韓国紙「関係改善の好機…素部装の輸出規制解けるか」
韓国紙『中央日報』(日本語版)によると、日本の経団連関係者の訪韓を機に韓国国内で「輸出規制が解ける」との期待に加え、「世界的に経済ブロック化と陣営対立が加速する中で韓日関係改善に向け両国が努力を本格化するタイミング」とする意見が出ているのだそうです。そもそも日本が韓国に輸出「規制」を発動した事実もありませんし、日韓諸懸案解決のすべてのボールを握っているのは韓国の側なのですが…。
対韓輸出管理適正化措置の原因は韓国が作った
日本政府が韓国に対する輸出管理の厳格化(あるいは「適正化」)措置を講じると発表したのは、今からちょうど3年前の2019年7月のことです。
この措置をめぐっては、韓国政府、韓国メディア(そして一部の日本のメディア)などからは、「日本による不当な輸出『規制』だ」、「強制徴用問題(※自称元徴用工問題のこと)に対する意趣返しだ」、といったストーリーが、しつこいほど繰り返されてきました。
しかし、先日の『もう3年:輸出管理適正化措置の原因は韓国側が作った』でも説明したとおり、日本政府の措置発表のタイミングや内容から判断して、この対韓輸出管理適正化措置は自称元徴用工問題とは無関係であり、かつ、世間で思われているよりもはるかに根が深いものです。
そもそも輸出管理とは、わかりやすくいえば、「軍事転用されかねない物資」を外国に輸出する際に、その品目と相手国のリスクに応じてきめ細かく管理しようという制度であり、世界共通の枠組みです。
もしも輸出管理が杜撰な相手国に対し、重要な物資が無節操に輸出された場合、それらの物資が目的外利用されたり、迂回貿易のすえに無法国家やテロリストらの手に渡ったりすれば、それだけで世界の平和と安全が損なわれかねません。当然、そのような国に輸出を許可した日本政府の責任も問われます。
それに、日本政府が韓国政府に開催を要求していた「輸出管理の政策対話」をめぐっても、2016年6月を最後に途絶えていました。韓国政府が要求に応じなかったからです。
経産省の報道発表から想像するに、おそらくはフッ化水素など3品目の対韓輸出をめぐって、何らかの「不適切な事案」の証拠を日本政府が掴み、これに対して説明を要求し続けたものの、韓国側が逃げ回っていた、というのが実情ではないでしょうか。
したがって、対韓輸出管理適正化措置自体、根本となる原因を作ったのは韓国側であり、日本政府としては最低限必要な措置として、とりあえずは3品目の輸出管理を厳格化するとともに、韓国を「(旧)ホワイト国」のリストから除外したのでしょう。
輸出「規制」の影響はほとんど出ていない
ただし、貿易統計から確認する限り、この対韓輸出管理適正化措置の影響は極めて限定的です。
そもそもフッ化水素など3品目の対韓輸出は、一部品目が一時的に停止したものの、数ヵ月で再開され、現在でも使途に問題がないと確認されたものについては問題なく輸出が続いています。
また、半導体製造装置などを中心とする「素材・部品・装備」(素部装)の対韓輸出は減るどころか、過去最大規模を更新し続けています。
日本の対韓輸出高を品目別に分解すると、最も多いのが「機械類及び輸送用」(とくに半導体製造装置や半導体等電子部品)、「化学製品」(有機化合物、無機化合物など)、「原料別製品」(鉄鋼など)、「雑製品」(光学機器など)です。
これらの月次での対韓輸出高を眺めてみると、2019年7月を挟んで大きく増減したという事実は観測できず、むしろ輸出「規制」発動以降、増加傾向である、とすらいえるでしょう(図表)。
図表 日本の対韓輸出高(品目別)
(【出所】財務省税関『普通貿易統計』より著者作成)
実際の数値で見る限り、むしろ韓国が主張する「不当な輸出規制」の証拠は存在しないのです。
中央日報「素部装の輸出規制解けるか」
こうした事実関係を踏まえるならば、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に今朝掲載されたこんな記事を読むと、ちょっと戸惑ってしまいます。
日本経団連と会った李在鎔サムスン副会長…素材・部品・装備の輸出規制解けるか
―――2022.07.06 06:47付 中央日報日本語版より
中央日報は訪韓中の経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)や東原敏昭副会長(日立グループ会長)がサムスン電子の李在鎔(り・ざいよう)副会長と相次いで面談し、「韓日企業間の交流活性化と供給網安定に向けた協力案を議論した」と報じているのですが、これに関連して次のように述べているからです。
「財界は今回の会合を契機に、これまで冷え込んでいた韓日間の素材・部品・装備の生態系回復がスピードを出すものと期待している」。
現実の数値で読む限り、日韓間の貿易高(とくに日本から韓国への素材・部品・装備の輸出)についてはまったく落ち込んでおらず、むしろコロナ前と比べて増えているという事実を踏まえると、なんだか非常に不思議な記述です。
さらには、中央日報はこうも伝えています。
「李副会長と東原副会長は半導体分野の協力案について意見を交わしたという。<中略>財界では今後韓日間の民間レベルの協力関係が再構築されるという見方が出ている」。
そもそも論ですが、輸出「規制」という誤った呼称で報じ続けること自体が日本に対する侮辱であり、また、事実関係すらまともに把握できない国と深い貿易関係を構築すること自体が日本にとって大きなリスクではないかと思う次第です。
宿題もこなさずに「韓日関係改善の好機だ」
もっとも、このあたりの事情はとりあえず脇に置き、記事を読み進めていきましょう。中央日報の記事で思わず笑ってしまいそうになるのは、こんな記述です。
「サムスン電子は李副会長と日本の経済界が長い間積み重ねてきた信頼を基に、日本の輸出規制以降も日本製半導体素材を支障なく供給されており、現在はNTTドコモとKDDIの日本の大手通信事業者に第5世代移動通信(5G)ネットワーク装備を供給していると明らかにした」。
中央日報自身が記事のなかで、ちゃんと対韓輸出管理適正化措置発動後も「日本から半導体の素材が支障なく支給されている」、「日本企業との協力が進んでいる」と認めているからです。
どうしてこれで「輸出規制解けるか」というタイトルになるのでしょうか。
日本の対韓輸出管理体制を2019年7月以前の状態に戻したければ、韓国自身が日本政府の要求する政策対話にちゃんと応じたうえ、自国の輸出管理体制を改めることが必要です。そのうえで日本政府が判断する話です。
ところで、中央日報によると韓国の財界関係者は次のよう述べたのだそうです。
「世界的に経済ブロック化と陣営対立が加速する中で韓日関係改善に向け両国が努力を本格化するタイミング。李副会長が民間外交官として素材・部品・装備生態系の復元などに大きな役割をすると期待する」。
宿題もこなさずに「関係改善のタイミングだ」とは呆れる発言です。
そもそも論として2018年10月と11月に韓国の最高裁に相当する「大法院」が違法判決を下し、韓国政府がこれに対して国際法違反の状態を是正する措置をいっさい講じていないという事実は、日本が韓国と協力関係を構築することが難しいということを意味しています。
その意味で、日韓関係を「回復」することができるかどうかは、韓国が自国の違法状態を「是正」することができるかどうか、というのと、論点としてはまったく同じなのでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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>李副会長が民間外交官として素材・部品・装備生態系の復元などに大きな役割をすると期待する
誰が期待しているか? 答えは中共でしょう。
日本政府はサムソンだけでなく住友化学も重点監視すべきと思う。
S友化学会長が、首脳会議してくれとか輸出規制を解除させようとかは話していないと、日本側の議事録でわかりますが、それにしても、なぜS友化学含めて、日本の化学産業関係者はROKに甘いのでしょうね?原油の備蓄タンクをROKに置いているとか、原油の売り買いで何かROKを介して儲かるしくみがあるのでしょうか。
もし韓国がフッ化水素などの戦略物資を”怪しげな横流し”などしておらず、
ただ単に「日本に頭を下げたと見なされたら国民からロウソクを喰らう!」と
恐れているだけなら、輸出”寄生”(あえて誤字を使います)の件は
後回しにして他の案件に取り掛かった方が良いと思うんですがねえ……
やっぱり何か”とても正直に説明できない行為”をしてきた過去があって、
”お客様”から「早くしろ!」とせっつかれているのでしょうか?
疑惑はずっと疑惑のままですが、ここまでしつこいと勘繰りたくなります。
イランからの原油代金支払い?
韓国は、使用先の条件か付くと横流しできないじゃないか。だからもとに戻してほしい。と言えばいいじゃないか。
輸出”寄生”
上手いです(^^♪
宿題もこなさずに「韓日関係改善の好機だ」
韓国も中国もトップダウンが激しく、為政者の言葉ひとつで
法律が出来たり、無視されたりします。
つまり
韓国人は日本が厳しい措置する理由を
「 日本の為政者(安倍)の気分を損ねたから」と考えています。
だから日本で政権交代があれば 輸出規制強化が無くなると考えるのです
為政者の気分を損ねたのは間違いないですがね。
韓国の経済界も分かってないなぁ。
日本の輸出管理強化は、言ってみれば、最終使用者の確認を怠ったなどへの日本の輸出企業への罰則みたいなものだよ。不正の片棒を担いでいた奴らに、元に戻してくれ、と頼んでどうする?
伊氏の政策協議団が来日した際に、経済産業省の担当課長が教えてあげたよね。WTOへの提訴を取り下げて政策協議に戻れ、と。
何故、当たり前のことが出来ないのか、本当に不思議。だからいつまでも「まあ韓国だからね」と言われるんだよ。
ドコモとKDDI。立て続けに大規模障害を起こした会社……
対韓輸出規制(×、管理)問題については日本側にもやや不手際があります。①当時の世耕経済産業大臣が徴用工判決で信頼が失われた旨の発言をツイートした②日本が不正な横流しの証拠を一部でも示さない(ほのめかす?)ためだと思います。だから韓国に輸出管理をしていると主張されてしまいます。何故、日本は不正な横流しの証拠をリークしないのでしょうか
不正件数がリークできるだけの量なのかどうか。
とっても多そうだし、意地悪な私はわざわざ教えてあげない。
どの不正の証拠を日本が抑えているか、韓国側が分からない方が色々できそう。
自爆・墓穴狙い? ウザい言い訳・捏造回避?
> ①当時の世耕経済産業大臣が徴用工判決で信頼が失われた旨の発言をツイート
これに類する幾つかの日本政府側の当時の発言を挙げつらって「これが証拠」と「対韓報復のための規制」であると決めつける識者が日本にも居ます(木村幹神戸大学教授など)。
しかし新宿会計士さまのご指摘通り、①数か月以内に輸出は持ち直し、今もごく普通に輸出されています。つまり「規制」なら実質骨抜きのザル規制だという事です。②また、「規制」論者が誰も認めたがらないが、旧日本側の輸出管理基準では3段階あって、韓国は最上級の扱いでした。それが(韓国の最大のライバルである臺灣と同じ)普通の貿易相手国と同じランクになっただけに過ぎません。最低ランクにはテロ国家と名指しされる諸国がありますが韓国の扱いは現状これではない。如何なる意味でも「規制」や「報復」では(未だ)ない。
それでは何故、木村幹教授ら日本の識者が「これはまずい、日本が手落ち」と言うのかというと、私の仮説ですが【韓国からのあまりにも強烈な猛抗議に気圧されて】しまっているのではないか。韓国の圧と日本の態度とを(中をとって)合理的に考えるならばこうした見方は当然出てくると思います。ですが「韓国が日本にしてくる事が合理的ではない(度を越えた異常な態度)」という観点が抜けている。
一見、日本の輸出規制に韓国は得られたであろう本来の半導体産業の莫大な利益をみすみす失っている、日本の韓国いじめだ、韓国の得意分野を「絞る」事で圧迫している、という認識でしょう。
でもそれは①によって事実ではないことが明らかです。例えばここ数日出てきているサハリンの油井やガス田の利権を勝手に取り上げるロシアの措置がありましたが、こうしたルールに基づかない勝手制裁とミソクソにしてはなりません。
ではこの日韓間の問題の実態は何なのか。日本が必要とあれば韓国の断りなしに安全保障上の措置をとる、とれるという事が、「韓国が上、日本が下」という韓国の求める関係と合致しない。また「猛抗議に押されて日本が慌てて措置を撤回し、韓国に謝罪する」ぐらいの対応がお望みなのでしょう。つまり日本の国民主権国家主権を無視してその上に韓国を置きたいという増長した韓国側のメンツの問題なのです。
> 何故、日本は不正な横流しの証拠をリークしないのでしょうか
証拠を挙げて「我が国は潔白」と証明するのは韓国側だからではないでしょうか。また日本は米軍のような圧倒的な世界の覇権国ではないのだから8割9割確かだと思ってもスパイ網と軍事力とをもって突き止めて拿捕したり斬首したりできません。なので「ホワイト国から臺灣級までの格下げ」程度のヌルい措置にしかできないのでしょう。毎年の日韓の協議の約束を反故にして出てこなかった一点だけでも不誠実。プレミア待遇してさしあげる必要はありますまい。
「韓国人と友達になったらこちらの消しゴムなど断りなしに黙って勝手に使う」云々の話を誰かの本で読んだことがあります。韓国にとって反日反日と平気で言う癖に友達付き合いの馴れ馴れしさがあったのかも知れません。「敵呼ばわり」までするくせに親友のつもりなのでしょう。「独立戦争」に擬した国民運動を呼びかけたくせに目標が「プレミア待遇を寄越せ」です。FCレーダー照射までして一触即発の事態を引き起こしておいてゴニョゴニョと決着も付けないままです。どこの国に横流しをしようと「俺とお前の関係ならば一定時間が経ったなら許すのが当たり前」と思っている。「韓国人には約束の概念がない」云々という話も何かで読みました。そういう事なんだと思います。もしかしたらAppleのSoCの製造委託がSamsungからTSMCに移った頃から韓国の半導体産業の技術的優位は一位から転落してきたのではないか。しかしそれを「日本の規制報復のせい」とゴチャマゼにして居るのではないか。日本からの「措置」がもしも終わったらSamsungの技術的覇権は(日本に抑えられて居ただけだから)再度やってくると思っているのかも知れません。
元日本共産党員名無し様
まったくもってそのとおりだと激しく同意します。
要は、輸入できるかどうかが重要ではなく、日本が韓国の金○まを握ってる状態が不愉快なだけなんです。
それは、とりもなおさず日本が上だとなり、また韓国が同じ状態なら確実に輸出を止めるので日本も同じ様に、何時か必ず輸出を止めると思うので、早くホワイト国に戻して欲しいのです。
思い切って輸出を止めたら、息の根が止まって静かになるのかも。
日本が韓国の金○まを握ってる
そんなキタナイもの握りたくありませんなあ。せめて首根っこくらいにしておいて下さいww
根拠は、明確に指摘するとチェック体制の裏をかかれる可能性があるので、この世界では言わないのが当たり前ではないでしょうか? 罰金を科したわけでもないですし。
確定した証拠ではないかもしれませんが、当時、中部大学教授であった元経産官僚の細川さんが、
”サムスン電子が中国にある自社工場に日本から輸入したフッ化水素を横流ししていたのではないかとの情報がある”
と仰っていたと思います。