日韓相互往来「3倍の差」の衝撃
外国の観光サイトを調べてみると、日本旅行に関する案内が非常に充実していて、東京だけでいくつものページがあるほか、北海道、沖縄、富士山、京都、奈良、姫路、広島、といった具合に、いくらでも観光地が出てきます。これに対し韓国の観光名所はいったいどこなのでしょうか。38度線?なんだかよくわかりません。こうしたなか、観光統計の日韓比較を行ってみると、訪日韓国人が訪韓日本人の3倍にも達していることがわかりました。
目次
コロナ前の水準に戻りつつある訪日外国人
以前の『観光分野の「脱中国化」進む日本』では、日本政府観光局(JNTO)が毎月公表している『訪日外客統計』のデータをもとに、現在の日本を訪れるインバウンド(外国人)観光客が史上最多水準となっていること、また、出身国が中国だけでなく多角化しつつあること、などを報告しました。
具体的には、2023年を通じた訪日外国人は2507万人で、これは2019年の3188万人、2018年の3119万人、2017年の2869万人に次いで過去4番目に多い水準です。
しかも、12月に限ってみれば、訪日外国人は273万人で、これはJNTOが公表しているこれまでのデータで比べると過去最大です。2024年1月分のデータについては来週、2月21日午後4時15分頃に公表されるそうですが、1月として過去最大だった2019年の269万人を抜くかどうかが気になります。
訪日外国人トップ5は東アジア4ヵ国+米国
ただし、訪日外国人の出身国の分散が図られているとはいっても、やはり訪日外国人は、どうしても東アジア4ヵ国・地域に集中してしまいます。2023年を通じて日本を訪れた外国人の国別内訳が、図表1-1です。
図表1-1 訪日外国人(2023年1月~12月)
国 | 人数 | 割合 |
総数 | 25,066,145 | 100.00% |
1位:韓国 | 6,958,491 | 27.76% |
2位:台湾 | 4,202,436 | 16.77% |
3位:中国 | 2,425,040 | 9.67% |
4位:香港 | 2,114,394 | 8.44% |
5位:米国 | 2,045,919 | 8.16% |
6位:タイ | 995,528 | 3.97% |
7位:フィリピン | 622,268 | 2.48% |
8位:豪州 | 613,120 | 2.45% |
9位:シンガポール | 591,320 | 2.36% |
10位:ベトナム | 573,876 | 2.29% |
(【出所】JNTOデータをもとに作成)
これに対し、コロナ禍以前の2019年に日本を訪問した外国人の内訳が、図表1-2です。
図表1-2 訪日外国人(2019年1月~12月)
国 | 人数 | 割合 |
総数 | 31,882,049 | 100.00% |
1位:中国 | 9,594,394 | 30.09% |
2位:韓国 | 5,584,597 | 17.52% |
3位:台湾 | 4,890,602 | 15.34% |
4位:香港 | 2,290,792 | 7.19% |
5位:米国 | 1,723,861 | 5.41% |
6位:タイ | 1,318,977 | 4.14% |
7位:豪州 | 621,771 | 1.95% |
8位:フィリピン | 613,114 | 1.92% |
9位:マレーシア | 501,592 | 1.57% |
10位:ベトナム | 495,051 | 1.55% |
(【出所】JNTOデータをもとに作成)
日本はインバウンド大国を目指すべき…なのか?
2019年において1位だった中国人の入国者が2023年には3位に転落しているというのも興味深いところですが、中国が1位から転落したことで、韓国が696万人でトップ、台湾が420万人で2位となり、4位が香港で211万人…、といった具合ですが、1位から4位までの顔ぶれは変わりません。
また、5位も同じく米国ですが、円安効果のためでしょうか、2019年に172万人だった訪日米国人は、2023年には205万人と、訪日香港人に肉薄している状況です。もしかすると、円安が続けば今年あたり、訪日米国人が4位以上に浮上するという可能性もあるかもしれません。
いずれにせよ、著者自身は日本がインバウンド大国を目指すのは非現実的だと考えていますが、それでも現実問題として、日本により多くの外国人が観光客としてやってきているということは、どうやら事実であるようです。
こうした傾向が今後も続くのかどうかについてはわかりませんが、少なくともインターネットで外国の日本旅行紹介サイトや日本旅行紹介動画などを見ると、たとえば米国人や欧州人などにとって、日本が新たな旅行先として、多くの人々の注目を集めていることは間違いありません。
訪韓外国人は戻りつつあるものの…
ところで、こんな話題を持ち出すと、「それでは日本の周囲はどうなのか?」という点は気になります。
これまで当ウェブサイトでは、韓国や香港、台湾といった周辺国の観光統計などを取り上げて来たのですが、やはりデータとして扱いやすいのは韓国観光公社が公表している『訪韓外来観光客』でしょう。
現時点において、2023年分のデータがすべて公表されていたようなので、上記図表1に倣い、韓国を訪問した外国人の国籍別内訳を示しておきましょう。まずは直近、2023年のデータが図表2-1、続いてコロナ禍直前の2019年のデータが図表2-2です。。
図表2-1 訪韓外国人(2023年1月~12月)
国 | 人数 | 構成割合 |
合計 | 11,031,665 | 100.00% |
1位:日本 | 2,316,429 | 21.00% |
2位:中国 | 1,811,182 | 16.42% |
3位:米国 | 1,086,415 | 9.85% |
4位:台湾 | 960,607 | 8.71% |
5位:ベトナム | 420,688 | 3.81% |
6位:香港 | 397,680 | 3.60% |
7位:タイ | 379,442 | 3.44% |
8位:シンガポール | 347,814 | 3.15% |
9位:フィリピン | 342,819 | 3.11% |
10位:マレーシア | 259,872 | 2.36% |
図表2-2 訪韓外国人(2019年1月~12月)
国 | 人数 | 構成割合 |
合計 | 17,502,756 | 100.00% |
1位:中国 | 5,111,884 | 29.21% |
2位:日本 | 3,271,706 | 18.69% |
3位:台湾 | 1,260,493 | 7.20% |
4位:米国 | 1,044,038 | 5.96% |
5位:中国(韓国系中国人) | 911,137 | 5.21% |
6位:香港 | 683,938 | 3.91% |
7位:タイ | 571,610 | 3.27% |
8位:ベトナム | 553,731 | 3.16% |
9位:フィリピン | 503,867 | 2.88% |
10位:マレーシア | 408,590 | 2.33% |
(【出所】韓国観光公社)
訪日韓国人は訪韓日本人の3倍に!
これによると、2023年の訪韓外国人は1103万人で、過去最大だった2019年の1750万人の水準には届きませんが、それだけではありません。
2019年に511万人でトップを占めていた中国人が、2023年には181万人で2位に転落し、1位は日本人となりました。また、米国人が104万人から109万人に増え、台湾を追い抜いて3位に浮上しているのも目につきます。
ただし、日本人が訪韓外国人のトップだとはいっても、韓国を訪れた日本人は232万人で、2019年の327万人と比べると減少していますし、また、2023年に日本を訪れた韓国人(696万人)と比べると、そのちょうど3分の1の水準です。
2023年における日韓相互往来
- 日本を訪れた韓国人…6,958,491人…①
- 韓国を訪れた日本人…2,316,429人…②
- ①÷②=3.00倍
コロナ前と比べ、日本人があまり積極的に海外に行かなくなっているという事情ももちろんあるのだと思いますが、
「近場」であるにも関わらず、日本人が韓国に「すら」あまり行かなくなったというのは、大変に興味深い変化です。
しかも、「訪日韓国人が訪韓日本人の3倍」という事実にも驚きます。日韓の人口比で考えると、これは凄い話です。人口あたりに換算したら、韓国を訪問した日本人を1とすれば、日本を訪問した韓国人は、その6~7倍にあたるからです。
インバウンド日韓比較
ちなみに訪韓外国人、日本人の月次推移をグラフ化してみると、2023年を通じた訪韓外国人は「THAAD制裁」直後の2017年の状況とあまり変わりませんし、また、日本人の訪韓者数も12月にガクンと落ち込んでいることも確認できます(図表3)。
図表3-1 韓国を訪問した外国人合計
図表3-2 韓国を訪問した日本人
(【出所】韓国観光公社データをもとに作成)
これに対し、日本を訪問した外国人、及び日本を訪問した韓国人は、2023年に関しては最後まで息切れせず、むしろ12月に過去最大水準となっていることがわかります(図表3)。
図表4-1 日本を訪問した外国人合計
図表4-2 日本を訪問した韓国人
(【出所】JNTOデータをもとに作成)
いずれにせよ、べつに「勝負」をしているわけではありませんが、少なくとも外国人観光客の人数という意味では、日本が韓国に「圧勝」しているといえる状況です。
韓国で一体何を見るのでしょうか
ただ、正直な感想を申し上げるならば、年間1000万人を超える外国人が韓国を訪れていて、コロナ禍の前には訪韓外国人が2000万人近くに達したこともあるという事実の方が、個人的にはなかなかに興味深い統計数値ではないかと思っていることも事実です。
この点、著者自身はあまり韓国の観光地に詳しくはないのですが、代表的ないくつかの観光サイトで調べても、韓国といえば「38度線」、「空港近くのカジノ」、「ソウル(明洞や東大門など)」、「済州島」、あとはせいぜい「古都・慶州」くらいしか出てきません。
これに対し、日本で調べてみると、東京だけでいくつものページがあるほか、富士山、京都、奈良、姫路、広島といった観光地に加え、北海道や長野などのスキーリゾート、沖縄などのビーチリゾート、といった具合に、いくらでも観光地が出てきます。
また、とある投資ファンド関係者によると、最近だと、一部の欧米人の間では、リピーターとして何度も日本にやってくるのが流行り始めているらしく、東京に数日、東京以外の都市に数日滞在する、といったパターンも増えていると聞きます(このあたりは統計資料からは見え辛い点ですが)
あくまでも想像ですが、韓国を訪れる外国人は、日本、中国、台湾、香港といった「近場」を除けば、最終目的地が日本や香港などで、韓国には乗り継ぎでやってきている、というパターンもあるのかもしれない(『トランジット・ツアーで入国者水増し?韓国観光の課題』等参照)、などと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
済州島くらいしかないですね。それも、日本の風光明媚な観光地、1カ所にも及ばない。後は、ごちゃ混ぜB級グルメくらい。何で、わざわざ、そんなもの食べに行くものか?と。
何しに隣国へ行くものか?と最大の疑問。
観光客往来量の非対称性は日台間にもあります。
台湾の魅力不足ではなくて、原因は航空券が高止まりしていて渡航先として正当化できない状況だからです。魅力に関しては訪問するべき土地が幾らもある一方で復刻再建された日式建築の数々などご年配受けする涙ちょちょぎれ的観光要素に欠きません(体験談をいずれ投稿します)
高値どまりの主因は台湾からの観光客で全席埋まってしまっているから。対策は航空便数を強化してもらうほかありません。昨年は4万数千円なる最安値で突撃高雄往復をしました。今はこんな値段では旅行できないのです。倍額くらいではありませんか。
はにわファクトリー様
非対称の原因は確かに航空券の安さという面もありますが、主要な原因は面積の狭さ、観光資源の少なさにあると思います。香港や台湾、韓国は領域が大きくないので国内旅行で行ける場所、観光地が少ないから、旅行は必然的に海外が多くなり、国内旅行のような感覚で日本に行く方が多いと思います。日本は国内に観光資源が豊富なので日本人は国内旅行でいろいろ楽しめて必ずしも海外に行く必要もない。
今も昔も朝鮮の伝統的観光資源は、売春婦なんじゃないの。
今じゃ日本にも買春目的で外国人が来てますし、病的潔癖症な米国に付き合って売買春を非合法とするのは辞めた方が良いと考えます。
大阪ではツアコンが男性観光客向けオプションとして飛田新地などに案内するそうです。飛田に行くと外人の多さにびっくりします。以前、飛田新地料理組合の顧問弁護士をしてたことのある橋本氏が大阪市長だった時にカジノと風俗特区を提唱したことがあります。私はいい案だと思いましたが、批判されて消えてしまいました。マカオなんかカジノと風俗だけで観光客来ますからね。大阪都構想よりもこっちの方が経済活性化するでしょう。
>日本はインバウンド大国を目指すべき…なのか?
日本を観光したい外国人を拒むことはないが、国としてそのカネをあてにするようなみっともないことはやめよう。
sqsq 様
とは言ってもね、世の中のカネ回りが良くなるってのは、やっぱり有り難いんで。
チョッピリとは言え、今年は年金も増額されたことだし。
やせ我慢で「武士は食わねど高楊枝」なんて言わなきゃイケナイ状態の方が、
よっぽど問題多いと思うんですよ。
まあ、見栄のためにトランジット利用を来訪客数にカウントするところまで、
インバウンドに拘っちゃうのは、どうかとは思いますが(笑)。
はにわファクトリー様。
台湾人で座席が満席とはスゴイです。
10日ほど前に乗ったMH便、KIX〜KUL〜BKKは半分程でした。コロナ禍前はセ―ルの安い時では、28,000程でした。今は、MHの安い時で65,000強高い時は100,000強。CXもニタリヨッタリです。JALはコロナ禍前は66,000程でしたが、今では、140,000程に値上りしています。コレではセ―ル以外ではJALには乗れません。
値下げは無理やろなぁ、と思いつつ値下げをイノッています。
蛇足です。
JALは今日までセ―ル中です。安く為りましたが、其れでも95,000でした。マイルが有ったのでマイルで交換しました。
航空券高くなりましたよね。安かったときのことを憶えているので、今はちょっとなーの気持ちです。そこで国内旅行プランをいろいろ考えています。思いつくたびにざっと下調べをしてググる Doc に書き留めています。次の旅行は南九州です。片道1万1千円のフェリーを使い、ぶらぶら移動して帰りは4千円の夜行バスです。
「宵越しの金は持たない」
江戸っ子(職人?)は、その日稼いだお金をその日中に使い切るらしいですが
韓国人の家計債務はGDP比で100%で、若者は投資を借金でして多重債務者が多いとのこと。
韓国の若者は生活に余裕があって訪日しているのか、国からの徳政令を織り込んで訪日なのか。統計では苦しいはずなのに、どこに宵越しの金があるんだ???貧乏旅行でも非日常を楽しんでいる!!!私は残念ながら韓国に行ったことは絶対に!ありませんが、韓国の若者は正直うらやましいです。一体どこに宵越しの金があるんだ!!
んっ、待てよ、老後の生活を日本に面倒を見てもらう地ならしか?考えすぎかね・・・。
そもそもリゾートといえば島なのだから日本に来るのは当然
大陸には行かない
訪日韓国人って、観光以外の目的で来ている人が多いのカモ。
やり方次第では、呑み会1回分程度で往復できますから。
平日は、辛ラーメン等で凌いでも、週末位は、素うどん一杯¥千円の韓国を脱出し、日本に栄養補給に来るとか。
親戚・知人等を頼って宿泊するとか、工夫次第で韓国で週末を過ごすより、日本に来た方がコスパ良いカモ知れない。
話逸れるが、往復コストが安いので、外国人地方参政権は、郷里の地方参政権を手放さない者にとっては、「一人二票」という意味だ。帰化する等して、母国の地方参政権を放棄した者には、既に外国人でも参政権は与えられているので、「一人二票」の特権を求める運動以外の何物でもない。国政なら、国外投票可能なので、猶更。民主主義下で、「一人二票」の特権なんぞ、あって良い筈がない。
訪韓日本人も、観光以外が多いのでは?
在日の里帰りとか、出張とか以外にも、乗り継ぎ等がある。
私自身、訪韓したつもりはなくても、仁川で乗り継いだ事は何度もある。
京都・奈良だけでなく、平日の観光地は、日本人より外国人の方が多いなんて事がザラにある。
日本人の日本国内旅行は、観光業者の負荷平準化に逆行している事が多い様なので、インバウンドは重要だろう。
人数を追うより、観光産業の経済規模の方を見るべき時では。
観光業や小売業は労働集約型の産業なので、労働生産性が下がりがちです。団体ツアーやお金を落とさない観光客を減らして、高価格高品質にふらないと続ける意味がありません。つまり、中国人団体客や貧乏旅行をする韓国人が減らすべき対象です。
確かに円安は旅行客を呼ぶにはいいですが、日本人が奴隷のように働いて、海外旅行にも行けないなら、何のために働くのかわからなくなります。安全面が不安な中国、ぼったくりに合いそうな観光、円安物価高で行けなくなったハワイとか、日本人が楽しめる観光地が減ってますよね。