萩生田経産相、サハリン2巡り「ロシアに説明求める」
ロシアによる事実上の「サハリン2」の権益没収措置に対し、萩生田光一経産相が「外交ルートを通じてロシアに説明を求めている」と明らかにしたのだそうです。この期に及んで「説明しろ」というのも、なかなかに興味深い認識です。むしろ経産省として考えねばならないのは、ロシア産のエネルギーへの依存をどうやって減らすかであり、原発再稼働の推進を含めたベースロード電源の確保への道筋をどう立てるかです。
ロシアに対する経済制裁措置が追加
ロシアによる違法なウクライナ侵略戦争が始まってから4ヵ月以上が経過するなか、戦況は一進一退の状況が続いているようです。ことに、一部の都市・地域がロシアにより占領された、といった報道もある一方で、ロシアが拠点から撤収した、といった報道もあるなど、戦況はなかなか読めません。
ただ、ひとつだけ確実にいえることがあるとすれば、日本を含めた西側諸国のロシアに対する制裁による締め付けは、着実に厳格化される方向にある、という点でしょう。
日本政府の例でいえば、資産凍結などの対象となるロシアの企業や個人は着実に増えていますし、最近だと貴金属(マネタリー・ゴールドなど)のロシアからの輸入禁止措置も導入されています。
たとえば、財務省・外務省・経産省は本日、連名で、外為法に基づく経済制裁措置の追加を公表しています。
ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置について
―――2022/07/05付 財務省HPより
これによると、次の措置が適用されます。
- 支払規制や「資本取引規制」(資産凍結措置)を、ロシア連邦の関係者(57個人、6つの団体)に加え、「ウクライナ東部の不安定化に直接関与していると判断される者(5個人)に対しても拡大する
- 産業基盤強化に資する物品の輸出禁止措置の適用対象をロシア連邦の65団体、ベラルーシの25団体に対して拡大する
- 今年9月5日以降、ロシア向けの信託、会計・監査、経営コンサルティングなどのサービスの提供を許可制とする
- ロシア連邦からの貴金属(金)の輸入禁止措置を導入する(※ただし、詳細については後日、財務省告示によって指定する予定)
ロシア、日本の措置に苛立つ?
もちろん、この措置に実効性があるのかどうかについては、また別の議論です。
日本のロシアからのエネルギー輸入を除くと日露貿易の絶対額はさほど多くなく、また、金融取引量もさほどありませんので、正直、これらの措置が直接的にロシア経済に対し、どこまでの打撃を与えるのかについては読み切れない部分でもあります。
しかし、それと同時に細切れに少しずつ制裁措置を発表し、発動していく姿勢は、非常に大切です。というのも、これらの措置がどうもロシアをいら立たせていることは間違いないからです。実際、ロシアのメディア『タス通信』はこの日本政府の措置を目立つ場所で「速報」的に取り上げています。
Япония расширила индивидуальные и экспортные санкции против РФ и Белоруссии
―――2022/07/05付 タス通信より
しかも、記事のなかでは日本のメディアですらあまり報じないほど細かく日本政府の措置を詳細に報じています。
いちおう論評は含まれていませんが、ロシアのタス通信を眺めていると、本当にわかりやすいと思う次第です。
ロシア自身の行動がロシアの理解者を撲滅した
こうしたなか、ロシアによるウクライナ戦争の初期のころは、やたらとロシアの肩を持つような意見が見られました。某政党の創立者でもある弁護士の方がその典型例ですが、それだけではありません。
「保守派」を名乗り、一時期は「保守系チャンネル」として知られた某放送局などもそうでしたし、あるいは国会でも、一部の政治家がやたらとロシアに対して親和的な発言を繰り返している事例もあります。
酷いケースになると、「ウクライナにおける残虐行為はウクライナにおける自作自演だ」、「今回のウクライナ戦争自体もアメリカのでぃーぷ・すてーとの陰謀で発生した」、といったものもあります。
ただ、非常に残念なことに、彼らのそうした主張を裏付ける事実はほとんど見当たりません。やはり時間が経過するごとに、そうした荒唐無稽な意見は徐々に淘汰されていくようです。
というのも、ロシアの行動があまりにも国際社会の常識とはかけ離れているからです。
たとえば、「『非友好国』に対する外貨建ての債務をルーブルで支払っても良い」、などとする大統領令などは、その典型例でしょう(『「借金踏み倒し宣言」?ロシアが非友好国リストを公表』等参照)。
ちなみにタス通信英語版の3月7日付の “Russian government approves list of unfriendly countries and territories” という記事によると、この「非友好国」には次の各国・地域が含まれます。
米国、カナダ、欧州連合(EU)加盟国、英国(ジャージー、アンギラ、BVI、ジブラルタルを含む)、ウクライナ、モンテネグロ、スイス、アルバニア、ナドラ、アイスランド、リヒテンシュタイン、モナコ、ノルウェー、サンマリノ、北マケドニア、日本、韓国、豪州、ミクロネシア、ニュージーランド、台湾
しかも台湾については「中国の領土の一部と考えられるが、1949年以降は自身の政府により統治されている」、といった文言が付記されるなどしています(※こうした表現自体、中国を苛立たせかねないと思うのですが、このあたりは大丈夫なのでしょうか?)。
そのうえ、この「非友好国」に対しては「ガスを輸出する際にルーブル建てにする」、といった措置も講じられており(『ロシアが非友好国に対し天然ガスのルーブル決済を導入』等参照)、実際、その後は欧州の一部の国がガス代金のルーブルでの支払いを拒否したとして、ガスの輸出が停止されるなどの事態も生じています。
こうした行動を見ていると、ロシア自身の非常識な行動が国際社会におけるロシアの理解者を根絶した、という言い方もできますし、これとあわせてエネルギーをロシアに依存することの危険性が改めて示された格好でもあるのです。
LNGへのルーブル決済、日本への影響
こうしたなか、時事通信は今朝、ロシア国内でパイプラインを通じて輸出される天然ガス以外に対しても、この「非友好国のルーブル決済」を求める、とする動きが生じていると報じました。
LNGのルーブル払い提案 実現なら日本も影響―ロシア国営ガス
―――2022年07月05日09時00分付 時事通信より
時事通信はタス通信の報道を引用するかたちで、ガスプロム幹部が4日、下院で非友好国向けの液化天然ガス(LNG)輸出に関し、「ロシア通貨ルーブルでの支払いを求めることを提案した」としたうえで、提案が実現した場合には「サハリン2などからLNGを輸入する日本にも影響が及ぶ恐れがある」としています。
また、この「サハリン2」といえば、ロシアのウラジミル・プーチン大統領が国際コンソーシアムから事業を新設ダミー会社に移転させるなどの大統領令に署名しことでも知られています(『サハリン2「権益没収」大統領令への対処は政府の責任』等参照)。
さらにいえば、日本の岸田文雄首相がこの大統領令を「注視する」と述べた、とする話題もありました(『岸田首相、サハリン2「権益没収」を巡り「注視する」』等参照)が、日本政府による経済制裁措置が実行されているなかで、ロシアからのガス輸出がいつ停まってもおかしくないことは、ずいぶん前から予見された話です。
萩生田氏「ロシアに説明求める」
時事通信にはもうひとつ、なかなかに強烈な記事が掲載されていました。
「ロシア側に説明要求」 サハリン2「接収」の大統領令―萩生田経産相
―――2022年07月05日12時22分付 時事通信より
時事通信によると、萩生田光一経済産業相は5日の閣議後記者会見で、この大統領令をめぐって外交ルートを通じ、「ロシア政府が日本企業に求める各種手続きの期限や出資条件を含めて説明を求めるなど、情報収集を行っている」、などと述べたのだそうです。
ロシアは果たして「説明しろ」と要求して説明する国なのでしょうか?
どうにも理解に苦しみます。
萩生田氏はまた、このサハリン2については「日本の電力・ガス安定供給の観点から重要なプロジェクト」だとしつつ、「わが国の資源に関わる権益が損なわれることは一般論としてあってはならない」とも述べたのだそうですが、相手が国際法を無視する無法国家であるという事実をあまりにも軽視した認識です。
もちろん、エネルギーの安定供給が損なわれてはならないのはそのとおりですが、それと同時に、ロシアの戦争遂行能力を制限するという意味でも、ロシアに対する外貨収入をもたらすことについては極力制限を加えていかねばなりません。
ただし、考え様によっては、今回の「サハリン2危機」に加え、昨今頻発する電力不足などの問題点は、私たちの社会において原発、火力発電所を含めた安定電源がいかに重要であるかを再認識させるきっかけにもなります。
やたらと高い再生エネ賦課金を強制徴収されているわりに、太陽光などを含めた再生可能エネルギーの多くがベースロード電源となり得ないことも明らかになりつつありますので、ここはFIT法という民主党政権時代の負の遺産を一掃することも含め、エネルギー政策をまじめに考える好機でもあるのかもしれません。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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説明しろと言って、ロシアが素直に応じるとは思えませんが。
「応じない」という結果を確認する必要はあるでしょう。
国際的な秩序や慣習に則った対応が必要かと。
相手が無法だから、こちらも無法を働いていいという訳ではありません。それでは、同じ土俵に立ち、どっちもどっち扱いされます。
むしろ、相手が無法だからこそ、こちらは法と秩序を守り、一方的に相手が悪いのだという確かな証拠を押さえ、味方を作る必要があると思います。
焦れったいかも知れませんが、首は着実に締めていくべきかと思います。
私はとても心配しています。
ロシアに明確に敵対しました。
ロシア軍は弱い。金が無いから最新鋭の日本とアメリカの武器に勝てない。
等と物知りさんは言いますがそれでは何故、日本がアメリカと戦争したのでしょうか?
WW1 も初期は些細な争いから始まり、直ぐ終わる。と言いながら世界大戦へ。
今回のロシアは勝つまで戦いを止めないでしょう。
北からロシアが、中国が台湾尖閣に、朝鮮半島で北朝鮮が仕掛け、中東で新たにサウジが
ウクライナ情勢も周辺に拡大。等とエスカレーションしないでしょうか。
ここまで戦場が広がれば西側は対処出来ないでしょう。
なにせ独裁ですから決断は早く、他の意見を聞く必要もありません。
自由民主主義のような常識は通じないと思わなければなりません。
これを平和ぼけの日本人は受け止められるのでしょうか
普通の日本人 様
>ここまで戦場が広がれば西側は対処出来ないでしょう。
世界地図にロシア・中共・北朝鮮・イランの悪の枢軸国と西側主要国をプロットしてみれば、対処できるか否かおおよそ推測が付くと思います。
その中では、3正面作戦を考慮しなければならない日本が最も危険な場所です。今我々にできることは、政府が直ちに対応をとれる様、この参議院選挙で共産・立憲・れいわ・社民などの妨害勢力を一掃することだと思います。平和ボケしている時ではありません。
第一四半期の決算短信の期限は8月15日ごろ。三井物産と三菱商事はサハリン2の権益について減損損失を計上するのだろうか。これほど大きな事件の割にこの2社の株価は大きくは落ちていない。とっくに織り込み済みか?
サハリン2の建設には日本のエンジニアリング会社が入っているが、日本を追い出してロシア自身でメンテナンスできるのだろうか。
>。この期に及んで「説明しろ」というのも、なかなかに興味深い認識です。
————
興味深い認識とは非常に温厚な批評ですが、納得のいく説明など期待しているとは思えないでしょう。そもそも北方4島を強奪したことも納得のいく説明をしたのでしょうかね。
荻生田氏はロシアが違法行為をしたという正式記録を残しておきたいと理解するのが真っ当な考え方なのかなと言う気がしますが。
希望的な観測かもしれませんが、ロシア側が日本の説明を求める要求を無視した場合、日本政府は次の手を考えていると信じたいです。
蛇足ですが、このロシアへの対応を失敗すると、今度の参議院選挙で自民党への票が減ることもあり得るのではないでしょうか。
歌舞伎外交をやって見せているのでしょうか。きっと遺憾砲は別に取ってある。
「説明を求める!」
(ここで目を剥き、大見得を切ってみせる。周囲大げさに驚く。すべてはカブキか)
この期に及んで糞の役にも立たない太陽光発電をしたり顔で擁護してる連中は「太陽光ムラ」からいくらもらってるんでしょうね。
>ロシア自身の行動がロシアの理解者を撲滅した
今となっては、ロシアンフレンズの主張を読めば、今のロシアがどんなプロパガンダをしようか掴めるので便利ではあります。
コロナに続いて、だいぶ炙り出されました。
再エネ発電業者、特にソーラー発電事業者には、特別税を賦課すべき。
また、パネル廃棄まで事業者責任でやらせるべき。
支那の、パネルには、特別高率な税を賦課すべき。
山林伐採して建設する場合には、緑化税を徴収すべし。
また、原子力発電再開のための、特別税も合わせ賦課すべし。
> やたらと高い再生エネ賦課金を強制徴収されているわりに、太陽光などを含めた再生可能エネルギーの多くがベースロード電源となり得ないことも明らかになりつつありますので、ここはFIT法という民主党政権時代の負の遺産を一掃することも含め、エネルギー政策をまじめに考える好機でもあるのかもしれません。
マスゴミは口を揃えて、「今や、再生可能エネルギーが、最も発電コスト安い。」と主張してます。
それがもし本当なら、固定価格買取制度の買取価格は大幅に引き下げるべきなのに、そういう事は一切言わない。
「沖縄には70%超の米軍専用施設がある。」(本土の基地・演習場の多くは自衛隊と米軍の共同使用だから)と云うのと同様のカラクリがあるのではないかと疑ってます。詳しい方、教えて下さい。
私が疑っているのは次の通り、(素人が思いつく範囲内なので、漏れている項目も多々あろうかとは思いますが)
1)ジェノサイドパネルの使用を前提にしているのでは?
人件費ゼロの奴隷労働による製品を使ってりゃ、そりゃ安いはな。
人権意識のカケラも無い。
2)発電所から基幹送電網迄の送電費用を、旧電力に転嫁しているのでは?
勝手な所に再エネ発電所を建てておいて、基幹送電網迄送るコストを旧電力に転嫁。
水力・火力・原子力発電には、再エネ発電所分の送電コスト迄上乗せ。
3)需要ピークに調整するコストを旧電力に転嫁しているのでは?
晴れて、太陽が南中する頃最も発電する太陽光発電所、需要の低い夜中に発電する風力発電所。
朝凪・夕凪という言葉がある様に、冬場の需要ピークには役に立たない再エネ発電所。
再エネ発電所は好きな時刻に発電する、後始末は旧電力で何とかしろ、再エネ側は一切のコスト負担に応じない、という超エゴ状態なのでは?
再エネ発電所側で蓄電設備等を用意するなりして、需要のある時に送電すべきでしょうに。
買取料金は、需給ギャップの大小に応じて、大幅に差をつけるべきでしょう。
4)後始末費用を含めていない、または、過小評価しているのでは?
放射性廃棄物は、時と共に放射線量が減るが、太陽電池パネルに入っているヒ素の毒性は何億年待っても全く減らない。
一方で、原発は施設も燃料も既にあるのに、建設費から廃炉費迄全て含めて計算しているのでは?
5)再エネ側のみ、環境対策費を除外、または過小評価しているのでは?
太陽光発電所は光害と電波公害を、風力発電所は超低周波公害を起こす。
火力・原子力には超厳し目の環境対策費、再エネ側は超甘目の環境対策費で計算しているのでは?
強気をくずさないロシアに対して
まじめゆえに弱気の日本らしいコメントには
日本人である私なので同調してしまいそうです。
しかし、日頃から
日本や国際社会に背を向けて
ならず者国家とは友愛結ぶ
鳩ぽっぽさんたちみたいなものと違って
平和を希求する日本国民にとって
姑息に領土拡大したピヨピヨ大帝とやらの
最大版図を持って思い上がりで蛮行に走る
プーチンみたいなものをそこまで恐れる必要が
あるのかなあ?とも感じます。
たしかに
ロシアは分不相応に広い国土で
ただその上に住んでいるというだけで
怠け者のロシア国民でも享受できる
天然資源はありますが
GDPで米国の15分の一、日本の3分の一
ならず者国家連合で中国と組んでも
G7にはとても及びません。
なにより、
天然資源売った金で
唯一の誇りのロシア兵器は
ポンコツと露見してしまい
西側技術無くしてはさらに衰退必定で
アザラシの皮はいで口銭稼ぐ
本来のプーチンロシアにふさわしいありように
回帰していくあたりまえの道筋を
国際社会は進ませて上げることが
必要だと感じます。
あちら系から右翼、極右と呼ばれる私にとってはまともな人々には結構受けが良かったようですが、エネルギー政策がクソなだけではなくこの発言、羽生田氏には検討士・注視属の匂いがプンプンしてがっかりです。
逆に見直したことがあります。ニュースソースはぼったくりNHKの午後9時からのウクライナ関連ニュースですが、NATOのウクライナ復興会議で日本代表の鈴木外務副大臣が英語でツナミの経験を活かし云々と立派に演説してました。宗男父ちゃんはさっさと引退すべきですが、娘は立派に育ったようです。