統計で見る日台・日韓関係の変化

資源高や円安で豪州が引き続き日本の3番目の貿易相手国に

財務省税関による7月分の貿易統計速報値が出てきました。貿易相手国としては引き続き僅差で台湾が韓国に競り勝っているのですが、それと同時に日本にとっての「3番目の貿易相手国」は、先月に続き、豪州となりました。世界的な資源価格の高騰や円安の影響などで、豪州をはじめとする資源国からの輸入額が急増しているためです。

貿易統計速報値・2022年7月時点

財務省税関は本日、2022年7月時点の貿易額に関する統計(いわゆる普通貿易統計)を公表しました。速報ベースですが、さっそく貿易額(輸出額+輸入額)で見て上位10ヵ国を列挙しておきましょう(図表)。

図表 日本の貿易相手国(2022年7月・上位10ヵ国)
貿易額輸出額輸入額
1位:中国3兆9894億円1兆7826億円2兆2068億円
2位:米国2兆6411億円1兆5782億円1兆0629億円
3位:豪州1兆2512億円1753億円1兆0759億円
4位:台湾1兆0660億円6297億円4363億円
5位:韓国1兆0123億円6194億円3930億円
6位:タイ6870億円3888億円2983億円
7位:UAE6331億円933億円5398億円
8位:マレーシア5250億円1998億円3252億円
9位:インドネシア5226億円1751億円3475億円
10位:サウジアラビア5201億円568億円4633億円
その他6兆0965億円3兆0563億円3兆0401億円
合計18兆9444億円8兆7552億円10兆1892億円

(【出所】財務省税関データより著者作成)

これによると、相変わらず中国が日本にとっての最大の貿易相手国ですが、順序に微妙な変化が見られることも事実です。

米中との貿易高、豪州との貿易高

たとえば、昨今のドル高の影響か、中国からの輸入額は増える一方ですが、徐々に対中輸出についても増えており、また、輸出相手国として見たときの米国の重要性についても徐々に回復傾向する傾向にあることが認められます(図表2)。

図表2-1 中国との貿易高

図表2-2 米国との貿易高

(【出所】財務省税関データおよび普通貿易統計より著者作成)

また、資源国からの輸入額が急増傾向にあるのも最近の特徴です。

たとえば、いまや「3番目の貿易相手国」に浮上した豪州からの輸入高については、図表3のとおり、「うなぎ登り」状態にあります。

図表3 豪州との貿易高

(【出所】財務省税関データおよび普通貿易統計より著者作成)

これに対し、豪州向けの輸出額自体はさほど多くなく、もしも資源価格などが落ち着けば、豪州は日本にとっての3番目の貿易相手国から転落する可能性は十分にある、という考察が成り立つゆえんでしょう。

台湾と韓国のつばぜり合い

そして、注目すべきは相変わらずの台湾と韓国の「つばぜり合い」です(図表4)。

図表4-1 台湾との貿易高

図表4-2 韓国との貿易高

(【出所】財務省税関データおよび普通貿易統計より著者作成)

台湾、韓国ともに日本にとっては月間貿易額が1兆円を少し超えるくらいであり、輸出額は6000億円台、輸入額は4000億円を挟んで上下する、といった状況にあります。

このあたり、伝統的に日本の貿易にとって、3番手の地位を占めていたのは韓国であり、台湾は4番目でした。しかし、こうした図式が昨年あたりから変化してきており、じっさい、2021年を通じた年間貿易相手国としては、台湾と韓国の逆転が生じています(『「日本の友人」である台湾が3番目の貿易相手国に浮上』参照)。

また、今年に入ってからは、とくに輸出高では韓国と台湾の「再逆転」が生じていたのですが、これも7月ごろからは「再々逆転」が生じるなど、日本にとっての貿易相手国としての両国の地位は、頻繁に入れ替わっているという状況にあるのです。

このあたり、近年の日韓関係「悪化」にも関わらず、日韓間の貿易高についてはむしろ増加傾向にあるのですが、それを上回る勢いで日台貿易高が増えているというのも興味深いところでしょう。

読者コメント一覧

  1. 妖怪変化 より:

    新宿会計士さん今日は。
     今日は薀蓄があったら、教えて欲しいことを書きます。記事の中でも触れてくだされば十分です。
    コメントの皆さんもよければお願いします。

     GDPとか、GNPとか経済力国力の指標として広く使われています。
    一人当たりというのもあります。国の債権債務も比較によくつかわれます。
    また、○○指数というのも、貧困率を表す○○係数などいくつかあります。学校で習ったのはエンゲル係数くらいです。
    何がベターでしょうか?主たる指標はそれぞれ何をよく表しているのかがよくわかりません。
     このところ、ある人と話していてとみに疑問が深まっています。それは、日本の豊かさの水準をめぐるものでした。GDPからアプローチする彼に対して、購買力平価からアプローチするのとかみ合わなかったからです。最近、購買力平価の限界ということを知りました。
     グローバル化した世界で、経済に変化をもたらしたものは、観光業と全産業のIT化の上に成り立ったサービス業である。というものです。その結果サービス業の賃金が、米国と日本では時間当たり10倍からひどいのは15倍ほどにもなっている。ひいき目に見ても、これだけの差があるわけない。むしろ逆だろう。サービス業の変質は、その内容で、評価されていくとすれば、…..。 というものです。
    この話をきいて、なぜか、頭に浮かんだのは、ある日本大好き欧米人の話でした。日本の田舎のインフラの素晴らしさにたいして、言いませんが、心の中では、だてにバブルを経験してインフラにジャブジャブ金使ってないよとおもったことでした…..。
     サービスは購買力平価の中身にあわない。OECDの購買力平価による国際評価も調べてみても何も出てきません。 幸せとか平和とかではなく、経済分析として、評価方法は、あるのでしょうか?
     すみません。自分の勝手な疑問と悩みです。

    1. 引っ掛かったオタク@的外れ御免つかまつる より:

      “国”をランキング或いは比較する絶対的な単一指標は(いまのところ)ありません
      何故ならば”国”は単一指標で表現しきれるほど単純な対象ではないからです
      “国”にはいろいろな数値で表現できるスガタカタチがありますが、各々の数値はどれも”国”のとある一点或いはとある側面を表現しているに過ぎません
      皆、比べたい要素を絞ってその要素を視るに相応しいであろう指標を牽いてきて比較しているだけです
      トキには幾つかの指標を並記或いは併用または複合などして比較する向きもありますが、そもそも各々の指標における数値化のルールが”国”ごとに違っていることもあったりしますので数値の出処などにも留意すべきかと思われます

      つまるところ「ナニを比べたい」のかまず整理してその要素を表現するに適した指標とはナニか? を絞りこんでみられてはいかがでしょうか??

      1. 妖怪変化 より:

        引っ掛かったオタク@的外れ御免つかまつる  さんありがとうございます。
         真っ当な御意見に安心しました。
         万能ものさしはないよなァ。まいってます。 でも、そのことは実は、大変なことを言ってませんか? 

  2. 迷王星 より:

    日本の貿易相手国としての台湾と韓国との比較だと,両国それぞれとの貿易額の棒グラフを2枚示して下さる(両グラフの比較は読み手の記憶力や計算力に委ねる)よりも,例えば,
    ー 台湾への輸入額÷韓国への輸入額
    ー台湾からの輸入額÷韓国からの輸入額
    ー 台湾との貿易額÷韓国との貿易額
    (あるいは割り算でなく引き算でも可)
    という折線グラフ(縦軸の中央の目盛りはもちろん100%…引き算ならば中央は当然ながら0…が)を(1枚に纏めてでも各々別グラフとして3枚に分けてでも)で示して下さると,読む側としては日本の貿易相手国として台湾が韓国に追いつき追い越す状況(時間的推移)がより明瞭に読み取れるので助かります.

    お手数をお掛けするので恐縮ですが,御一考頂ければと存じます.

  3. HNどうしよう より:

    台湾の現状維持、ないし独立は
    日本のシーレーン確保絶対の基礎。
    貿易額の多寡にかかわらず
    その重要性は韓国の比に非ず。

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