ロシアの駐日大使が日本に「重大な対抗措置を取る」と表明するも――。
日本政府の対露制裁パッケージは、経済的に見たらほとんど実効性がありません。2021年におけるロシアへの半導体輸出高は6億円未満と、日本の半導体産業にとっては無視できる金額でもあります。もっとも、ひとつ気になる点があるとすれば、中国を中心とするブロック経済圏にロシアが加わろうとするかどうか、です。
目次
経済制裁の実情
日本政府の対露追加制裁
『日本政府はロシアへの「半導体輸出などの制裁」を発表』で「速報」的に取り上げたとおり、日本政府は25日、ロシアに対する追加制裁措置を発表しました。
日露の貿易・金融関係は薄く、制裁の効果は限定的ロシアのウクライナ侵攻を受け、岸田文雄首相は25日午前、追加制裁措置を発表しました。ただ、正直、経済制裁としての実効性はほとんどありません。やはり、ロシアに対し「本気で」制裁を加えるためには、金融決済網(たとえばSWIFTなど)からのロシアの排除などの措置が必要ですが、バイデン政権は現時点において、この措置を発表していないようです。日本の追加制裁措置岸田文雄首相は25日午前、記者会見を行い、ロシアに対する追加制裁などの措置を発表しました。岸田内閣総理... 日本政府はロシアへの「半導体輸出などの制裁」を発表 - 新宿会計士の政治経済評論 |
具体的には①資産凍結、ビザ発給停止によるロシアの個人・団体などへの制裁、②ロシアの軍事関連団体への輸出規制リスト品目、ロシアの金融機関を対象とする資産凍結といった金融分野での制裁、③半導体など汎用品のロシア向け輸出に関する制裁――、などだそうです。
ただ、くどいようですが、これらの措置に実効性があるかといわれれば、そこは大変に微妙でしょう。そもそも、日露間の経済的な関係は、非常に小さいからです。
たとえば、財務省税関が作成する『普通貿易統計』のデータによれば、2021年における日露貿易の概況は、次のとおりです。
輸出額
ロシアは日本にとって第19番目の輸出相手国であり、輸出額は8624億円で、これは日本の全世界に対する輸出額(83兆0928億円)の1.04%である。また、ロシアへの輸出額のうち「輸送用機器」(自動車等)の輸出額は4633億円で、輸出額全体の53.72%を占めている。
輸入額
ロシアは日本にとって第13番目の輸入相手国であり、輸入額は1兆5431億円で、これは日本の全世界に対する輸入額(84兆5679億円)の1.82%である。また、ロシアからの輸入額のうち「鉱物性燃料」(石油、石炭、天然ガス等)の輸入額は9463億円で、輸入額全体の61.32%を占めている。
輸送用機器の対露輸出額
輸送用機器の日本からロシアへの輸出額は4633億円であり、これは日本から全世界に対する輸出額16兆1924億円の2.86%である。
鉱物性燃料の対露輸入額
鉱物性燃料のロシアから日本への輸入額は9463億円であり、これは全世界から日本への輸入額16兆9191億円の5.59%である。
半導体等電子部品の対露輸出額
半導体等電子部品の日本からロシアに対する輸出額は5億8434万円であり、これは日本から全世界に対する輸出額4兆8069億円の0.01%である。
制裁効果はほとんどない
上記貿易統計に加え、国際決済銀行(BIS)の2021年9月末時点の「国際与信統計(最終リスクベース)」によれば、日本の金融機関のロシアに対する与信額は92億ドルで、これは日本の全世界に対する対外与信4兆8598億ドルに対し、0.20%弱、といったところです。
経済関係に関しては、こんなところで十分でしょう。
そもそも、日本の対露輸出額は1兆円を割り込んでおり、日本にとっては輸出相手国としてのロシアの重要性は1%少々しかありません。しかも輸出額の過半は「輸送用機器」、つまり自動車などの乗り物であり、その輸送用機器の分野でも対露輸出額の世界シェアは2.86%に過ぎません。
岸田首相が昨日発表した「半導体」に至っては、日本からロシアへの輸出額は6億円未満であり、これは日本から世界への半導体の輸出額4.8兆円に対し、わずか0.01%に過ぎないのです。
それに、日本企業が輸出分野で強みを持っているのは、生産装置、中間素材といった「モノを作るためのモノ」です。かつての「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」の時代だと、日本企業は家電・耐久消費財に強い、といった印象がもたれていましたが、現実の日本経済は、「モノを作るためのモノ」の輸出で儲けています。
そうなると、日本の輸出産業にとっては、「消費大国」である米国(2位)などを除けば、「生産大国」である中国(1位)や台湾(3位)、韓国(4位)やタイ(6位)などが輸出先の上位相手国とならざるを得ないのでしょう。
したがって、「消費大国」でもなければ「世界の工場」でもないロシアへの輸出高が19位に留まるのも、ある意味では当然のことでしょう。
鉱物性燃料の輸入が止まれば経済に悪影響
一方で、日本の対露輸入額は1兆円を超えていますが、その理由は「鉱物性燃料」、つまり石油、天然ガス、石炭などの輸入が1兆円近くに達しているからであり、この「鉱物性燃料」だけで、ロシアからの輸入額の6割以上を占めているのです。
この「鉱物性燃料」に関しては、ロシアからの輸入高が日本の輸入高(16兆9191億円)全体の5.59%に達しているため、「無視し得るほど少ない」とは言えません。ロシアからの天然ガス等の供給が完全にストップすれば、日本経済にとっては「エネルギー高」という悪影響が出てくる可能性はあるでしょう。
ただ、現在の日本は原発を停止しているという事情もあり、「鉱物性燃料」の輸入が2011年以前と比べて大幅に増えている格好ですが、この「鉱物性燃料」の輸入がなかったとすれば、ロシアからの輸入額は5968億円と、同じく鉱物性燃料を抜いた全世界からの輸入額67兆6487億円の0.1%を割り込みます。
もし日露貿易額が現在のまま変わらず、原発再稼働だけが実現したとすれば、日露貿易高がさらにガクンと落ち込であろうことは、想像に難くありません。
金融から見たロシア
さらに、国際決済銀行(BIS)の2021年9月末時点の「国際与信統計(最終リスクベース)」によれば、日本の金融機関のロシアに対する与信額は92億ドルに過ぎず、これは日本の全世界に対する対外与信4兆8598億ドルに対し、せいぜい0.20%弱に過ぎないのです。
また、BISに報告書を提出している国のデータに基づけば、ロシアの企業、政府などが外国の金融機関から借りている金額の合計額は、2021年6月末時点で1043.77億ドルですが、その内訳は次の図表のとおりです。
図表 ロシアが外国の金融機関から借り入れている金額(2021年6月末、最終リスクベース)
相手国 | 金額 | 構成割合 |
---|---|---|
フランス | 236.44億ドル | 22.57% |
イタリア | 231.95億ドル | 22.14% |
オーストリア | 170.86億ドル | 16.31% |
米国 | 144.97億ドル | 13.84% |
日本 | 92.14億ドル | 8.80% |
ドイツ | 51.53億ドル | 4.92% |
オランダ | 47.19億ドル | 4.51% |
英国 | 30.73億ドル | 2.93% |
韓国 | 14.16億ドル | 1.35% |
その他 | 27.52億ドル | 2.63% |
合計 | 1047.49億ドル | 100.00% |
(【出所】the Bank for International Settlements, Consolidated Banking Statisticsより著者作成)
正直、ロシアほどの「大国」(?)が、外国の金融機関から借り入れている金額が1043.77億ドルというのも、非常に少ないです(ちなみに日本の金融機関の対外与信は4兆8598億ドルであり、金融に関しては、日本はロシアが外国から借りているカネの50倍近くを外国に貸している、という計算です)。
いずれにせよ、貿易・金融という側面だけで見れば、日露間の経済交流関係は決して大きくないのだ、という点を、まずは重要な統計的事実として押さえておく必要があるでしょう。
物流:シベリア鉄道に依拠しない日本
これに加えて、物流という面で見ても、ロシアは日本にとって重要な国であるとはいえません。
この点、当ウェブサイトでは約1年前に、シベリア鉄道の物流にとっての優位性と限界について議論したことがありますが(『日本がシベリア鉄道よりもFOIPを重視するのも当然』参照)、これに関する当ウェブサイトなりの結論は、次のようなものです。
「物流コストだけで見たらシベリア鉄道(ロシアとの関係)の方が有利かもしれないが、ロシアが日本と基本的価値を共有していないことを踏まえるならば、日本が国家戦略として海上輸送にこだわるのは賢明な判断であり、また、『自由で開かれたインド太平洋』(FOIP)とも整合するものだ」。
約束破るウソツキ国家のことを信頼しろと言われても無理ですあらかじめお断りしますが、本稿では『「中国を排除するな」発言の真意はFOIP不参加の言い訳』でも予告した「FOIPクアッド首脳会談」を取り上げようと思っていたものの、昨日深夜時点で首相官邸HP等に該当する記事がアップロードされておらず、話題として取り上げることができませんでした。ただ、良い機会なので、「日本がシベリア鉄道よりもFOIPを重視する理由」について、当ウェブサイトなりの見解をまとめておきたいと思います。クアッド首脳会談『「中国... 日本がシベリア鉄道よりもFOIPを重視するのも当然 - 新宿会計士の政治経済評論 |
あまり自画自賛したくはないのですが、これを1年前の時点で議論していたことは、正しかったと思う次第です。
もちろん、日本と欧州などを結ぶ航空路線で、民間航空機がロシア上空をビュンビュン飛んでいるという事情は無視できません。もしも何らかの事情で、日本の航空会社がロシア上空を飛行することができなくなれば、航空燃料費が上昇するという悪影響は生じるでしょう(※この場合はアンカレジ・ルートが復活するのでしょうか?)。
しかし、こうした点などを除けば、「経済」だけで見る限りにおいて、日本はロシアとの関係が完全に断絶したとしても、さほどの影響はないのです。
以上までの議論を踏まえるならば、正直、日本の対露制裁など、ほぼ実効性はありませんし、また、日露が「断交」に追い込まれたとしても、ロシア産のエネルギーが入って来なくなることによる多少の影響はあるとはいえ、日本経済全体から見れば、「壊滅的な打撃が生じる」ということはないと結論付けて良いでしょう。
西側制裁対ブロック経済
それでも対露制裁には重要な意味がある
経済制裁は、両国の経済・産業・金融上の関係が密接であればあるほど効果が強力に発揮されますが、現在の日露間のように、両国の経済規模に照らして関係が薄い場合は、大した効果が発揮できない、というわけです。
ただ、それでも、やはり日本政府が迅速に、欧米諸国と歩調を合わせて経済制裁パッケージを発表していくことは重要です。なぜなら、そうすることにより、日本を含めたG7諸国がスクラムを組んでいるという姿を全世界に見せることができるからです。
また、今回の経済制裁のパッケージ、著者自身としては正直、「サプライズ」はまったく含まれていません。
なにか外為法や出入国管理法などの規定をアクロバティックに解釈して、奇想天外な経済制裁が繰り出されるのではないか、といった期待もないではなかったのですが、結局、日本政府が出してきたのは資産凍結やビザ発給厳格化、資本取引制限などに限られているからです。
しかし、国連常任理事国でもあるロシアに対し、このような措置を迅速に繰り出したこと自体は評価して良いでしょう。「たとえ核保有国・国連常任理事国が相手であったとしても、日本としては堂々と経済制裁を加える」、という、大変に良いメッセージになったことは間違いないでしょう。
この点、とくに台湾海峡を侵犯しようとする野心を抱いているであろう中国にとっては、非常に強い警告となり得ます。先ほどは、「日露間の経済・産業・金融のつながりは非常に薄い」という点を、データを確認したのですが、同じ分析を中国について行えば、また全然違った結果が出て来ます。
当然、中国もそのことは理解しているでしょうから、「対露牽制」としてではなく、「対中牽制」としても、大変に有益でもあるのです。
駐日ロシア大使「重大な対抗措置」を警告
こうしたなかで、昨日はガルージン駐日ロシア大使が日本外国特派員協会で会見し、「ロシアも重大な対抗措置をとることになる」、「両国に影響は出るだろうが無益だ」、などと「警告」を発したのだそうです。
【速報】ロシア大使「重大な対抗措置とる」 追加制裁の日本に警告
―――2022年2月25日 17:14付 FNNプライムオンラインより
ロシア大使がこのように反発したという事実は、やはり、今回の日本の措置がロシアにとって非常に「嫌なものだった」という証拠でしょう。
すなわち、日本からの制裁に、経済的な実害はほとんどないとはいえ、日本が米国を中心とする西側諸国の一員として、ロシアに立ち向かう姿勢を示したことが、ロシアにとってはどうにも我慢がならなかった、という実情が、このガルージン氏の発言からは透けて見えるのです。
もっとも、「重大な対抗措置」が何を意味するかについてはよくわかりませんが、少なくとも経済的に見れば、日本の措置はべつにロシア経済に大した打撃を与えるわけではありませんし、これに対しロシアが経済的手段で対抗しようとしても、同様に日本経済を揺るがすほどの影響を与えることはできません。
敢えてロシアにできることがあるとすれば、軍事的に圧迫を加えるくらいしかありませんが、日本と同等以上の措置を米国、ドイツ、フランス、英国なども同時に実施していることを踏まえるならば、日本に「だけ」軍事的圧迫を加えることができる、というものでもないでしょう。
もちろん、ロシアが日本と地理的に非常に近いという点には警戒が必要ですが、むしろウクライナ戦争を契機に、個人的には日本国内で改憲機運が盛り上がることについては強く期待したいと思う次第です。
赤クアッドと「人民元経済圏」
ただし、主要国の対露制裁で少しだけ気になる点があるとすれば、「中国・ロシア・北朝鮮・韓国」という「赤クアッド」の結成、という可能性でしょう。
この「赤クアッド」という単語は、当ウェブサイトで勝手に開発した用語ですが(『「赤クアッド」?北朝鮮巡り中国、ロシアに近づく韓国』等参照)、世間的にはあまり流行しなかったためか、最近ではあまり使用していなかった用語です。
先月、当ウェブサイトでは『中露朝韓「無法国家クアッド」を「正しく」警戒すべき』という記事で、初めて「無法国家クアッド」という構想を提示しました。この構想はもちろん、「韓国が現在のような姿勢を続けていたら、そのうち中露朝3ヵ国に引きずり込まれるぞ」、という皮肉のつもりもあったのですが、存外に早くその構想が実現するかもしれません。それを考えるうえで興味深い記事が昨日、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に掲載されていました。青クアッドと赤クアッド無法国家クアッド構想が中央日報にも掲載される以前、... 「赤クアッド」?北朝鮮巡り中国、ロシアに近づく韓国 - 新宿会計士の政治経済評論 |
しかし、『月刊Hanada2022年3月号』に寄稿した『デジタル人民元脅威論者たちの罠』と題する拙稿でも述べましたが、中国は現在、「人民元ブロック経済圏」を作ろうとしているフシがあります。
こうしたなか、もしもロシアがSWIFTなどの国際的な決済網から排除されるようなことがあったとしたら、ロシアが中国と結託し、「人民元ブロック経済圏」を結成する、という可能性はゼロではないかもしれません。
実際、最近では人民元経済圏が着実に広がる気配を見せています。
たとえば、トルコ中央銀行は昨年6月19日、中国との間で締結した通貨スワップ協定に基づき、人民元を中国から引き出し、それらの人民元を中国企業からの輸入代金の決済に使用した、と発表しました(『トルコが中国との通貨スワップを実行し人民元を引出す』等参照)。
慢性的な外貨不足に悩む中東の大国・トルコは先週、中国との人民元建ての通貨スワップを実行したそうです。トルコ中央銀行のウェブサイトによると、トルコは通貨スワップ協定に基づき、中国人民銀行から人民元を借り入れ、その人民元はトルコ国内企業の人民元輸入代金の決済に使われたのだとか。このプレスリリースを見て、個人的には「溺れる者は藁をも掴む」、「貧すれば鈍する」などの用語が頭をよぎった次第です。トルコの通貨不安トルコといえば、当ウェブサイトでは以前からしばしば注目していた国のひとつです。というのも、「... トルコが中国との通貨スワップを実行し人民元を引出す - 新宿会計士の政治経済評論 |
すでになかば人民元経済圏となった北朝鮮
また、トルコ以外にも、人民元経済圏に取り込まれつつある国はいくつか存在していますが、その典型例が北朝鮮でしょう。
北朝鮮はかつて、(国交がないにも関わらず)日本と経済的な関係が密接でしたが、日本人拉致事件や北朝鮮の核・ミサイル開発などを受けた経済制裁に伴い、現在、日朝間の貿易高はほぼゼロに近くなってしまっています。
その一方で漏れ伝わる報道によれば、その北朝鮮では現在、米ドルと並んで人民元が日常的に使用されているようであり、また、北朝鮮に対する経済制裁にも関わらず、中朝貿易が実質的な抜け道のひとつとして使われてしまっているフシもあります。
すなわち、見方によっては、北朝鮮はすでになかば人民元経済圏となってしまった、という言い方はできるでしょう。
さらには、韓国も長い時間をかけ、徐々に中国の経済圏に取り込まれつつあるようにも見えます。韓国の貿易統計を分析していくと、対中輸出が多いときで韓国の輸出高全体の4分の1前後に達することもあるなど、経済の中国依存度は極めて高いからです。
スワップ武器に人民元拡大を画策する中国
ちなみに『中国が保有する人民元通貨スワップ等をすべて列挙する』でも紹介しましたが、中国は「人民元建てスワップ」を外交の武器としているフシがあります。
中国が諸外国と締結する通貨スワップ・為替スワップは、著者のカウントでは少なくとも24本存在し、また、かつて存在したものも含めれば40本近くに達しますが、正直、「質より量」という印象が否めません。「一帯一路」構想に沿って発展途上国と積極的にスワップを結んでいるのですが、それらのなかには失効した可能性が高いものも散見されるなど、中国の「スワップ金融覇権」の試みもいまひとつに見えますし、これを「脅威」と呼ぶにはちょっと微妙です。中国の金融覇権?ないない!出版社さん、いかがですか?昨日までの期間で、当ウ... 中国が保有する人民元通貨スワップ等をすべて列挙する - 新宿会計士の政治経済評論 |
中国は北朝鮮とはスワップを結んでいませんが、韓国との間で4000億人民元/70兆ウォン、ロシアとの間で1500億人民元/1.75兆ルーブルの通貨スワップ協定を締結しています。
中国は、日本との間では2000億人民元/3.4兆円の為替スワップ協定を締結していますが、ロシアとの通貨スワップの規模は日中為替スワップの規模に近いものです。このように考えていくと、ロシアも韓国も、潜在的には中国の通貨圏に含まれていくという可能性は排除できません。
今回のウクライナ侵攻を契機に、ロシアの銀行がSWIFTから排除されたとしても、中国が運営するCIPSという決済網に参加するなどし、中露貿易、あるいは中朝・中韓貿易などが人民元建てに切り替わっていく、というストーリーは、決して非現実的なものではないでしょう。
(※ちなみに日本の場合は、日本円自体が人民元を上回るハード・カレンシーであり、中国との人民元建て為替スワップ以外にも、米英欧加瑞との金額無制限の為替スワップ協定などを保持しているなどの事情もあるため、人民元経済圏に取り込まれる可能性は、現時点では非常に低いと考えられます。)
そして、ロシアが日米欧などから経済制裁を喰らっても、中国や北朝鮮、そして将来的には韓国も含めた「赤クアッド」で経済を回していく、ということは、必ずしも非現実的な将来図ではない、というのが著者自身の仮説でもあります。
(※ちなみに中国には国際金融都市・香港という武器もありますが、この香港については中国自身が自由闊達な空気を潰してしまったがために、イノベーション・ハブとしての機能を急速に喪失していく、というのも、著者自身の見立てです。この点については、機会があれば、また別稿にて議論します。)
中露経済圏?それとも…
もっとも、中国とロシアの両国は、ともに(準)独裁国家同士ということもあるのでしょうか、「中露ブロック経済圏」が成立したとしても、案外早いタイミングで瓦解するかもしれません。
かつて、ロシアの前身(?)だったソ連は、発足した直後の中華人民共和国とは、当初は「蜜月」関係にありましたが、やがてイデオロギーの対立が表面化し、1969年には中ソ国境紛争が勃発し、そのことが米中接近の要因のひとつともなった、などと指摘されています。
いずれにせよ、人民元が米ドルに代替する基軸通貨となる可能性は、現時点ではゼロだ、というのが当ウェブサイトの結論ではありますが、今回のウクライナ戦争が国際金融の世界にどのような影響を与えるのかについては注目する価値があるかもしれないと思う次第です。
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世界の100ヵ国が同時にnatoに加盟すべき
いっそのこと、ワルシャワ条約機構というのを新設して
納豆加盟国と納豆に加盟したい国(フィンランド等)、ロシアや中国に圧迫されている国(日本や台湾など)を全部入れたら面白い
納豆…
これは定吉の出番が近いのか…
赤QUADを視野にいれれば、恒大集団を初めとする中国破綻企業の債務を厳しく追及することは、ロシア牽制にもつながるわけですね。
中国を先に破綻させて中露通貨スワップ発動というシナリオも、知的好奇心をそそられます。
ロシアへの制裁は突出しない、とはいえ大幅に他国比劣後しない、目立たないレベルが処世術として有効です。ロシアが全世界に向けて対抗するのの一部を食らってしまうのは仕方ありませんが、日本だけピンポイントで反撃を喰らうようなやり方は避けたいです。また大幅に劣後して、レッドチーム入り呼ばわりされるのも良くない(韓国のように)
北京五輪の外交ボイコットでも日本は絶妙な立ち位置を取れたと思います。一応政府関係者(室伏さんあたり想定)の北京行きは見合わせ、外交ボイコットと明言はしないが欧米と歩調は合わせた。でも派遣したのは政府関係者ではないが橋本聖子さん。室伏さんに比べても格はずっと高く、面子を重視する中国の顔も立ってる。
勇ましく先頭を走るのは気持ちいいでしょうが、もちろん相手からの反撃が大きい。そう言うのは何かやむに止まれぬ事情がある時に限りましょう。日本はいい感じにバランスをとりながら外交しているので、そんなリスクをとって一発逆転とかいらないのです。
対韓国については完全に別ですが、そのほかの国、ロシアや中国への対応は突出しないをベースにしていいと思います。
今回のウクライナ侵攻は、世界的動乱の時代の幕開けになるのではないかという不安があります。
ただ、少しだけ今までの「綺麗事」が通じない時代になるのではないかということに期待する気持ちもあります。
共産党志位氏の「他国へ侵略できないようにするのが9条」
現実の前に何の説得力も感じられないと思った人は多いのではないでしょうか。
脱原発、脱炭素化の流れも、光熱費などの各種価格の急激な上昇に頓挫せざるを得ないのではないでしょうか。
日本もまずは休止中の原発の再稼働。
憲法改正、核保有の前に、先に手をつけやすいところから始めましょう。
かつてナチスドイツとソ連は不可侵条約をむすんで同盟関係になりましたが、やがて仲間割れの大戦争・・・
中露もブロック作って同じようなことになってほし・・もとへ、なるのではないでしょうか。
ロシアからの燃料輸入を止めるなら、原発再稼働の加速と最新石炭火力の増設ですかね。
この際、巻き戻してやったらとも思います。
>原発再稼働の加速と最新石炭火力の増設
国富の流出を止めるためにも、ぜひ進めて欲しいですね。
併せて、小型原子炉及び核廃棄物処理技術と廃炉技術の開発はセットで加速させて欲しいですね。
原発と石炭は燃料の急沸には強いですからね。
理由は以下の通り。
・備蓄量が多いから価格乱高下の影響が出にくい。
(原発はエネルギー密度が高く、石炭はバラ積みできる)
・電気料金の内訳は建設費のウェイトが大きい。
欠点としては放射能とCO2問題を抱えていますが
電気の安定供給としては発電方式のハイブリッドが一番ですね。
反原発運動ってロシアの差し金かもしれませんね。
制裁の規模はともかくとして、速やかに立ち位置を明確化できたことは良かったと思います。
>ロシアからの輸入額は5968億円と、同じく鉱物性燃料を抜いた全世界からの輸入額67兆6487億円の”0.1%”を割り込みます。
*1%弱なのかな?
興味深い観点です。
"ウクライナ侵攻、安保理の非難決議案は否決…ロシアが拒否権・中印は棄権" (讀賣新聞オンライン 2022/02/26 08:17)
機能不全を起こしている国連の現状では、こうなるでしょう。
が、一方、ロシアには拒否権はない、それどころか国際法上、常任理事国でもないという議論があるようです。
"ウクライナ国連大使「ソ連崩壊でロシアは安保理理事国ではないのでは?」中華人民共和国と中華民国の前例" (事実を整える 2022-02-25)
中国の立場を再確認することになってしまうのは残念ですが、中露を引き離す論点としても注目に値します。
そして、国際法を守ることの重要性、無法者国家の排除を前面に押し出すよい機会ではないでしょうか。
中国はロシアに別に恩義があるわけないので、商売ベースでやるんじゃないかな。欧州がロシアのガスを買ってくれないなら、中国は超格安でロシアから買うと思う。安いエネルギーで発電とかして、経済力を増すことができる。ロシアにお金がなくなったら、「北方領土を1兆円で売ってくれ」といいつつ日本政府に「北方領土、5兆円でどうか?今がチャンスやで」なんてことくらいはするな。
黒海で日本企業が運航する船舶がロシア海軍に砲撃された?との情報が飛んでましたが、ガチならコレも報復?
一発だけなら誤射かもしれない??
単に誤報???