【速報】3月末時点で東証時価総額が「一千兆円」突破
「時価総額で見ると、過去最大」。東証の時価総額がついに1000兆円の大台に達しました。東証が1日に公表したデータによると、東証時価総額は1007兆7050億円(うちプライムが970兆1171億円)と、月次ベースで見て初めて1000兆円台を付けたのです。バブル期のピークが611兆1519億円だったことを振り返ると、そこからはじつに65%近くも伸びた計算です。
2024/04/01 14:20追記
図表中の増減率等について計算式が誤っていましたので修正しています。具体的には図表2の増減率、関連する本文の記載などを修正しています。
史上初めての1千兆円台!
当ウェブサイトで、ここ数ヵ月の「恒例」となっているのが、東証ウォッチングです。
日本取引所(JPX)グループのウェブサイト『その他統計資料』に毎月最初の営業日の午後1時以降に、前月末の東証の時価総額が公開されます。データは1949年5月末以降のものが揃っており、一部、二部、プライムなどの市場別に集計されています(残念ながら、公表データは日次ではなく月次です)。
このデータの最新版、すなわち3月29日時点のものが公開されたのですが、予想通りというべきか、この時価総額が史上初めて1000兆円を超えました。
東証によると2024年3月末時点の東証株式時価総額(プライム、スタンダード、グロース、プロの合計)は1007兆7050億円で、前月の977兆2080億円と比べ、1ヵ月で約30兆円増加しました。増減率に直すと前月比で+3%あまりです(図表1)。
図表1 東証時価総額(2024年3月vs2024年2月)
区分 | 2024/3/29 | 2024/2/29 | 増減 |
時価総額 | 1007兆7050億円 | 977兆2080億円 | +30兆4969億円(+3.03%) |
うちプライム | 970兆1171億円 | 940兆2959億円 | +29兆8212億円(+3.07%) |
うちスタンダード | 29兆5483億円 | 29兆2413億円 | +3070億円(+1.04%) |
その他 | 8兆0395億円 | 7兆6708億円 | +3687億円(+4.59%) |
(【出所】JPXデータをもとに作成)
ちなみにこのうち「プライム」が970兆1171億円で、前月比3%伸びましたが、スタンダードについては29兆5483億円、前月比+1%あまりであり、このことから株高を牽引したのはプライム市場であると考えてよさそうです。
バブル期のピークと比較しても65%近く伸びる
いずれにせよ、これはなかなかに凄い伸び方です。
しかも、時価総額ベースでは、バブル期の最高値、すなわち1989年12月29日に記録した611兆1519億円と比較すると、65%近く伸びた計算です(図表2)。
図表2 東証時価総額(2024年3月vs1989年12月)
区分 | 2024/3/29 | 1989/12/29 | 増減 |
時価総額 | 1007兆7050億円 | 611兆1519億円 | +396兆5531億円(+64.89%) |
うち一部またはプライム | 970兆1171億円 | 590兆9088億円 | +379兆2083億円(+64.17%) |
うち二部またはスタンダード | 29兆5483億円 | 20兆2431億円 | +9兆3053億円(+45.97%) |
その他 | 8兆0395億円 | ― | +8兆0395億円(+100.00%) |
(【出所】JPXデータをもとに作成)
最近の株価上昇については、少し長めの期間のグラフで確認すると、一目瞭然でしょう(図表3)。
図表3 株式時価総額合計
(【出所】JPXデータをもとに作成)
これまでの時価総額の振り返り
バブル期の最高値である1989年12月29日の時価総額は611兆1519億円でしたが、「時価総額600兆円台」を再度達成するには、約26年後、620兆3400億円となった2015年5月を待つ必要がありました。
また、時価総額はその後も順調に伸びたわけではなく、600兆円の大台を挟んで上下する展開が続き、いったんは500兆円を割り込む水準にまで下落する局面も見られました(2016年2月の497兆8143億円や同6月の480兆6887億円など)。
ただ、2017年5月に601兆1326億円と、再び600兆円台を突破して以来、その後は2017年12月には700兆9826億円と、史上初の700兆円台に突入。
時価総額はコロナ禍の一時期などに600兆円の大台を大きく割り込んだこともあったのですが(たとえば2020年3月時点の548兆2293億円など)、2021年2月には716兆2741億円と、再び700兆円台に突入して以降は堅調に伸び続けます。
とりわけ2023年6月には843兆4017億円と、史上初の「800兆円台」の領域に入り、2024年1月に931兆2295億円と「900兆円台」に乗せていて、そこからたった2ヵ月で、ついに1000兆円台に乗せた格好です。
「日経平均」や「時価総額ドル換算値」と比べると…!?
ちなみに日経平均株価と比較しておくと、日経平均自体も先月末時点で4万円台を超えていますが、「バブル後の最高値」という意味では、東証時価総額の方が印象的かもしれません(図表4)。
図表4 日経平均vs東証時価総額
(【出所】JPXデータおよびWSJダウンロードデータをもとに作成)
ただ、時価の伸びはたしかに急であり、これについては「株式バブルではないか」、といった懸念を持つ人もいるかもしれません。
これに関しては、ドル建てにしてみると、意外なことに、過去最高値ではないことが判明します(図表5)。
図表5 時価総額(円建てvsドル建て)
(【出所】JPXデータおよび The Bank for International Settlements, Bilateral exchange rates time series データをもとに作成)
すなわちドル建てで見た東証時価総額のピークは2021年9月に記録した6兆8895億ドル(771兆5355億円を1ドル≒111.99円で換算)であり、これに対し、2024年3月末の1007兆7050億円を1ドル≒151.33で換算しても6兆6590億ドルで、まだ過去最高値ではありません。
このため、「ドル建てで見たらまだまだ割安だ」、といった見方が、一部のアナリストからは提起されているのだと思います。
いずれにせよ、一部のメディアが最近、「悪い円安」「悪い株高」「悪い賃上げ」「悪い景気回復」などの主張を好き好んで流しているフシもあります(『悪い円安、悪い株高、悪い賃上げ…今度は悪い景気回復』等参照)。
これらのメディアが、今回の「東証時価総額が過去最大」という話題をどう取り上げるか(あるいは無視するか)については、個人的には興味深い論点のひとつだと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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>そこからはじつに40%近くも伸びた計算
細かいことだけとを、611兆円を基準にすると50%以上伸びたんだと思うのです
あっしもた…間違ってるorz
七味 様
いつも大変お世話になっております。修正いたしました。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
>「悪い円安」「悪い株高」「悪い賃上げ」「悪い景気回復」などの主張を好き好んで流しているフシもあります…これらのメディアが、今回の「東証時価総額が過去最大」という話題をどう取り上げるか(あるいは無視するか)については、個人的には興味深い論点のひとつ
「悪い東証時価総額膨張」www
まあ、なんとなく言いそうなことを憶測してみれば、
中国から足抜けした資金が、一時的待避先に選んでるだけ。
引き足も速いはずだから、どうせすぐに…
なんてところかと(笑)。