韓国ウォン、13年ぶり場中1300ウォン/ドル突破

先ほど、韓国の通貨・ウォンが1ドル=1300ウォンの大台を突破しました。ウォンは再び1ドル=1300ウォン水準を割り込んだのですが、その後は再び1300ウォンの大台を突破するという、非常に激しい値動きが見られています。韓国銀行あたりが必死の介入をしているのでしょうか?いずれにせよ、USDKRWが13年ぶりの安値水準を目指すなか、韓国メディアから日韓金融協力(とくに日韓通貨スワップ)への待望論が出てくるのかどうかには注目したいところです。

辛うじて1300ウォンの大台を踏み越えなかったが…

今朝の『韓国人教授「韓米は無条件でスワップ再開しなくては」』で確認したとおり、韓国の通貨・ウォンの対米ドル相場(USDKRW)は、「引け値ベース」ではすでに一昨日の時点で13年ぶりの安値水準に突入しているのですが、「日中最安値ベース」では辛うじて1300ウォン手前で踏みとどまっていました。

USDKRWの相場(韓国時間引け値ベース)
  • 1997/12/23(火)…1962.00
  • 2009/03/02(月)…1570.30
  • 2009/07/13(月)…1315.00
  • 2009/07/14(火)…1293.00
  • 2022/06/21(火)…1293.60 ←約13年ぶりの安値水準
  • 2022/06/22(水)…1297.30 ←さらにウォン安が進行

(【出所】為替相場については韓国銀行データベース)

USDKRWの相場(日中最安値ベース)
  • 1997/12/23(火)…1995.00
  • 2009/03/02(月)…1596.00
  • 2009/07/13(月)…1315.00
  • 2009/07/14(火)…1306.00
  • 2020/03/19(木)…1296.00 ←1300ウォンの大台を超えず踏みとどまる
  • 2022/06/21(火)…1294.00 ←まだ1300ウォンの大台を超えていない
  • 2022/06/22(水)…1297.90 ←前日より下落したが、まだ1300ウォンの大台を超えていない

(【出所】為替相場については韓国銀行データベース)

また、昨日の韓国取引時間(~15:30)が終了後のセッションで1ドル=1300ウォンを超えましたが、これについては本日の韓国取引時間(9:00~)を迎える前の時点で、いったん1300ウォンの水準以下に戻しています。

本日、あっけなく1300ウォンを超過

これについて、もしも日中最安値ベースで1ドル=1300ウォンを超過したならば、そのことは2009年7月以来の非常に画期的なことですが、これに続報がありました。案外あっけなく、1ドル=1300ウォンを突破したのです。

ウォン相場、13年ぶり取引時間中に1ドル=1300ウォン突破

―――2022.06.23 09:58付 中央日報日本語版より

韓国ウォンが下落 約13年ぶり1ドル=1300ウォン台に

―――2022.06.23 10:03付 聯合ニュース日本語版より

韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)や『中央日報』(日本語版)の報道を総合すると、23日のソウル外為市場ではウォンは前日比1.7ウォン安い1ドル=1299.0ウォンで寄り付き、午前9時10分ごろには1ドル=1300ウォンを突破した、としています。

両メディアの記事によると、ジェローム・パウエル米FRB議長が米上院公聴会で持続的な利上げの必要性に言及したことが影響した、などとしていますが、韓国時間開場前のNDFの動き、あるいはドル円相場の動きなどと比べると、こうした説明には若干の無理があるようにも思えます。

やはり、ここ数日の為替相場は、韓国銀行がやや無理をして為替介入を続けた結果、なんとか1ドル=1300ウォンを割り込む水準を維持していたものの、継続的なウォン売り圧力を緩和させるに至らなかった、と考えた方がスッキリと説明できそうです。

典型的な「W」曲線が実現するなか、次の焦点は…

さて、WSJのマーケット欄を確認すると、昨日の韓国時間終了後に1ドル=1305ウォンの水準にまで到達したものの、本日の韓国時間開始前になんとか1ドル=1300ウォン割れの水準に押し戻された、という点については先ほど述べたとおりです。

ただ、その後は9時過ぎに1300ウォンを超え、すぐに1300ウォン割れ水準に買い戻され、再び11時ごろには1300ウォンを突破するという激しい値動きが見られています。とくに日本時間午前11時半時点で1ドル=1302ウォンにまでジャンプし、その後再び買い戻されるという、典型的な「W」曲線が出現しています。

この点、本日の韓国市場は通貨安・株安ですが、少なくとも前場に関していえば、短期ゾーンを中心に債券は買われているようです。よって「トリプル安」(株安・債券安・通貨安)という状況にはなく、したがって今回のようなウォン安を「外国人のセルコリアの動き」と決めつけるのは、若干短絡的ではあります。

しかし、それと同時に『韓国人教授「韓米は無条件でスワップ再開しなくては」』でも触れたとおり、韓国には「米ドル建ての通貨スワップ」への渇望とともに、ウォン安への恐怖のようなものがあるのかもしれません。

しかも、米国といえば北朝鮮やカリオストロ公国と並んで米ドル紙幣を印刷する能力を持った国ですが、韓国との間で通貨スワップを結んでくれる可能性は極めて低く、これに加えて2020年3月から21年12月まで存在した米韓為替スワップについても、その復活は期待できません。

そうなると、「ドルスワップ」を結んでくれる相手国は、自国でドル紙幣を印刷することができる北朝鮮、カリオストロ公国の両国を除けば、1.3兆ドルを超える外貨準備を持つ日本くらいしか考えられません。

だからこそ、次の展開も何となく予想できてしまいます。「韓国は日本との金融協力を必要としている」、「1.3兆ドルという豊富な外貨準備を持つ日本は、韓日金融協力のあかしとして、無条件で韓国と通貨スワップを結べ」、といったところでしょうか。

今後の動向には要注目です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 豆鉄砲 より:

    と、するとですよ。

    アメリカや日本とスワップするより、北朝鮮とドル立てスワップを結ぶ方がいいのでは?

    1. JJ朝日 より:

      いや、それドル建てとは言わない気がします。kospiも2300切りそう。

  2. フクロウ より:

    ふと思ったのですが現在は買い時なのでしょうか?
    通貨安が進んだ時にどうなるのかに興味はありますが過去を見る限り何だかんだで1200以下くらいに戻しています。そうなると素人考えですが今のうちにドルを持っている人は交換してしまえばいずれ上がった時に差額で利益が出るのではないでしょうか?
    この考え方が正しいのかどうかどなたかわかる方はいらっしゃいませんか?

    1. sqsq より:

      今1ドル持っている人がドルを売ってウォンに替えると1300ウォンになります。
      1200に戻した時ドルに替えれば1ドルと100ウォンになり100ウォンの儲けが残ります。

      ウォンが安いので買い時と思っている人より、まだ下がると思っている人の方が多いからズルズルと1300まで来たのでは?

    2. 匿名 より:

      2年前に1290近辺へ急落した際、反転したきっかけはアメリカによる9カ国為替スワップの情報でした。
      通貨危機の時も、リーマンショックの時もIMFや欧米、日本などに救済されております。

      さて2022年。米日は中国ベッタリの韓国を救済する可能性は低いです。IMFは既に「無理」と言っております。
      いずれ反騰する日は来るのでしょうか?

  3. 元ジェネラリスト より:

    今日始めて、USDKRWの値動きを少し見てましたけど、売りが入れば即座に買われて、下ヒゲだらけですね。
    機械的にやってそうな。

    今朝からの三角持ち合いに決着が付きそうです。

  4. トシ より:

    韓国の家計は借金をして株式、暗号資産、不動産に投資をしている。
    特に「土のスプーン」を持って生まれてきた20~30代の若者が投機にのめり込んだ。

    コロナ以降の金融緩和下で各種資産が大幅に値上がりする。
    ここで人生逆転とばかりに全力で勝負に出た。

    韓国は信用の低いものでも無担保で不動産向け融資を1000~3000万ほど借りられる。
    不動産目的で借りたのに株式に投資をしたという報告もされている。

    それが今どうなっているのか?

    この融資は変動金利に設定されていて基準金利の上昇で利払いにも苦労している。
    それに加えて株式の下落で精神科に通う若者がニュースになった。
    暗号資産も同様だし最後の本丸が不動産の下落となる。

    韓国の若者は自国を「ヘル朝鮮」と自嘲しているのは有名な話。
    それが投機に夢破れさらなる絶望に襲われることとなった。

    韓国は国全体が闇落ちしていきそうだ。
    やはり日本は韓国と深くかかわるべきではない。

  5. 伊江太 より:

    今、ウォンを売ってドルに替えてるのって、いったい誰なんでしょう。

    この国の大企業の資本構成に関して、極めて海外資本の比率が高いことは以前から指摘されてきたことですが、これらの外資は長期的な株式保有によって利益を恒久的に吸い上げるのが目的で投資をしているわけですから、わざわざこの国を弱らせる行動を取る理由はないでしょう。実際、キャピタルフライトによって韓国企業が経営危機に陥ったという類いのニュースは聞こえてきません。

    短期の利ざや稼ぎが狙いの海外投資家も、もうこの国の経済苦境は大分前から始まっているのですから、大方は足抜けを済ませているんじゃないかと思います。後は、空売りを仕掛けて高値での買い戻しを目論む、ヘッジファンドあたりが候補かも知れませんが、果たして売り崩したまではいいが、「ハイ、それまでよ」になってしまわないか、イマイチ自信が持てないような情況とも思えるんですよね。株安、通貨安については、外国人投資家のせいにされがちですが、今回の事態には余り関係していないのではないかという気がします。

    経済音痴の思いつき政策の乱発で、前政権の執政期間中にガタガタになってしまったこの国の経済基盤。しかし一方で、カネを持っている層にとっては、その副作用として生じた異様な不動産価格、株価の上昇という儲けの場も存在したのですが、それももう限界。目先の利かない連中にババを掴ませることで、サッサと店じまいに掛かっているところでしょう。それが一段落したら、本当に眼に見える形でのバブル崩壊、次いで、債務爆弾の破裂、金融危機、ソブリン危機が襲って来る。

    保守政権への回帰で、こうした不安がある程度でも解消できるかと期待する向きもあったんでしょうが、頼みの対米、対日関係改善も、大幅な政策転換をやらない限り無理そうなのが分かってきた。で、それも期待薄。となったら、まだ値打ちのある手持ちのウォンをドルに替えて、海外に逃避させなくちゃ、となるのが人情かも。

    そんな理由で、今ウォンを売ってる連中の多くは、自国民じゃないかと想像してみるのですが、どうでしょう。

    1. sqsq より:

      機関投資家は「わざわざこの国を弱らせる行動を取る理由」などさらさらなく、ドル換算の投資損が一定程度出れば損切りし、国の格付が下がったら自動的に投資金額を減らすか引き上げる。米国債の利率が上がれば資金を引き揚げてアメリカに戻すということをシステマティックにやる人たちだと認識しています。その結果がサムスン株の続落、ウォン売りドル買い、つまりウォン安なのでしょう。

    2. 匿名 より:

      普通にドルが必要な人がウォンを売って、ウォンが必要な人がドルを売っているのでは(為替操作を除けは)?
      ドル建てで海外取引を行えば、輸入決済ではドルが必要となりますから、ドルの調達が必要。輸出では、ドルを国内で使えるようにウォンに替えなきゃいけない(ウォン建てなら相手国がウォンを調達)。
      ウォンに割高感があるから、為替介入をいくらしたところで、下がる一方なのでは?

  6. 新宿会計士 より:

    1. 元ジェネラリスト より:

      >サル芝居で騙せると韓国人が信じるのはなぜか。『韓国民主政治の自壊』(新潮新書)を上梓した鈴置高史氏の答は簡単だ。岸田文雄首相を舐めまくっているから――である。

      気を持たせる行動をすれば、こんな相手には「効果あり」「もう一押し」と思わせるだけですわね。何度もトライしてくるのでリスクが減らない。
      それも含めての岸田リスクか。リスク再生産。

  7. 匿名 より:

    ドルなら中国も持ってますよ。

    1. 農家の三男坊 より:

      ”条約・合意を守らな、嘘つき”国に回すだけのドルがあるかどうか。

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