東証時価総額「史上最高値」更新
時価総額はバブルの期の1.5倍
1月末における東証の4市場区分(プライム、スタンダード、グロース、プロ)合計の株式時価総額が931兆2295億11百万円で、月末時点の時価総額としては、過去最高を更新しました。ちなみにこの時価総額は、バブル期の1989年12月末の611兆1518億73百万円の1.5倍以上です。
東証時価総額データ
以前の『株式時価総額のドル換算額で東証が「アジア首位」奪還』で、東証(プライム、スタンダード、グロース、プロの4市場区分)の時価総額合計がドル換算で上海を抜き、3年半ぶりに首位を奪還した、などとする話題を取り上げた際、東証ウェブサイトをもとにした時価総額データを取り上げました。
この時価総額データ、残念ながら日次で公開されているものではなく、手に入るのは月次データなのですが、それでも日本取引所グループ(JPX)ウェブサイトの『その他統計資料』のコーナーで、1949年5月以降のデータについては、誰でも簡単にダウンロード可能です。
また、前月末データについては毎月第1営業日の午後1時以降に掲載される、などと記載されていますが、実際、2024年1月末時点のデータについては1日に公表されていました。
これによると東証の4市場の時価総額合計は931兆2295億11百万円だったのだそうで、900兆円の大台に達したのは史上初めてのことであり、もちろん、月末の時価としては過去最大です(ちなみに前月末が867兆4061億77百万円でしたので、時価総額は1ヵ月で7.36%増えた計算です)。
グラフ化してみた
この時価総額を、1974年1月以降の半世紀分についてグラフ化してみたものが、図表1です。
図表1 半世紀の時価総額の推移
(【出所】JPX公表データをもとに作成)
これによるとバブル期のピークだった1989年12月29日に記録した611兆1518億73百万円という水準は、2015年5月29日に再び600兆円の大台に達した(620兆3399億67百万円)ことで、すでに破られています。
また、700兆円の大台に達したのは2017年12月29日(700兆9825億91百万円)、800兆円の大台に達したのは2023年6月30日(843兆4017億30百万円)のことでしたので、このところ、上昇の速度が急速です。
それぞれの大台に達したタイミングとかかった期間
100兆円の大台を初めて突破した1983年3月以降、次の100兆円の大台を突破するまでに必要だった年月を列挙してみると、興味深いことがわかります。
月末ベースで大台を突破したタイミングとかかった年月
- 100兆円超え…1983年03月(102兆8395億02百万円)
- 200兆円超え…1986年03月(229兆4176億04百万円)→03年00ヵ月
- 300兆円超え…1987年01月(322兆1098億46百万円)→00年10ヵ月
- 400兆円超え…1987年08月(406兆2764億11百万円)→00年07ヵ月
- 500兆円超え…1989年01月(500兆1313億60百万円)→01年05ヵ月
- 600兆円超え…1989年12月(611兆1518億73百万円)→00年11ヵ月
- 700兆円超え…2017年12月(700兆9825億91百万円)→28年00ヵ月
- 800兆円超え…2023年06月(843兆4017億30百万円)→06年06ヵ月
- 900兆円超え…2024年01月(931兆2295億11百万円)→00年07ヵ月
(【出所】JPX公表データをもとに作成)
これによると、100兆円を超えてから200兆円台を突破するまでに必要だった年月はちょうど3年でしたが、1986年3月に200兆円の大台に達してからたった10ヵ月で300兆円台、7ヵ月で400兆円台、1年5ヵ月で500兆円台、そして11ヵ月で600兆円台に達しています。
ところが、600兆円から700兆円の大台を超えるのに必要だった年月は、なんと28年。
バブル崩壊とその後遺症に、どれだけ長く日本経済が苦しんできたのか、という話でもあるのでしょう。
その後は800兆円を超えるまでに6年6ヵ月を要していたため、そこからたった7ヵ月で900兆円の大台に達したというのは、やはりずいぶんと株価上昇の速度が上がっている印象を受けます。
もちろん、上記は上昇「率」ではなく、100兆円刻みの「絶対値」で見ている、という点については注意が必要です。100兆円から200兆円に上昇するのも、800兆円から900兆円に上昇するのも、上昇「額」としては100兆円ですが、上昇「率」はまったく異なります(前者は100%、後者は12.5%)
ドルベースで見たらまだ過去最高に非ず
この点、当ウェブサイトは「投資判断を促す」ことや、「金融商品への投資勧誘」などを目的としたサイトではありませんので、株価水準に関する判断を示すことは控えたいと思いますが、それでも「果たして現在の株価は、割高なのか、割安なのか」、といった論点については、気になるところかもしれません。
ただ、昨今の株価の上昇が急ピッチであるという懸念はもちろん生じてきますが、それと同時に、一部メディアが好んで取り上げる指標が「ドル建ての時価総額」であり、こちらのベースで見ると、じつは1月末の株価は「過去最高値」ではありません(図表2)。
図表2 時価総額(円建て、ドル建て)
(【出所】JPX公表データおよび The Bank for International Settlements, “Download BIS statistics in a single file”, US dollar exchange rates (daily, vertical time axis) データをもとに作成)
これによると、ドル換算した時価総額が過去最高だったのは2021年9月のことで(6.89兆ドル)、これに対して1月末の時価総額は6.34兆ドルと計算され、「過去最高値」にはまだまだ達していないことがうかがえます。
少なくとも為替ヘッジなしで投資する機関投資家にとっては、「ドル建てで見たら」まだ割安に見えている可能性がある、という点については注意が必要でしょう。
もっとも、今年は米FRBの利下げ観測なども取りざたされているなかで、円安から円高に振れる可能性もあることから、もしも「ドルベースで割安だからまだ株価が伸びる」といった判断があったとすれば、今年に関してはそうした判断が変わってくる可能性も十分にあります。
ただ、少なくとも東証の株式時価総額がバブルの絶頂期の水準と比べてすでに1.5倍以上になっているという点については、客観的事実として踏まえておいて良いのではないか、などと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
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バブルの頃のPER平均は50~60倍程度だった覚えがあります。
不動産や株を担保に、金融機関がおカネを貸しまくってたのかと。
・・・・・
おカネの切れ目がバブルの切れ目。(企業・個人の信用枠+外資)
マネーゲームは「答えのないババ抜き(=ジジ抜き)」のようなもの。
*岸田総理には、古巣の”長銀の轍”を踏まぬ采配をお願いしたいですね。
PERって、高くなり過ぎると、皆んな「パー」になるよ、という、指数?
それが、那辺にあるかが分かれば、売り逃げ出来る、という指標かな?
その通りですね。
市場環境の変動如何で評価数値が劇的に「パー?」に成りかねない指標です。
PBR一倍未満の株や、ドル平均法を用いた為替の方が堅い投資だと思います。
深夜の配信めずらしいと思ったら
【配信日時:2024/02/02 02:02】