%と比べて約2.5倍です(図表1)。
図表1 テレワーク導入率の推移
(【出所】総務省『令和6年版情報通信白書』掲載番号Ⅱ-1-11-19)
当初の目的は新型コロナウィルス感染症(いわゆる中国武漢熱または中国武漢肺炎)への対応だったとみられますが、最近だと通勤が発生しないリモートワークが快適であると認識されたためでしょうか、従業員の福利厚生的な面も含めてむしろ各社がリモートワークを積極推進しているフシがあります。
その証拠のひとつが、同じく情報通信白書に掲載されていた、こんな図表です(図表2)。
図表2 テレワークの導入目的(複数回答)
(【出所】総務省『令和6年版情報通信白書』図表番号48)
調査が2023年時点であるためか、回答した企業の79.1%が依然としてコロナ対応をリモートワーク推進の理由に挙げていますが、これは2022年時点の87.4%から減っており、代わって「勤務者のワークライフバランス向上」が28.8%から42.7%に上昇しています。
メリットが多いリモートワークだが…廃止する事例も?
著者自身の知り合いの会社(複数)でも、リモートワークが可能な部門(たとえば経理などのバックオフィスや企画部門など)は、いまでもリモートワークが推奨されているというケースも多く、なかには輪番でリモートワークを続けている、といった事例も見られます。
また、著者自身が所属する日本公認会計士協会でも、いわゆる「CPD」(『継続的専門能力開発』制度)に基づく各種セミナーには、多くの場合、リモート席が設けられていて、自宅やオフィスに居ながらにして研修を受講することができる時代です。
しかも研修資料もPCでPDFファイルをダウンロードする形式とされるなど、近年はペーパーレス化も普及しつつあります。
さらには遠方の顧客との会合も、自宅ないしオフィスに居ながらにして実施できるため、時間と新幹線・航空運賃の大幅な節約になるなど、リモートワークの利点は計り知れません。
コロナ禍の混乱期が収束しつつあるとはいえ、依然としてリモートワークを続けている企業が多いことを踏まえると、やはり、そのリモートワークの利点は多くの人に共有されたのではないかと思います。
ただし、リモートワークも万全ではありません。
たとえば、自宅から仕事をする場合だと、気分的に「オン/オフ」の切り替えが難しく、また、とくに当方、あるいはリモート会議の相手先に小さなお子様がいらっしゃるなどの場合は、リモート会議中にお子様が乱入するなどの事態も頻繁に生じます(複数回経験あり)。
また、営業・渉外職などのように、そもそも顧客と会わなければ仕事が進み辛い職種というものもありますし(やはり直接会って話すのと画面越しで話すのとでは効率がまったく異なります)、とくにウェブ会議形式だと、通信環境によっては相手の声が聞こえ辛かったりすることもあります。
これに加えて一部企業はセキュリティの脆弱性などを理由に、最近ではリモートワークを廃止し、全従業員に出社を義務付けるという事例も出ているようです(いきなり全面廃止にするのではなく、もう少しやり方が考えられないのか、という気もしますが、それでも個社の判断であれば仕方がありません)。
このため、あくまでも著者自身としては、リモートワークは就労形態を多様化する手段のひとつにすぎないと考えていますし、リモートワークはすべての職種に当てはまるものでもないと考えています。
地方に移住したことを後悔する事例も?
なぜそんなことを述べるのかといえば、X(旧ツイッター)で、こんな趣旨の話題を目にすることが増えているからです。
「うちの会社、リモートワーク禁止になった。満員電車の通勤、辛い」。
「やっと出社OKになった。家にいても気分が落ち込む。むしろ出社したい」。
悲喜こもごも、ですが、前者はリモートワーク大歓迎の人、後者はリモートワーク嫌いの人、という違いでしょうか。
ただ、こうしたなかで、最近目にした、わりとシャレにならない事例があるとしたら、こんな趣旨のポストかもしれません。
「コロナ禍で東京の自宅を処分し、地方に広めの家を買って移住したが、今年になってリモートワークが禁止され、出勤しなければならなくなったので、東京都心に戻ろうと思ったが都内の不動産価格が高騰し、地方の自宅も処分できなくて困っている」。
これは、どういうことでしょうか。
公益財団法人東日本不動産流通機構(レインズ)のデータによると、たしかに東京都心部では不動産価格が上昇を続けており、2020年8月に72.38万円/㎡を付けた平米単価は、直近の2024年6月時点で103.40万円/㎡と、およそ4割以上値上がりしています(図表3)。
図表3 中古マンション成約状況(東京都)
(【出所】公益財団法人東日本不動産流通機構データをもとに作成)
また、平米単価の値上がり率を眺めてみても、都心部(千代田区や中央区、新宿区など)はだいたい4割を超える値上がりを記録しており、これに対し東京周辺部(埼玉、千葉、神奈川)は値上がり率4割の千葉を別とすれば、値上がり率は都心部と比べ低調です(図表4)。
図表4 首都圏の主な地域の平米単価値上がり率(2000年8月対比)
項目3 | 2024年6月 | 値上がり率 |
首都圏 | 77.95万円/㎡ | 42.11% |
東京都 | 103.40万円/㎡ | 42.86% |
千代田区、中央区、港区 | 183.11万円/㎡ | 45.61% |
城東(台東区、江東区など) | 85.50万円/㎡ | 34.73% |
品川区、大田区、目黒区、世田谷区 | 110.95万円/㎡ | 38.17% |
新宿区、渋谷区、杉並区、中野区 | 135.81万円/㎡ | 43.41% |
城北(文京区、豊島区など) | 89.00万円/㎡ | 33.63% |
多摩地区 | 55.47万円/㎡ | 31.57% |
埼玉県 | 42.15万円/㎡ | 28.08% |
千葉県 | 40.54万円/㎡ | 40.57% |
神奈川県 | 59.35万円/㎡ | 31.86% |
(【出所】公益財団法人東日本不動産流通機構データをもとに作成)
「都心に住んでリモートワーク」が最強説
東京を中心とする首都圏で不動産価格が上昇している理由はよくわかりません。
中国人投資家による旺盛な買いが入っているためなのか、はたまたむしろ実需が増えているからなのか。
ただ、少なくともコロナ禍の一定の時期に都心部などの不動産価格が低迷したことは事実ですが、グラフから見てそのような値下がりは一時的であり、すぐに力強く価格が上昇基調に戻っていることも確認できます。
このように考えたら、「都心部に住んでリモートワーク」、というパターンが、じつは最も贅沢な生活なのかもしれません。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
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日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
リモートワーク禁止はやりすぎかと。個々の会社に委ねるべきとは思うが、働き方の一つなので禁止ではなく理由があれば許可にするぐらいしないと、若者に見向きもされなくなりますよ。
首都圏というか、東京の発展、膨張ぶりは恐ろしいスピードですね。横浜市ランドマークや川崎、町田、相模原、千葉、さいたま市さえ街の拡大がトロくみえる。昨年完成した虎ノ門ヒルズは延床面積80万平方メートル!4棟の超高層ビル。200m級の森ビルのグループです。また更に麻布台ヒルズは330m。日本一の高さを誇るノッポタワーで東京タワーと同じ高さ。
六本木ヒルズは2000年代初頭に完成して、今や陳腐ですネ。また「BLUE FRONT SHIBAURA」なんてのも出来るらしい。六本木ヒルズと同時期に出現した超高層ビル街・汐留シオサイト。もう訳分からん。「都心部に住んでリモートワーク」、というパターンは羨ましいです。でも資産無いと暮らせません(笑)。
住宅用不動産に限らず、払えないような高いものは買えない。
低い住宅ローン金利が続いたせいでローンで払える金額が増えている。それで物件の価格が上がったのだ。フランスで住宅ローンの最高期間が25年から30年に伸び、不動産価格が暴騰したことがあったそうだ。(フランス人の同僚に聞いた話)
モノの価格が需要と供給で決まるお手本のようなケース。
都心の物件の価格があがるのは都心の方が住みやすいからだろう。(通勤時間が短い等)
日本では地下銀行を使って、資金の移動はバブルの頃からありましたね(日本から海外へ)。
中国は「上に政策あれば、下に対策あり」の国。
今は中国から地下銀行を積極的に使い、日本の不動産購入。
中国人がオーナーになって賃貸経営は可能でしょうか。
日本が世界に誇る「借地借家法」、家賃の値上げについて正当性を証明しなければならないのは大家さん、トラブル多発の予感がします。
https://www.zakzak.co.jp/article/20221113-DBILEQ4NRNOI7JFSA65U7VKCG4/
https://toyokeizai.net/articles/-/762127
どんなトラブルが起きるのかな?