まだまだ課題も多いが利便性が高いセルフチェックイン

本稿は、ちょっとした雑感です。著者自身がつい最近に目撃ないし体験した事例ですが、某航空会社、某レンタカー会社、某ホテルでは、自動チェックインなどのシステムが充実し始めています。これらの自動チェックイン、運営者からすれば係員の人件費を抑制することができる一方、ユーザーにとってもケースによっては利便性が高かったりします。これについて、どう考えれば良いのでしょうか。

これだけある!セルフチェックイン

社会全体で、ユーザー自身が操作する機械(セルフレジや自動チェックイン機など)が増えてきました。

なかには、スマートフォンと有機的に連携させるというシステムもあるようです。

これについて、著者自身がつい最近に経験した3つの事例を紹介すると、こんな具合です。

空港における自動チェックイン・自動手荷物預け

空港では自動チェックイン機で手荷物タグの発行が可能だ。スマートフォンに表示されている搭乗券のQRコードをチェックイン機に読ませると、「お手荷物のお預け」という選択肢が出て来る。「預ける」を選ぶと手荷物タグが印刷されるので、それを自分で手荷物に付け、自動手荷物預け機に投入すれば完了。

某レンタカーオフィスにおけるセルフチェックイン

飛行機を降りてたどり着いたレンタカーオフィスではセルフチェックイン機がある。予約番号・QRコード・氏名等で予約を検索し、本人確認として運転免許証の読み取りと本人確認としての写真撮影を行い、重要事項を確認後にクレジットで決済し、署名すれば貸渡証が発行される。

某ホテルにおけるスマートチェックイン

某ホテルに設置された自動チェックイン機を使えば、チェックイン、チェックアウトが可能だ。氏名や会員証番号などで予約情報の検索が可能であり、宿泊料金を現金またはクレジットカードなどで支払えばカードキーが発行される。チェックアウト時にはカードキーを挿入し、精算すれば完了。

非常に便利だが運用上の課題も

これらのシステム、使用してみた感覚ですが、非常に便利である一方で、少しこなれていない部分もあります。

たとえば、飛行機の場合は手荷物預けのタグを自分で貼り付けなければならず、慣れていないと、これがなかなか大変です。

また、レンタカーのセルフチェックインも、免許証の顔と自分自身の顔を照合する必要があるのですが、写す角度によってはいまひとつ本人確認がうまくいかないこともあるようですし、また、レンタカーやホテルのチェックイン機では普段使用している電子マネーが使えないなど、100%の満足ができるものでもありません。

もちろん、「機械はキライだ」、「ヒトのサービスが良い」、などと考える方にとっては、なかなかに大変な時代といえるかもしれませんが、それでもコンビニエンスストアやスーパーなどでセルフレジが普及しているくらいですから、飛行機やレンタカー、ホテルといった、旅行に関わる移動でセルフ対応が増えてくるのも時代の流れでしょう。

また、考え様によっては、こうしたセルフサービスの普及は、スマートフォンの普及との合わせ技によって、ユーザーにとっても革新的な利便性をもたらす可能性があります。

たとえば、最近だと新幹線では紙のチケットがなくても乗れるケースが増えており、東海道・山陽・九州新幹線であれば『スマートEX』で、北海道・東北・上越・北陸・山形・秋田新幹線であれば『えきねっと』でそれぞれ乗車券を電子決済で購入し、購入した乗車券をSUICAなどと紐づけることが可能です。

しかも、SUICAなどの電子マネーは、きょうび、スマートフォンにインストールして利用することもできますし(たとえば「モバイルSUICA」など)、新幹線の乗車券をそのモバイルSUICAと紐づければ、なんとスマホ1台あれば新幹線にも乗車できてしまうのです。

スマートフォン1台あれば、飛行機や新幹線、JRの主要在来線、主要私鉄、主要バス、一部のタクシーなどに乗車することができるうえ、レンタカーまで手配できてしまう、というわけです。

紙がなければどうしようもなかった十数年前の出張

このあたりは十数年前の出張との大きな違いを思い出します。

出張に出かけるときは、(当時の勤務先では)前日までに旅行手配会社の人がわざわざ会社まで飛行機のチケットや鉄道の切符を届けに来てくれていて、それを持っていなければ出張にも行けない、というのが通例だったからです。

出張に際しては顧客に渡すためのプレゼン資料を大量に印刷しなければならず、その大量の紙の山に隠れて、出張の予定表であったり、宿泊先の住所・交通手段・電話番号などが書かれた予約のプリントアウトであったり、といった「紙」をさらに持参しなければならなかったのです。

それが、現代だと資料はわざわざ印刷せずとも、事前にデータで先方に送付し、こちらの資料は軽量PCないしタブレットで持参すればよいわけですし、予定表や途中のチケット、乗車券などのたぐいもすべてスマホに収録されていて、スマホさえあれば途中の行程もほとんど気にする必要はないのです。

デジタル化社会、今後の課題は?

こうしたなかで、個人的に少し期待しているのが、マイナンバーカードのスマホ搭載と運転免許証の廃止です。

現在、おそらく技術的には、マイナンバーカードの機能はスマートフォンに搭載できるようになりつつあるはずであり、また、スマートフォンで個人情報の一元化が可能です。

現時点において、すでにマイナンバーカードで保険証の代替が可能ですが(この点についてもいずれ機会があれば別稿にて記載したいと思いますが、これはこれでめっぽう便利です)、そこまでやるのならば、マイナンバーカード自体をスマホ化してほしいところです。

残念ながら、運転免許証のスマホ搭載という議論は進んでいる一方で、マイナンバーカードと運転免許証の一体化、といったところまでは、なかなか実現が難しいようです。

また、何でもかんでもスマートフォンに搭載できるのはたしかに便利ですが、この場合、スマートフォンを紛失すると、あまりにも打撃が大きすぎる、という点についても、少し検討が必要な論点でしょう。

いちおうiPhoneの場合はGPSで検索することができるのですが、このGPS自体があまり正確なものではありません。当ウェブサイトの運営者のような粗忽者が何でもかんでもスマートフォンに搭載してしまうと、たった1度の過ち(?)で個人情報をすべて紛失、といった事態にもなりかねません。

これに加えてスマートフォンなどの電子決済の仕組みは便利である一方、ペイアプリ、タッチ決済、電子マネーなどの規格が乱立し過ぎていて、端末によってはそれらに対応していないケースもあるなども、社会的な検討課題かもしれません。

いずれにせよ、出張などの旅行がひと昔前と比べて極めて快適となっているという点に関しては間違いないと考えて良いでしょう。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 普通の日本人 より:

    う~ん
    隣国の文化(勝手に持ち出す)を知っているなら相当な覚悟が要りますよ。
    隣国ではチェックアウトは部屋確認後でしか出来ません。
    それを自動(性善説)で行う事は・・・・・
    羽田空港の奇跡の脱出でも隣国人自身が自国では難しいだろうと言ってます。
    荷物を持ち出す。CAの指示に従わない。等
    本人信用を事前に確認出来る方法があれば良いのかな

    1. CRUSH より:

      スマホなど、個人を特定できるモノを担保にしているから、隣国さんのような無法者はある程度の排除はできそうに思いますけども。

      (切符とか電話予約とか免許証みせない宿帳記入とか、自分が誰だかわからないから好き放題やるのだと思うのです)

  2. さより より:

    最近、近所のマクドナルドが、タッチパネルでオーダーできるようになり、本当に助かっている。入店すると、入口にあるタッチパネルでオーダーし、テーブルへ持って来てくれる選択をすれば、直ぐに、座席に座って、スマホで新宿会計士のサイトを見ることが出来る。そして、数分もすれば、テーブルまで持って来てくれる。以前のなかなか進まないレジの列に並ばなければなかったことを思えば、天国と地獄ほどの差を感じる。お陰で、新宿会計士への駄文のコメント投稿が増えて、ご迷惑をお掛けすることになった。これは、進化したマクドナルドのセイです。

  3. 攻撃型原潜 より:

    新型コロナの流行により小売り・サービス業の非接触型の手続きが一気に加速しました。一方で相変わらず人によるサービスを受けたい方もおられるので、あらゆるサービスは二極分化してゆくように思います。
    つまり、人によるサービスを受けたければファーストクラスを選んでチェックインから飛行機を降りるまでCAにかしづかれて過ごし、一方経済性を選ぶならばエコノミークラスの自動チェックインを選ぶというように。

  4. 匿名 より:

    JR東日本が今年の3月から、首都圏在来線のグリーン料金の料金体系を変更しますね。
    これまでは乗車距離以外に 「平日/休日」 「事前購入/車内購入」 で分かれていた料金体系を 「モバイルSuica/紙の切符」 で分けるそうです。紙の切符だとモバイルSuicaより200円以上も高くなります。

    首都圏の普通列車グリーン車の料金体系を見直します – JR東日本ユース
    https://www.jreast.co.jp/press/2023/20231215_ho01.pdf

    JR各社は、車内検札が必要になる新幹線や特急の自由席廃止も進めており、急速にペーパーレス化が進んでいます。新聞業界とは対照的です。

    1. さより より:

      >「モバイルSuica/紙の切符」

      これは、「モバイルSuica・Suicaカード/紙の切符」が、正しいです。
      Suicaで、グリーン車に乗った事があり、JRのSuicaカードの戦略を知っていればSuicaカードが使えなくなることは無いと気付くはずです。 
      ただ、モバイルSuicaの方が付与されるポイントがかなり多いので、将来は、Suicaカードの発行も止めて、カード発行コストを削減したいのかもしれないです。JRに限らず企業は、電子化のコスト削減と業務の単純化の威力と魔力に気が付き、その方向への加速を止められなくなっている現実が、今、裏で進行しているのかもしれないです。
      取り残される消費者も出て来て、スマホ持ってないから、何処へも外出出来ず、スーパーで買い物も出来ず、食料が買えず外食も出来ずに、遂に、餓死してしまった、というスマホ孤独死が出て来ないか、心配になる未来が待っているかもしれないです。

  5. タナカコーヒー@うまく変換出来ない。 より:

    セルフチェックインば便利です。但し、器械を使いコナセルひと。関空では、某航空会社では長蛇の列、とまではいきませんが、係員が付きっきりで遅々と進マナイ事を、何時もでは有りませんが目にしました。本当は便利のハズですが、過渡期ですもんね。

    出入国管理は係員のおばさんが顔を見て右➡ㇸ左⬅ㇸ、と指示します。ワタシは右でパスポートにスタンプです。ワタシはいつも右でした。疑問に思い、5回目ぐらいに左に行ったらアカンのん?と聞きました。どうぞ、どうぞ良いですよと、初めて左に行きました。パスポートを広げ器械に読み込み、カメラに顔を向け、確認スレバOKです。以前の様に(右のように)並ばずに済みます。便利です。それ以後係員が右と云っても左に行きます。

    蛇足です。
    日本人は左とカンバンが有るんですよね。

    1. さより より:

      >係員が付きっきりで遅々と進マナイ

      セルフは、慣れれば本当に便利です。ただ、慣れるのには最低2回は、モタモタする経験が必要です。
      よって、初めての方は、こちら、と1台は初心者専用にして係員がサポートするようにしたらいいですね。

  6. うけうり より:

    新幹線のスマートEX便利ですよね。普段使っているパスモに紐づけるだけで、改札を通過できますし。ホテルの自動チェックインも、銀行や郵便局のATMの振込よりも簡単ではないでしょうか。チェックイン、チェックアウトの列に並ばなくてよいだけでも、うれしいですね。

    昨年スマートフォンを紛失したときに、グーグルで探したのですが、かなり正確でした。
    アンドロイドですが。条件はいくつかありますが・・・。

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