日英RAA締結も…FOIPから見た岸田外交への不安
岸田文雄首相の外交を眺めていると、やはりどこか不安に感じる部分がありますが、そのひとつは、故・安倍晋三総理が遺した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の考え方を、みずから矮小化しているように見受けられることです。岸田首相は英仏など5ヵ国を歴訪中ですが、首脳会談でほとんど「FOIP」に言及しなかったのです。もっとも、そんな岸田首相ですが、英国とは部隊間協力の円滑化協定(RAA)に署名するという「功績」もあげています。
目次
FOIPはどこから来たのか
FOIPの源流は麻生太郎総理の講演にあった
個人的に以前から強い関心を抱いているテーマのひとつが、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の考え方です。
FOIPとは “a Free and Open Indo-Pacific” の略で、著者自身の理解に基づけば、もともとは麻生太郎総理大臣が第一次安倍政権の外相だった時代に提唱した「自由と繁栄の弧」構想にその源流が求められます。
麻生外務大臣演説 「自由と繁栄の弧」をつくる
―――2006/11/30付 外務省HPより
麻生総理はこの講演のなかで、次のようにハッキリと日本外交の方針を示したのです。
「第一に、民主主義、自由、人権、法の支配、そして市場経済。そういう『普遍的価値』を、外交を進めるうえで大いに重視してまいりますというのが『価値の外交』であります。第二に、ユーラシア大陸の外周に成長してまいりました新興の民主主義国。これらを帯のようにつなぎまして、『自由と繁栄の弧』を作りたい、作らねばならぬと思っております」。
(※ちなみに麻生総理の2006年11月30日付の講演内容自体は現在も外務省のウェブサイトに残っており、ネット環境さえあれば、どなたでも確認することができます。)
地理的概念と結合させたのは安倍総理の功績
そして、この麻生総理の「自由と繁栄の弧」構想に、故・安倍晋三総理大臣が提唱した「太平洋とインド洋という2つの海の交わり」という地理的概念が結合したものが、FOIPです。
「2つの海の交わり」という表現については、第一次安倍政権末期の2007年8月に、安倍総理がインド国会演説で提示したものが、どうやらその始まりのようです。
「二つの海の交わり」 Confluence of the Two Seas
―――2007/08/22付 外務省HPより
このなかで、安倍総理はこう述べました。
「太平洋とインド洋は、今や自由の海、繁栄の海として、一つのダイナミックな結合をもたらしています。従来の地理的境界を突き破る『拡大アジア』が、明瞭な形を現しつつあります。これを広々と開き、どこまでも透明な海として豊かに育てていく力と、そして責任が、私たち両国にはあるのです」。
つまり、FOIPの考え方自体、その源流は麻生、安倍両総理がすでに2000年代の時点で提唱していたものであり、一度政権を失ってもなお諦めずに雌伏し、ついに2012年12月に政権を奪還したことで、このFOIP構想が再び動き出したのです。
とくにこの「自由と繁栄の弧」や「2つの海の交わり」が大きく結実したものが、2016年8月27日にケニア・ナイロビで行われた、歴史的な演説にあります。
TICAD VI開会に当たって・安倍晋三日本国総理大臣基調演説
―――2016/08/27付 外務省HPより
この演説のなかで安倍総理は、こう述べたのです。
「世界に安定、繁栄を与えるのは、自由で開かれた2つの大洋、2つの大陸の結合が生む、偉大な躍動にほかなりません」。
これこそが、「自由で開かれたインド太平洋」あるいは「FOIP」という表現が初めて出てきた演説です。
FOIPを日本外交に実装した菅総理
そして、このFOIPを日本外交の基軸に据えて、強力に推進し始めたのが、安倍総理の後継者で、第二次安倍政権以降、内閣官房長官を務め続けていた菅義偉総理大臣です。
菅政権自体は残念ながらたった384日で終わってしまいましたが、それでもさまざまな仕事の「スピード感」は凄く、そのわずか384日で日本社会が大きく転換を遂げたことは間違いありません(『菅義偉総理大臣の事績集:「日本を変えた384日間」』等参照)。
なかでも『近隣国重視から価値重視へ:菅総理が日本外交を変えた』でも触れたとおり、菅政権時代に日本の外交は、伝統的な中露韓などの近隣国を重視するものではなく、日米同盟を基軸としつつ、基本的価値を共有する国々(とくに米豪、あるいは台湾など)との関係を大切にするものに舵を切ったのです。
日本の近隣には、国際法を無視して海洋進出などを続ける無法国家もあれば、隣国に対する侵略戦争を開始する無法国家もあり、人民を飢えさせながら核・ミサイル開発にいそしむ無法国家や、国際法・条約・約束などを破り続ける無法国家もあります(いわゆる「赤クアッド」諸国でしょうか)。
これに対し、安倍総理の時代からの流れで日本が新たに重視するようになった関係が、日米豪印の「クアッド」です。
インドが日米豪3ヵ国と完全な意味で基本的価値を共有しているのかという点はやや疑問ではありますが、それでもクアッドはFOIPの実現に最も強くコミットする4ヵ国です。つまり、安倍総理の大きな功績のひとつは、インドを日米豪の側に引き込んだことにある、という言い方をしても良いでしょう。
また、クアッドには参加していませんが、カナダや英国などもFOIPに強い関心を示している諸国であり、これに加えて著者自身は台湾についても潜在的にはFOIPにコミットする可能性を秘めている相手国のひとつだと考えています。
FOIPに加わる国、加わらない国
日本政府が防衛白書などを通じて公表しているFOIPの概念図(図表)では、明示されているのは米加両国に加え、豪州、ニュージーランド、インド、英国、フランス、ASEAN諸国などですが、今後、日米などが台湾を国家承認することがあれば、当然、台湾もここに加わるでしょう。
図表 FOIP
(【出所】防衛白書)
もっとも、ここにG7諸国であるドイツ、イタリアが明示されていないのは、やや気になる点です。また、著者自身の私見ですが、図に明示されているフランスも、最近の首脳会談などの議事録を眺めても、あまりFOIPにコミットしなくなったように見受けられます。
つまり、このFOIPに対するスタンスとしては、G7諸国の間でも、「日米英加」と「独仏伊」で、大きく分かれているように見えてしまうのです。いわゆる「海洋国家」と「大陸国家」の違いなのでしょうか?(※このあたりは今後の研究テーマのひとつでもあります。)
いずれにせよ、おそらく昨年夏ごろまでの時点において、日本政府はこのFOIPについて、「最も強くコミットしている国」が日米豪印4ヵ国であり、これに続き英国、カナダ、台湾などが潜在的なFOIP参加国と想定していたであろうことは、想像に難くないのです。
また、日本の近隣にある「4つの無法国家」は当然、本来ならばFOIPに参加する資格などありませんが、国際法を堂々と無視している国がこのFOIPに加わってしまうかどうかについては、今年の外交青書や防衛白書などにも注目しておく価値はあるでしょう。
岸田訪英の大きな成果
岸田首相の5ヵ国訪問
さて、最近、「さる事情」(※)があってなかなか取り上げられなかった話題のひとつが、岸田文雄・現首相による外遊です(※「さる事情」といっても、単純に著者自身の業務がオーバーフローしていただけのことですが…)。
岸田首相は1月9日から15日までの日程で、フランスを皮切りに、イタリア、英国、カナダ、米国の合計5ヵ国の訪問中です。
この5ヵ国で気付くのは、いずれもG7構成国である、という事実です。
G7構成国であるドイツが訪問先に含まれていない理由はさだかではありませんが、オーラフ・ショルツ独首相自身が昨年4月29日に日本を訪問していること、さらにインドネシア・バリ島でG20首脳会合の際、11月16日にも首脳会談を行っていることを踏まえ、今回の訪問先から除外されただけなのかもしれません。
その一方で、残り5ヵ国に関して、岸田首相は訪問に先立って会見に応じ、「(今年の)G7議長国としての考え方を示し」、「(各国首脳との)胸襟を開いた個人的信頼関係をより深め」、「連携を確認していく」ことが目的だと述べています。
フランス、イタリア、英国、カナダ及び米国訪問についての会見
―――2023/01/08付 首相官邸HPより
FOIPの用語をわざと使わない岸田首相
こうしたなかで、本稿執筆時点で確認できる、仏伊英加4ヵ国の首脳との会談について眺めてみると、興味深いことがわかります。それは、FOIPに関する言及があるかないか、という論点です。
ただ、どうも見たところ、岸田首相自身がせっかくの首脳会談の場で、FOIPの用語を積極的に使っている形跡が見られないのです。
まず、フランスのエマニュエル・マクロン大統領との会談では、日仏両首脳ともにFOIPに言及せず、岸田首相から「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」という趣旨の発言があったにすぎません(1月9日付・外務省『日仏首脳夕食会及び会談』参照)。
次に、イタリアのジョルジャ・メローニ首相との会談でも、岸田首相が「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」に言及しただけで、メローニ首相の側からのFOIPへの言及はありませんでした(1月10日付・外務省『日伊首脳会談及びワーキング・ランチ』参照)。
さらに、英国のリシ・スナク首相との会談でも、やはり岸田首相は「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」という用語を用いており、FOIPへの言及はありませんでした(1月11日付・外務省『日英首脳会談』参照)。
結局、仏伊英加4ヵ国でFOIPの用語が明示的に出てきたのは、カナダのジャスティン・トルドー首相との会談だけでした(1月12日付『日加首脳会談』参照)。
「FOIP」の用語を勝手に「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」に言い換えている理由はよくわかりません。
もちおrん、この「法の支配に基づく自由で開かれた秩序」の表現自体は、以前から外交青書などにも登場するものであり、岸田首相が新たに作り出した概念ではありませんが、それでも岸田首相自身がFOIPの用語を使おうとしないのは謎です。
もしかすると、岸田首相は安倍総理や菅総理が多用した「FOIP」を、自身は可能な限り使わないということで、「差別化」を図っているつもりなのかもしれませんが、もしそうなのだとしたら、そういう「差別化」は止めていただきたいところです。
日英RAAという大きな功績
ところで、英国ではスナク首相との会談で、非常に大きな成果がありました。日英部隊間協力円滑化協定、あるいは英語の “a Reciprocal Access Agreement” を略した「RAA」の締結です。
日英部隊間協力円滑化協定の署名
現地時間1月11日(水曜日)(日本時間12日(木曜日))、英国を訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、リシ・スナク英国首相(The Rt Hon Rishi Sunak MP, Prime Minister of the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)との間で、日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定(日英部隊間協力円滑化協定)への署名を行いました。
日英部隊間協力円滑化協定は、日英の一方の国の部隊が他方の国を訪問して協力活動を行う際の手続及び同部隊の地位等を定める協定です。我が国が、部隊間協力円滑化協定を署名するのは、豪州に続いて英国が2番目です。
この協定により、今後、日英両国が艦船の寄港や共同演習といった協力活動を実施する際の手続が簡素化され、日英両国の安全保障・防衛協力が一層活発化することが期待されます。
ロシアによるウクライナ侵略や、東シナ海・南シナ海における力による一方的な現状変更の試み等により、これまで築き上げてきた国際秩序が挑戦にさらされ、国際的な安全保障環境が世界各地で一層厳しくなっています。このような中、アジア及び欧州における互いの最も緊密な安全保障のパートナーである日英が、安全保障分野の重要な協定に署名したことで、日英安全保障・防衛協力は新たな高みに引き上げられ、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた動きが更に進展することとなります。
―――2023/01/11付 外務省HPより
日英両首脳は現地時間の11日、「日英部隊間協力円滑化協定」に署名し、これに伴い両国が艦船や部隊を相互に派遣する際の手続簡素化などが図られ、あわせて双方は「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた動きが「さらに進展する」、などと記載されています。
徳川秀忠氏とジェームズ国王の交流に言及したスナク氏
これについて、英国側からの発表は、さらに華々しいものです。
いちおう本稿末尾に原文をそのまま転載しておきますが、前半部分を要約すると、こんな趣旨のことが書かれています。
- スナク首相は本日、日本の首相との間で画期的な防衛協定をロンドン塔で署名した
- これは英国軍の日本への配備を可能とする、過去100年以上の期間で最も重要な協定である
- この協定により日英両国が互いの国に軍隊を派遣できるようになる
- また、日英両軍がより大規模で複雑な軍事演習、配備などを計画・実施することが可能になる
- 英国は日本と相互アクセス協定(RAA)を締結する最初の国となる
- これは1902年以来、日英間で結ばれた最も重要な防衛協定だ
- 条約は今後数週間のうちに、日英両国で議会に提出される予定である
…。
これに加え、英国政府側の声明文では、日本側にはない「CPTPPへの英国の参加」に対する期待、さらにはロンドン塔に展示されている1613年に当時の征夷大将軍だった徳川秀忠氏から英国のジェームズ国王に贈られた甲冑の話に言及があるなど、日英関係に対する英国の期待を感じることができます。
このこと自体、日本にとっても歓迎すべき動きであることは間違いありません。
日本にとっては米国との関係のみならず、それを補完すべき各国との関係を強化することが望ましく、英国、カナダ、豪州は、地理的には離れているにせよ、社会全体が同じような基本的価値を共有しているという意味では、連携すべき相手としては望ましいからです。
いずれにせよ、岸田首相がさりげなくFOIPを軽視しているように見えるのは非常に気がかりではありますが、それでも「英国との防衛協力関係の深化」が、現下の厳しい防衛環境に照らし、現在の日本にとって必要なものであることは間違いありません。
そして、こうした話題を目にするにつけ、日本外交に与えた安倍、菅両総理の功績の大きさを、日本国民は改めて強く意識しても良いのではないかと思う次第です。
参考:英国の発表
なお、末尾に英国政府の発表内容をそのまま転載しておきます。
Prime Minister hosts Japanese PM and agrees historic defence agreement
The Prime Minister will sign a landmark defence agreement with the Japanese Prime Minister at the Tower of London today [Wednesday 11 January], allowing UK forces to be deployed to Japan in the most significant defence agreement between the two countries in more than a century.
Years of negotiation will culminate in the signing today, which will rapidly accelerate defence and security cooperation and allow the UK and Japan to deploy forces in one another’s countries. It will also cement the UK’s commitment to Indo-Pacific security, allowing both forces to plan and deliver larger scale, more complex military exercises and deployments.
The UK will be the first European country to have a Reciprocal Access Agreement with Japan, the most important defence treaty between the UK and Japan since 1902.
The UK and Japan agreed the RAA in principle in May, with work ongoing to finalise preparations ahead of the signing today. The defence treaties will be laid before Japan’s Diet and the UK Parliament in the coming weeks.
The signing comes just weeks after the UK and Japan teamed up, alongside Italy, to develop the next generation of combat air fighter jets under the new Global Combat Air Programme. Last month, the UK and Japan also launched a new UK-Japan digital partnership to strengthen cooperation across cyber resilience, online safety and semiconductors.
All three agreements reinforce the UK’s unwavering commitment to ensuring the security and stability of the Indo-Pacific, and exemplify the depth of friendship between the UK and Japan.
Prime Minister Rishi Sunak said:
- In the past 12 months, we have written the next chapter of the relationship between the UK and Japan – accelerating, building and deepening our ties. We have so much in common: a shared outlook on the world, a shared understanding of the threats and challenges we face, and a shared ambition to use our place in the world for global good, ensuring our countries prosper for generations to come.
- This Reciprocal Access Agreement is hugely significant for both our nations – it cements our commitment to the Indo-Pacific and underlines our joint efforts to bolster economic security, accelerate our defence cooperation and drive innovation that creates highly skilled jobs.
In this increasingly competitive world, it is more important than ever that democratic societies continue to stand shoulder to shoulder as we navigate the unprecedented global challenges of our time.
In addition to defence and security challenges, the leaders are expected to discuss trade, including the UK’s accession to the Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership (CPTPP), a free trade bloc with a combined GDP of £9 trillion in GDP and home to more than 500 million people.
The leaders will also discuss Japan’s current presidency of the G7, the need to maintain our collective support for Ukraine as we approach the first anniversary of Russia’s illegal invasion, and the UK’s support for Prime Minister Kishida’s focus on economic security, including supply chain resilience.
On Ukraine, the Prime Minister is expected to raise how international support from the UK and G7 partners can be used most strategically to help Ukrainian forces continue their progress on the battlefield and secure a lasting peace.
He will also pay tribute to Japan’s significant package of humanitarian assistance to Ukraine, including a recent delivery of generators.
While at the Tower of London today, the leaders will visit Japanese armour on display, which was presented to King James VI and I in 1613 by the then Shogun Tokugawa Hidetada of Japan. The military gift was given to King James to mark the first ever trade agreement between England and Japan.
Meanwhile, the Prime Minister will host the UK-Japan 21st Century Group at Downing Street on Thursday. The coalition of British and Japanese private sector, public sector, and civil society leaders aims to promote dialogue and cooperation between the two countries.
―――2023/01/11付 英国政府HPより
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
FOIPではアジアに寄りすぎるし、あちらでも「法の支配に基づく自由で開かれた秩序」を標榜する戦争があるわけですから、FOIPをあちらの問題と結びつけて連携を図る上で、より一般的な「法の支配に基づく自由で開かれた秩序」の方を持ち出しているのだと思います。イギリスはイギリスでインド太平洋地域での英連邦のプレゼンスを高めるという目標を持っているので、他よりはFOIPに積極姿勢を示しているのでしょう。資源自給率の上でも石油は自給できるイギリスと石油天然ガスどちらも輸入頼りな独仏では権威主義国家に対する対応も変わってくると思います。暖冬で良かったですね、みたいな。
日英RAAを歓迎します。これのインパクト度については早々に中国から答え合わせがあるでしょう。
英国首相官邸の Youtube チャネル 10 Dowing Street に昨夜さっそく動画投稿がありました。英国の伝統と日本国との長きにわたる関係を強調するもので、歴代英国政権の対日スタンスを継承再確認しているように思えます。
英政府 RAA 声明にあっては内容は平明にして明快です。後半以降(The leaders will also discuss Japan’s current presidency of the G7)で急に官僚作文的な「足し算引き算したらこうなりました」文章が続いています。日本の顔を立ててあげたという声明文作成経緯が透けて見えると当方は感じます。両国新関係が構想から実現へフェーズ移行すると明言しており、停滞や後退、あるいは矮化が起きないか両国民は目を凝らしておく必要はありそうです。
>英国は日本と相互アクセス協定(RAA)を締結する最初の国となる
「相互に」という点では、感慨深いですね。
両国関係の『暎え』ある未来を願います。
FOIPを日本が音頭を取っている,というのは幻想で,実際の運用はアメリカの発言権が強いと思います。今回の訪米での会談結果も,公表されている以上に詳細に議論されていると思います。例えば,北朝鮮や中国がこういう行動に出た場合には,軍事行動を含めて日米はこういう対応をするとか。あるいは,その結果,金正恩政権が崩壊した場合には,その後の北朝鮮統治をどのように行い,日本はいくらくらい経済援助するか,とか。
おまえみたいな自虐史観のじいばあはもう要らないよ
マスコミやパヨクみたいなこと言ってて草
「日英同盟」は評価しますが、、、キッシーのダメダメ感が・・・
個人的見解ですが、岸田総理は安倍外交と比べられることへの感情的反発から、意地でもFOIPと言う言葉を使いたくないのかもしれません。(まあ、その気持ちも分かりますが)
岸田首相は何かと安倍晋三総理、菅義偉総理、麻生太郎総理と比べられるのはホンネの部分で嫌だと思う。FOIPを言わずに言葉を変えてるのは、その表れ。しかしそれは友邦国には悪手だろう。それとG7の中で日本が付き合いを避けている(政策的に合わない)傾向にあるのがドイツです。
このFOIPに対するスタンスとしては、G7諸国の間でも、「日米英加」は海洋国家で特に英はEU脱退して新たな環を作りたいだろうし、「独仏伊」はEU代表格として日米自由主義2強に全面賛成ではない。また対露でいっぱいいっぱいなのかもしれません。それに太平洋の利権は僅かしかありません。二つに別れるのは仕方ないかも。
岸田首相はしかし英国とはRAA締結で成果をあげました。これはもちろん彼ひとりでは出来なかったでしょう(苦笑)。日英両国が互いの国に軍隊を派遣できるようになった事、
日英両軍が日米並みに大規模で複雑な軍事演習、配備が可能になった事。
過去の日英同盟にも通じ(もっとも開国40年足らずの日本が軍艦、他戦闘武器製造を英国に頼っていた訳だが)、英国は日本と相互アクセス協定(RAA)を締結する最初の国となる事。日英に大きな絆が出来ました。これは慶事です。
漠然と思うことを記します。
民族と民族との間で相性というものが存在するとすれば、
尚武の気風を、歴史上もつことができた民族とは相性が良いのではないかと。
アメリカ、イギリスはそうです。
逆に武を卑しむ民族とはよくないように見えます。
漢民族、朝鮮民族とはそのようです。
とはいえ、武を卑しむ文化の台湾とはそうでもないし、騎士文化のあったドイツとは微妙に見えますし。
やはり一概には言えませんね。失礼いたしました。
“クニのタチ” 国の性質と申しましょうか、大陸辺縁の島国のソレと大陸にて他国と領域を分け合う国のソレは当然に違ってくるものやと思われま
海洋国家と大陸国家の違いとでもいいますか
アメリカ合衆国は少し別枠で、海洋国家としても成立しうる大陸国といいますか、まーモンロー主義でもやってけなくはない?なかった??ところが、一時的???カモシレマセンガ”唯一の超大国”たりえたトコかも????
コメントありがとうございます。
そうですね。地政学的な要素が大きいかもですね。
ありがとうございます。
しかし陸軍、海軍、さらに空軍ともに質・量ともに一流なんて国は、アメリカしか思い当たりません。
今更ながら本当に超大国なんですね。
FOIPは日本にとって大きな資産です。
国力からはアメリカが主役という形になりますが、アメリカはインド太平洋地域だけでなく、ヨーロッパ情勢にも深く関わっていますし、ウクライナ支援が目先の大きな課題となっています。
EU諸国はNATOによりアメリカと連携していますが、インドやASEAN諸国は経済及び安全保障においてはアメリカとの距離感は様々であり、イギリス連邦以外の国はアメリカとの距離感を図りかねている国が多いと思います。
このようなインド太平洋地域においては、やはり日本がインドやASEAN諸国との仲介役として、FOIPを支えていくことが必要であると思います。
岸田首相がFOIPに後ろ向きであるとの印象をインド太平洋地域の国に与えているのなら、日本の国益を大きく損なうものであると思います。
日英RAA締結は、岸田政権はいい仕事しました。良かったと思います。
岸田総理が外遊中に、FOIPの用語をわざと使わず、「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」といった表現に言い換えているということですが、自分は、そもそも岸田総理がちゃんとFOIPについて正確に理解しているのか、疑問に思っております。
その理由は、昨年11月11日に韓国が突然言い出した「韓国版FOIP」について、そのわずか2日後の日韓首脳会談において、岸田総理が「歓迎」及び「連携」の意志を表明するという「茶番」があったからです。韓国版FOIPには、日本とは価値観を共有しない中国をも包摂する意図が含まれているにもかかわらず、岸田総理は、外務省と韓国外交部の仕込みに乗せられて、これ以上ない公式の場で韓国版FOIPを歓迎する意志を表明してしまいました。
岸田総理がFOIPについて正確に理解し、正統な形でFOIPの構想を継承していく意志を持っていれば、こんなことは起こり得ないわけです。総理大臣が、執政に関する意思も能力も薄弱で、役所の言うがまま為すがままになっているというのは、本当に恐ろしいことです。
岸田総理が外遊先で「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」という表現を用いていることについては、そもそも岸田総理が本当に意味わかって喋ってんのかどうか、よくよく見極める必要があると思います。最悪、岸田総理が、FOIPが米豪印などを巻き込んで既に動き出してしまっているので、行きがかり上、惰性で「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」というお題目を唱えているだけという可能性も、有り得ると思います。
岸田総理がFOIPの推進に真面目に取り組んでいるかどうか、しっかり見極めていく必要があると思います。
韓国版FOIPは内容的には概ね日本のFOIPで言ってるようなことの多くを書きつつ中国を刺激しそうな文言をマイルドにして当たり障りがなくしているだけなので、岸田総理が歓迎すること自体は問題ないと思います。日本との違いは中国の覇権を封じることを意図した「自由で開かれた」のような文言がないだけです。つまり、真の問題は韓国に普遍的価値を守る覚悟があるのか、そしてそのために行動できるのかであって、そこが実に疑わしいわけで、岸田総理がすべきだったのは韓国のFOIPを歓迎しつつ、韓国にきっちり釘をさすことでした。それをせずに韓国の真意に無関心なまま単に歓迎してるだけなので間抜けに見えました。
今回の欧米歴訪でもFOIPはしっかり触れるべきでした。日本側から見れば欧州諸国に東アジアの安全保障秩序に関与してもらうという意義があります。英国、フランスは既に空母を派遣して南シナ海を航行した実績がありますから、中国に対して欧州諸国もFOIPにコミットしていることを示すべきだったのです。
コメントを謹んで拝聴いたしました。
自分のコメントにおける主張での、事実情報の裏当てや論の持って行き方が不十分で荒っぽくなっている部分を、丁寧に修正してケアしていただき、感謝しかありません。
誠にありがとうございました。
いつも知的好奇心を刺激する記事の配信ありがとうございます。
総理大臣の椅子だけとなくあらゆる集団のトップは大変と思います。通常時は集団の構成員に任せていても何か非常時には集団に責任を持って「トップが決断しなければならない」からです。1企業のトップたる管理人様も重々承知と思います。
決める時は誰も責任を肩代わり出来ません。
自ら「信念を持って「決める」」しかないです。
さて
>不安に・・・(中略)・・・「功績」もあげています。
この文章には迷いが見えますね。
「客観的に記述しなければならない」と自分に言い聞かせながらペンをとっているように思えます。
特に「」付けするのは不安の裏返しですよね。
まあ実際はペンでなく入力デバイスでしょうが(笑)。
不安の原因は誰も同じと思うのですが、岸田文雄に
『日本をこうしていきたい』
という内政、外交のビジョンを国民一般に伝えていないからだと思います。借り物感が透けているのですよ(笑)。
借り物だけで中身が無くても「非常時が起こるリスクゼロ」ならば冒頭の通り何も問題ないのですが、コロナ禍や中国の台湾侵攻等の「非常時が発生する予感満載の時代」に日本人のトップが事前に国民にビジョンを共有できない「岸田文雄」である事が問題なのです。
ビジョンが無いと例えば台湾有事には以下の様な「0点どころかマイナス120点」の発言をしかねないと思いますよ。
「岸田文雄:日中共同声明の趣旨から中国と台湾の問題には日本は内政干渉できない。もし問題が有れば国会で議論を重ねて審議したい。」
ルール上はその通りですが、西側の不利益は台湾併合によって「例えばTSMCにある西側の最先端技術が中国に渡り中国の利益に使われてしまう」ことです。
時間は待ってくれません。
それをなんとかするには有無を言わずに自衛隊の派遣を行い、西側に技術者を避難出来なければ最悪日本人の手で「TSMCの設備を完膚無きに破壊し、先端技術を持つ技術者を皆殺しにする」必要があるのです。
もちろんアメリカを含めて良い子ちゃん達から非難や各種制裁を受けますが、「世界を全て敵に回しても日本と西側諸国の国益を考えて『決断』する」ことが必要です。
でも岸田文雄にはムリと思います。
絶対的に冒頭の官僚的発言をしますね(笑)。
国民にビジョンを共有できず非常時に「決断できない」と思われている総理大臣は即刻適任な人物に変えるべきです。
又国民の判断基準もレベルアップが必要と思いますよ。
以上です。駄文失礼しました。