韓国新政権政権発足を関係改善の好機に=インチキ論説

本日のインチキ論説です。韓国で文在寅(ぶん・ざいいん)政権が終了し、明日、尹錫悦(いん・しゃくえつ)政権が発足しますが、こうした機会をとらえ、某新聞あたりに社説として掲載されそうな論説を、適当に捏造してみました。なんなら当ウェブサイトの名称を明記していただけるなら、そのまま明日の社説にしていただいても問題ありません。ついでに入試問題風の設問もつけていますので、何なら大学の作問担当者の方も、存分にご活用ください(ただし面倒なので答えは書きません)。

日本政府は尹錫悦政権発足の好機を生かせ

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が任期を終え、いよいよ尹錫悦(ユン・ソギョル)氏が明日、韓国大統領に就任する。まずは祝意を示したい。

いうまでもなく、日本にとって韓国は一衣帯水の関係にあり、極右政治家として知られる、「あの」安倍晋三元首相ですらも、2013年2月28日の施政方針演説で、「自由・民主主義といった基本的価値と利益を共有する最も重要な隣国」だと位置づけたほどの相手国だ。

貿易や産業面においても日韓双方の結びつきは非常に深く、また、コロナ禍以前の2018年には日韓両国の往来が年間1000万人を超えた。日本でも韓流が根付いて久しいし、最近では若い女性を中心に、またコロナ禍以前のように自由に韓国に渡航できるようになることを望む人も多いはずだ。

だが、それと同時に文在寅政権下での日韓関係は、かつてないほどに悪化した。

なかでも2018年10月と11月の、いわゆる強制徴用判決を巡って、日本政府が韓国政府に対し、「1965年の日韓基本条約に背く」として是正を求めている問題が大きいが、それだけではない。

その報復として日本政府が2019年7月に発表した韓国に対する輸出規制、さらに同年8月に韓国政府が日本政府に対し、「日韓GSOMIA」と呼ばれる軍事情報保護協定の破棄を通告したことなど、一時、日韓で制裁の応酬がなされたほどだ。

もっとも、韓国側がGSOMIAの終了通告の効力を一時停止したことで、とりあえず日韓関係が破綻に向かうことは免れている。しかし、強制徴用裁判を巡る日本企業の資産差押や現金化が迫る中、日韓関係の改善は待ったなしである。

こうしたなか、朴槿恵(パク・クネ)政権以来、5年ぶりの「保守政権」の誕生は、日本にとっても関係改善に向けた期待感を否が応でも高める。久しぶりに「話ができる」政権の発足だ。

何より、尹錫悦氏は政権発足前の4月下旬、日本に政策協議代表団を派遣したが、こうした姿勢も関係改善に向けた尹錫悦氏の誠意の表れだろう。岸田首相もこれに呼応し、是非とも関係改善に取り組んでいただきたい。

もっとも、尹錫悦政権の前途は多難だ。

そもそも大統領選での尹錫悦氏の得票率は48.56%で、左派の「共に民主党」の公認を受けた李在明(イ・ジェミョン)候補の47.83%との差はわずかに0.73ポイントに過ぎず、さらには国会(定数300)では、その「共に民主党」がざっと3分の2の議席を保有している。

尹錫悦氏を公認した「国民の力」は、政権発足以降、少数与党の運営を余儀なくされるため、尹錫悦氏は多数を占める野党に配慮せざるを得ないだろう。これが、文在寅政権ですっかり悪化してしまった日韓関係のもつれた糸をほどくうえで、大きな制約条件であろう。

現在、日韓の双方で、関係改善に向けた期待が高まっていることは間違いないが、こうした韓国の国内事情を見落としてはなるまい。

もちろん、強制徴用判決、あるいは慰安婦合意の破棄などは、第一義的には韓国の側に責任がある。これについては尹錫悦政権も引き続き、解決に向けて努力を示してほしい。

日本政府も日本政府だ。

「問題を解決する責任はすべて一方的に韓国側のみにある」、などと頑なな態度を取ることが、日韓関係改善に向けてどれほど生産的だというのだろうか。

それに、歴史問題は国民感情も絡むため、大変に機微な問題でもある。とりわけ、私たち日本人がわきまえなければならないのは、安倍政権以降に忘れられがちになっている、「加害者」としての視点である。こうした視点を持つならば、おのずから日本の取るべき態度も決まって来るだろう。

いずれにせよ、日本にとっては韓国が、韓国にとっては日本が必要だ。ことに、米中対立局面に加えてウクライナ危機などの国際情勢の混乱は、価値を共有する韓日両国にとっては関係改善が焦眉の急であることを如実に示している。

幸い、尹錫悦氏は日韓関係を巡って「包括的解決」を模索する姿勢を示している。

日本はいまこそ大局的見地から、韓国との間で知恵を出し合い、関係改善に向けた決断をしなければならないのである。

問題

問題1 日韓関係悪化について

この論説の執筆者の立場はどれか、次の1~4から選べ。

  1. 日韓関係が悪化した原因は韓国にあり、解決する責任も韓国だけにある。
  2. 日韓関係が悪化した原因は韓国にあるが、解決する責任は日韓双方にある。
  3. 日韓関係が悪化した原因は韓国だけでなく日本にもあるが、解決する責任は韓国だけにある。
  4. 日韓関係が悪化した原因は韓国だけでなく日本にもあり、解決する責任は日韓双方にある。

問題2 日韓関係改善策について

この論説で述べている、具体的な日間関係改善策はどれか、次の1~4から選べ。

  1. 自称元徴用工問題で韓国が日韓請求権協定違反の状態を解消すること。
  2. 自称元徴用工問題で日本が日韓請求権協定違反の状態を受け入れること。
  3. 自称元徴用工問題で日韓双方が知恵を出し合うこと。
  4. 自称元徴用工問題で日本が一方的に知恵を出すこと。

問題3 日韓関係改善の必要性について

この論説の著者が主張する「日韓関係を改善しなければならない」理由として正しくないものはどれか、次の1~4から選べ。

  1. 日韓両国は一衣帯水の関係にあり、お互いがお互いを必要としているため。
  2. 米中対立やウクライナ危機などの国際情勢下で、価値を共有する国同士、協力しなければならないため。
  3. 強制徴用判決、輸出規制、GSOMIA破棄などの報復の応酬を止めなければならないため。
  4. 日韓協力が滞った状態だと、韓国で通貨危機が発生するなど、韓国が非常に困った状態に陥るため。

問題4 その他の論点について

今回の論考においてあなたはどう考えるか。思うところを述べなさい。

本論考の引用につきまして

本論考は、明日の尹錫悦(いん・しゃくえつ)政権の発足に先立って、当ウェブサイトにて適当に捏造した論考です。かなり気を遣って捏造したので、それっぽくできていると思います。社説を思いつかないという新聞社の皆さんは、どうぞ自由に引用・転載なさってください(ただし、その際には『新宿会計士の政治経済評論』から転載したと注記してください)。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. 名無しの権兵衛 より:

     岸田首相は、先月26日、韓日政策協議代表団との会談で「日韓関係の改善は待ったなしだ」と発言し、「日韓関係の改善」というゴールを設定しましたが、この発言は「勇み足」だったと思います。
     何故なら、尹錫悦政権発足後も日韓関係が改善されなかった場合に、尹錫悦政権から「岸田首相は『日韓関係の改善』というゴールポストを動かすつもりか」などと言われそうで心配だからです。

  2. カズ より:

    問1~3の選択→ X=4-3-1 でしょうか? 回答は”0ゼロ”です。
    問4.他の論点→ 彼らの外交は、握手に始まり悪手に終わります。

  3. パーヨクのエ作員 より:

    いつも知的好奇心を刺激する記事の配信ありがとうございます。

    管理人様>今回の論考においてあなたはどう考えるか。思うところを述べなさい。

    解決策一切合切を提出した事に対して文句をする彼らの模範解答(笑)を書いてみます。BANされた滝田学長に捧げる駄文です(笑)。

    解答.4
    謝罪とは被害者が謝罪されたと認め満足する迄適切な補償する事が謝罪である。
    朝鮮通信使のプロトコルを見れば明白であるが、日本は永年にわたり我が国に服属していた存在である。
    また日韓併合は双方が対等の立場で合邦したのであり、大日本帝国が侵略行為の代償に指導的権利を剥奪された後の正式な指導存在は公爵であった李氏王家又は、1919年以降対日抗戦していた上海政府が「日韓の全領土」を引継ぐべき存在であったと考えます。

    とはいえ「侵略者のDNAを持つ者は侵略者」である事は明白ですので、彼らには優秀なDNAを持つ存在に指導される前提で正規の統治権威及び統治権利を受け渡す事を国際社会は提供する義務があると考えます。

    対米7割の核兵器及び正規空母、ステルス戦闘機を日韓再併合した神聖韓民国に本来保持するべき兵器として提供する。
    宇宙で必要な活動を実現するロケットと衛星技術を神聖韓民国に与える。
    常任理事国を神聖韓民国に提供する。
    侵略者の原罪を持つ人間が不当取得したモノを指導的存在に渡した上で神聖韓民国の指導民族である朝鮮民族に謝罪させる。

    これらを実現することでイエス・キリストや孔子を生んだ偉大なるウリナラが世界で本来あるべき地位を実現する端緒になるのではないだろうか。

    (了)

    ふう。精神科でお薬貰って来ますね(笑)。
    駄文失礼しました。

  4. はにわファクトリー より:

    新聞記者のオツムの中身を解析する。実に有意義な活動と思います。
    そう遠くない将来に「メカ新聞論説委員」の開発が完了し、社説文学の機械自動生成が実用化され広く実用に供されるとの予測が社会に広まることでしょう。
    「新聞記者は人間でなくていい」
    「新聞記者は人間でないほうがいい」

  5. Sky より:

     金曜日のプライムニュースで安倍元首相が参加されていましたが、その内容を思い出しつつ、スマホの表示を読み笑ってしまいました。ブログ主さま、絶好調ですね。全文に亘り、事実ではなく論者の所感で満ち満ちているところが「それ」らしいなぁ、と思いました。

  6. 元ジェネラリスト より:

    いや・・・天声人語並とわかっている文章を、問題回答のために精読するのは「苦痛」でした。
    中高の頃に国語が嫌いだったのを思い出しました。(笑)

  7. 元日本共産党員名無し より:

    >貿易や産業面においても日韓双方の結びつきは非常に深く、また、コロナ禍以前の2018年には日韓両国の往来が年間1000万人を超えた。日本でも韓流が根付いて久しいし、最近では若い女性を中心に、またコロナ禍以前のように自由に韓国に渡航できるようになることを望む人も多いはずだ。
    もう少し立ち入って、「韓国の貿易の対日依存は減り続ける中、日本の対韓依存は変わらない。近年では自動車部品や鋼板の輸入まで日本は韓国をあてにして居る」と貿易金額を殊更に強調して【落ち目日本と有数の先進工業国韓国】みたいにエッジを効かせて描き出しても良いかも。最近読みました『誤解しないための日韓関係講義』の中で木村幹教授がくどいほど書いて居ました。木村幹教授は経済問題に関しては新宿会計士様ほど詳しくは無い様ですが、レトリックなのか何なのか?大変お上手に「落ち目の日本、日米に依存する部分をどんどん脱却して貿易額でグローバル化を果たした新興工業国韓国」を繰り返し強調しておられました。

  8. KN より:

    設問楽しませていただきました。
    ぜひ、国家Ⅰ種試験のドボン問題として仕込んでいただきたいです。
    ご存知のかたも多いと思いますが、医師国家試験には、絶対に間違ってはいけないドボン問題が仕込まれています。

    https://wisdombase.share-wis.com/blog/entry/contraindicated-limbs

  9. 雪だんご より:

    実に朝で始まる新聞や毎で始まる新聞が書きそうなコラムですね。

    惜しむらくは、彼らは「自分が見たくない物は自己洗脳で認識しなくなる」事のプロなので、
    どんなに強烈な皮肉を投げつけても「彼らの世界には存在しない」のを変えられない事ですかね。

  10. 禹 範坤 より:

    回答 1 1 1

    昔の日本も 朝鮮半島を橋頭堡に日本侵略されたらヤバい って誤った判断しなければ
    対米戦は避けられたのでは? って妄想

  11. ホワイト国 より:

     本日、ハトポッポがユンと会談したそうだが、また、土下座をして
    宇宙人発言でもしたのだろうか?

  12. 簿記3級 より:

    こ、これはセンター試験!?難問ですね。

    問1 解答2
    理由 第一義的には韓国に責任があると述べているので。
    問2 解答3
    双方知恵をだしあううんぬんの文言より
    問3 解答4
    通貨安に対する文言はなかったので。

    問4 国語は難しいですね。学生時代に分かりやすい文章で書いて欲しいと何度思ったことか。中央日報でたまに出てくる(フォーラム関連で多い)無駄に哲学的に装飾された美文は好物ですが。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

簿記3級 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告