「紅白」終了も?NHK改革巡る前田会長と職員の対立
無能な経営者というものが、結果的に良い影響をもたらすのだとしたら、これはこれで大変皮肉な話です。週刊誌の報道によれば、NHK内部で現在、前田伸晃会長と職員との間で深刻な対立が生じているようなのですが、そもそもの利権集団であるNHKの内部で生じる混乱は、この組織にどんな影響をもたらすのでしょうか?
NHKは公共放送…なのか?
NHKといえば、自身が「公共放送である」と主張している組織として知られていますが、その反面、「公共性」について突き詰めて調べていくと、現在のNHKには「公共性」にかなった活動をしているとは言い難い面も多々あることが判明します。
NHKのウェブサイトに掲載されている『公共放送とは何か』というページによると、「公共放送」とは、「①営利を目的とせず、②国家の統制からも自立して、③公共の福祉のために行う放送」、だそうです。
しかし、そもそもNHK自身が「看板番組」のひとつとして年1回放送している『紅白歌合戦』は、著名歌手を多数出演させ、派手な舞台でヒットナンバーなどを歌わせるほか、審査員に野球選手などの「ときの人」を多く招くなどしており、これを「①営利を目的としない」と位置付けるのは苦しいところです。
次に、視聴者がNHKに受信料を支払わなければならない間接的な根拠は、放送法第64条第1項本文にある、「テレビを設置したらNHKと受信契約を結ばなければならない」とする趣旨の規定であり、その意味ではNHKは存立基盤からして、「②国家の統制」を受けています。
乱脈経営のNHKの問題点
さらに「③公共の福祉」という部分については、かなり曖昧ではありますが、『NHKが文化遺産「熊野古道」破壊=必要な許可を得ず』を含め、これまでに当ウェブサイトでも取り上げてきたとおり、NHKが反社会的な行動をとっているという事例は枚挙にいとまがありません。
というよりも、NHK自身が採用する職員、NHK自身が決定する職員人件費、NHKが制作・放送するコンテンツの内容など、NHKの経営内容全般については、独立した第三者委員会の個別承認を取っているわけではありません。
基本的には、国会でNHK予算を包括的に承認しているのみです。
ここに、非常に大きな問題が隠れています。
私たち日本国民が暮らす日本という国は、自由・民主主義社会です。「営利組織」であれば、その組織は自由主義経済の原理に従って運営されなければなりませんし、「非営利組織」あるいは「公的な組織」であれば、その組織は民主主義の原理に従って運営されなければなりません。
もしもNHKが「非営利組織」、あるいは「公的な組織」であるというのならば、自由主義経済の例外として、NHKに半強制的に受信料を支払うという仕組みが残るのは仕方がありません。
ただ、もしその考え方を取るのならば、少なくともNHKの職員に対し、1人あたり少なく見積もっても1600万円近い異常な額の人件費を計上しているのはおかしな話ですし、また、都心部の超優良不動産物件、あるいは年金資産を含めて1兆円を超える金融資産を連結集団内に蓄え込んでいるのも許されません。
もしもNHKが「公的な組織」であるならば、まずは人件費をただちに国家公務員並みに引き下げ、これまでに支払われた異常な額の人件費については返納を命じ、さらには無駄な資産を国庫に返納させなければなりません。
そのうえで、英国の例に倣い、たとえばNHKの存続を巡っては5年に1回、国民投票で過半数の承認を得ることを義務付けるべきでしょう。
NHKが営利組織なのだとしたら?
その一方で、もしもNHKが「営利組織」だというのであれば、自由主義経済のもとでは、私たち日本国民は「消費者」として、NHKのコンテンツ等に納得して受信料を支払う、という仕組みが必要です。逆に、NHKのコンテンツ等に納得しなければ、「不買」=「倒産させる自由」、という選択肢が必要です。
具体的には、NHKとの受信契約を義務付けている放送法第64条第1項を廃止し、NHKには放送のスクランブル化を義務付け、受信料を支払った人にだけスクランブルを解除するという仕組みを導入すべきでしょう。
当然、教育放送や国会中継などの事業はNHKから切り離すべきですし、放送設備を含めたNHKが蓄え込んでいる巨額の財産は国庫に返納させるとともに、NHKは放送事業を続けるために、それらの設備を使い続けるために、国に賃料などを支払わせるべきでしょう。
ちなみにもしもNHKが「つまらない」と思う人が増えれば、NHKに受信料を払う人は減りますし、「そうなると困る」と思うのならば、NHKは営利法人として、広告を流すなり、受信料を引き下げるなり、人件費を削減するなりの経営努力を行えば良いだけの話です。
国はNHKからの電波使用料、設備使用料等の収入をもって、NHKから切り離された教育番組事業、国会中継事業など公共性の高い放送を運営すれば良いのです。あるいは、「政府インターネットテレビ」と合併しても良いかもしれません。
このように整理していくと、NHKがわざと営利法人と非営利法人の「良いところどり」をしているという構図がクッキリ浮かび上がってくるでしょう。
NHKで内部抗争が勃発?
こうしたなかで、NHKを巡っては本日、こんな記事も出ていました。
「『紅白』も打ち切りになる方向」NHK職員が前田会長の“強引な改革”に猛反発〈若手・中堅職員が次々と退局〉
―――2022/05/10付 文春オンラインより
これはこれで、なかなかに強烈な記事です。NHKでどうも「内部抗争」っぽいものが発生している可能性があるからです。
NHKの前田伸晃会長が「スリムで強靭なNHK」をキーワードにNHK改革を進めていることについて、NHK「職員有志」が5月10日発売の『文藝春秋』6月号で『前田会長よ、NHKを壊すな』と題したレポートを発表する、というものですが、その「職員有志」とやらの発言も、なかなかに面黒いものです。
「NHKとは受信料で成り立つ、国民にとっての共有財産であると信じています。公共放送であるNHKは、決して国のものではなく、職員、前田会長の所有物でもありません。このまま前田会長による身勝手な改革を進めれば、NHKは必ず崩壊します」。
はて?
職員1人あたり1600万円近い人件費が計上されているNHKという組織の実態を見れば、これは明らかに「NHK職員によるNHKの私物化」そのものではないでしょうか?
それに、国民にとってNHKは「資産」ではありません。コンテンツを1秒たりとも見ていなくても受信料を取られてしまうという意味では、立派な「負債」です。
ちなみにこの職員らは、NHKの未来について、こう危惧しているそうです。
「ついこの前も将来を嘱望されていた女性記者が、今の状況に嫌気がさしてヤフーに転職してしまいました。ネット業界にうつったり、商社や不動産など異業種に飛び込んだり。前田会長のもとでは未来が描けないとNHKに見切りをつけているのです」。
そもそも論として、社会がますますインターネット化するなかで、「未来がない」のは放送業界そのものではないでしょうか?べつに、会長が前田伸晃氏であろうがなかろうが、テレビ業界自体に将来性がないという状況に、さしたる違いはないように思えてなりません。
(※もちろん、前田氏が出身の某金融機関では深刻なシステム障害が頻発していることを踏まえるならば、個人的には前田氏のビジネスマンとしての能力に疑問を抱いているのは事実ですが、この点についてはとりあえず脇に置きたいと思います。)
前田改革がNHKを崩壊させるのならば…
こうしたなかで、少し気になるのがこんな発言です。
「『紅白』も打ち切りになる方向で進められています。すでに前田会長は執行部に『終わらせる』と話しているそうです。昨年も前田会長による激しい介入があり、紅組、白組の対抗形式を廃止するよう指示。抵抗した現場は苦し紛れに『カラフル特別企画』を入れていました」。
前田会長の進める「改革案」とやらの全容がよくわからないなかではありますが、この記述だけを読むと、前田会長はより「視聴率」を志向しているのではないか、という可能性があります。少しいい方は悪いのですが、バンカー出身で放送の「素人」である前田氏が、NHKの番組内容にも口出しをしている、という構図です。
実際、この発言と前後しますが、記事にはこんな記述もありました。
「前田会長は『会長特命プロジェクト』と呼ばれる直轄チームを立ち上げ、改編を担うはずの編成局を差し置き、番組の打ち切りを検討。長年愛されてきた番組が会長とごく少数の人間によって潰されています」。
少し言葉はわるいのですが、「外からやってきた素人である前田(会長)が、俺たち放送の『プロ』であるNHKのプロパー職員に指図するとは何事だ」、といったプライド意識が垣間見える、というわけです。
このあたり、無能な経営者が日本企業を迷走させるという事例を多く見て来た身としては、なかなかに興味深く見えます。前田会長なりに問題意識はあるのかもしれませんが、前田会長自身が経営者として問題だらけなのだとしたら、前田会長が結果的に「営利組織」としてのNHKを混乱させる可能性があるからです。
思わず、「毒を以て毒を制す」という表現が頭に浮かんでしまいました。
考えてみれば、最近のNHKがやっている「ネット事業」にしても、NHKの在り方に対する社会的関心を呼び起こしかねないものです。利権組織なら利権組織らしく、おとなしくじっとしているのが正しい選択肢ですが、余計なことをすれば社会的議論を招きかねません。
その意味では、NHKという組織も、当ウェブサイトで提唱する「利権の3つの特徴」を兼ね備えているのではないでしょうか。
利権の3つの特徴
- ①利権は得てして理不尽なものである。
- ②利権はいったん確立すると、外からそれを壊すのが難しいという特徴を持つ。
- ③ただし、利権を持っている者の怠惰や強欲で利権が自壊することもある。
(【出所】著者作成)
いずれにせよ、前田会長の行動が、結果としてNHKの存在意義に疑問符を突き付け、NHKを巡る社会的議論が巻き起こり、結果として放送法第64条第1項の廃止につながるならば、前田氏がNHK会長を務めていること自体、結果的に日本のためになるのかもしれません。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
悪名高きみずほbkシステム障害社長がのうのうとNHK改革とか何の冗談か片腹痛い。いやむしろ無能っぷりを遺憾なく発揮するのが我々国民にとっては吉か。
100% 同感です。
壊さないと新しい物が出来ません。
「紅白」って必要ですかね?すべての世代を満足させようとする姿勢が間違っているとしか思えません。
NHK職員は高給取りで、巨大な利権の塊です、とても自ら改革できるとは思えません。一度「解体」するくらいの勢いでやらないと変われないのでは。
今日のNHKのトップニュースからして、韓国大統領就任式と日韓関係の話題でしたね。韓国って日本にとってそんな大事な国でしたっけ?どこの国の放送局なのですかね。
ニュースの優先順位もそうですが、
専門家の意見を番組で紹介するなら、
媚韓と嫌韓の専門家の両方を紹介しないと、
公共性がなくただの誘導、洗脳ですよね。
最近のマスコミの風潮は「若者は韓国大好き。嫌韓なのは時代遅れのオッサンだけ。」だの「世界情勢の緊迫性が増大している。大局的見地から日韓関係を見直すべき。」だの、韓国と仲良くするのが義務みたいな言い方がやたらと目につく。韓国勢力のごり押しなのか、アジア防衛上のアメリカへの忖度なのかどっちなんだ。
子供tたちを画面に釘付けにする
ひょうたん島のような不健全で低俗な番組は
今後決して作りません
ドラマもニュースもアウトソーソングで
多忙なのは集金人とアナウンサーだけです
一般社員は高給余暇充実で
ウィークデーゴルフなどで健康増進に努めながら
日本の理想的な働き方ライフを先導します
>長年愛されてきた番組が会長とごく少数の人間によって潰されています
紅白を楽しみにしている人もいるんだろうけど、放送期間とか視聴率みたいなのが、強制的に徴収した受信料で運営される「公共放送」にふさわしいか否かの基準なのか?というと、ちょっと疑問なのです♪
年に1回数時間の音楽番組を流すことに、どんな公共性があるのかと思っちゃうのです♪ もっとも、これが民間でやっていて、文化といっていいくらいに定着したものなら、各地のお祭りを紹介する一環で紹介するってのもありかな?とは思うけど・・・・
(*´∇`*) 次は渋谷で毎年大晦日に行われている音楽祭の話題です♪
NHK放送技術研究所で公開される技術内容も、昔は正しく必要に迫られたものが多かったと思うのですが、昨今はすっかりネタ切れして、一般人が享受する放送の世界から遊離した内容になってきて、研究所を維持するだけの研究をしているように思っています。放送コンテンツの疑問が多いのは勿論として、基盤技術開発においてもその役目は終わったように感じます。
NHKが全世帯受信料徴収を目論んだり、ネット配信の社会実験を実行したりするのは、将来テレビ保有率の高い高齢者世帯が居なくなり、得られる受信料が大幅に下がる事を危惧しているからでしょう。ネット配信実験も不調に終わった場合、組織の存続の為には無駄を省くしかありません。その観点から見れば前田会長の改革はむしろNHKの延命ともいえる政策といえます。「紅白」終了が本当に惜しまれるのなら、今まで払わず見てた人達が払うようになるでしょうから。
大災害や有事の場合でも国民に現在の状況を可能な限り伝える報道の機能は文明国家として不可欠です.
ですから,現在のNHKの中で,報道(と関連するドキュメンタリー番組や教育番組)を制作する部門だけは国営放送として切り出して100%国家予算で運営し,その職員は国家公務員として日本国籍を有する者のみという制約を科し,それ以外の芸能番組やスポーツ番組の制作部門は民営化してスクランブル化して有料放送にするなり従来の地上波・BSの民放のようにCM入り無料放送にするなり他のスタイルにするなり,そこは自由に選ばせれば良いのです.
つまり現在の所属が報道部門でも外国籍の職員は無条件に民営化部門に異動させるということです.
なお,現在のNHKの資産は不動産のみならず過去の番組ソフトも含めて全てが国民から強制的に徴収した受信料によって築いたものですから,職員の年金関連のものを除き全て国営放送に帰属させ,民営化放送が使用する場合には実際の市場価格に見合う利用料を徴収し,国営放送の運営予算の一部に充当するのが良いでしょう.
ウクライナ南部でインターネットが遮断された後、ロシア側に接続されるようになったという話を聞き、放送という情報伝達手段を最小限でも持っておくことは必要という思いを強くしました。
公務員による国営放送を行うのは日本放送公社か、内閣放送局か….どちらも略してNHK?
若くて優秀な人材から止めて行くのは、改革に反発したのではなく、ただ単に沈み行く船から逃げ出したのではないかと思います。
彼らは当然、ネット上でのNHKへの批判も知っているでしょうし、腕に覚えがあれば、早々に見きりを着けたと考えるのが普通でしょう。
NHKが「営利組織」だというのであれば…
営利組織である株式会社は事業活動により得られた利益を、株主などに分配することになりますが、その点から見て残念ながらNHKは営利組織ではありません。
非営利=利益が上がったとしても株主などの構成員に分配せず、当該組織の事業等目的を達成するための費用に充てる、ことになりますね。
まあ、守銭奴集団のNHKは、現行の放送法の大改正をしない限り安泰ということです。
「身勝手な改革を進めれば、NHKは必ず崩壊」
是非とも崩壊していただきたいものです。
論点ズレですが。
ダチョウ倶楽部の上島竜兵氏が亡くなったそうです(自殺)。
人々に明るい気を与えるのがお仕事のお笑い芸人の方が自殺というのは、なんとも痛ましいです。ずいぶん笑わせてもらいましたし、ネタとしても使わせていただきました。
自殺した理由はわかりません。
もしテレビ出演が減ったことが原因にあるとしたら、凋落したテレビ業界から必要とされていないことを、社会や他の人々から必要とされていないと勘違いしないでほしいですね。
テレビ業界から使い捨てにされた人々へ。
>「外からやってきた素人である前田(会長)が、俺たち放送の『プロ』であるNHKのプロパー職員に指図するとは何事だ」
これはNHK内部で、ある部署の利権が脅かされているってことじゃないでしょうか。
バランスを欠いた番組でも放送できる「自由」が。
昨日、たまたまクローズアップ現代を見たのですが「女らしさの押し付けに息苦しさを感じる若者が声を上げている」という内容でした。
息子共々「男らしさの押し付けは?」。更に、出演の識者の「男のくせに、という言葉は肯定的に使われるが…」でずっこけ。
「男女の性別による役割の押し付けに息苦しさを…」とすればより普遍性が増しただろうに、「公共放送」で何故こんな片側視点の番組が放送されたのか。
おそらく、上位組織ですら容易に内容に口を出せない、ガバナンスが効かない状態なのではないか、と想像します。
ですから、仮に特定の政治思想を反映した著しくバランスを欠いた番組を作っても、それを放送できてしまう。その利権を守りたくて抵抗している。穿ちすぎですかね。
NHK関連で、疑問があります。
保守の論客の長谷川三千子教授が、NHK経営委員に就任されて以降、論壇に登場されていないのは、何故でしょうか?