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日本学術会議の法人化決定か:運営への政府関与は当然

政府が年内にも、日本学術会議を法人化する方針を正式決定するとの報道が出てきました。ただ、重要なのは「法人化するかどうか」、ではありません。むしろポイントは、現在は日本学術会議側が勝手に決めている会員の人選にも政府が口出しをする、という点にあります。カネを出す以上はクチを出すのは当然のことでしょうし、この改革が成功することで、NHKや財務官僚などの在り方に関する改革にも議論が及ぶことを期待したいところです。

学術会議の法人化方針、年内正式決定=報道

おカネを出すならクチも出す。

クチを出さないならカネは出さない。

問題の本質は、極めて単純です。

産経などいくつかのメディアは18日までに、政府が年内にも日本学術会議の法人かを決定する方針だと報じました。

政府、日本学術会議を法人化方針 年内にも決定

―――2023/12/18 20:01付 産経ニュースより

報道によると日本学術会議の組織見直しを議論してきた有識者会議が13日、「法人化が望ましい」とする方向性を示したことに関し、内閣府は18日、その内容をほぼ踏襲する案をまとめたそうです。

学術会議側は役割を果たしてきたのか

この話題は当ウェブサイトではすでに『「カネ出せ、クチ出すな」は通用しない=日本学術会議』でも触れたとおりですが、日本学術会議側はこれまでどおり、「国がカネを出し、口出しもしない」という方案を望んでいたようです。

日本学術会議のより良い役割発揮に向けた基本的考え方―自由な発想を活かした、しなやかな発展のための協議に向けて―【※PDF】
―――2023/12/09付 日本学術会議HPより

日本学術会議が9日の総会で採択した声明によると、こんなムシの良い要望が書かれています。

  • ①政府介入は必要最低限にし、柔軟で自律的な組織運営を保証すべき
  • ②会長と会員の選好の自立性、独立性は確保しなければならない
  • ③政府の改革は日本学術会議の機能強化につながるものでなければならない
  • ④国は日本学術会議への財政支援を継続せよ

…。

しかし、ウクライナ戦争に対するペラッペラな声明文(『ウクライナ戦争巡る日本学術会議の「ペラいち」声明文』等参照)の件や、国民との対話を拒否する姿勢(『「国民との対話」騙る日本学術会議がリプ欄閉じて炎上』等参照)などを見ていると、同会議がナショナルアカデミーとしての役割を果たしてきたのか、疑問です。

ポイントは「法人化」よりも「運営への関与」

想像するに、おそらくは独立行政法人化するのでしょうが、重要なポイントは「法人化するかどうか」、ではありません。国が今まで通りカネを出すのなら、その会員の人選にも口出しをする、という点にあります。

先ほどの産経ニュースの記事によると、今回の法人化によって「政府に科学的な観点から助言をする役割は変わらない」としつつ、そもそもの会員選考や運営などにおいて、外部有識者による委員会が関与する仕組みが新たに導入されるのだとか。

逆に、いままで会員選考に、国民の代表者たる政府や国会などが関与していなかったことの方が驚きです。というのも、日本学術会議法によると、日本学術会議の会員は日本学術会議側の推薦(第17条)に基づいて、内閣総理大臣が任命する(第7条第2項)、という仕組みだからです。

学術会議側が選んできた会員に不満があれば、総理大臣としては任命をしないということは可能ですが(『菅総理「日本学術会議の任命拒否」は当然過ぎる判断だ』等参照)、そもそもの人選の段階で政府などが関与できないというのは、明らかにおかしな話でしょう。

事実上、国民の税金から運用費用が出ているにもかかわらず、いわば、学術会議側が勝手に会員を選んでいたのですが、国民の意志が人選に反映される仕組みがないというのも理解に苦しみます。いずれにせよ、菅義偉総理大臣の時代から問題だった日本学術会議のガバナンス改革も、これで一段落がつくでしょう。

重要なのは「次」の議論

ただ、そうなってくると、「国民の意見が反映されない仕組み」としては、日本学術会議以外にもたくさんあることに気が付きます。

その典型例が、NHKでしょう。

NHKは自身を「公共放送」だと騙っていますが、そのNHKが放送する番組の内容が公共放送に相応しいものであると、いったい誰がどう保証しているのでしょうか。あるいは、NHKの番組を作る職員を、私たち国民がどうやって選んでいるのでしょうか?

結論的にいえば、そんな仕組みは存在しません。

そして、もし私たちがNHKの番組の内容に疑問を感じたとしても、それを変えさせる手段は存在しません。「NHKの番組に不満があるなら受信料を払わなければよい」、などと指摘する人もいますが、地上波が映るテレビを持っていれば、放送法の規定などにより、NHKの受信料を払う必要があります。

つまり、あなたには、「テレビは持っているけれど、NHKの番組が不満だからNHKにおカネを払わない」という選択肢はないのです。できるとしたらテレビを捨てるか、それとも違法行為と知りながら、テレビを設置し、NHKにカネを払わない、といったことくらいしかないでしょう。

私たち日本国民がNHKを解体、廃止、倒産させるためには、いったい何が必要か――。

今回の日本学術会議の「カネを出すならクチを出す」、「口出しを許さないならカネも出さない」という原則は、NHK、さらにはその先にある財務官僚などのように、国民から選挙で選ばれたわけでもないくせに莫大な権力を握り、日本を悪くしている者たちの存在にも、焦点が当たることを期待したいところです。

新宿会計士:

View Comments (8)

  • 確かにNHKとそっくりですねえ。
    金は取る。口は出すな。
    好きに振る舞えるように手を貸せ。
    文句はゆうな。
    俺もこの様に生きたい。
    理想的な人生ですね。
    しかし梶田さんもこんな物の会長に祭り上げられるなんて可哀想に。
    ノーベル賞受賞者の輝かしい名と共に人生を終わるはずだったのに。

    • >しかし梶田さんもこんな物の会長に祭り上げられるなんて可哀想に。

      まあ、上手いこと言われて載せられたのでしょうね。
      本当の学者は世間の事情に疎いのでは?

      林真理子も、なんで又、日大の理事長になったものか?

  • 国民からの要望です。
    ① 単なる名誉職の老人クラブにしないこと。
    ② 「日本」国民のために「働く」こと。
    ③ 会員の罷免につき有権者若しくは国会議員が投票により審査する制度を設けること。
    ④ 利敵行為に及んだ者は、懲戒免職とすること。

  • >「政府に科学的な観点から助言をする役割は変わらない」

    科学的な助言って、科学者個人からその専門性に基づいてやっちゃだめなのかな?
    科学って言っても範囲が広いから、適切な専門家を紹介してくれる組織があるのは助かるけど、別に「科学者の国会」とか自称する組織からのスクリーニングが入った助言はいらない気がするのです♪

  • 「税金は出さない」
    「口も出さない」
    「提言は一応受け取る(読まない)」
    くらいで僕はよいと思います。

    例えるならばユーキャンの流行語大賞みたいな。
    税金ゼロの手弁当ならば、好きなだけ好きなことを言っても問題なっしんぐ。

    (実際のところ日本学術会議の存在感や存在意義は、あれくらいかと。)

  • やや時間はかかりましたが、学術会議は望ましい方向の処置がなされた様でなにより。
    今後は貧乏な同人サークルになるのか、それとも名ばかりの未活動団体に落ちぶれるのか?
    マスコミがすっかり取り上げなくなったせいで今後の行方は中々つかめなさそうなのが残念。

    そしてNHKをはじめとする「特権階級」は内心穏やかじゃないでしょうね。
    明日は我が身、と考えたら何とかしたくなるでしょう。
    世論を変えるのが無理なら政治を自分好みに変えようとするでしょうし。

  • 言論が富に自由な日本ですから、
    真面目に働き納税し日本を支える
    多数層良識層とはかけ離れた
    少数のそんなこんなの人達が
    赤いお旗のもとでけったいなことを騒ごうと
    それは迷惑ではありますが自由です。

    ただ、一方で
    スガ元総理のおかげで
    潜り込み損ねた6人の顔ぶれと
    松宮氏の暴れようで白日の元に晒された
    国民の税金で支える
    政府機関の学術会議の赤黒い腐敗は
    あたりまえに言語道断で除去せねばなりません。

    当時も今回の声明とやらでも、
    「アカデミズムがぁ~」(?)とか
    赤いお旗方面が騒いでいますが、
    アカデミズムとは真の学問のことであり
    赤で水ムシ のようなものでは
    あったり前にあらしまへん。

    言論に寛容な日本ですから、
    そうした少数のそんなこんなの人たちの
    けったいな主張をしたければ別途 
    「どぶサヨ学術会議」とかの民間団体を、
    高額な赤旗購読料で巻き上げた資金か
    手弁当で立ち上げればいいだけです。

  • 「カネは出せ、口は出すな」これは真の天才のみに許される特権です。
    学術会議の皆様がそうおっしゃっるのなら、その天才たることを証明する義務がありますな。
    無論、「天才は時として狂人に見えるが、狂人は皆天才というわけではない。」常識の範疇ですが、念のため。