国民1人あたり年間たった千円で水産業を応援できる!
中国による日本産水産物の不当な禁輸措置が発動されたためでしょうか、8月における中国の日本産生鮮魚輸入が前年同月比で8割減少したそうです。ただ、そもそもの日本から中国・香港に対する水産物の輸出額自体、年間1339億円に過ぎず、これは国民1人あたりに換算すれば年間1,000円ほど水産物を購入すれば十分にカバーできる水準です。また、これに加え、かつての台湾パイナップルのように、販路拡大も重要な対抗手段でしょう。
中国、日本産生鮮魚の輸入が8割減
最近、中国に関する話題が増えてしまい、恐縮です、
当ウェブサイトはいちおう「金融評論サイト」と銘打っており、中国専門のウォッチングサイトではないつもりなのですが、やはりこの話題については、ちょっと取り上げておく価値がありそうです。
中国、日本の生鮮魚輸入8割減 8月、全面停止が影響
―――2023/09/20付 共同通信より
共同通信によると、中国税関総署が20日に発表した貿易データで、8月に日本から輸入した生鮮魚が前年同月比84.3%減少し680万元に留まる一方、冷凍魚も66%減の1161万元だったのだそうです。
中国が日本の水産物の禁輸措置に踏み切ったのは8月24日のことですので、想像するに、おそらくはこの禁輸措置以前から日本産の水産物の輸入は減っていたものと思われますが、それにしても「84.3%の減少」とは、じつに印象深い話です。
実額と割合で見ると…国民1人年間でたったの1,000円!
ただ、当ウェブサイトでいつも強調しているとおり、貿易などに関する話が出て来るときには、可能な限り、「割合」や「実額」とも比較しておくことが必要です。
財務省税関が毎月発表している『普通貿易統計』によると、2022年における日本の輸出高は、中国向けが19兆0038億円、香港向けが4兆3574億円でしたが、このうちの「魚介類及び同調製品」は中国向けが844億円、香港向けが495億円に過ぎません(図表)。
図表 魚介類及び同調製品の日本の中国・香港に対する輸出額(2022年)
品目 | 中国向け | 香港向け | 合計 |
魚介類 | 717億円 | 202億円 | 919億円 |
魚介類の調製品 | 126億円 | 293億円 | 420億円 |
小計(A) | 844億円 | 495億円 | 1339億円 |
輸出額合計(B) | 19兆0038億円 | 4兆3574億円 | 23兆3611億円 |
A÷B | 0.44% | 1.14% | 0.57% |
(【出所】財務省税関『普通貿易統計』データをもとに著者作成。ただし、統計の集計範囲の違いから、農林水産省などが公表している数値とは異なる可能性がある)
金額割合でいえば、「魚介類及び同調製品」は対中輸出総額の0.44%、対港輸出総額の1.14%に過ぎません。
また、中国向けと香港向けを合算してもその金額は1339億円で、これは日本の人口で割れば、国民1人あたり年間1,000円少々余分に魚を買えば十分にカバーできる水準ですし、中国と香港以外の国が買ってくれれば簡単に取り返せる額でもあります。
くら寿司のキャンペーン第一弾、発動!
こうしたなかで重要な話題を2つほど取り上げておきましょう。まずはこちらの記事です。
くら寿司、にぎりに国産ホタテ 中国禁輸で消費支援
―――2023年9月20日 17:25付 日本経済新聞電子版より
日経電子版の報道によると、くら寿司が20日、国内の水産物消費を後押しするキャンペーンの第一弾として、22日から北海道産などのホタテを使った握りずしの提供を始めると発表。また、ワタミが「ミライザカ」などの業態で国産水産物を使ったメニューの充実など、消費を盛り上げる動きが広まっている、としています。
先ほどの試算のとおり、
中国と香港による禁輸の影響を無効化するためのハードルは国民1人あたり年間1,000円前後と非常に低く、極端な話、国民の1割が年間を通じて1万円分、水産物を消費するだけでも問題ありません。1回3,000円程度の飲み会に3回参加すれば良い、という計算でしょうか。
ただし、飲み会ではビールなども消費するため、じっさいにはもう少し余分に消費する必要がありますが、世の中のお父さん、お母さん方は、平日は職場で飲み会、休日は家族で寿司屋さん、といった行動を取れば、それだけで日本の水産業を支援することにつながります。
米下院では寿司ふるまう
ただ、嬉しい動きは、それだけではありません。
共同通信の19日付の記事によれば、米連邦議会議事堂で現地時間18日、在米日本大使館が福島県産を始めとする食材を使用した寿司や日本酒をふるまうイベントを開催したところ、下院議員ら40人が舌鼓を打ったのだそうです。
「中国が偽情報」 米議員、福島産品に舌鼓
―――2023/9/19 14:39付 産経ニュースより【共同通信配信】
これは大変に良い動きです。米国など「中国以外の国」で日本産の食材のおいしさが知られれば、輸出先の拡大にもつながるからです。
そういえば、中国という国はしばしば、経済を政治利用することで知られ、何か都合が悪くなったらすぐに禁輸措置を発動しますが、2021年には台湾産のパイナップルの禁輸措置を講じ、その影響で日本においしい台湾パイナップルが大挙して輸入されるようになったのは記憶に新しい点です。
(ちなみに山手線の駅名を冠した怪しい自称会計士の場合も、毎年春先、スーパーに台湾パイナップルが並ぶと、必ず購入しています。)
今回の日本産水産物も、結局、台湾パイナップルと同じで、中国の不当な禁輸措置をきっかけとして、販路の多様化が図られる、という事例になると面白いのではないでしょうか。
いずれにせよ、今回の禁輸措置は科学的根拠を欠いた不当なものではありますが、中国が自分で始めた以上、それをどう収拾させるかは、すべて中国が自分で考えるべき話であり、日本は関係ありません。
今回の内閣改造で外相に就任した上川陽子氏は前任者と比べて中国に対しそこまで親和的ではないとされているようですが、さて、どうなることやら。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
単純な疑問として、回転寿司で1000円分のホタテ握りを食べても、卸売換算だとせいぜい100円くらいでは?
福島だか東北だか、全国の漁業組合だかが補助金だか支援金だかを受け取るって記事を掲載されてから漁業関連からの過激なシュプレヒコールが鳴りを潜めた様に感じるのは、穿ちすぎだろうか。「汚染水反対!」「福島の海を汚すな!」が以前より聞こえない。どういう流れで末端までカネが流れるのかしらないが海産物は嫌ではないが応援するきにはならない。中国は14億の市場を背景に台湾のパイナップルやマンゴー、フィリピンのバナナ、鉱物のレアアースの禁輸なたどをしてきた。石炭のオーストラリアとの争いもあった。諸外国が税金投入したのかはわからないけど、支援金投入の明瞭化は必要だとはおもう。
そりゃあ輸入禁止や声高に宣言したんだから減少しなけりぁおかしいよ。
でも未だに20%は輸入してるってことだわな。要らないなら売らないだけだから。
0%になるように有言実行しろよ、二度と買うなよ。
中韓とも潜在敵国で政治的リスクのある国との取引は削減していくことが望ましい。
長期的に見れば国内流通を増やすか政治的リスクの少ない国との取引を開拓する方が生産者にとって利益になる。
科学的に安全な食品を謂れのない批判で輸入禁止するなら自国の毒のような水と食品で満足すれば良い。
中国が輸入減をカバーするために「国産品」を増やす=日本近海での後先考えない乱獲が加速しなければ良いのですが。彼ら名目「日本産」を減らすだけで、結局は近い海域で操業しているわけですから。科学無視+恥知らずの強みというかなんというか。
中共政府は自国のアレコレを過大評価する傾向があるやにウカガエマスし日本政府は自国の地力を低く見せるに腐心しているげに見えます。後者を驕らず謙虚能ある鷹は爪隠すとポジティブにとりがちなワタクシなどはドメスティック島国根性にドップリといったトコロでありませうが、対前者メンタリティを考えると後者の意を通すといふ観点では相性悪そうな組み合わせっすなァ
まー地産地消を国単位で!っつーコトでお魚食べようキャンペーンとか…電通案件??
我が国のプレゼンスキルは異世界転生時チート附与待ちなんでしょーかな…
新宿会計士殿、毎日大量の記事配信有難う御座います。
米連邦議会議事堂での福島県産を始めとする食材を使用した寿司や日本酒をふるまうイベント開催だけではなく、米国は更に一歩進んで中国外しを進めています。
米国で人気の日本産ホタテの多くは中国で加工処理されてから米国へ再輸出され、米国現地で消費されているそうです。そこで在日本米国大使館は、米食品医薬品局(FDA)の登録を受けた台湾、タイ、ベトナムの加工施設への輸出を仲介し、中国の加工工場を外し、米国に再輸出するルート構築支援始めました。そもそも中国の工場での衛生管理が信頼出来ないのと、ウイルスを仕込まれるやもしれない恐れから米国消費者を守る算段でしょう。
斯様な工夫は、本来は日本の農林水産省や経産省が率先して手掛けるべきなのに、米国が行っているのに、日本政府の愚鈍さを感じてしまいます。
詳しくはこちらをご覧下さい。
<独自>米、日本産ホタテに中国以外の加工施設仲介
https://www.sankei.com/article/20230915-5H37YXKIXJIPFPLQ26Y7Y3FNZY/
Youtubeでは青森県在住と思われるyoutuberが解説をしています。
米国が日本産ホタテの海外加工先を斡旋、輸出ルート構築に乗り出す…中国はまさに因果応報
https://www.youtube.com/watch?v=X2tQe6MuLkU
ハポンは法治国家なのと、カンリョーズは”柔軟な運用”の責を問われるくらいならナニもシナイ、のコンボっすから
先ずは官吏が容易に逃げ道を見付けられん程の立法措置を我等が一票から…デハアリマセンカナ
4人家族です。冷凍ホタテを某所で3980円分買いましたので、食卓に並べ家族でこの話題を考えてみます。
ホタテを買った分、それまで食べてた他のもの例えば肉などを食べなくなれば食肉業界が打撃を受けるのではないですか?