ロシアの平和条約交渉打ち切りは日本にとって良い兆候
北方領土はロシア消滅後に回収しても良い
日本の対露経済制裁への対抗措置として、ロシア政府が日本との平和条約交渉打ち切り、ビザなし渡航廃止、共同経済活動対話取りやめなどの措置を発表しました。ロシアはよっぽど困っているようです。
目次
ロシア政府、日本との平和条約交渉を打ち切る
ロシアの『タス通信』(英語版)の記事によると、ロシア外務省は21日、「ウクライナ情勢に対する日本政府の一方的な制限措置」を受け、日本政府との平和条約締結交渉を打ち切ると表明しました。
Russia terminates peace treaty talks with Japan — Foreign Ministry
―――2022/03/22 01:39付 タス通信英語版より
英語版記事で恐縮ですが、ロシア外務省の声明は次のとおりだそうです。
“In the light of the outspokenly unfriendly nature of Japan’s unilateral restrictions against Russia over the situation in Ukraine the following measures are to be taken. In the current situation the Russian side has no intention of continuing peace treaty talks with Japan, for it is impossible to discuss the signing of a fundamental treaty in bilateral relations with a country that takes an outspokenly unfriendly stance and tries to cause harm to the interests of our country.”
つまり、「日本の非友好的な姿勢は我々の国の利益を損ねようとしている」として、「ウクライナの状況を巡る日本政府のロシアに対する一方的な措置を受け、ロシア政府としては日本との平和条約に向けた交渉をもはや続けるつもりはない」、と非難した格好です。
ビザなし渡航も廃止
英語版とはいえ、国営通信が報じたくらいなので、おそらくこれがロシア外務省の立場をほぼ正確に示しているのでしょう。
そのうえで、タス通信の記事は、こう続きます。
- ロシア領・南クリル諸島出身の日本の市民に対するビザなし渡航措置については廃止される
- ロシアは南クリル諸島に関する共同経済活動に関する対話を取りやめる
- 黒海経済協力機構における日本の「部門別戦略パートナー」としての地位延長を阻止する
…。
そのうえで、ロシア外務省は「二国間を損ねたすべての責任は日本政府側にある」、「日本は互恵的な隣人関係を発展させるのではなく、反ロシア政策を支持することを意識的に選択した」などとして、かなり舌鋒鋭く日本を批判している、というわけです。
なんだか最後の部分、どこかほかの国の言い分ともソックリですね(※個人的に、思わず苦笑してしまったのはここだけの話です)。
経済制裁、ずいぶんと効いていますね
もっとも、これに対する個人的で率直な感想を述べるならば、「ずいぶんと効いているな」、というものです。
以前の『ロシアは中国とのブロック経済圏形成で制裁を逃れる?』あたりでも詳しく議論したのですが、日本が単独でロシアに経済制裁や金融制裁などの措置を講じたとしても、ロシア経済に与える影響は、非常に限定的です。
そもそも日露間の貿易高は2021年において日本円換算で2兆円を少し超えるレベルであり、両国経済に照らして大した金額ではありませんし、日本の金融機関のロシアに対する対外与信もせいぜい1兆円前後で、日本の対外与信全体に対し0.2%程度と、日本の金融の規模に照らせば微々たるものです。
また、ロシアの側からしても、2021年6月時点において、外貨準備に占める日本円の割合は3%少々に過ぎず、日本からの半導体等の輸入も2021年を通じて6億円未満です。
北方漁業に影響が生じることは懸念すべきであるにせよ、現在の日ロ経済関係を踏まえるならば、「日露断交」が生じたとしても、日露両国の経済の土台を揺るがすことはあり得ません。
それなのに、どうしてロシアがここまで激しく反応するのか。
真っ先に思いつくのは、日本がほかの西側諸国のスクラムを組んでロシアに制裁を加えて来ることが、ロシアにとってよっぽど都合が悪い、という可能性ですが、それだけではありません。
もうひとつの可能性を述べておくならば、日本に激しく反発して見せることで、日本国内の「親ロシア」的な感情を呼び起こし、日本政府のロシアへの制裁に対する反感を、日本国民の間に呼び起こすことにあるのかもしれません。
つまり、「日本政府が経済制裁を続ければ、北方領土が帰って来る可能性はますます遠のく」、という印象操作ですね。
対ロシア経済制裁を日本国民の85%が支持
もっとも、ロシア政府の意図がもしそうだったとして、今回のロシアの措置で、日本国民の間で「ロシアへの経済・金融制裁を緩和しろ」、という圧力が高まる可能性は、非常に少ないのが実情です。
今朝の『「脱マスコミ」進む日本、対ロシア制裁を85%が支持』でも指摘しましたが、「あの」共同通信の世論調査結果ですら、日本国民の9割近くが、ロシアに対する経済・金融制裁を支持しています。
その理由はいったい何なのか。
ここには大きく2つの理由がるのだと思います。
ひとつめの理由は、北方領土占領に至る歴史的な経緯です。
ソ連が日ソ不可侵条約を一方的に破り、対日参戦をしたのは1945年8月9日、ちょうど人類に対する2回目の核攻撃が行われた当日です。南樺太占領作戦が始まったのは8月11日、ポツダム宣言受諾の玉音放送が流れたのは8月15日、そして千島列島攻略作戦が始まったのは8月18日のことです。
また、北方4島へのソ連の侵攻が始まったのは8月29日のことであり、すべての領土の占領が完了したのは9月5日、すなわちミズーリ号での降伏文書署名式典から3日後の話でもあります。
さらに、ソ連は日本の捕虜をシベリア送りにし、重労働を強制しました。
条約を一方的に破棄したこと、日本が反撃できない状況で火事場泥棒的に領土を掠め取ったこと、シベリア抑留という国際法違反の犯罪を行ったこと――。
こうした無法国家ぶりに、日本国民は心底呆れているのでしょう。
ロシアの不誠実な態度:親露感情は極めて低い
ただ、日本がロシアへの制裁を支持するもうひとつの理由は、日本の北方領土返還要求に対し、ロシアが誠実に向き合ってこなかったことでしょう。
静岡県の川奈で橋本龍太郎首相(当時)とボリス・エリツィン大統領(当時)の間で行われた日露首脳会談(1998年)以来だと25年、日ソ国交回復(1956年)以来だと66年が経過するにも関わらず、北方領土は日本に戻ってきていません。
日本政府は終始一貫して、「平和的な交渉を通じて領土を返還してもらう」という態度を取っており、「武力で北方領土を取り返す」などと主張しているわけではありませんし、また、ビザなし交流などの実績を積み、相互に信頼を醸成しようと努めてきました。
もっと言えば、日本はなにも、「千島、樺太の全部を返せ」と要求しているわけではありません。
今のところ公式に返還を要求しているのは、ロシアが「南クリル」と呼ぶ北方4島(択捉、国後、色丹の各島と歯舞群島)だけです(※個人的には、日本は千島列島、南樺太の返還を要求する潜在的な権利があるとは思いますが…)。
こうした日本の努力にかかわらず、ロシアはいまだに「南クリルはロシアの領土」などと言い張っているわけです。
実際、『外交に関する世論調査』を眺めてみても、日本国民の対露感情は、1978年の初回調査以来、一貫して悪いことが確認できますが(図表)、これもロシア、あるいは旧ソ連の行いの当然の帰結でもあるのでしょう。
図表 ロシアに対する親近感の推移
(【出所】『外交に関する世論調査(令和3年9月調査)』より著者作成)
北方領土問題は時間が解決する
この点、ロシアが「外交上手な国」、「やり手の国」だ、などと述べる人もいるのですが、個人的には、こうした見解には同意しません。
ロシアは石油、天然ガスなどの資源が豊かであり、自然に考えれば、先進国である欧州連合(EU)や日本との関係を良好に保つことで、大部分が手つかずで未開発のシベリアなどの国土をさらに効率的に開発することができるはずです。
このように考えていくと、ロシアの行動は結局、ロシア自身の立場を悪くしているようにしか見えないのですが…。
いずれにせよ、今回、ロシアが日本との対話の終了を宣言したことで、一体何が発生するのでしょうか。
まっさきに思いつくのは、千島列島や樺太に対し、中国や韓国などの資本を入れて開発を進め、これらの地域の「非日本化」を進めることです。北方領土での共同経済活動には、これらの地域の「非日本化」を阻止する、という目的もあったのではないでしょうか。
ただ、この点については、さほど心配する必要はありません。
いま、中韓などを除く世界の多くの国が、「対ロシア制裁」で団結している時期でもあります。当然、中国が「漁夫の利」を得ようとしても、下手に手を出せば、日本を含めた西側諸国からのセカンダリー・サンクションに直面しかねません。
もちろん、中国に「漁夫の利」を得られてしまうかもしれない、という点については、深く懸念すべきでもありますが、このあたりも現時点で過度に心配する必要はないのかもしれません。
いずれにせよ、ロシアの今回の反応は、日本が対露制裁に参加することが正解だったという証拠でもあり、むしろ日本としては歓迎すべきものでもあります。ロシアという国家が消滅した際にでも、じっくり回収すれば良いのかもしれないからです。
当ウェブサイトでは常々、「北方領土は時間外解決する」、と申し上げてきましたが、その「時」は、意外と早く到来するかもしれません。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
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アニメ・マンガ界隈ではロシアって謎の親近感があるんですよね。
悪役としてもヒロインとしてもなんか使いやすいみたいで。
アメリカよりよく出てる印象。
しばらくは使いにくい状態が続くでしょうね。
ロシアに詳しい某声優さんが心配だけど、まあ彼女は多才だからなんとかするでしょう。
プーチンは日本以外の国との国境問題はいくつか解決していますが、ロシア国内では報道はほとんどなくこっそりやってたようです。そうでもしないとできないんでしょう。
一方で日本との交渉では、日本のマスコミが「領土交渉が始まるぞー」と高らかに宣伝するので、それにロシア国内の世論が反応して交渉ができなくなった面はあると思います。
過去の日米通商交渉でも、日本のマスコミが「米国がスゲェ要求してくるー大変だー」と騒いだ結果、米国の応援団化したとある外務省OBが語っていました。
とは言っても、ロシアが国内事情で領土交渉で色好い返事ができないのなら、日本としてはロシアにはそのつもりがないと判断するだけのことです。
事情は色々あれど交渉で北方領土が戻ることは無いと思います。そこに期待をかけて日本の行動を変えるべきじゃないと思います。
維新の特定の議員や創設者さんなんかは、「ロシアが怒ってる。すぐ謝らないと。」とかいい出しそうです。
あ、維新だけじゃなく最近政党支持率が0%に落ちた政党もですかね。
そこの関係者っぽい人が、大阪にロシア軍が上陸したら解放者として歓迎するってツイートしてるのを見かけました。
日本はほんとに自由な国です。すばらしい。
ロシアが随分敏感なのは、「日本に9条があるから安全に叩けると認識している」
と言う可能性はありませんかね?他の国だとそんな縛りはありませんから。
ポーランドの領空を侵犯したらしい(これはまだ未確定?)ですし、ウクライナ以外とも
ドンパチが始まるかも知れない……そんな恐怖がロシア側にあるとしたら、
武力で仕掛けてくる確率が一番低い日本に強く吠えるのも納得できそうなんですよね。
竹島も、Kが滅んでから取り返せばいいニダ。
> 「日本の非友好的な姿勢は我々の国の利益を損ねようとしている」
経済特区を作って、中国や韓国などの資本を入れて開発を進めようとしているのに、何言ってんでしょうね。
ここがチャンス!
ロシアのロシアの侵略国家認定を確かなものにし、
中共、韓国他のハイエナ企業に対する世界的な制裁が出来るように持ってゆくべきと思います。
外務省(防衛省儀典局)に出来るか見もの。
併せて、海産物の輸入を止めることにより、北方領土の住民が逃げ出すように仕向けることが出来れば良いのですが、北海道他の輸入業者の方々にも影響が有るのでこれは難しいかも。
国家としてのロシアが滅びる日はあると思います。今のような形でなくなるという意味です。
シベリアを含めて日本に近い側のユーラシアが不安定化したときの備えて、モンゴル国との友誼を深めるべきと考えて来ました。円借款供与してどうのこうのという「金を渡して感謝を買う」戦後外務省が一貫して行ってきた時代錯誤外交手法からそうそうに脱却したいところです。資源輸出国はたいがい政治と汚職が不可分でモンゴルもその傾向は強いと思えますから。
ロシアはかなり追い詰められていますね。
私が以前ここの別スレに書いた「プーチンの誤算」に以下2つを追加したいと思います。
・ロシアはそれほど世界から嫌われていない
・いざとなったら中国が擁護してくれる
ある意味ロシアは中国の蛮行のとばっちりを食らったとも言えます。
中国の蛮行により「同じ共産国」のロシアのイメージは悪化しました。
中国はウクライナ事態でロシアを批判しないことでロシアに恩を売るつもりだったのでしょうが、それ以前の自身の蛮行によりロシアのイメージも損なっていました。
そして、ロシア苦戦と知るとあっさり手のひら返し。ウクライナに人道支援すると発表しました。
ロシアは踏んだり蹴ったりですね。
北方領土?
返すわけねーだろ。
甘い甘い。
沖縄が返ってきたので2匹目どじょうと思ってるんだろうけど。
アメリカは同盟国だからね。
何か言われたりされたりしたら「遺憾や許されない(何もしないので結果的に許している)」だけでなく、日本もこの際全千島と樺太の南半分を変換要求したらいいと思います。
もちろん要求に加えただけでは変わらないのは同じですが、この際大きく出たらと思います。
それから日本人を拉致しては働かせたり、満州での虐殺や婦女暴行についても賠償や国連での非難をどこかの国を見習ってしつこく提起したらと思います。
むしろ、日本の経済制裁に対する「報復」がこの程度かと思いましたけれども。
ロシアが本気で「報復」するならば、日ロ漁業協定の破棄とか、サハリン1, 2の権益没収とか、いろいろと強力な手段が残っています。それをしてこなかったということは、ロシアとしては日本との関係を決定的に損なうつもりは(今のところ)ないということであるのかもしれません。もちろん、今後そのようなカードを切ってくる可能性はありますが、日本側に現在以上に強力な制裁カードがそうそう残っているとも思えないので、対抗策も限定的でしょう。
なお、ロシア国家の完全な崩壊では、現在ロシアが保有する約6000発の核爆弾をどうするのかという、極めて深刻な問題が発生します。どさくさ紛れでテロリストの手に渡る可能性も少なからずあるでしょう。テロリストでなくとも、核保有を切望する国などいくらでもあります。ロシアを弱体化させるのは良いとしても、やり過ぎると、さらに危険なことになりかねないということは頭に置いておくべきだと思います。
プーチン大統領は、習近平の「中華民族の偉大なる復興」と同じく、「ロシア民族の偉大なる復興」を目指しているのでしょう。
しかしそれがアメリカとの対立という形になってしまっているところが、我々日本人にはなかなか理解しにくいところではあると思います。
一般人の知らないロシアにとって受け入れがたい裏の事情があるのかもしれません。
或いは、自らの権力維持を目的に、アメリカとの対立を選択しているのでしょうか?
いずれにしても、日本はプーチン政権との北方領土返還交渉は今後不可能になってしまいました。
日本としては、プーチン後に備えて、対ロシア戦略を練り直しておく必要があると思います。
千島列島と南樺太の奪還、それから中露離間策などを検討しておく必要があるでは無いでしょうか?
特に、プーチン後のロシアを西側陣営に加えることが出来れば、インドとの関係もすっきりして、中国包囲網がより一層強固になると思います。
ですよね。
今回のウクライナで私なりに思ったこと。
・ロシアは世界の嫌われ者だと言うこと。
・ドイツが実はこれほどロシアを敵視していたこと。(フランスも)
・民主主義という価値観は強力な武器になること。
・安倍さんが、あの秋田犬のワンワンさんとダブって見えたこと。(お手、お座り・・)
・岸田さんはロシア嫌いで、全くロシアを信用していないこと。(因みに、私もロシアは、あの北朝鮮より、はるかに信用できない国と思っています。)
これを機に、昔からの日本に対するロシアの悪行を教科書にきっちり載せて国民に教育しましょう。それと新宿会計士様の言うとり、千島全土と樺太の半分は日本の領土です。これは国際社会にはっきり認識させる必要があります。
ロシアとの話し合いや、約束事は一切、無駄です。それは世界の歴史が証明しています。
プーチンは秋田犬なんかプレゼントされても迷惑だったろうな
「優秀な日本人の手にかかれば、野生の狼もこんな大人しくなるのだぞ。どうだ凄いだろ」と自慢されても微妙な雰囲気になるだけだから
ヨーロッパの国々は元々好き嫌いで外交しないから
利があれば悪魔のように嫌っている相手とも手を繋ぐし
同盟しているからといって相手を信頼することもないし
手を切るのも早い
いつも知的好奇心を刺激する記事の配信ありがとうございます。
大国と威厳をもって自負する国が新たに戦争をするのはどういう理由による事か、以下書籍がオススメです。
アメリカはいかにして日本を追い詰めたか: 「米国陸軍戦略研究所レポート」から読み解く日米開戦
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可能なら最後迄ご一読を。
以上です。駄文失礼しました。