国民民主「連立入り観測」に「やきもき」する立憲民主
国民民主党は、台風の目になりつつあるのかもしれません。衆参で10人少々ずつの小規模な政党ですが、最近、やたらと「自公国連立」などの観測記事を目にするようになりました。玉木雄一郎代表自身は連立入りを否定していますが、それでもこうした連立の動きが出て来ることだけで、立憲民主党も「やきもきしている」(産経ニュース)のだそうです。
目次
少数政党が連立入りすると空中分解する
国民民主党が連立与党入りすることはあるのか、また、それが国民にとって、良いことなのかどうか――。
これについて、当ウェブサイトの主観ですが、やはり「連立入り」自体は時期尚早、というのが基本的な評価ではないかと思います。あくまでも過去の「自社さきがけ」、「自自公連立」などの事例に照らせば、少数政党が下手に自民党と連立を組むと、その少数政党は空中分解してしまうことが多いからです。
このうち「自社さきがけ」は、1994年に発足した連立政権の枠組みで、自民党を主体としつつも、首相には少数政党である社会党の村山富市委員長が、蔵相にはさらに少数政党である「新党さきがけ」の武村正義代表が就任しました。
しかし、村山内閣自体は政権発足から2年ももたず、村山首相は橋本龍太郎・自民党総裁に「禅定」する格好となり辞任。96年の総選挙で社会党改め「社民党」が「新党さきがけ」とともに議席を大幅に減らし、新進党(当時)からの離党者を取り込んだ自民党が単独過半数を回復しています。
ちなみに社民党はその後、分裂して一部は民主党に合流し、一部は「新社会党」を結党したのですが、その後、社民党は長い凋落を辿っており、現時点において所属している国会議員は新垣クニオ、福島みずほ、大椿ゆうこの3氏です(新垣氏のみ衆議院議員、他2人は参議院議員)。
「新党さきがけ」に至ってはその後、大半が民主党に合流したものの、最後は「みどりの会議」という環境政党が残り、その政党すら、2004年ごろには消滅しています。
自自公のときは「自由党」が消滅した
「自自公」の例についても、同じようなものです。これは1999年に発足した連立の枠組みで、自民党が当時の小渕恵三政権下で自由党、公明党の2党と連立を組むことで、連立与党は衆参両院で過半数を制しました。
しかし、連立に加わった自由党はその後、2000年に連立から離脱する際に「保守党」と分裂。「保守党」自体はその後、「保守新党」と名前を変えたものの、最終的には自民党に吸収されて消滅しています(現在「二階派」を率いる二階俊博氏は、このときに自民党に出戻っています)。
つまり、「自社さ」、「自自公」の2つの事例では、公明党を除けば、連立に加わった少数政党は選挙で惨敗したり、バラバラに分裂したりして、勢力を極端に減らしたり、消滅したりしています。
こうした前例を踏まえるならば、国民民主党が自民党と連立政権を組んだとしても、最終的には自民党に取り込まれるか、より大きな野党に合流するか、消滅する、といった未来が待っていると懸念するのも当然でしょう。
実際、かつての「新党さきがけ」や「保守新党」の場合は、少数政党ながらも政権である程度の存在感を放ち、重要閣僚を輩出するなどしていますが、現在は政党そのものが存在しません。
国民民主党もうかつに政権に参加すると、自民党に取り込まれ、「自民党・玉木派」になるのがオチだとすれば、「非自民の保守(?)政党」であることを期待して国民民主党に投票した有権者の期待を裏切るようなものかもしれません(※個人的に、国民民主党が「保守政党」だとは思いませんが…)。
国民民主党のポテンシャルと自民党から見た「利用価値」
ただし、『国民民主党「連立入り」議論すること自体の政治的効果』でも言及しましたが、「国民民主党が政権に入る(かもね)」、という話題が定期的に出て来ること自体は、歓迎すべきことかもしれません。
政治に一種の緊張をもたらす効果が期待できるからです。
とりわけ自民党とともに連立与党を構成している公明党にとっては、「いざとなれば連立離脱カードをチラつかせて自民党に自党の言い分を呑ませる」、といった行動が、牽制されます。
国民民主党は衆院で10議席、参院で11議席を持っています(統一会派ベースで見れば衆院10議席、参院13議席)。
自民党は衆院(定数465議席)では、過半数(233議席)どころか、「絶対安定多数」に近いとされる261議席を保有しているため、これに国民民主党の10議席が加わったとしても、さらに政権が安定するものの、あまり大きな効果はありません。
しかし、参議院(定数248議席)では、自民党は統一会派ベースで117議席と、過半数(125議席)にはあと8議席足りません。ここで国民民主党(11議席ないし13議席)が加われば、いちおう、公明党が連立から抜けても過半数は維持できます。
だからこそ、「自公国連立」は、むしろ自民党にとって「利用価値」が高いことは、間違いありません。
国民民主党の動きを「やきもき」=立憲民主党
一方で、国民民主党側も、自民党という「大政党」に取り込まれるリスクがある反面、政権入りすれば政権担当の経験を積むことができるほか、少数政党ながら自党の主張を政策に反映させることもできる、というメリットもあります。
このため、「リスク・リターンの関係」で見れば、国民民主党にとっては政権入りは「自党分解」というリスクを伴うものの、自党の存在感を高めることができる(かもしれない)という意味においては、それなりのリターンも期待できるのでしょう。
ただ、この「自公国連立」の噂話が出て来ることで、思わぬ効果も生じているようです。
産経ニュースに5日付で掲載されたこんな記事は、なかなかに興味深いものです。
立民が国民民主にやきもき 与党接近を警戒
―――2023/9/5 19:17付 産経ニュースより
産経によると、立憲民主党は「国民民主党の玉木雄一郎氏の動向を注視している」のだそうです。
玉木氏といえば2日の代表選で再選を果たしたばかりですが、その国民民主党を巡って「自公国連立構想」が出て来ることで、立民としては「国民民主の与党接近を警戒」するなど、「焦りと苛立ちを募らせている」というのです(記事タイトルで「やきもち」と誤読してしまった人もいるかもしれませんね)。
産経は記事の末尾で、立民関係者のこんな発言を取り上げています。
- 「(3党連立構想は)無理だ。玉木氏が参加しても連合はついてこない」(立民関係者)
- 「自民に近づいて吹っ飛んだ小さい政党をいくつも見てきた。国民民主も星のように消えていく。スターダスト(星くず)だ」(立民ベテラン議員)
逆にいえば、野党連携、野党選挙協力を必要としている立憲民主党に対し、「自公国連立構想」自体が大きなフラストレーションを与えている、ということでしょう。
この点については、たしかにそのとおりかもしれません。
例の「エッフェル塔おばさん」や「ブライダルおばさん」に代表される、自民党の一部議員の振る舞いという「敵失」にも関わらず、立憲民主党は各種世論調査の政党支持率で日本維新の会に抜かれ、泉健太代表が進退をかけている「衆院150議席」の達成はほぼ絶望しされている状況にあります。
良い意味でも悪い意味でも「台風の目」に?
この点、同じ「民主党→民進党」という流れをくみ、連合を支持基盤とするという共通点はありますが、国民民主党にとっては立憲民主党との連携を模索するよりも、是々非々で自民党や(次回選挙で第2党に浮上するかもしれない)日本維新の会と協力する方が、自由に動ける、という側面はあるのでしょう。
それに、私たち国民にとっても、誰がどんな政権を構成しようが、経済が発展し、国の安全がしっかりと整い、私たち庶民が生活しやすくなることが大切なのであって、「政権入りする/しない」、「選挙協力する/しない」は、あまり本質的な問題ではないはずです。
もちろん、国民民主党が立憲民主党と協力するのかしないのか同党の判断に属する話であり、同党の方針は私たち一般国民にはわかりませんが、とりあえず同党の動向に注目せざるを得なくなっている時点で、国民民主党は「台風の目」のひとつになりつつあるのかもしれません(それが良いか悪いかはわかりませんが…)。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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参議院は秘めた力がありますからね。
衆参の第1党が異なるとねじれ国会。
仮に参議院の第1党が立憲だと、大幅に妥協せざるをえない・・・。
えっ、そこじゃない?
自民党を選挙応援で脅す政党と連立解消したい!のあてつけでしたか・・・。
立民は連合に何も恩恵を与えなくなっていますが……連合はもはや立民の人質ですね。
しかし自オン公国だのスターダストメモリーだの一体何の話を。
スターダストと聞いて福島瑞穂さんが頭をよぎり、、
立憲の悪夢、
いや
悪夢の民主党か‼️、
私は帰ってきた~っ‼️、
下がれと言っている‼️
玉木に やきもき どうすべき
立憲ベテラン議員の自民に近づきすぎるとスターダスト(流れ星)になるという表現は詩的で良いですね。しかしどうせ立憲も5年も持たず無くなる可能性がのあるのですから、ゾンビでいるより焼け切った方が綺麗だと思います。
自民党は、良く言えば懐が深い政党ですが、悪く言えば何でも入ってるごった煮政党。
総体で見ると、自我を持たない力の塊のような政党。
そんなところと連立を組めば、我は汝、汝は我。自民には自党と同じような人も大勢いるなとなり、別の党でいることのアイデンティティがあいまいになって崩れていく。
自民党が掲げていない政策(NHKをぶっ壊すとか、財務省を分割するとか、池◯大◯万歳、は政策ではないか)を持っている者のあつまりなら、別々でいられるかもですが、国民民主あたりだと、シューメーカー・レヴィ第9彗星のように、分裂しながら巨大な木星の中に吸い込まれていくだけになるかもしれませんね。
細かい点ですが、シューメーカー・レヴィ第9彗星について訂正させていただきます。
同彗星は1994年に木曜に衝突して消滅しましたが、1993年に発見された時に既に分裂していました。
その後、過去の木星への接近の際にロッシュ限界を突破して砕けたと推定されました。
なお、衝突の直前に断片がさらに分裂した可能性はありますが、その位置が地球から見て木星の裏側であったため直接観察することは不可能でした。
私は連立に賛成ですが、世の中の反応を見ると、意外と反対している人が多いんですね。
是々非々で話ができるなら、政権に居た方が色々できると思うのですが・・・
まぁ、それだけ自民党が嫌われているのかな、と言う気もしないでもないです。
できれば、もう少し議席を増やして、公明党に取って代われれば最高だと思います。
ブログ主様が具体的に指摘しておられる通り,自民党と連立政権を組んだ少数政党は悉く消滅しました.
政権にいるほうが色々と出来るのは事実かも知れませんが,国民の視点からすれば,政権内の政策協議は何が行われているか分かりづらい.
一般国民の視点に立てば,国会の論戦の場で野党として政府案の問題点を指摘し対案を出して与党側に部分的にでも譲歩させて政策を実現するスタイルのほうが政権内部の政策協議よりもどういう問題点が議論されておりどんな解決策をどの党が提案したかが遥かに分かりやすく,政党としての存在感もアピールできます.
国民から見ての政党の存在感が失われてしまえば,(極めて熱心な極く少数のシンパを除いて)誰もその政党に投票しようとは思わなくなります.その結果,弱小政党にとって最後の頼みの綱である比例区でさえ殆ど議席を得られなくなってしまいます.
存在感を喪失した政党が如何に惨めな姿になるかは今の社民党を見れば良い.あれこそ正に極めて少数のシンパしか投票しなくなった政党の成れの果てです.
数と言う力を得るために焦って政策実現しようと巨大政党という八岐大蛇の待つ政権に加わろうとするのは間違いです.
特に国民民主党の場合は連合という(今のまま既存の組合員の既得利権だけを守り,同一労働同一賃金という公平さを無視して非正規労働者を切り捨てたままでは長期的な衰退は確実ですが)確実で相当な規模の支援団体がバックについてくれているのですから,数を増やすことに焦る必要はなく長期的に徐々に力をつける戦略を執れるのですし.
寧ろ,国民民主党の場合,連合による支援で競合している立憲民主党をどうやって蹴落とし,連合が「国民民主と立民とが共に候補者を立てようとしているなら連合としては国民民主の候補を正式に支援しよう」と判断するように持って行く戦略を考えるべきです.
それには,日本の企業労組が基本的には協調路線を採っていることから,立民のような理想というよりも夢想路線でなく現実路線で与党に対案を呑ませて徐々に(連合だけでなく一般国民に対しても)存在感を高めることが重要でしょう.
連合も,遠からず夢想路線の立民を支持する公務員労組系と現実路線でなければ困る企業労組系とに分裂せざるを得なくなる(既に連合の内部では両者の間で不協和音が鳴っていると推測しますが)と個人的には予想しています.そして企業労組系の受け皿として国民民主という政党が存在している事が国民民主党自身にとって何よりも重要なのですが,それは自民党と連立を組んでは果たすことは出来ません.(仮に企業労組系がそれで良いならば,そもそも企業労組系は国民民主なんて少数政党に投票するよりも巨大政党の自民党に投票して自民党に対する影響力を得て直接に企業労組としての要請を実現させれば良いということになりかねません)
迷王星様、よくわかりました。ありがとうございます。
焦って政権入りするより、国民民主党にとっては、地に足を付けて焦らずに地道に議席を増やすことが重要なのかもですね。
岸田氏目線でいけば国民連立入りは悪くないのでは。何よりも公明への強烈な牽制になる。そのまま自民に吸収されればそれで良し、次回選挙でスターダストのように消えればまたそれで良し。痛くも痒くもない。
玉木氏も年齢的に今が政治家としてのピークではないか。野党で60後半は存在感がない。野党は威勢のいい若いのが次々に出てくる。ここで与党入りという博打を打つのもあり。政策の一つでも実行できれば、それは政治家として本望。小沢一郎みたいに高齢になって政治家の地位にのみ固執しているのは見ていて悲しい。万が一、自民の潜り込めれば、歳を取ったら二階氏のような存在感を持つこともできるかも。
過去に自民党と組んだ政党で長持ちしたのは公明党だけだ。巨大な創価学会をバックに一定の集票力があるから永らえた。宗教がバックだから可能だけど実際には政教分離には違反していると思う。なんのことはない。自らの当選を担保に自民党の政治家が法律違反しているだけの事なのだ。学会員がキチンとした判断ができればいいが洗脳とは恐ろしい。悪政を支持してしまうのが大部分なのだから。話題の国民民主党はみずからのアイデインテイを持ちつつ存在を維持出来るのなら、政策実行には大きなアドバンテージとなる。要は志の問題だ。欲が上まわれなければ消えることはない。スターダストは立憲だ。国民民主党には頑張ってもらいたい、自らを含め不祥事議員を処分できれば国民の支持は倍になってかえってくる。
>国民民主「連立入り観測」に「やきもき」する立憲民主
あるいは、国民民主「連立入り観測」に「やきもき」する連合ですね。
立憲民主も「やきもき」するかもしれませんが、国民民主党が連立入りすれば、連合は国民民主を支持するかどうかの判断を迫られます。
従来通り国民民主を支持すれば、間接的に自民党を支持することになりますので。
連合は、国民民主党を切り捨てることが出来るのでしょうか?
連合も分裂しかねない事態に陥ると予想されます。
ただ今回の連立入りの話は、自民党が公明党を揺さぶるために国民民主党をダシに使った可能性が大きいと思われますので、玉木さんもこの話は眉唾物だと思ってるのではないでしょうか。