米韓金利差拡大?韓国が日韓スワップ求める切実な理由
米FRBが今年も利上げ路線を歩む観測が高まるなか、米韓金利差が2%ポイントにまで拡大すれば、再びウォン安、韓国からの外貨流出が進みかねません。こうしたなか、尹錫悦(いん・しゃくえつ)韓国大統領が日韓関係「改善」に前のめりとなっているのも、日韓通貨スワップなどの日韓金融協力に向けた期待もあるからなのかもしれません。来週の尹錫悦氏の訪日で日韓通貨スワップに言及があるかどうかは注目点のひとつです。
G20が役立たない理由
G20という枠組みは、果たして有益なのか――。
結論からいえば、少なくとも金融・財政という側面で見て、「G20諸国」が集まる意義はほとんどありません。というのも、G20加盟国のなかには、国際金融面でほとんど存在感がない国もあるからです。
その「存在感」を示す指標があるとしたら、たとえば昨日の『G20に「相応しくない」アルゼンチン、韓国、インド』でも取り上げた、国際決済銀行(BIS)のデータに基づく「通貨別オフショア債券市場」の規模に関するものでしょう。
この点、G20諸国を構成しているメンバーは、多様です。G7(日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ)や欧州連合(EU)、豪州といった先進国も含まれていますが、それだけではありません。俗に「新興市場諸国」ないし「新興国」と呼ばれる国も11ヵ国も参加しているのです。
ここでいう「新興国」(つまり発展途上国)は、「BRICS」、つまりブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカという5ヵ国に加え、インドネシア、サウジアラビア、トルコ、アルゼンチン、韓国、メキシコが該当します。
G20に参加する発展途上国
- BRICS…ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ
- その他…インドネシア、サウジアラビア、トルコ、アルゼンチン、韓国、メキシコ
当ウェブサイトにおいてこの「オフショア債券の発行残高」に注目する意義は、その国の通貨に、「自分の国の通貨で外国からモノを買う能力」がどれほどあるかを推測する指標のひとつだからです。
当然、先進国通貨の場合はいずれも上位に入ってきますが、新興市場諸国の場合、「G20参加国」に相応しくないほど発行残だ金が少ないのが実情です。
オフショア債券発行残高が極端に少ないインド、韓国、アルゼンチン
G20諸国のオフショア債券発行残高を片っ端から調べていくと、上位にはG7諸国や豪州などの通貨が入ってきますが、発展途上国通貨としては第7位に中国の通貨・人民元が入っているのが最高であり、人民元以外でオフショア債券発行残高が1000億ドルを超えている通貨はありません(図表1)。
図表1 G20諸国通貨のオフショア債券発行額のシェアランキング(2022年12月末時点)
通貨 | 金額 | シェア |
---|---|---|
1位:米ドル | 13兆1065億ドル | 47.83% |
2位:ユーロ | 10兆4912億ドル | 38.29% |
3位:英ポンド | 2兆0334億ドル | 7.42% |
4位:日本円 | 3587億ドル | 1.31% |
5位:豪ドル | 2546億ドル | 0.93% |
7位:人民元 | 1733億ドル | 0.63% |
8位:加ドル | 1369億ドル | 0.50% |
15位:南アフリカランド | 268億ドル | 0.10% |
16位:ブラジルレアル | 191億ドル | 0.07% |
18位:ロシアルーブル | 160億ドル | 0.06% |
19位:サウジアラビアリヤル | 123億ドル | 0.04% |
20位:トルコリラ | 109億ドル | 0.04% |
21位:インドネシアルピア | 101億ドル | 0.04% |
23位:インドルピー | 84億ドル | 0.03% |
34位:韓国ウォン | 21億ドル | 0.01% |
44位:アルゼンチンペソ | 1.3億ドル | 0.00% |
(【出所】BISウェブサイト “Download BIS statistics in a single file”, Debt securities statistics データを参考に著者作成)
さらには、オフショア債券の発行残高が100億ドルに満たない国が、インド、韓国、アルゼンチンの3ヵ国であり、とくに一番少ないアルゼンチンの通貨建てのものは1億ドル少々です。昨今のアルゼンチンペソの価値暴落で、米ドル表示にしたオフショア債券の発行残高が極端に小さく表示されている、という事情もあるのかもしれません。
その一方で、GDPで世界10位圏内に入り、自分たちを「G8」などと自負している韓国の場合、オフショア債券発行残高がアルゼンチンに続き、G20で下から2番目である、というのは意外です。間接的には、「韓国ウォン」という通貨の購買力の低さの証拠でもあります。
結局はウォンの使い勝手が悪い
ではなぜ、韓国ウォン建てのオフショア債券発行残高は、ここまで少ないのでしょうか。
その最大の理由が、ウォン取引における規制の厳しさです。
先月の『建国来70年ぶり外為改革、失敗なら通貨危機も=韓国』でも取り上げたとおり、韓国の外為市場では現在、取引の24時間化も図られておらず、それどころか韓国ウォンの現物取引は、韓国国内の業者に対してしか許されていません。
先進国通貨の場合、国外(オフショア)での外為取引は広範囲に認められていますが、韓国はそうではないのです。
このあたり、日本企業(とくにメーカーなど)の場合は、基本的に自国通貨だけで生産活動を行うことができます。事業目的でわざわざ外貨(米ドルなど)を借りる必要などなく、外貨が必要であれば、取引銀行に依頼して日本円を外貨に両替すれば済みます。
しかし、韓国企業の場合は、そうはいきません。
そもそも自国通貨自体が国際的な外為市場でほとんど両替できないため、メーカーなどは、直接、外貨(米ドル、ユーロ、日本円など)でおカネを借りる必要があり、したがって、韓国経済は日本経済と比べ、為替変動に極端に弱いのです。
米国の再利上げで米韓金利差は2%に拡大も?
こうしたなかで、最近のマーケットでは、再び米国の利上げ加速の可能性に注目が集まり始めました。
東洋経済オンラインに10日付で掲載された次の記事にもあるとおり、米国の最近の経済指標が思いのほか堅調です。このため、米FRBがインフレを抑え込むために今年も利上げ路線を継続し、FF金利は最終的に5.50~5.75%程度にまで引き上げられるとの観測も生じている模様です。
FRBが利上げ再加速をする可能性が高まってきた/利上げペースを緩めた場合のリスクは大きい
―――2023/03/10 7:30付 東洋経済オンラインより
そうなると困るのが韓国です。
政策金利における米韓金利差はすでに1%ポイントを超えているのですが(図表2)、これがさらに拡大するかもしれないからです。
図表2 政策金利における米韓金利差
(【出所】BISウェブサイト “Download BIS statistics in a single file”, Policy rates (daily, vertical time axis) データより著者作成)
政策金利差が2%ポイントにまで拡大すれば、再びウォン安が進みかねません。
また、韓国の場合、ウォン安は「韓国からの外貨流出」を意味しますので、韓国銀行がウォン安を止めるための為替介入を行えば、外貨準備が再び減少し、韓国全体で外貨不足、という可能性も生じてくるでしょう。
韓国の尹錫悦(いん・しゃくえつ)大統領が日本との「関係『改善』」に前のめりとなっている理由のひとつも、結局のところ、金融面での日本の支援――具体的には日韓通貨スワップや日韓為替スワップなど――を必要としているからなのかもしれません。
実際、韓国は2020年3月のコロナ禍の際、米FRBから上限600億ドルの為替スワップを締結してもらい、韓国の市中金融機関はニューヨーク連銀から最大200億ドル近くの融資を受け、危機を乗り切ったということがありました。
この米韓為替スワップ自体は2021年12月末で打ち切られたのですが、それ以降、韓国には少なくとも「二国間スワップ」で米ドルを借り入れるスワップラインを持っていません。
韓国が保有している二国間スワップは、中国とのものが最大ですが(図表3)、米ドル建てのものはひとつもないのです。
図表3 韓国が保有する通貨スワップの相手国別シェア
(【出所】各国中央銀行ウェブサイト等を参考に著者調べ。なお、ドル換算額は国際決済銀行による1月30日時点のものを使用している)
だからこそ、来週、尹錫悦氏が満面の笑みで日本を訪れた際、日韓通貨スワップの再開を言い出すかどうか、といった点も、金融評論的には注目点のひとつではないかと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
南国が日本にスワップを要求するのは
当然の事です。
自称徴用工への賠償額を南国が
肩代りした事に原因があります。
肩代りしたら、当然その対価を求めますよね?
それが日本からのスワップになるのは
自明の事ですね。
ところで、何の肩代りかが解らないところが
この問題を解らなくさせる要因ですよね?
南国政府がネコババした金額を対象者に
支払いすれば良いだけの話ですよね?
全て南国政府の問題で、日本は関係ないよね?
この先、韓国政府は間違いなくスワップを執拗に持ち出してくると思います。
ただし、日本側がスワップ協議の再開を引き受けない限りは表の情報としてはほとんど出てこないかと。
片務的な日韓スワップを、「お互いに」利益があるから結ぶべきと言い張る韓国は、表で頭を下げるということはしないからです。
用日政権お得意の裏土下座に、前のめりの岸田政権がどこまで耐えられるか…ため息が出ますね。
過去のいきさつをみても、向こうから言い出したくないでしょう。日本に頭下げてスワップをつけてもらったなどとは絶対に言いたくない。
たとえそういうことになっても「日本から言い出したので、両国の利益を考えて締結することにした」と発表するに決まってる。
誰のこととは言いませんが、あの人なら、あの国と通貨スワップしそうです。
日本が全く相手にしなかったが故に、一審で判決が確定してしまった自称慰安婦裁判結果がある限り、日本は通貨スワップには応じられませんよ。貸した途端に差し押さえられますからね。
万が一、韓国が通貨スワップの話を出してきたら、三権分立で裁判結果に従わなきゃいけないんでしょ、無理無理と、若しくは、まずは自称慰安婦裁判と労働者裁判の結果を無効にしてから出直して来てね、と回答すれば良いのです。
仮に100歩譲ってスワップ結んでも、今だとウォン安止められないんじゃないでしょうか・
中央日報【強制徴用問題決断した韓国、「実用外交」で日本越えを】
https://japanese.joins.com/JArticle/301867
??・・何を乗り越えたいんでしょう。徴用なんたら問題とその何かを乗り越えることが関係があるのかな?
ご存じの方も多いと思いますが、IMF以後の韓国は文字通りアルゼンチン並みの信用しか持たれない施策を政権に関係なく続けてますからねえ・・・。
日本だろうがアメリカだろうが、スワップを結んだ所で相手国がロクな対応を取らず使い潰すのだから無意味です。金融危機で懲りたタイの方がずっとマシです(インドネシアは相変わらずですが)。
昨日のプライムニュースの武藤さんは、正に売国奴。
木宮某と歩調を合わせて”呼応措置が~!”と進藤さんが正論を述べて、いくら諫めても聞く耳持たず。
この人達が詐欺師の片棒を一生懸命担ごうとする裏に何があるのか非常に興味が湧きますね。
逆に、こんなのに外交に携わらせたら、道を誤る事必定。
昨晩のプライムニュースはゲストの顔ぶれ4人中3人が札付きの韓国擁護派でまともな方は進藤さんだけのため、血圧が上がらないよう視聴しませんでしたが案の定でしたか。
李氏、武藤元大使は平常運転で酷いのでしょうが、木宮教授とやらも相当な代物です。1月の出演時にも「非公式でも被告企業は原告に謝罪するべきだ」とか、あんた本当に日本人かの暴言オンパレードでした。
プライムニュースはまともなゲスト(櫻井、真田、鈴置各氏他)の回と、変なバイアスがかかったゲストの回の落差が大きく、制作者の人の悪さを感じるのは気のせいでしょうか。
通貨スワップが目的でしょうね。絶対。
それほど日本円が欲しい・使いたいのなら、サムスンもヒュンダイも、日本に工場つくって日本で事業展開すればいいと思うのだが。日本なら土地も賃金も安いし、面倒な労組も、たぶん無い。
韓国が第一に欲しいのは日本とのウォン「ドル」スワップだと思われます。
米ドルが欲しいのであれば、アメリカ政府と協議するか、あるいはアメリカで事業展開して地道に稼ぐのが筋だと思う。
わが国は(たとえ米ドルの保有が多いとしても)ドル発行国ではないのだから、ウオン=ドルの交換に関与すること自体が不自然。そんな話はすべきではない。
おっしゃる通りです。
ですが実際に韓国とドルスワップも結んでいたのも事実ですから。
韓国側からすれば当たり前のように要求してきますよ。
日本は断るべきというのは私も同意のうえでの話です。
キシダなら日本の国益を損ねてでも韓国を助けるでしょうね。
韓国に騙される為に産まれ、韓国に騙される為に生き、韓国に騙されて死ぬ間抜けでしょうから。
韓国の大統領が日本に来て協議する議題は何かが非常に気になります。今のところ、韓国は自称徴用工問題に関する措置を発表しましたが、履行はまだです。にもかかわらず、岸田は歴史認識に関する過去の談話の踏襲について口にしてしまいました。つまり先履行したのです。韓国が言ったことを履行するまでは何もすべきではないのに。
さらに首脳会談までOKしてしまいました。日本から言うべきことはたくさんあります。竹島、慰安婦合意の履行、レーダー照射事件、無断海洋調査、日本海呼称、仏像返還…、韓国が何をお土産に持ってくるのか分かりませんかが、お土産なしでスワップ要望とかホワイト国に戻せとか、厚かましいお願いをされるだけな気がしてなりません。
>G20という枠組みは、果たして有益なのか――。
>金融面での日本の支援――具体的には日韓通貨スワップや日韓為替スワップなど――を
必要としているからなのかもしれません。
これぞまさに新宿会計士さんが発見された、0対100の法則そのものです。
この法則は、熱力学第二法則によって物理学的にも完全に証明されています。
つまり、金持ちと乞食がくっついて、乞食が金持ちになることはあっても、
金持ちがますます金持ちになることはありえない。最悪でも現状のまま。
ちょっと油断すると貧乏まっしぐら・・が証明されているというわけです。
この法則を最大限に活用して成り上がったのがナカグニです。なかなか
狡猾で、アメリカもドイツも日本も世界最大の人口というエサにまんまと
食いついたわけです。(ロシアは不必要な警戒心が強すぎて、それが
できませんでしたね。アホです。)
韓国さんは、途中でアメリカには通用しなくなりましたが、いまだに
日本だけには通用しています。そのコツは・・?単に、いつも日本にちょっかい
を出して、べったりくっついていればいいだけです。日本がオウンゴールを
決めてくれますから。
この関係を断とうと安倍さんや菅さんは、時間をかけて堅実に駒を進めて
距離をおいてきましたが、岸田さんで、振り出しに戻る・・となりましたね。
もうさっそく、日本企業の基金拠出は当然・・と言いだしてますし、
まあ、ホワイ国復帰。日韓通貨スワップ締結は時間の問題でしょう。
韓国さん。お見事です。敵ながらあっぱれです。
最悪でも現状のまま → 最良でも の間違いでした。