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支持層も偏る立憲民主党、連合にも見捨てられるのか?

立憲民主党といえば、支持者が高齢者に極端に偏った政党と化してしまいました。しかも、日本共産党との協力を進めた結果、連合との関係を大幅に悪化させています。こうしたなか、産経ニュースによると、連合の芳野友子会長は、立憲民主党と日本共産党の協力を巡り、「あり得ないことはあり得ない」と重ねて突き放したのだそうです。まさに「貧すれば鈍す」、でしょうか。

最大野党が持つ「最大野党利権」

立憲民主党といえば、衆参両院における最大野党です。

そして、国会では衆参ともに野党に質問時間が厚く配分されており、慣例上、野党の質問時間の采配権は最大野党が有しています。立憲民主党はこの権限を悪用し、日本維新の会に対し質問時間をわざと少なく配分するなどの嫌がらせをしてきました(たとえば産経ニュースの次の記事などもその証拠です)。

維新・足立氏、国民より短い質問時間配分を重ねて批判

―――2021/3/2 20:56付 産経ニュースより

当ウェブサイトで「最大野党には利権がある」と申し上げてきた理由は、まさにこうした質問時間配分権に代表される、なんだかよくわからない既得権益の数々にあります。

そもそも最大野党は「野党」であり、「野党」が「野党」である理由は、有権者から託された票が足りなくて与党になれなかったからです。それなのに、野党に質問時間が厚く配分されているというのは、有権者から多くの票を得た与党を不当に冷遇しているのと同じではないか、という議論が成り立つでしょう。

立憲民主党はゴシップスキャンダル追及専門の利権政党

いや、もちろん、野党にこそ質問時間を厚く配分するという慣行が成立してきたのは、質問時間もなにもかも与党に集中することを避けるという、憲政史上の一種の知恵のようなものかもしれませんので、一概に否定すべきではありません。

ただ、最大野党である立憲民主党が、憲政史上で先達が作り上げてきた慣行の意味を理解せず、ただ自分たちの気に入らない政党に嫌がらせをするためにその権限を悪用しているのだとしたら、立憲民主党が最大野党であること自体が国益に反していると言っても過言ではありません。

それに、普段から国会中継を通じ、立憲民主党の国会質問を視聴している身としては、その質問のレベルのあまりの低さに呆れるばかりです。

とくに立憲民主党は、「もりかけ・さくら」という、いわゆる「ゴシップ誌系スキャンダル3点セット」をいつまでも追及し続けています。立憲民主党の幹事長でもある福山哲郎氏が2020年3月4日の参院予算委員会で述べた「時間が余ればコロナ対策もやります」は、発言としてはあまりにも有名です。

(※なお、「もりかけスキャンダル」自体は『もりかけ問題がもたらす野党・メディアのテーパリング』などを含め、当ウェブサイトでもこれまで何度となく取り上げて来た論点であるため、本稿では割愛します。)

立憲議員「コロナ対策を頑張った立憲に来ると思っていました」「総理、嫌でしょうが『桜を見る会』について質問させていただきます。時間が余ればコロナ対策もやります」。これは、2020年3月4日に立憲民主党の福山哲郎幹事長(参議院議員)が参院予算委員会で発言した内容であり、立憲民主党にとって「コロナよりもスキャンダル追及が大事だ」ということを象徴する発言でもあると思います。こうしたなか、衆院選も終わりましたので、本稿では「元祖スキャンダル」である「もりかけ問題」を振り返ってみたいと思います。2021/11/03 08...
もりかけ問題がもたらす野党・メディアのテーパリング - 新宿会計士の政治経済評論

オールドメディアとともに沈む立憲民主党

さて、10月31日の総選挙に先立ち、新聞、テレビを中心とするオールドメディアは、「立憲民主党が大躍進する」「自民党は惨敗する」などとする予想を相次いで立てていました。

しかし、『衆院選での敗者は「立憲共産党」とオールドメディアだ』などでも述べたとおり、現実には自民党は公示前勢力を多少減らしたにせよ、引き続き公明党とあわせて絶対安定多数を維持しており、これに対し、立憲民主党や日本共産党はそれぞれ議席を減らしました。

今回の総選挙、最大の勝者は、おそらくは議席を4倍近くに伸ばした日本維新の会であり、また、事前に惨敗を予想する意見も見られた自民党も、議席数は15議席減で済んだという意味では、「勝者」といえるかもしれません。一方の敗者はいったい誰なのか。「立憲共産党」と揶揄された野党共闘にも関わらず13議席減らした立憲民主党もさることながら、やはり最大の敗者は、新聞、テレビを中心とするオールドメディアではないかと思うのです。2021/11/01 10:15追記図表に注記を追加しています。オールドメディアさん、予測はどうでしたか?...
衆院選での敗者は「立憲共産党」とオールドメディアだ - 新宿会計士の政治経済評論

このあたり、立憲民主党関係者は、選挙直前まで鼻息が荒かったのですが、10月31日深夜から11月1日未明にかけ、選挙情勢が明らかになるにつれ、意気消沈に変化したようです。

しかも、『党代表を「変えよう」=立憲民主』などでも触れたとおり、立憲民主党の枝野幸男代表(当時)は総選挙から2日が経過した11月2日の午後になって、やっと党執行役員会で「衆院選敗北の責任を取って辞任する」と述べたほどです。

『メディア利権と野党利権は衆院選を機に崩れ始めたのか』などでも触れたとおり、立憲民主党の枝野幸男代表の進退問題が出て来たようです。報道によると、枝野氏は2日午後の党執行役員会で、衆院選敗北の責任を取って辞任すると述べたのだとか。個人的にはやや意外感もある一方で、幹部が菅直人内閣と比較的メンバーが重なっていることも指摘される立憲民主党の「立憲共産党」路線が変わるのかどうかについては、現時点ではよくわかりません。枝野氏、やっと辞意表明報道等によれば、枝野幸男・立憲民主党代表が2日午後の党執行役員...
党代表を「変えよう」=立憲民主 - 新宿会計士の政治経済評論

余談ですが、『「自民1強に終止符」と報じシレッと修正した時事通信』などでも取り上げたとおり、時事通信はうっかり「自民1強に終止符」などとする記事を配信してしまい、後刻、慌てて記事のタイトルをシレッと修正したという珍事も発生しています(しかも、時事通信がこれについて謝罪したという事実はないようです)。

10月31日の総選挙の当日、主要メディアの多くは「自民党惨敗」、「立憲民主党躍進」などと報じました。ところが、ふたを開けてみたら、自民党は多少議席を減らしたとはいえ与党で絶対安定多数を占め、立憲民主党は敗北の責任を取り枝野代表が辞意を表明しました。こうしたなか、本稿では時事通信が配信した「自民1強に終止符」なる大誤報なども題材にしつつ、メディア利権の腐敗について考えてみたいと思います。メディア利権絶大なメディア利権『メディア利権と野党利権は衆院選を機に崩れ始めたのか』などで議論したとおり、当ウェ...
「自民1強に終止符」と報じシレッと修正した時事通信 - 新宿会計士の政治経済評論

反省も謝罪もせず、責任も取らないというのは、日本の野党とオールドメディアに共通する特徴なのかもしれません。

こうしたなか、福山哲郎氏は、立憲民主党の敗因は何だったのかを巡って「科学的に検証する」と述べましたが(『立憲民主党、衆議選結果を「科学的に」分析すると表明』等参照)、「科学的」もなにも、票がすべてでしょう。

当ウェブサイトでは総選挙前から立憲民主党の政権公約(っぽいなにか)を紹介して来たのですが、改めて振り返っておくと、やはり強烈です。立憲民主党が公示前と比べ、勢力を後退させた理由は、公約を眺めると何となく想像がつくように思えてなりません。こうしたなか、立憲民主党が今回の衆院選の結果を「定性的ではなく科学的・総合的に分析する」という方針を示した、という話題が出て来たようですよ。立憲民主党の「公約」(なのかなぁ…?)これまでに何度となく述べてきたとおり、10月31日の衆院選では立憲民主党が13議席、公示前...
立憲民主党、衆議選結果を「科学的に」分析すると表明 - 新宿会計士の政治経済評論

あるいは、「なぜ有権者が立憲民主党に票を投じてくれなかったのかを検証する」という意味で仰っているのであれば、旧民主党時代、あるいは旧民進党時代、政権を失って以降の総括をしていない立憲民主党が、いまさらどうやって検証するつもりなのかは疑問です。

連合の芳野友子会長「あり得ないことはあり得ない」

ただし、いくつかヒントがあるとしたら、やはり日本共産党との閣外協力を含めた共闘で連合の支持が離れたことなどの影響も否定できないでしょう。

これに関連し、産経ニュースによると、連合の芳野友子会長は18日、記者会見で、日本共産党との踏み込んだ協力を行った点について「『あり得ない』と重ねて突き放した」のだそうです。

連合会長が立民牽制「あり得ないことはあり得ない」

―――2021/11/18 20:27付 産経ニュースより

産経の記事にいう「重ねて」とは、芳野氏が選挙前から立憲民主党の日本共産党との協力を牽制してきたことを指しているものと思われます(『連合新会長が立憲民主に「共産と閣外協力あり得ない」』等参照)。

総選挙が近づくなか、少し興味深い現象が発生しているようです。解散総選挙を目前にしたこのタイミングで、連合の新会長に就任した芳野友子氏が7日、連合の新体制に関する発表会見で、立憲民主党に対し「日本共産党との閣外協力はあり得ない」と述べたのです。現時点で、連合が具体的に立憲民主党に対する支持を撤回するのかどうかはわかりませんが…。立憲民主党はスキャンダル追及政党なのか衆院の解散・総選挙が近づくにつれ、世の中では選挙を意識した話題が増えてきたように思えます。こうしたなか、最大野党である立憲民主党の小...
連合新会長が立憲民主に「共産と閣外協力あり得ない」 - 新宿会計士の政治経済評論

産経はまた、19日に告示される立憲民主党の代表選で、日本共産党との協力の在り方が焦点となっている点を巡って、芳野氏の発言は「新代表候補にクギを刺した形」だと述べています。

ただ、すでに日本共産党側は全力で立憲民主党に抱きつこうとしているフシもありますし、現在の立憲民主党が、連合にいわれて日本共産党との協力関係を見直せる状況にあるのかは微妙でしょう。

そもそも立憲民主党や日本共産党の支持層は、オールドメディアの影響を最も強く受けていると思われる高齢層が中心であるとされ(『立憲・共産党の年代別支持層は70歳以上が最多=産経』)、オールドメディア信者の減少とともに、票田自体も徐々に干上がっていくと予想できます。

衆院選で「立憲共産党」が敗北したことは、社会のインターネット化とも密接な関係がある、というのが当ウェブサイトの以前からの仮説です。こうした仮説を裏付けるかのように、産経ニュースには昨日、立憲民主党の支持層が高年齢層に偏っているとの調査結果が掲載されていました。新聞、テレビなどのオールドメディアの社会的影響力が衰退するのも時間の問題です。世論調査でも日本維新の会が大躍進!昨日の『政党支持率で立憲民主党と日本維新の会の「逆転」も?』でも取り上げたとおり、当ウェブサイトでは6つの世論調査(読売新聞...
立憲・共産党の年代別支持層は70歳以上が最多=産経 - 新宿会計士の政治経済評論

いずれにせよ、早ければ来年夏の参院選の前にも、連合と立憲民主党の関係が変容するのを見られるかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (21)

  • 大阪11区で落選した平野博文氏は、パナソニック(当時の松下電器産業)の労組出身らしいですが、パナソニックの研究所に居た人の話によると、当時、職場では「あんな無能なやつを国勢に送り出してはいけない」との声が複数あがっていたそうです。
    にも係わらず、物言わぬ組合員が大多数で、送り出してしまったと。
    そのとき以来、電機労連が支持する候補者には疑いを持つようになったそうです。

  • 昔、社会党という政党があり、「社会党から組合取ったら何も残らない」と言われていた。
    立憲民主党は社会党のなれの果てだから連合に捨てられたらどうなるのかね?

  • >あるいは、「なぜ有権者が立憲民主党に票を投じてくれなかったのかを検証する」という意味で仰っているのであれば、旧民主党時代、あるいは旧民進党時代、政権を失って以降の総括をしていない立憲民主党が、いまさらどうやって検証するつもりなのかは疑問です。

    占星術も昔は科学だったでしょうから、その手の疑似科学で検証するんじゃないかと。
    『チェリーピッキング』も活用しそうですね。

  • 多数決で決をとる前の議論は、できるだけ多様な視点から行って政策を磨いて欲しいと思うし、政府提案なら与党は事前に法案の説明を受けてるだろうから、野党が与党より質問時間が多いのは良いことだと、あたしは思うのです♪

    ただ、その質問時間の配分を恣意的に行って国会での議論を妨害するのは論外だし、
    >その質問のレベルのあまりの低さに呆れるばかりです。
    てな姿を晒すのは止めて欲しいと思うのです♪

    モリカケも追及ばかりで制度をどうしようって話はなかったように思うのです♪
    そんなだから、追及して相手を言い負かす格好いい姿をみせたら支持が上がるって勘違いをしてるように思っちゃうのです♪

    ちょっとそれるけど、国会って「質問」ばかりしてる気がするのです♪
    あたしは、言論の場なんだから、賛同を得るために自身がどう考えているのかを述べるのが、議員さんの本来の役割なんじゃないのかな?って思うのです♪
    意見を構築するための土台として、事実関係とか将来の見通しを聞くことはあっても、それだけじゃだめな気がするのです♪
    なのに国会質問って「○○について大臣の所見を伺う」みたいな「質問」ばかりな気がするのです♪
    よくわかんないけど、「質問」って体裁が必要で、「意見表明」は駄目だってルールでもあるのかな?

    • ガソリン高価格問題でも
      自民党の170円以上の場合5円の補助金案に対して
      維新と国民民主はガソリン税の特例法を利用した対案を出しました

      こういうのが野党議員さんの仕事ですよね
      だから 国民民主と維新が上がってきたんだと思います

  • ここで面白い報道がありました。 大変珍しい報道です。
    どこの報道かは忘れましたが、いつもは劇団員を使った町の声を演出するのに対し
    劇団員を使用せず?立憲民主党の代表候補者の写真を見せて、
    誰に代表になって欲しいか聞いたみたいなのですが、「誰も知らない」だけの
    オンパレード、こんなの放送して良いものなのでしょうか?
    マスコミは今迄立憲民主党の宣伝担当をやってきたハズなのに。(無償か有償かは不明)

  • NHKで、立憲代表選挙の立候補者の中継をしてました。
    小川氏は逢坂氏が立候補したから、立候補出来ないというのは「ガセでした)m(__)m
    ちゃんと見てませんが、盛り上がりに欠ける選挙になるでしょう。
    国会を優先しろよ。

  • 立憲民主党がここまで落ちぶれた理由は、やはりオールドメディアによる引き倒しであったと感じます。
    モリカケさくらは、一般国民にはほとんど響かない事件でしたが、異常なまでに騒ぐオールドメディアの情報しかみない立憲民主党は、自分たちの追求が国民大多数の支持を得ていると勘違いしたのでしょう。
    また、ネットでは反対派の声に目も耳も閉ざし、自分たちの支持者の甘い声と五毛族の支援の書き込みしかみずに、自分たちの追求が大成功してると勘違いしたのでしょう。
    隔離された空間の中だけで判断して、世の大勢を見失うことはネット時代以前でもありましたが(連合赤軍なんてその典型ですね)、ネット時代でも形を変えて、そういう「幻の成功体験の罠」があるのだと思い知らされます。
    まあ、中韓の浸透部隊ももはや立憲民主党には見切りをつけてますよ。公明党や自民党ハト派に食い込んだ方がよほど中韓に都合の良い政策を実行させられますから。

    • まあ、朝日新聞だけを読み、サンデーモーニングだけを視聴していたらこうなるのも当然という感じではあります。「ネット上の言論は玉石混交で、しかも大方はクズだ」ということ自体はあながち間違いではないと思いますが、裏返せば、そこから有用な情報を識別する情報リテラシーが低いことを自白しているようなもんです。

      そしてもう一点。立憲民主党の議員諸公は、日常的な政治活動として、自ら街に出て人々の声聞くということをロクにしていないのではないでしょうか。そして聞いていたとしても、政権に対する愚痴を聞いたらそれで満足してしまい、その向こう側を洞察するだけの能力がないのではあるまいかと思います。いわゆる「地道な活動」というやつで、その内容には賛否あるでしょうが、議員にとって一番大切であるはずの「現実把握」の一助にはなるでしょう。どれほど高邁な理想を語ろうとも、現実把握無しに語るのは、単なる妄想でしかありません。

    • そういえば、昔にI川系の団体さんがやっていたほめ殺しと同じ効果がありますよね。
      どんどんやって欲しいなぁ。リ地域さんと同じで世界が離れていきます。
      あっ、リ地域さんは同胞でしたね。お仲間なんだから当然か。

  • 立憲共産党はもはやどうでもいい。
    自民支持の自分はもう既に岸田にガッカリ。
    参院選は負ける。そして岸田退陣が日本の為。
    安倍ー高市ラインで日本再生を。

  • 「貧すれば鈍す」は「賢い人が貧乏のために愚かな人間になってしまう事」です。
    立憲民主党にこれが使われていると、立憲民主党がかつて「賢かった」みたいで、個人的に釈然としません。

      • 猫足らず様 KY様

        少し前に雑談にも関連事項書きましたが、野党であれ議員なんてバリバリのブルジョアです。

        立憲民主党も国民民主党も共産党もれいわも社民も公明もみんなブルジョアです。

        数値に残る実績挙げなくても年俸確定。
        洒落にならない利権と共に子々孫々まで安泰な金持ち集団。

        都議の木下みただけで旨味やめられないのがよく分かる。

        弱者の味方気取れるのは金持ちだけ。

  • 代表選を憂いて仙石由人さんが草葉の影で泣いているかもしれませんね。