再エネ賦課金のせいで5月から全国的に電気代値上げへ
共同通信によると今年の5月以降、全国の大手電力10社のすべてで4月と比べて電気代が値上げされることがわかったのだそうです。「電力会社が儲けていながらさらに料金を値上げするなんて、許せない」。こんな反応も見えてきますが、こうした批判は筋違いです。なぜなら値上げの主犯は再エネ賦課金であり、基本的に電力会社の収益にならないものだからです。
大変不可解な再エネ賦課金
『再エネ賦課金制度自体、電力の安定供給に「有害無益」』でも述べたとおり、「再生可能エネルギー賦課金」という制度は、正直、大変不可解なものです。
再エネ賦課金は民主党政権時代の2012年に始まったもので、わかりやすくいえば、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを発電者(例えばソーラーパネルの設置者など)から買い取るための原資を、電力の利用者に負担させるための仕組みのことです。
当ウェブサイトでは常日頃から指摘している通り、太陽光発電はとても非効率であり、また、発電量を人為的にコントロールすることもできないなど欠陥だらけの仕組みですが、いわば、太陽光発電のさまざまなコストを、国民に強制的に転嫁しているようなものだといえるでしょう。
あるいは、この再エネ賦課金自体、「税金」だとは名乗っていませんが、私たち一般国民が望むと望まざるを得ず負担させられているものでもあるため、経済的な実質で見ると、形を変えた税金(電力目的税)のようなものでもあります。
もっといえば、太陽光発電施設を作るために必要なパネルの多くが中国製であることを踏まえ、「再エネ賦課金は(事実上の)税金によって中国経済を潤しているものだ」、などと主張する人もいますが、こうした主張もあながち間違っているものではありません。
要するに、本来ならば採算性が低いはずの太陽光などの発電が、「税金と名乗らない税金」のせいで生き永らえている、という状況を想像していただければ良いでしょう。
今年度分の再エネ賦課金は大幅値上げ:年1万円以上負担増も!?
そして、この買取価格自体は、毎年、その年度における電力を買い取るための費用や販売するであろう電力量などを見積もり、kWhあたりの単価を計算して経産省が決定するのですが、今月19日に公開された来年度(2024年5月~25年4月分)の価格は、kWhあたり3.49円となりました。
今年度の賦課金が1.4円だったことを踏まえると、kWhあたり2.09円の値上げです。
かりに毎月400kWhの電力を使用している家庭の場合、再エネ賦課金は1ヵ月あたり560円から1,396円に、1年あたり6,720円から16,752円に、それぞれ値上げされる計算です。
再エネ賦課金が1.4円→3.49円になる影響(毎月400kWh消費する家庭の場合)
- 1ヵ月あたり…560円から1,396円に値上げ(+836円)
- 1年あたり…6,720円から16,752円に値上げ(+10,032円)
なぜこれが増額となったのか。
経産省が公開している再エネ賦課金の計算式によると、毎年の単価は翌年度の「(①買取費用等-②回避可能費用等)÷③販売電力量」の見積もりで決まります(ほかにも考慮すべき細かいコストもあるのですが、これについては省略します)。
わかりやすくいえば、「①買取費用」は、太陽光パネルを設置した者などから買い取らなければならないと予想される電力代のことであり、「②回避可能費用」とは、太陽光発電などを買い取った結果、電力会社が発電しなくて済むことによる、「浮いた費用」のことです(図表1)。
図表1 直近3年度における買取費用、回避可能費用、販売電力量
年度 | 買取費用等 | 回避可能費用等 | 販売電力量 |
2022年度 | 4兆2033億円 | 1兆4609億円 | 7,943億kWh |
2023年度 | 4兆7477億円 | 3兆6353億円 | 7,946億kWh |
2024年度 | 4兆8172億円 | 2兆1322億円 | 7,707億kWh |
(【出所】経産省)
再エネ賦課金は増え続けている!
お手元に電卓のある方は試算していただきたいと思いますが、2022年については3.45円、23年度については1.4円、24年度については3.48円となります(※現実には24年度の単価は3.48円ではなく3.49円ですが、これは「広域的運営推進機関事務費」10億円分の誤差でしょう)。
ということは、買取費用が増えれば増えるほど(つまり太陽光パネルを設置しようとする者が増えれば増えるほど)、この「買取費用等」がかさんでしまう、というわけです。このこと自体、太陽光発電が増えれば増えるほど一般家庭の電気代が増える、ということを意味しています。
しかも、太陽光などで発電した電力は、買取価格が高く、長期的な引取も電力会社に義務付けられています。ちなみに2023年度の1.4円というのは、これまでの再エネ賦課金と比べて非常に安い価格に設定されていたのであり、制度が始まった2012年以降で見ると、増え続けていることがわかります(図表2)。
図表2 再エネ賦課金の推移
(【出所】経産省、環境省ウェブサイト、各電力会社等の情報をもとに作成。横軸の数値は「年度」を意味し、「12」は「2012年8月~13年3月」、「13」は「2013年4月~14年4月」、それ以外は各年5月から翌年4月までを意味する。たとえば「24」ならば「2024年度」、すなわち「2024年5月~25年4月」を意味する。また、「標準家庭の年間負担」とは毎月400kWhを使用する家庭を想定した毎月の負担額を12倍した数値を意味する)
大手全社が5月から値上げ
そして、この再エネ賦課金制度を巡って、大変誤解しやすい話題があります。
5月電気代、大手全社値上がり 政府の再エネ賦課金引き上げで
―――2024/03/21 18:18付 Yahoo!ニュースより【共同通信配信】
共同通信は21日、「5月の家庭用向け電気料金は大手電力10社すべてで4月に比べ値上がりする見通し」だと報じました。
Xなどを眺めていると、「電力各社が増益となるなかで、なぜ値上げするのか!」といった不満の声も多く聞こえてくるのですが、この値上げの「主犯」はもちろん、再エネ賦課金です。
記事によると「値上げり幅」(※「値上げ幅」または「値上がり幅」の誤植でしょうか?)は中電の574円が最大で、以下、東電559円、関電543円、東北電力537円、九電520円――などと続くのだそうですが、原発が稼働している関電や九電などでもそこそこの値上げ幅となっているのは印象的です。
ただし、これについては電力会社に噛み付くのは筋違いです。あくまでもFIT賦課金は電力会社の利益となるものではなく、太陽光パネル設置者などに支払われてしまうものだからです。
原子力規制委員会の怠惰などの影響もあってか、あるいは一部メディア、一部政党が反原発をさんざん煽っていることもあってか、原発の再稼働は遅々として進んでいないことも問題ですが、やはり再エネ賦課金の存在も、電気代の高騰の主要因であることに注意する必要があります。
再エネ賦課金の見直しが必要!
結局のところ、この電力の問題も、買取価格が公正な価値と比べて高すぎること、長期の買取などが保証されているがために、日本経済に大きな負担をかけています。
これを「太陽光パネルを設置した者」の立場から見ればは、「回避可能費用」以上の金額(つまり不当に高い値段)で電力を買い取ってもらえるわけですから、これは太陽光パネルを設置した方がお得だ、ということでもあります。
しかし、当たり前の話ですが、安定したベースロード電源なしに太陽光パネルが増えたところで、電力の安定供給という課題が解決するものではありません。現在の蓄電技術だとロスなく効率的に蓄電するということは難しく、それどころか優先給電ルールに従い太陽光で発電された電力を「捨てる」必要がある事態も生じます。
しかも、おそらく、原発再稼働が進む地域(たとえば九州など)では、2024年度において「捨てられる電力」はさらに増えると予想されるなか、日本各地で太陽光パネル等による環境破壊も深刻化しつつあります。
やはりこの再エネ賦課金制度自体、早急な見直しが必要であることは間違いないといえるでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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これって極端な話99%の人がソーラーパネルを付けたら残りの1%の人の再エネ賦課金はいかほどになるのやら。
もちろん再エネ賦課金はソーラーパネルを付けた家庭にもかかりますが相殺されます。
ソーラーパネルもつけられない貧乏人いじめです。
これって2030年くらいまでは増える想定になってたような記憶がありますね。それにしても大幅に上がり過ぎですね。これって市場価格が安くなればなるほど負担額が上がっていくふざけた仕組みになってたような
検討段階当時、再エネ賦課金に抵抗していた新日本製鉄の委員を排除して別の人に入れ替えて、孫正義の提案した1kWh40円だかなんかの異常な高額買取に決まったような覚えがあります
その後買取価格は下がっていったと思いますが、初期に認可受けた事業者はぼろ儲けでしょうね。制度がガバガバだった初期に制度の抜け穴を突いて発電コスト下がるまで待って事業開始したところなんかは特に
2019年頃にFIT廃止してFIPに移行する流れがあった気もしますが、FITはいつ廃止になるんでしょうね
それにしても民主政権は、中韓への利益誘導や日本に足枷つけまくることに関しては超一流でしたね
今はFITじゃなくてFIPに変わっていますが。
より業者に蓄電池を導入させやすくなる制度ですよ。
>今はFITじゃなくてFIPに変わっていますが。
FIPは2022年度から導入
FITからの段階的移行中です
簡単に言えばFITは固定買取FIPは変動買取です
これにより大規模(太陽光)発電施設の増加を狙ってます
※詳しく知りたい方は御自身で検索なさって下さい
太陽光パネルの廃棄費用積立は政府が(プール等をして)しっかり管理せんとイカンと思う
タダ電のワイ高みの見物
こんばんは。
この再エネ賦課金のことですが、去年、電力会社からプランの見直しのことで電話があり色々話をしていて年々再エネ賦課金が上がっているので私が「太陽光を使っていない人まで払うのはおかしい」と言ったら電話の人も「私もそう思います。またこちらが説明するとあなたみたいなことを言われるのでこちらも困惑してます」と言ってました。
何か以前の発泡酒の増税の時みたいに自分の懐を痛まずに取りやすい所から取ろうとする財務省の思惑がミエミエです。
この再エネ賦課金制度の見直しに抵抗する勢力はどんなのが居るでしょうか?
再エネをごり押しした企業や政治家、および集金出来る側あたりかな?
とっくにFIT廃止されてるのに、こういう時だけドイツを見習えと言わない太陽光ムラの下劣さ
内閣府に再エネタスクフォースというものがあるそうで、そこに提出された資料に中国企業の透かしが入っていた、という指摘のツイートを見かけたので、貼っておきます。元ネタの孫引きになりますが、有識者によるリポストですのでそのまま。
電力行政の方向性を決める場に、誰でも入れるという状況なのでしょうかね。
「有識者」のリポスト分を誤ってすっ飛ばして貼ってしまいました。
まあ、訂正は無しで。
内閣府の釈明ポスト。
内閣府「なお、自然エネルギー財団と中国政府・企業とは人的・資本的な関係はないとのことです。念のため内閣府でも確認を行います。」
経済安保の文脈では、単純に人的・資本的関係の有無がなければOKという単純な話でもないような気がしますが・・・
資料がどう使われたのか、議論や結論にどう影響したのか、説明が必要なのではと思います。
内閣府自身による確認を行うそうですから、しっかり調べてほしいものですが・・・
ネットの騒ぎに内閣府の公式が反応したのは面白い現象でした。
画像検索を駆使すれば類似の文書があちこちに散見されることが分かって、浸透工作の広がりを疫病学的なやりかたで確かめることができるやも知れませんね。
作文の材料になりそうな価値ある文書をエサ代わりに配って回って、かっこいい資料を使ってどや顔で周囲にマウント取ろうとする「チャラい連中」をおだて操るというのは、国際企業による人脈工作の世界ではよくあるケースなのだそうです。人から受け取った文書は使い回さないようにしましょう。すぐばれます。
ネットが祭り状態になっています。本日夜が来るまでにどんな新しい状況が生まれるか予想がつきません。
事態が流動的なので報道各社は記事公開を遅らせるはずですが、ヌルイ観測記事で時間稼ぎをしそうです。ネットで見たもので将来消されそうなものはスクリーンショットに採っておきましょう。消された事実、書き換えられる前の情報が重要です。
内閣府のポストが火に油を注いだようです。(笑)
国会でもしっかり質問してほしいものです。
https://x.com/tamakiyuichiro/status/1771545779766997209?s=20
政府の不祥事となりかねない話なのに、立憲共産界隈がなぜだか静かです。(棒)
黙っている連中はぐるなんでしょうな
中国資本の再エネ事業認定290件超の青森 盲点となる「地上権」の怖さ 産経
https://www.sankei.com/article/20240324-T6XE4L7LXNMMDOIEO7F6U4XQ2U/
危機感のなさにあきれる