X

NHKは「若者」でなく受信料制度そのものに向き合え

「若者のテレビ離れ」ではなく「視聴者のテレビ離れ」:NHKの受信料制度が10年後も続いている可能性は?

NHKが「若者のテレビ離れ」に向き合うことで、コアなターゲット層である高齢者層のテレビ離れが促進されるのだとしたら、これはこれで皮肉な話といえるかもしれません。ただ、電波オークションに向けた議論が広がるなかで、そもそもNHKを含めたテレビ業界が利権をいつまで守り続けられるのかについては、微妙でしょう。

NHKに公共性はあるのか

NHKが騙る「公共性」とは?

「日韓歌合戦」はNHKの公共性議論する好機のひとつ』を含め、以前から何度となく触れてきた論点のひとつが、「NHKの公共性」です。そもそも論ですが、NHKは「公共サービスを提供している組織である」といえるのでしょうか。

「中露両国は2000年代を通じ、安価な労働力やエネルギーを提供することを通じて世界経済の成長に寄与した。今はその請求書を西側諸国に突きつけるタイミングだったが、中国は「奮発有為」で、ロシアはウクライナ侵攻で、それぞれ馬脚を現した」――。非常に端的ですが正鵠を射た指摘です。これを指摘したのは朝鮮日報パリ特派員のチョン・チョルファン氏です。中露両国が世界経済に貢献した2000年代ごくまれに、韓国メディアを読んでいると「参考になる」と思うこともあります。まずは、次の趣旨の文章を読んでみてください。 世界経済...
「中露抜き」で生き残ろうとしている西側諸国=韓国紙 - 新宿会計士の政治経済評論

NHKウェブサイト『公共放送とは何か』によれば、公共放送とは「営利を目的とせず、国家の統制からも自立して、公共の福祉のために行う放送」と定義されています。

NHKが定義する公共放送の3要件
  • ①営利を目的としていないこと
  • ②国家の統制から自立していること
  • ③公共の福祉のために行うこと

(【出所】NHKウェブサイト『公共放送とは何か』)

もちろん、この定義は「NHK自身がそう述べている」というだけの代物であり、「公共放送とはこういうものだ」という一般的な特徴を示したものではありませんが、ただ、この3つの要件に照らしても、現在のNHKが「公共放送」を名乗るにふさわしいかどうかは極めて怪しいものです。

そもそも1番目の「営利を目的としていないこと」という部分からして、かなり実態から乖離しています。今年の年末に放送が予定されている『紅白歌合戦』自体、韓国枠が5組も出場しているほか、明らかに商業主義的な出演者も目立つものです。

「紅白見ない」がトレンド入り「韓国枠5組は異常」「ジャニーズも6組」「工藤静香に篠原涼子」曖昧な選考基準に集まる不満

―――2022/11/18 20:16付 Yahoo!ニュースより【FLASH配信】

すでに「日韓歌合戦」の様相を呈してきている『紅白歌合戦』が「公共性が高い放送」だといえるのかどうかは極めて微妙でしょう。

「若者のテレビ離れに向き合うNHK」

ただ、この「日韓歌合戦」ならぬ『紅白歌合戦』を巡っては、これが事実上の「若者に媚びたコンテンツではないか」、といった指摘が、いくつかのメディアなどで出てきていることも間違いありません。

こうしたなか、「若者に向き合うNHK」という視点で、ウェブ評論サイト『ビジネスインサイダー』が昨日、こんな記事を配信しているのを発見しました。

「2億年ぶりにテレビを観ました」NHKが「推し」「沼」「ゲーム」を推す理由

―――2022/11/24 12:50付 BUSINESS INSIDER JAPANより

「若者のテレビ離れ」にNHKも向き合っている。NHK敏腕プロデューサーの挑戦

―――2022/11/24 16:45付 Yahoo!ニュースより【BUSINESS INSIDER JAPAN配信】

2本の記事のうち1本目が前半、2本目が後半だそうですが、1本目については有料会員にならないと読めないようであり、また、2本目についても1本目を前提とした記述であるため、有料会員ではない人にとっては何のことやらよくわからない記事になってしまっているフシがあります。

ただ、2本目の記事から察するに、どうやらこの2本の記事は「若者のテレビ離れに挑むNHKの敏腕プロデューサー」に対するインタビュー記事であるようであり、しかも、NHKが具体的なゲームだの、民放のドラマの映像だのを取り上げるなどし、若者に訴えかける番組作りをしている、ということのようです。

正直、内容については引用するのが難しいので、「リンク先記事を実際にお読みください」とだけ申し上げておきたいと思います。

ここで1点だけ取り上げておくとすれば、「ゲーム」、「民放のドラマの映像」などをNHKが放送して良いのか、という疑問点です。

これについて2本目の記事によると、そもそもNHKでは「具体的な商品名については放送しない」というルールがあるのだそうですが(※そのわりには中韓企業の商品名をよく放送している気がしますが…)、これを「敏腕プロデューサー」氏は「商品ではなく作品を取り上げるもの」だとして制約を乗り越えたそうです。

良いところどりをするNHKの「公共性」とは?

いずれにせよ、NHKが向き合うべきは「若者のテレビ離れ」ではなく、そもそも「自分たちが公共放送にふさわしい存在であるかどうか」であり、また、「NHKを見ない人からも半強制的に課金する仕組み」の適切性ではないでしょうか。

くどいようですが、NHKの存在自体、NHK自身が「公的組織」としての性格と、「民間組織」としての性格をうまく悪用することで成り立っているようなものです。

国営の事業であれば、基本的には「倒産」することはありませんが、その代わり事業内容は国会などで厳しく制約されるべきですし、職員に対する給与・諸手当などの水準が国家公務員に対するそれと著しく乖離することは許されません。

また、民営の事業であれば、職員に対してどんな高給を支払うのも自由ですが、その代わり民間企業と同様に、自由市場原理に基づいて経営すべきであり、経営が失敗すれば「倒産」というペナルティを甘受しなければなりません。

もうおわかりだと思いますが、NHKはこの「民間企業」「公的組織」の「良いところどり」をしているのです。

高給取りのNHK職員

職員に対して少なく見積もって1人あたり1500万円を超える人件費を計上し、金融資産(※年金資産含む)だけで1兆円を超える資産を蓄え、不透明な子会社・関連会社を多数設立するなど、外から見て不透明と言わざるを得ない運営を続けています。

それでいて、どんなにつまらない番組を作ろうが、よっぽどのことがない限り、NHKはつぶれることがありません。法律の規定でテレビを設置した人たちから半ば強制的に受信料を徴収する権利を持っているからです。

ちなみにNHKの「人件費」には、給与、賞与、諸手当などの現金給付に加え、法定福利費、福利厚生費、退職給付費用などが含まれていますが、ここにNHK職員らが特権的に格安で入居できると噂されている社宅などの待遇は含まれていません。

このため、NHKの場合、下手をすると人件費水準は1人あたり1500万円どころか、実質的には2000万円を超えるのではないか、といった試算もあるようですが(『NHK職員に対する住宅手当に潜む「隠れ人件費」問題』等参照)、これについては検証のしようがありません。

昨日、インターネット上でちょっとした話題となっていたのが、「NHK職員に対する月額5万円の住宅補助」です。報じられている内容に詳しい周辺情報がないため、この「月額5万円」という情報だけだと、なんだか実態がよくわかりません。しかし、「隠れ人件費全般」という点に視野を広げてみると、現状のNHKの財務諸表開示が不十分ではないかと思えてくるのもまた事実です。NHK問題の総括昨年の『武田総務相「NHK受信料値下げ要求」の真意を読む』を含め、当ウェブサイトでもかなり以前から何度も触れてきたとおり、NHK...
NHK職員に対する住宅手当に潜む「隠れ人件費」問題 - 新宿会計士の政治経済評論

また、NHKのガバナンスや情報開示についても、大きな問題があります。

一例だけ挙げるなら、たとえばNHKに外国籍の職員が何人在籍しているのか、といった重要な情報について、NHK側は「文書が存在しないため開示することができない」と回答しています。

NHK情報公開・個人情報保護審議委員会の諮問第389号に対する意見

―――2014/03/12付 NHKウェブサイトより

「文書を開示せよ」、ではなく、「情報を開示せよ」、という要望ですので、「そんな文書は作っていない」というのは言い訳になりません。というよりも、「NHK自身が情報開示に後ろ向きである」という姿勢自体が、「日韓歌合戦」のひとつの答えではないか、などと一般国民が疑念に感じても不思議はありません。

メディア支配の終焉

民主党政権+スマホの普及がオールドメディア崩壊の原因

もっとも、この世に鉄則がひとつあるとしたら、「無理なものは続かない」、というものがあります。

NHKの受信料制度など、その典型例でしょう。

いや、もう少し広い言い方をすれば、新聞、テレビを中心とするオールドメディアによる「メディアスクラム」自体が、現在、崩壊の危機に瀕していますが、そのきっかけは、日本においては大きく2つあります。1つ目はメディアの報道姿勢、2つ目はインターネットの急速な普及です。

著者自身の私見ですが、日本で権勢を誇っていたオールドメディアの権威がぐらつく直接のきっかけは、民主党への政権交代が発生する原因を作った2009年8月の衆院選です。

その後発足した民主党政権に国民が幻滅するまでに大して時間はかかりませんでしたが、じつは、国民が幻滅したのは民主党政権だけでなく、オールドメディアそのものでもあったのではないか、というのが著者自身の仮説のひとつです。

そのうえ、ちょうど2010年ごろからスマートフォンが爆発的に普及し始めたことで、インターネットが私たち国民にとって身近な存在となり始め、私たち一般国民がインターネットの威力を感じ始めました。

インターネットの特徴とは、なんといっても、情報の「ヨコ検証」と「タテ検証」が簡単にできてしまうことにあります。「ヨコ検証」とは、同じ事件・出来事を複数のメディアがどう報じているか、という論点であり、「タテ検証」とは、同じメディアがこれまでどういう報道姿勢を取ってきたか、という論点です。

これにより、たとえば自民党政権のときにオールドメディアが政府閣僚や自民党議員らを批判してきたのと同じ不祥事を民主党の関係者が発生させたときに、それらを「報じない」ということで擁護しているという実態が国民の多くにもバレはじめたのです。これがいわゆる「ダブルスタンダード」の問題です。

自民党の議員や閣僚らに関しては、政治資金収支報告書に領収書の添付漏れなどがあれば、舌鋒鋭く批判するわりに、民主党(あるいは現在の立憲民主党)などの議員らに脱糞疑惑などの不祥事が生じたとしても、基本的にはオールドメディアはそれらの話題にはできるだけ触れない、という姿勢を貫いています。

このように考えると、NHKもしょせんは「日本マスコミ村」の一員として、オールドメディア業界の利権を守る側にいたとしても不思議ではありません。

余談ですが、日本のメディア産業関係者が客観的事実を軽視し、自身の意見を読者・視聴者に押し付けようとする傾向を持っているという調査結果については、『日本のメディアは客観的事実軽視=国際的調査で裏付け』でも取り上げたとおりです。

最下位に近い「物事をありのままに伝える」「冷静な観察者である」日本のジャーナリストは外国のジャーナリストと比べ、「政治的指導者の監視や精査」、「政治的決断に必要な情報の提供」、「政治的課題の設定」という役割をとくに重視している一方、「物事をありのままに伝える」「冷静な観察者である」という役割は軽視している――。こんな傾向がわかったとして、ネット上ではちょっとした話題になっているようです。といっても、情報源はかなり古い調査ですが、それでもネット上では共感を得ているようです。WJS意識調査が面白い...
日本のメディアは客観的事実軽視=国際的調査で裏付け - 新宿会計士の政治経済評論

電波オークションは「アリの一穴」に?

こうしたなか、産経ニュースには昨日、こんな記事が出ていました。

#電波オークション 有効利用と寡占防止へ法改正

―――2022/11/24 10:00付 産経ニュースより

記事自体は有料会員限定版ですが、無料で閲覧できる部分では、こんな記述があります。

事業者への電波の割り当てを競りで決める『電波オークション(競売)』の導入に向けた議論が、年内にも動き出す」。

この電波オークションを巡っては、すでに日経新聞が9月に、「総務省が高周波数帯で導入する見通し」だと報じています。

「電波オークション」導入へ 総務省、高周波数帯で

―――2022年9月27日 22:18付 日本経済新聞電子版より

また、既存のテレビ局などが使用している電波帯をオークションにかける、という話ではなく、現行の「比較審査方式」(総務省の審議会などが各社の事業計画を見比べて割当を決める方式)と併用させるというのが日経の報道ではあります。

しかし、この電波オークションが「アリの一穴」となる可能性は否定できません。

極めて低い電波使用料

ちなみに現在、テレビ局が使用している電波帯は、オークション制度によるのではなく、事前に決められた額を国に支払えば良いこととされており、2021年度におけるテレビ各局の電波使用料は図表1のとおり、テレビ局が得ているであろう収益と比べれば、極めて低い金額でした。

図表1 テレビ各局が支払う電波使用料(2021年度)
放送局 金額 本社
日本放送協会 25億2260万円 東京都
日本テレビ放送網株式会社 6億7690万円 東京都
株式会社TBSテレビ 6億3470万円 東京都
株式会社フジテレビジョン 6億3880万円 東京都
株式会社テレビ朝日 6億5070万円 東京都
株式会社テレビ東京 6億2620万円 東京都
株式会社毎日放送 1億2850万円 大阪府
朝日放送株式会社 1億2040万円 大阪府
関西テレビ放送株式会社 1億3280万円 大阪府
讀賣テレビ放送株式会社 1億3450万円 大阪府
テレビ大阪株式会社 230万円 大阪府

(【出所】総務省『令和3年度 主な無線局免許人の電波利用料負担額』を参考に著者作成)

もし日本で電波オークションは実施され、野心的な事業者が100億円、200億円などの使用料を提示するようなことがあれば、既存のテレビ局が電波帯から締め出され、放送事業を廃業する、といった展開もあり得るかもしれません。

そして、放送業界にも競争という原理が持ち込まれれば、NHKのように「どんな番組を作っても一律で半強制的に受信料を巻き上げる」という仕組みに対する国民の風当たりはますます強くなります。

だからこそ、放送業界(とくにNHK)にとっては、電波オークション制度の全面実施は悪夢であり、自分たちの利権を守るためには絶対に避けなければならない選択肢なのでしょう。

すでに利用時間では「ネット>テレビ」に!

もっとも、すでに時代は先を進みます。

もしも放送業界が電波オークションの実施に抵抗し、現在のオールドメディア護送船団方式が維持されたとしても、視聴者のテレビ離れという動きを食い止めることはできません。選択肢が豊富なネットと比べ、地上波テレビがつまらないと感じる人が増えていることは間違いないからです。

現在生じているのは「若者のテレビ離れ」ではありません。「視聴者のテレビ離れ」です。

その証拠が、『利用時間数でネットに敗北しつつあるオールドメディア』などでも取り上げた、『令和4年度版情報通信白書』です。これによると、人々のテレビ視聴時間(リアルタイム視聴時間+録画視聴時間)がインターネット利用時間に追い抜かされつつあるのです。

10代の平日の平均新聞購読時間は0.4分昨年の時点で、全年代のテレビ視聴時間数がネット利用時間数に追い抜かれていました。総務省が公表する『情報通信白書』などに基づけば、若年層ほどネット利用時間が多く、高齢層ほどテレビの視聴時間が長いことが明らかなのですが、それと同時に、年々、ネットの利用時間が延びるという傾向が認められるのです。こうしたなか、今年版のデータは早ければ今月中にも公表されると見られますが、今後、いったいどうなるのでしょうか。総務省データ「主要メディアの平均利用時間」総務省が毎年公表して...
利用時間数でネットに敗北しつつあるオールドメディア - 新宿会計士の政治経済評論

これは、総務省のウェブサイトにも掲載されている『情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査』という調査が出所ですが、平日におけるメディア利用時間は、図表2のとおり、すでに2021年の時点で全世代において「ネット>テレビ」が実現しています。

図表2 全世代のメディアの平均利用時間(平日)

(【出所】総務省『令和4年版情報通信白書』図表3-8-1-3のデータを著者が加工)

この点、高齢者層では依然としてテレビの視聴時間数がインターネットの利用時間数を大幅に上回っていますが、ためしに60代についてグラフ化したものが、次の図表3です。

図表3 60代のメディアの平均利用時間(平日)

(【出所】総務省『令和4年版情報通信白書』図表3-8-1-3のデータを著者が加工)

ただ、40代ではついに2021年、「ネット>テレビ」という逆転現象が生じました(図表4)。

図表4 40代のメディアの平均利用時間(平日)

(【出所】総務省『令和4年版情報通信白書』図表3-8-1-3のデータを著者が加工)

そして、これより若くなると、ネット利用時間がテレビ視聴時間を大きく凌駕しており、とりわけ2021年においては、10代におけるネット利用時間がテレビ利用時間の4倍近くに上昇している(図表5)ことが確認できるのです。

図表5 10代のメディアの平均利用時間(平日)

(【出所】総務省『令和4年版情報通信白書』図表3-8-1-3のデータを著者が加工)

広告業界はすでに先を行く

こうした状況で、テレビ業界側が電波利権を守り、NHKが受信料利権を守ろうとしたところで、無理があります。人間はすべて毎年1歳ずつ年を取るからであり、また、高齢者層でもインターネットへのアクセスが徐々に増えているからです。

じっさい、すでに広告の世界では、「マスコミ4媒体」(新聞、テレビ、雑誌、ラジオ)をすべて合計した広告費が、ネットに追い抜かれてしまっています(図表6)。

図表6 日本の広告費の現状

(【出所】株式会社電通『日本の広告費』より著者作成)

テレビ業界にとって高齢者層は「最後の砦」ですが、NHKが『紅白歌合戦』を含めたさまざまなコンテンツで若者に媚び始め、コアなファン層である高齢者層をないがしろにすれば、テレビ業界全体の自滅が早まるだけのことでしょう。

いずれにせよ、著者自身、NHKの受信料制度が今後10年後も続いている可能性は50%、とみているのです。

新宿会計士:

View Comments (22)

  • 定量的な分析ではありませんが、電車の中でみていると、男性だとwindows95がでたときに30代だった1960年生まれ前後以降、女性だと男女雇用機会均等法ができてキャリアを積めるようになる&90年代にJKやJDで通信手段の向上に付き合ってきた1970年生まれ前後以降だと、だいたいスマホを使いこなせている感じがします。
    もちろんそれ以上の世代でも使える人はいるでしょうが、少数派でしょう。

    若年層への浸透を目指すのは勝手ですが、リアルタイム視聴ではなく、どうでもいいところはシークバーで飛ばしたり早回したりする若年層に、従来のような番組構成は合うはずがないでしょうに。
    しかもそんな工夫のできる人材はテレビ局から転職してます。

    結局、1940~50年代生まれの左派的志向が強くデジタルに弱い全共闘世代やそのあとの世代をターゲットにするしかなく、スマホを使える世代には奇妙で極端な主張や番組作りになってしまうのではないかと思います。

    • あ さま

      世代傾向に関してはとても優れた分析と思います。男性女性それぞれにおいてどんな職場体験を積んできたかで、生き残りのありようが違って来ているのです。
      「昭和な職場」を思い出してください。机が島式に配置された大部屋職場があったとします。島の角にはワープロが置かれるようになったあの時代、新しいテクノロジーを使いこなす機会を得たのは職場の若い女性たちでした。「これワープロお願いね」昭和な職場のワークフローはこんな感じでした。
      お茶汲みに代わってワープロ打ちを担当したのは彼女たちでした。彼女たちはたちまちのうちに最新機械の使い方習熟しましたし、廉価になったコピー機は日本企業のすみずみに普及しました。ですが機械に触らず遠ざける職場のおじさんたちの働き方には永らく変化は起きなかったのです。
      どんな集団にあっても常に若い個体が新しいやりかたに挑戦し技量を身に着けます。普通の男性社員がそれぞれPCを独占使用できるようになったのは80年代終わり頃でした。仕事の出来る社員とそうでない社員に亀裂のようなものが生まれ、やがて大陸移動のような断絶に変わり始めます。当方は1989年から藤沢駅から遠い某大学の不思議なキャンパス開設に携わりましたが、学生向けコンピュータ操作手引き書の作成は大きな労力がつぎ込まれました。開学を主導した指導層の編成した寄せ集めチームが手分けしてこれを執筆編集しました。コンピューターリテラシーという言葉が取り沙汰され、どうあるべきかどう教えるべきか寄せ集めチームは真剣に討論しました。通信手段は電子メールでした。環境とか情報とか名前の新学科が増え始めたのはそれ以降の90年代からでした。
      多くの方は忘れているに違いありません。Windows95 にはブラウザは当初含まれていませんでした。Internet Explore は電気街に足を運んで最新版 CD メディアを電気店店頭で貰って帰るものでした。パソコン通信はダイヤルアップインターネット接続に衣替えしました。改革の遅れる職場とは距離を置いたホビイストたちが、職場に先行してネットの面白さ有意義さを追求し続けるようになりました。
      それから長い時間が経ちました。いまだに断絶は治っていません。情報弱者=情弱という言葉が生まれて久しい。それはテクノロジーを使いこなして新しい働きかた新しい生き方を自家薬籠のものとして実践できる「目覚めた個体」であったかそうでなかったかの違いだったのです。

    • 日本の世代をIT視線で区分すると以下のようになる気がします。
      第1世代: PC8001~PC9801世代(TK-80も入れるかな)
      第2世代: Windows世代(X世代. 大学生の頃Windows 95以降)
      第3世代: スマホ世代(Y世代. 生まれた時からネットがある)
      (現在の大学生世代以下はZ世代で,今回の話から除きます)
      第1世代のPCユーザーは理工系に多く,自分の研究のためには自分でプログラムを組むしかなかった世代です。文系だとワープロや表計算やSPSSのような統計パッケージ利用が中心だったでしょう。こういう人達は今でも現役で,プログラミング層は今でも上級者層だと思います。一部の人はjunetでメールやftpやgopherを使ってネットしていました。でも,PCを使わなかった人達の割合も高く,現在でもIT音痴なまの層も3割くらい残っているようです。
      第2世代は1995年くらいからメール利用,2000年くらいからネット(WWW)利用が本格化した世代です。ただ,初期は文系ではWindows PCをあまり使わなかった人達も多かった気がします。この世代は,ポケベル世代,ガラケー・iモード世代(広末涼子世代)に2分したほうがいいかもしれません。でも,ほぼ全員,ネット社会に適応している世代だと思いますが,ネットの利用範囲が狭いかも。
      第3世代でも「PC使わない派」は結構います。あと,Android派とiPhone派に2分する考え方もあります。この世代は,理系でも,自分でプログラミングする人達の割合が逆に減っている気がします。実験解析用に便利がパッケージソフトが増えたので,それで用が足りてしまうからでしょう。ネット利用状況だけでなく価値観も違うので,第3世代は第1世代とは別人種かな。
      第0世代の戦前生まれへのIT普及は,一部の高学歴層を除くと,絶望的に困難なところがあります。
      別の分類方法としては,流行していたゲームのタイプで世代を分類する方法もあるかもしれません。最近発売されている「ポケモン」が異常に難しくなっていて,子供向けゲームには見えなくなっています。スマホのゲームも同様。
      テレビよりネットのほうが便利で面白い,ということを体験したか否かの差が大きいかも。

      • 第0世代は、フォートラン、コボルでプログラム作成をしていた世代でしょうか?
        私は、フォートランをミニコンで動かしていましたが、PC98シリーズでC言語を使うようになって、「こんなに楽して良いものだろうか」と、思いました。

        • 第0世代はミニコン・大型計算機(IBM360・370)世代ですね。私は第1世代ですが,子供の頃ミニコンにもさわり,FORTRAN, COBOLを最初に覚えました。学生時代はCOBOLのプログラミングのアルバイトもしました(実入りもよかったです)。今でもJAVAには移行せずにC++でのコーディングが多いです。若いスマホ世代でも,アプリが書ける人は多くないですね。
          余談ですが,私も囲碁と将棋を指します。AI時代になって,囲碁・将棋の考え方も激変し,ついていくのが大変です。

      • ご提示の区分でいうと、私は第1世代です。
        いまの若者や子どもたちが、旧世代より圧倒的に ITを使いこなしているのは間違いありません。

        最近とても気になっていることがあります。
        確かに使いこなしてはいます。
        しかし、いかに「使いこなしてる」って、それは所詮「ユーザー」じゃないのか。
        使っているようで使われてはいないのか。

        スマホアプリ作れます。AzureやAWSを使えます。.NET できます、Python書けます、PHPのあれこれできます。
        それを否定はしないけれど、でもそれって結局はプラットフォームのユーザーだよねと。
        「使えます」でいいのか。使われるものを作る仕事しなきゃいけない。

        • 最近、スマホがあればPCいらんという若者と会話したときに、少しそれに近い話題になりました。私が伝えたのは、
          「いくらスマホを使っても情報消費はできるけど、創作活動はできんぜ。スマホはPCの代わりにはならないんだよ。」

          まあ、偉そうに言ってしまいましたが。
          極端な言い方でもあります。

    • この国の最大の不幸は役所の働き方がいつまでもひどすぎることです。
      お茶汲みに代わって派遣会社を使うようになっているだけで、お役人の基礎体力としてのテクノロジーリテラシーは昭和の時代からちっとも進化していません。オフィスに行ってどんな机を使っているか、並びはどうか、を見れば「職場の実力と瞬発力」は分かるものです。派遣のひとたちが一番よく知っています。

      • ちょっと興味を感じて労働者派遣法を調べているんですがそっちの闇はそうとうに深そうです。

  •  例えばプリウスはトヨタの"作品"では。工芸品なども売られていれば"商品"ですし。作品と商品は相反するものではないし、ゲームなんて明らかに商品なのですが……
     件の番組は観てはいませんが(観れないし)内容自体は面白そうに感じます。でもまそういうのやりたかったら民放になっちゃいなよ、としか。

     結局「公共放送厳守だと観てもらえない」んでしょ?でも観てもらえないなら公共の意味ないし、破綻している。「公共性の高い内容がウリの民間放送局」にでもしたらいいじゃん。

     余談。ゲームはもはやサブカルではなくメインカルチャーだとか語られていますが、当のゲーマーは迷惑気味だったり。どうしても一般受け重視の薄味内容が乱発したり、TVタレントを出演させてゴリ押ししたりアイドルに歌わせたりと、相反する属性のものをねじ込まれて低質化するので。オタクは別に世間に認めてほしいんじゃないの放っといてほしいの。

  •  どの党でも、どの議員でもよいので、第2公共放送を創設する法案を提出してくれませんかね。第2公共放送は、天気予報や交通情報などの社会インフラにかかわることのみを、1年間100円程度の受信料で放送することにして、国民は現行NHKと第2公共放送のどちらかを選択するようにすればよいのではないかと愚考しています。

  • >高給取りのNHK職員・・(国家公務員との乖離)
    >外国籍の職員が何人在籍・・(公務員の国籍条項)

    一見、いいとこ尽くしの国営化も当事者にはこのあたりがネックなんでしょうね。
    帳簿上での”儲けを計上しないための高額支給”なんて愚の骨頂なんですけど・・。

    努力の仕方を間違ってるとしか思えないですね。

  • そもそも、今の若者の韓国ブームもNHKはじめマスコミが作り出したものです。それに乗せられて「韓国好き」になった若者をターゲットに日韓歌合戦を企画するのは旨い商売です。
    日本国民の6割が韓国に親近感を感じていないのに、NHKは本当に公共放送なのか、ここまで露骨に韓国上げをするのは偏っているとしか言えません。国民から強制的に徴収した受信料でやりたい放題のNHKを解体するよい機会だと思います。

  • 聯合ニュース
    韓流ファンが多い国ランキング発表:中国8632万人1位…日本34.3万人27位

  • 日本社会の閉塞感は特有の利権構造にあると思います。
    特にHHKは契約の自由にも反しており、私は憲法違反だと思っています。
    ネットフィリックスと広告を巡って争っていますが、民間会社を広告を使うのは当たり前。
    NHK自身は数々の子会社を持っており、商業活動をしており莫大な資産を持っています。
    視聴者から見放されて衰退する地上波なのに、NHKは莫大な費用をかけて新社屋を建設しています。それよりも視聴料を下げるべきでしょう。
    繰り返しますが、日本の閉塞感は財務省など数々存在する利権構造にあると思います。

  • 広告代理店の売上ランキングでネット専業のサーバーエージェントが3位に入っている。
    ネット広告代理店がトップ10に4社。
    従来の広告代理店もネット広告扱ってるからネット広告がマスコミ4媒体を抜いたというのもうなずける。

  • 一昨日(23日)にも似たようなコメントをしたのですが、やはり腹に据えかねるので、改めてコメントいたします。

    23日の夜7時ぐらいから、フジテレビでサッカーのクロアチアーモロッコ戦の生中継を観た後、はしごして、夜9時過ぎぐらいから、NHKでサッカーの日独戦の生中継を観たわけですよ。

    で、後でよく考えれば(よく考えなくても)、フジの生中継を観ても金は取られないわけですけど、NHKの生中継を観ると金を取られるわけですよ。(厳密には理屈として変なことを言ってるのは承知してますが、少なくともNHKからは受信料を払えと言われる一方で、フジからは金払えとは言われないし、NHKに払った受信料がフジの番組制作に使われることもないでしょう。)

    じゃあ、フジの生中継と比較して、NHKの生中継において、金を支払った分の付加価値は何がついてるのかと、ちょっとNHKに説明してほしいですね。(CMなしで視聴できますとかいうのは、なしでお願いします。)

    逆に、同じ生中継なのに、フジは無料でいいけどNHKには金を払えと言う話は、果たして正当化できるのか。これもNHKにちゃんと説明してほしいですね。

    少なくとも、NHKが、民放でもやれることに手を突っ込んで、国民から金を取ってるのは間違いありません。こういう事例をみると、NHKの公共性なんていうのは、もはや理屈として破綻してるんじゃないのかという気がいたします。

    • ワールドカップに関してはAbematvですね。全64試合無料生中継するそうです。

  • そもそもNHKの主体って何でしようか?

    大金をコンサルに支払って炎上した会長は、ほんの数年前に他所から連れてこられた「よそ者」です。

    任期が終わればいなくなります。

    法的には、国会で決めた法律に基づき、政府が指導するものなのでしょうが、そうなっているようには見えない。

    NHKってよくわからない組織で、主体がはっきりしないからこそ、問題が解決しないようにも思えます。

    おそらく会長以外の経営陣を輩出し、高給で釣った会長を操作する職員組合が主体に近いのではないかと思いますが、そのメンバーである普段目にする真面目そうなアナウンサーたちを利権に目が眩み国民を不当に搾取する汚らしい存在と国民が認知できず、目立つが主体ではない存在を叩き続けていることが話をややこしくしている。

1 2