外国メディアが岸田首相ウクライナ訪問に注目する理由
岸田文雄首相の先週のウクライナ訪問とウォロディミル・ゼレンスキー大統領との会談に関する外国メディアの報道を見ていると、ちょうど習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席がロシアの大統領であるウラジミル・プーチン容疑者と会談したタイミングにぶつかったことに注目しているものが多いことがわかります。いずれにせよ、私たち一般人が直接、外国メディアの報道を確認できるというのも、興味深い時代になったものです。
目次
ネットは一般人が「第四の権力」持つ独裁者に抵抗する手段
インターネットの時代が到来しました。
昨日の『ネット化で一般人は「メディアに反論する手段」を得た』でも議論したとおり、ネット時代の到来で得られる大きなメリットは、私たち一般人にとっては情報源が多様化したことに加え、新聞、テレビなどのオールドメディアに反論する手段が手に入ったことにあります。
ひと昔前であれば、「マスコミは第四の権力だ」、などとする主張もありましたし、酷いケースにおいては、「新聞記者は国民の代表」などとする思い上がった見解が、オールドメディア関係者などからが聞こえて来ていました。
民間企業の従業員に過ぎない新聞記者が「国民の代表」とは、なかなか理解に苦しむ発想ですが、こうした発想が出て来るのも、かつての新聞、テレビが持っていた社会的影響力がいかに大きかったかという証拠にほかなりません。
このように考えていくならば、マスコミとは、まさに「権力者」、しかも私たち主権者の信託を受けていない独裁者)のようなものだったのであり、私たち主権者がそのマスコミに抵抗する手段ができたという意味で、ネットはフランス革命にも匹敵する一大発明なのです。
ドイツのメディアの岸田訪宇に関する報道
さて、こうしたなか、ネットの威力を痛感するタイミングがあるとしたら、それは外国メディアの報道を直接目にするときではないでしょうか。
当ウェブサイトの読者の方からご指摘をいただいたのが、動画サイトに投稿された外国のテレビ報道番組です。
岸田文雄首相が先週、ウクライナの首都・キーウを訪れ、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談しましたが、これに関連し、複数の外国メディアがこれを習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席のロシア訪問とウラジミル・プーチン容疑者(※ロシア大統領)との会談とぶつかったことを指摘しているのです。
たとえば、ドイツの公共放送DWが3月22日付で配信した次の動画では、30分弱のコンテンツのうち20分ほどが、中露両国が「戦略的パートナーシップ」を宣言したことに充てられているのですが、残り10分が日宇首脳会談の話題に充てられています。
動画の概要欄の説明は、こんな具合です。
China and Russia are entering a ‘new era’ of ties, the leaders of both countries said, as they met for a second day of talks hosted by the Kremlin. Chinese President Xi Jinping and Vladimir Putin signed a deal to expand bilateral trade and energy ties. Xi is on an official visit in Russia just days after an international court issued an arrest warrant for Russian President Vladimir Putin.
Xi Jinping is not the only major Asian leader with a stake in the war in Ukraine. Today Japanese Prime Minister Fumio Kishida paid a unannounced visit to Kyiv to meet with Ukrainian President Volodymyr Zelenskyy. Kishida has been a firm supporter of Ukraine, providing billions of dollars of humaitarian and financial aid to Kyiv. Japan has also joined the sanction regime against Russia over its invasion of Ukraine. Kishida invited Zelenskyy to address the G7 summit Japan is hosting in the city of Hiroshima in May.
意訳しておくと、こんな具合です。
中露両国の指導者はクレムリンが主催した2日目の会談で、両国が「新時代」に突入したと宣言した。習近平国家主席とウラジーミル・プーチン大統領は、両国の貿易・エネルギー関係を拡大するための協定に署名した。習近平氏の訪露は、国際刑事裁判所がプーチン大統領の逮捕状を出した数日後のことだった。
しかし、ウクライナ戦争に利害関係のあるアジアの主要な指導者は、習近平氏だけではなかった。本日、日本の岸田文雄首相がキエフを電撃的に訪問し、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。岸田氏はウクライナの強固な支持者であり、ウクライナに数十億ドルの人道的・財政的援助を提供している。また、日本はウクライナへの侵略を行ったロシアに対する制裁体制にも参加している。岸田氏はゼレンスキー氏を、日本が5月に広島で開催するG7サミットに招待した。
習近平訪露とタイミングが重なったという事情もありますが、ドイツで日本の存在がここまで注目されるというのも異例(?)ではないでしょうか。
BBCも岸田訪宇に注目
次に、英国の公共放送であるBBCも21日付でこの話題を取り上げ、やはり岸田首相の訪宇が習近平主席の訪露と重なったことを指摘しています。
動画の概要欄の説明は、こうです。
Japanese Prime Minister Fumio Kishida is making a surprise trip to Kyiv to meet with President Volodymr Zelensky.
The visit is the first time a Japanese PM has visited a country with ongoing fighting since World War II.
It comes as Chinese President Xi Jinping and President Vladimir Putin begin a second day of talks as part of a state visit to Moscow.
これも意訳しておきましょう。
日本の岸田文雄首相は電撃的にウクライナを訪問し、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。日本の首相が戦地を訪問するのは第二次世界大戦以来初めてのこと。おりしもモスクワでは中国の習近平国家主席がロシアのウラジミル・プーチン大統領との2日目の会談が行われている最中だった。
先ほどのドイツDWの動画と比べれば短めですが、それでも要点としては「習近平訪露とタイミングがぶつかった点」などに注目している点は興味深いところでしょう。
ポーランドのメディアも!
さらに、「はにわファクトリー」様というコメント主様からは、ポーランドの公共放送TVPによる22日付のこんな動画を取り上げていただきました。
ポーランドといえばウクライナの隣国であり、旧共産圏でもありますので、その切迫感は日本の比較ではないでしょう。ちなみに動画の概要欄にはこうあります。
Japanese Prime Minister Fumio Kishida visited Kyiv on Tuesday. Until now, Japan had only been marginally involved in the conflict. Meanwhile, the former head of Ukraine’s security service in the northeastern city of Kharkiv is being indicted on charges of high treason for allegedly having sabotaged the region’s defense against Russia.
こちらは、こんな具合です。
日本はこれまで、この戦争にあまり深くかかわってこなかったが、日本の岸田文雄首相は火曜日、キーウを訪問した。その一方で、ウクライナのハルキウの治安維持部隊の元責任者はロシアに対する地域防衛を妨害したとして、国家反逆罪で起訴されている。
これらの3つの動画には共通点があります。それはいずれも視聴者コメント欄がオンになっていることです。日本のメディアは動画を公開しても、視聴者のコメントをオフにしていることが多いのですが(※著者私見)、外国のメディアはこのあたり、かなりオープンです。
そして、これらの視聴者コメントを読んでいると、日本に対する絶賛の声が圧倒的に多く、岸田首相の訪宇が世界に与えたインパクトの大きさがわかります。
一般人が外国メディアの報道を気軽に視聴できる時代
こうした事例からもわかるとおり、ネット時代になれば、日本国内の報道だけでなく、外国メディアの報道も簡単に手に入るのです(しかも一部のメディアは現地語だけではなく、英語でも発信してくれているのも大変にうれしいところです)。
なお、外国メディアの視聴に関し、「英語のコンテンツは難しい」と二の足を踏む人もいるかもしれませんが、非英語圏のメディアが発信する英語のコンテンツは、私たち日本人にとっても聴き取りやすいものですし、しかも現代のインターネットでは各種翻訳ツールも充実しています。
じっさい、英語が得意でない場合でも、YouTubeの字幕機能を使い「日本語」に設定すれば、事実上、日本語での視聴も可能です(※ただし、字幕は機械翻訳であり、正確ではない可能性があるため、注意が必要ですが…)。
いずれにせよ、面白い時代になったものです。
ひと昔前であれば、外国語のメディアの報道を私たち一般人が入手すること自体困難でしたが、このネット社会においては、私たち一般人は外国メディアであっても自由に検索し、視聴することができるわけです。
「ネット空間においては情報源が無限大である」というのも、あながち誇張ではないでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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TVPもBBCもDWも、日本の行動を肯定的に捉えた報道ですね。多分に中露首脳会談とタイミングを合わせたようになったからでしょう。さて、日本のオールドメディアはどうでしょうか?事前に知り得た者がいた割に、連日報道というのは無かったと思います。
外報3社は視聴者コメント欄がオンになっているとは、なかなかオープンです。日本はコメント送っても「ありがとうございます。今後の番組作成に参考とさせていただきます」(コメントはボツ)笑。外国のメディアはかなりオープンですね。
ま、◯行燈の岸田首相でも、今回は結果ヨシでした。
偶然ではない、露中トップ会談に日宇トップ会談をぶつけたのですよ。
こういうのやるのが大好きなのがアメリカ。
西洋のマスコミが日宇会談を絶賛?したのも英国の仕込み、米国の仕込みかな?
こういうの日本にはできない、日本はこういうの好きではない、非常に効果抜群ですが。
まあ、英米が用意した舞台に日本が乗っただけでしょうね、そして極めて上手に躍りました!
まあ、それにしてもロシア退散しゃもじは、効果抜群でしたね!
今回の岸田首相のウクライナ電撃訪問のタイミングは、国会日程の合間という国内要因でしかないのですが、たまたま習近平主席のロシア訪問と重なり、欧米からは「アジアの指導者が双方に分かれた」と見えたのでしょう。中国のサウジ・イランに続く和平仲介外交の出鼻も挫くことが出来て、何よりです。
岸田さんは、今のところ幸運には恵まれていそうですね。①コロナによる菅政権の早期崩壊②米国に追い込まれた尹政権による一方的譲歩(異論ありかもしれませんが)③そして今回、ですもの。
ただまあラッキー頼みは、長続きしないので、しっかり実力を身に着けてください。
あれ、そういや台湾の蔡英文さんがウクライナ訪問したと聞きませんね
是非、してほしい
ウクライナの現在が台湾の未来になる可能性大なのだから
韓国?話にならない
たまたまだけどキシダは”持ってる”ね
運がいいのも実力のうちか
会談が被った中露の反応は、
【中国】岸田総理のウクライナ訪問を中国政府けん制「情勢緩和の逆のことをしないよう希望する」
【ロシア】ザハロワ報道官は「もしかすると習主席のロシア訪問と首脳会談に対する評価を変え、焦点をそらそうとしたのかもしれない」と述べ「日本の立場は以前から分かっているのでそれほど気にしていない」
と、当然のことながら歓迎していません。
ロシアと共に領土拡大の野心を共有し周辺地域を常に不安定にさせている中国の「情勢緩和と逆のこと」というジョークは、おもしろ~い。
一方日本のマスコミは「極秘訪問をすっぱ抜いてやったぜ」報道や「しゃもじを贈っただとさ」ばかりを取り上げて、その意義にほとんど言及しないのは何故なんでしょうね。いくら「マスゴミ」でもそこまで知恵が回らないほど頭が悪いわけではないでしょうに。
陰謀論を言いたくありませんが、巷でささやかれる「日本の大手マスゴミは裏で中国の支配を受けている」ということに、やはりなるのでしょうか。
政治システムに共産主義と民主主義があるように、メディアも権力集中の共産主義的なマスメディアと、多様性のある民主主義的なネットがあると言う事だと思います。
現時点ではベターであるる民主主義にも欠陥があるように、ネットにも欠陥があります。その一つが分断でタコツボ的になりがちなネットの世界で、如何に人々を繋ぐかと言う課題は大きいと思います。
ネットも使い方を間違えると、ガーシーの様な似非政治家を産んでしまいます。
プーチン大統領、岸田さんの訪宇で中露会談の報道を邪魔されたことがよほど悔しかったのでしょうね。
欧米を「日独伊の、枢軸のような同盟を目指している」と批判したようです。さらにロシアと中国との関係については、「軍事同盟でなく、透明性がある」とも主張したとのこと。まさに「おまゆう」の極みかと。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6458248
岸田首相の今回のウクライナ訪問は、偶然とはいえ絶妙のタイミングでした。
ロシアのプーさんは激おこのようですね。
中国のプーさんの心境は微妙でしょうね。
中国のプーさんは、現在ホワイトナイトを装って仲介役に名乗りを上げています。
仲介役を装うためにまずロシアのプーさんを訪問したのでしょうけど。
岸田首相は、評価が微妙なしゃもじではなく砲弾などの提供が出来れば尚良かったのですが。
現状武器弾薬の提供は無理ですが、日本有事の場合を考えると、自分の都合ばかりを主張するのは最早難しい情勢ではないかと思います。
また、私が岸田首相に感じる不安は、ウクライナやインドなどを戦略的意思を持って主体的に訪問しているのではなく、アメリカの意向など世界情勢に流されているのではないかと感じさせるところです。
中国やロシアに対して、日本として主体的に明確な方針を持って対応しているのなら良いのですが・・・。