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    Categories: 金融

経済安保から見た韓国の尿素不足とそれを助けない日本

経済安全保障とは、経済、産業、金融などの分野で、わが国の存立が危機に陥る事態を避けるための戦略のことです。わが国にとっては外為法改正などによる経済安全保障の確立は急務ですが、それだけではありません。外国の失敗事例などについても研究し、他山の石にしなければなりません。その一方、昨日は韓国メディアで「韓国の尿素水不足問題を日本が助けてくれない」とする記事も出ていました。当たり前でしょう。経済安保は各国が自分で考えるべきものだからであり、日本にとって韓国は「他人」だからです。

経済安全保障

経済安全保障とは国の根幹にかかわる問題

「経済安全保障」ということばに、最近、注目が集まっています。

このコトバ、当ウェブサイトなりにわかりやすく解釈しておくと、「経済・産業・金融などの分野でわが国の存立が危機に陥る事態を避ける」、ということに尽きると思います。すなわち、「国の根幹にかかわる問題」です。

新政権の経済安全保障はJG創設と外為法改正で実現を』などでも触れたとおり、岸田文雄首相は先月の所信表明演説でこの経済安全保障に言及し、財務省出身者でもある46歳の小林鷹之氏を経済安保担当大臣として任命したとしています。

JGは「ジャパングループ」のこと、そして「グループS」の創設をわが国の輸出貿易管理に関しては、個人的にはどうにも物足りなさを多々感じます。具体的には、日本が外国に対して輸出制限をかける手段が非常に限られているのです。こうしたなか、岸田政権の発足に伴い、岸田首相が「経済安全保障」に言及したことを機に、ふと思い出したのが、「ジャパングループ(JG)創設」という論点です。これについては昨年9月以来、続報がありませんが、これからどうなるのでしょうか。そして外為法改正は実現するのでしょうか。貿易管理外...
新政権の経済安全保障はJG創設と外為法改正で実現を - 新宿会計士の政治経済評論

ちなみに、じつは当ウェブサイトの著者自身、「金融評論家」を名乗っていますが、国際金融自体が安全保障と直結しています。よく「安全保障」という言葉を聞くと、それは「軍事だけの話」であり、「一部の軍事専門家の話題」だと思う方もいらっしゃるのですが、これは大きな間違いなのです。

当たり前の話ですが、人間の活動は必ず経済の4要素(ヒト、モノ、カネ、情報)の流れを伴いますし、「ヒト、モノ、カネ、情報」が国境を越える際には、国家はこれに関連する法規制を整えようとします。

日本の場合だと、「ヒト」に関しては出入国管理法などの法制が適用され、「モノ」「カネ」「一部の情報」に関しては外為法などの法制が適用されますが、「情報全般」、とくにスパイ行為の取り締まりに関しては、包括的な法制が存在していないという問題点があります。

じつは日本が「スパイ天国」だと言われているのは、じつに情けない話です。

政府や民間企業が所有している知的財産権の侵害に対して、包括的な処罰法制の一刻も早い制定が望まれます。

また、日本が外国に対して経済制裁を課そうとしたときに、外為法の経済制裁の発動条件が厳格過ぎて、経済制裁を現実に発動することが困難であるという問題もあります。

一部では「財務省の飼い犬」とも揶揄されている岸田文雄政権がいつまで続くのかは存じ上げませんが、財務省の肝いりの「増税政策」を実現する前に、ぜひとも目玉の「経済安全保障」には優先して取り組んでいただき、外為法など必要な法制度の改正を実現してほしいと思う次第です。

経済安保と石油輸送経路

さて、「経済安全保障」を「経済・産業・金融などの分野でわが国の存立が危機に陥る事態を避ける」ことだと定義すれば、次の論点は、「どうやってそんな事態を避けるべきか」、というものでしょう。

先ほどはおもに法制度の話を列挙しましたが、現実には、「戦略物資を特定国、特定企業などに依存し過ぎないこと」、「輸送経路を確保すること」、という、おもにロジスティクス面での戦略も同様に、とても大切です。

たとえば、日本は石油などの化石燃料のかなりの部分を中東に依存しています。

少し古いデータで恐縮ですが、資源エネルギー庁の2017年11月9日付の『日本のエネルギーと中東諸国~安定供給に向けた国際的な取り組み』という記事によれば、2015年時点において日本は石油の85%を中東(サウジ、UAE、カタール、クウェート、イラン、イラクなど)に依存しています。

2011年の東日本大震災以降、稼働する原発が少なくなり、石油などの化石燃料の輸入が増えているため、もしも中東から日本に至るタンカーの輸送経路が止められれば、それだけで日本は経済的に存立危機自体に陥るのではないでしょうか。

そして、輸送経路で眺めてみれば、最も脅威を受けている地点が南シナ海から台湾海峡、東シナ海にかけての海域であり、そうした脅威は中国の無法な海洋活動によってもたらされています。

FOIPは当然の展開

すなわち、中国に「国際法を守れ」と要求するのは、べつに下手な正義感でやっている話ではなく、日本にとってはそれが国益に直結しているからです。

あるいは、『台湾防衛にコミットした日本:日米同盟は経済同盟に!』などでも報告したとおり、菅義偉総理大臣は今年の4月に訪米してジョー・バイデン米大統領に会い、日米共同声明では中国を名指しで牽制したうえ、台湾海峡の防衛の必要性にも言及しました。

日米首脳会談が英米メディアでも大きく取り上げられる時代に日本時間の土曜日早朝に実施された日米首脳会談の最大の成果は、とにかく「中国を名指しした」ことと「台湾海峡」を明示したことでしょう。しかし、それだけではありません。日米同盟はいまや「軍事同盟」であるだけでなく、「経済・産業同盟」に発展しつつあるのです。日米豪印、日米ASEANといった「多国間連携」への道も見えてきました。日米首脳会談概要ホワイトハウストップページに大きく掲載米国時間の4月16日(金)夕方、つまり日本時間の17日(土)早朝に実施...
台湾防衛にコミットした日本:日米同盟は経済同盟に! - 新宿会計士の政治経済評論

ひと昔前の、「『ケンポーキュージョー』『ヘーワ』などと呪文を唱えていれば戦争は起きない」といった前近代的な主張が新聞、テレビなどのオールドメディアで幅を利かせていた時代だと、これは「とんでもない話」だと見られていたことは間違いないでしょう。

そして、『近隣国重視から価値重視へ:菅総理が日本外交を変えた』でも述べたとおり、菅総理は辞任直前に再度訪米し、日米豪印「クアッド」の首脳会談に臨みました。

日本時間の土曜日早朝、菅義偉総理は訪問先の米国で史上初の対面での日米豪印首脳会談に臨みました(厳密には、今年3月のテレビ会議を含めれば、首脳会談としては2回目ですが…)。少しインドのトーンが弱いというのは気になるところではありますが、ただ、今後は「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)が日本外交における基軸となることは間違いありません。まさに菅政権の最後の仕上げ、というわけです。クアッドではなくFOIPが重要先日の『日本外交は「クアッド+台湾」>「中露朝韓」の時代へ』では、「最後の最後まで仕...
近隣国重視から価値重視へ:菅総理が日本外交を変えた - 新宿会計士の政治経済評論

まさに、日本の安倍晋三総理大臣が提唱し、菅総理が具体的な形に落とし込んだ “Free and Open Indo-Pacific” すなわち「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)が実現に向け、さらに大きな一歩を踏み出した瞬間だったといえるでしょう。

個別の産業において、ちゃんと経済安保を意識しているか

ただ、日本にとって必要なのは、「法制度を整えること」、「海域の自由を守ること」だけではありません。

現実に、国内の主要産業各社が、ちゃんと経済安全保障を意識して、企業活動を行うことも必要です。

この期に及んでコスト優位だけの理由で特定国への傾斜を是正しようとしない企業は大問題ですし、また、戦略物資の供給を特定国に依存し過ぎることも、望ましくありません。

もっとも、このあたりも「単に分散すれば良い」という話でもありません。

先ほどは石油の中東依存についての話題を例に出しましたが、「単に分散すれば良い」のであれば、シベリアから間宮海峡、宗谷海峡にまたがるパイプラインを引き、石油や天然ガスをロシアから大量に買えば良い、という話にもつながります。

ここ数年で見ると、わが国の貿易統計上、「石油及び同製品」の輸入額は、少ない年で6兆円前後、多い年には10兆円を超えますが、これらのうちロシアからの購入額は、例年5~7%程度に過ぎません。

このあたり、著者自身の主観で恐縮ですが、やはり日本社会は「サハリン2」などの痛い経験をちゃんと覚えていて、約束を守らない国であるロシアに戦略物資である石油などの輸入を依存し過ぎないようにしているように思えてならないのです。

あるいは、2010年には尖閣諸島沖での中国漁船と日本の海上保安庁巡視船との衝突事件などが発生した際、当時の菅直人政権の対応のまずさから、中国が突如としてレアアースの輸出規制を発動したという「事件」もありました。

その際に日本企業もかなり学んだのでしょうか、ここ数年、貿易統計上の「粗鉱物」の輸入高は、年間1000~2000億円程度ですが、中国からの輸入高はだいたいこの3分の1前後の範囲に収まっています。

「産業上、欠かすことができない物資でありながら、特定国のみからしか買えない」という品目をいかにして減らしていくかについてはわが国にとっても継続的な課題ですが、こうした観点からは、中国が日本にとって警戒すべき国の筆頭格にあることは否定できません。

韓国の尿素水問題

韓国の尿素水不足は韓国産業の構造問題

さて、産業政策上の失敗事例をもうひとつ眺めるならば、日本の隣国・韓国のそれがわかりやすいでしょう。

韓国の輸入品目の3割で特定国への依存度が8割超える』では、韓国メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)に掲載された、こんな記事を取り上げました。

[寄稿]第2の尿素水騒動を防ぐためには

―――2021-11-12 10:26付 ハンギョレ新聞日本語版より

以前から触れているとおり、日本が韓国に対して輸出管理適正化措置に踏み切った際には、韓国は日本に対し、輸出「規制」の撤回をなかば高圧的に要求して来ました。しかし、昨今、韓国国内で尿素水不足が顕在化する局面では、韓国が中国に対し、輸出規制の撤回を「要求」した、という事実がありません。このダブルスタンダード、本当に不思議です。その一方で、韓国メディアによると、韓国で特定国家への依存度が80%以上の品目が全体の3割を超えているのだそうです。日本の輸出「規制」に対する韓国の反応2019年7月、日本政府が韓国...
韓国の輸入品目の3割で特定国への依存度が8割超える - 新宿会計士の政治経済評論

文章を執筆したのは漢陽大学生産工学科の名誉教授の方だそうです。

これは、『韓国で尿素不足が深刻化した理由』などでも触れた、韓国国内における尿素水不足という話題に関連し、現在の韓国国内における尿素水不足問題を巡って、「韓国がサプライチェーン管理の基本原則を無視したものだ」と批判した記事です。

日本の産業も対中依存度の引き下げを!最近、隣国のメディアを眺めていると、よく見かける話題が、「尿素不足」です。韓国メディアの報道によると、日本の場合はそもそもディーゼルエンジンの比率が低く、欧州の場合は尿素水の供給を中国に依存していないのですが、韓国の場合は尿素水を中国に深く依存しているがため、中国の尿素輸出制限の影響を大きく受けてしまったのだとか。しかも、日本に対して「輸出『規制』を解除しろ」と高圧的に要求した韓国が、中国に対しては下手に出ているというのも興味深いところです。尿素はディーゼ...
韓国で尿素不足が深刻化した理由 - 新宿会計士の政治経済評論

このなかで、とくに興味深いのが、次の記述でしょう。

貿易協会によると、韓国内への輸入品1万2586品目のうち、特定国家への依存度が80%以上の品目は3941品目(31.3%)だ。なかでも中国が1850品目と最も多く、その次が米国(503品目)、日本(438品目)、ドイツ(121品目)、イタリア(108品目)の順だ」。

要するに、尿素水不足は「韓国の産業の構造的な問題」だ、ということではないでしょうか。

輸出管理適正化措置後も変わらない貿易構造

韓国は日本以上に経済への貿易依存度が高く、とくに外国から産業上必要となる生産財、中間素材などを購入し、国内で加工して製品化したうえで外国に輸出するというビジネスモデルを採用している国です。

実際、現在問題となっている尿素(あるいは尿素水)についても、対中依存度が97%にも達していて、中国による対韓輸出規制が韓国の産業、経済を直撃した格好です。

あるいは、2019年7月に日本政府が韓国に対する輸出管理を厳格化(ないし適正化)する措置を講じた際に、韓国国内では高純度フッ化水素、フォトレジスト、フッ化ポリイミドなどの対日依存度が非常に高い、とする点が話題となりました。

韓国政府はその後、これらの品目については「国産化が進んだ」などと称しているようですが、現実にはこれらの対日依存度は、輸出管理適正化措置の発動前後で大して変わっていないことが、韓国側の統計で明らかとされています(『韓国「素部装」対日依存は輸出管理強化後も不変だが…』等参照)。

金銭債権差押えは「取り下げたらOK」というものでもない日本政府が今から約2年前に講じた対韓輸出管理適正化措置が経済制裁でも報復でも何でもなかったという証拠が、またひとつ、出てきました。韓国メディアの報道によれば、韓国の半導体やディスプレーの輸出が好調っであることを受け、日本からの「素材、部品、装備」の輸入がかさみ、結果的にこれらの分野における韓国の対日赤字が前年と比べてさらに拡大したのだそうです。日本は輸出依存度が低い国よく「(自称)経済新聞」などを読んでいると、「日本は輸出立国だ」、などと...
韓国「素部装」対日依存は輸出管理強化後も不変だが… - 新宿会計士の政治経済評論

すなわち、韓国のように高度な貿易立国でありながら、核心素材などについては外国に依存しているという国は、まさに経済・産業の安保面においては、日本が反面教師(?)とすべき事例でしょう(いや、「教師」というよりは単に「他山の石」くらいに位置付けるべきかもしれませんが…)。

なぜ日本が韓国の尿素水不足を助けないのか

さて、韓国の尿素水問題が出てきたついでに、もうひとつ、ちょっとした話題を取り上げておきましょう。

当ウェブサイトでは『韓国の尿素水不足問題は日本にとって「完全な他人事」』でも報告したとおり、昨今の韓国の尿素水不足局面においては、「日本から助けてもらおう」という論調が、韓国メディアからはほとんど出て来ないのです。

助けたら助けたで感謝の言葉もなく、「支援が遅かった」と恨み言『韓国で尿素不足が深刻化した理由』や『韓国の「第2の尿素水不足」を日本も他山の石にすべき』などで取り上げた韓国の尿素水不足問題に関し、どうも韓国メディアなどの報道を眺めていると、これまでに出てきていた「日本が韓国の危機を救うべきだ」といった寝言がほとんど見られないのです。2019年7月に日本が発表した対韓輸出管理適正化措置は、韓国の産業上の混乱から日本が距離を置くようになったという効果もあったのかもしれません。韓国の尿素水不足問題韓国の...
韓国の尿素水不足問題は日本にとって「完全な他人事」 - 新宿会計士の政治経済評論

あるいは、日本の側でも「ここで韓国に手を差し出し、それを日韓関係改善のキッカケにすべきだ」とする論調が、メディアなどからあまり出てきているフシはありません。

昨今生じている日韓間の諸懸案の影響があまりにも大きいためでしょうか。

こうしたなか、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に昨日、こんな記事が出ていました。

ベトナム・豪州にまで尿素水を求める韓国政府、日本から輸入できない理由

―――2021.11.13 09:19付 中央日報日本語版より

中央日報は韓国における尿素水不足のおり、消費者レベルでは日本から個別に直接購入している事例が相次いでいるにも関わらず、「政府レベルでは日本産尿素の追加輸入を打診するという話は聞こえない」などとしているのですが、これがなかなか興味深いのです。

(※ちなみに中央日報の記事では、「韓国と日本は産業構造が似ている」などと述べていますが、いかなる統計的事実をもって「日韓は産業構造が似ている」と述べているのかは存じ上げません。記事にさりげなくウソを混ぜ込むのは韓国メディアの常套手段です。)

中央日報によると、「尿素の対中依存度は、韓国では97%に達する一方、日本は30%程度に過ぎず、さらに日本では尿素水の主原料であるアンモニアの80%が自国で生産されている」、「日本国内ではディーゼル車の比率も低く、車両用尿素水の不足が生じる余地も少ない」、などとしています。

日本の政府も産業も韓国に冷たくなった?

このあたりは、すでに当ウェブサイトでも触れた論点と重なっている部分ではありますが、興味深いのはその続きにある、『韓国に輸出できないのか』と題した節です。

韓国政府は在日韓国大使館を中心に日本国内の尿素在庫物量および韓国の追加輸入の可能性を把握し、日本側から尿素を購買する民間企業を支援している。外務省、経済産業省など日本政府レベルでも韓国の尿素水不足事態を認知しているという。しかし日本国内の需給状況もそれほど余裕はないというのが日本政府と民間側の反応という」。

このあたりは、日本国内ではあまり報じられていない点でしょう。

要するに、韓国大使館が動いて尿素水の対韓輸入を増やそうとしたものの、日本は政府、産業界ともに「わが国も韓国に輸出できるほどの余裕はない」という態度を取った、ということです。

ある意味では、当たり前の話でしょう。

中央日報の記事でも触れられているとおり、中国の尿素の輸出規制の影響が、(韓国ほど深刻ではないとはいえ)日本にも生じていること、来年の農作業のために尿素肥料の需要なども高まることが予想されることなどから、外国を助けている余裕などないからです。

もちろん、当ウェブサイトでも以前から報告しているとおり、韓国の個人消費者が電子商取引などを使い、日本の尿素水(AdBlue®など)を購入して航空便で韓国に発送される、といった事例はあるようですが、これについて中央日報は次のように述べます。

現在のところ、日本産尿素の輸入は個人消費者や中小企業が少量を購入するケースがほとんどだ」。

こうした報道が事実ならば、韓国の消費者が航空便などの高いコストを支払ってまで大挙して日本の製品を購入するということは考え辛そうですし、現在のところは韓国からの受注にさほど目くじらを立てる話でもなさそうです(※もっとも、動向については注意が必要かもしれませんが…)。

中国「韓国の自業自得」

いずれにせよ、韓国の尿素水不足は、「産業上の重要な物資を特定国に依存し過ぎたことの具体的な弊害が出た事例」として、日本にとってはありがたく他山の石にさせていただくべき事例であるとともに、この事態を招いたのは中国依存度を強めるという判断をした韓国の産業自身でもあります。

ことに、木曜日に中央日報に掲載された次の記事に、大変に興味深い記述が出て来ます。

中国メディア「韓国の尿素水品薄は自業自得」…日本メディア「半導体輸出規制当時とそっくり」

―――2021.11.11 06:41付 中央日報日本語版より

中央日報によると、韓国の尿素水不足について、中国のとあるメディアが次のように指摘したのだそうです。

国家経済と国民生活に関連した重要な戦略資源を自給自足したり備蓄体制を構築していなかった。韓国が特定分野の危機を迎えるのは自業自得で、中国と何の関係もない」。

このあたり、いかにも中国らしい言い分ですね。

しかも、『なぜか中国に対し輸出規制の撤回を「要求」しない韓国』などでも述べたとおり、なぜか韓国は中国に対しては絶対に輸出規制の「撤回」を「要求」しないのです。

日本には規制撤回を高圧的に「要求」した韓国、中国には「特別に要請」日本が2年前、韓国に対し、輸出管理適正化措置を発動した際、韓国は日本に対し、その措置を「輸出『規制』」だと決めつけたうえで、その措置の撤回を高圧的に「要求」しました。しかし、中国が最近、韓国に対する尿素の輸出規制を発動していることに対しては、韓国は中国に対し、その措置にも関わらず、迅速な輸出を「要請」したそうです。この違い、いったい何なのでしょうか。日本の対韓輸出「規制」数年前、「日本の韓国に対する輸出規制」、という論点があり...
なぜか中国に対し輸出規制の撤回を「要求」しない韓国 - 新宿会計士の政治経済評論

伝統的な中華と属国の典型的な関係性を、現代社会になってこんなにハッキリとした形で確認することができるというのも、大変興味深いところだと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (53)

  • >現在のところは韓国からの受注にさほど目くじらを立てる話でもなさそうです
    在のお仲間が10倍に薄めた、もしくはただの水を同胞に廉価でウリつけ、「車が壊れたニダ!」とかのあらたなイチャモンも要警戒ですね。

    • 匿名様

      廉価では、詐欺が直ぐバレルでしょ? 高値にするか、チョイ高にするのが
      詐欺行為の常套手段です。
      当然中身は色付けした東京水とか大阪水とか。

  • 夏の間、中国は冬の尿素水を蓄えるために働き続けました。一方、韓国はダイナマイトやButterを歌っていました。やがて冬が来て、韓国は尿素水を探すが見つからず、最後に中国に乞い、尿素水を分けてもらおうとするが、中国は「夏には歌っていたんだから、冬には踊ったらどうだい?」と尿素水を分けることを拒否し、韓国は飢え死んでしまいました。チーン。
    中国メディアが言いたかったことはこう言うことだと解釈しました。

  • 尿素の原料はアンモニアと二酸化炭素です。
    アンモニアから作られる物質には、硝酸アンモニウムもあります。
    こんな報道を御記憶でしょうか。
    "レバノン爆発の原因物質、インドの港にも約700トン 韓国から輸入" (AFP BB News 2020年8月8日 10:31)

    2015年に肥料用として韓国が輸出したものです。
    肥料用より爆発物に適した結晶構造だと報じられていた記憶があります。
    当時、韓国がアンモニアを国内生産していたのかどうか情報が得られないのですが、大した利益を得られない「肥料用」硝酸アンモニウムを、韓国が輸出していたことに、改めて疑問を感じました。

    爆発物つながりで、もう一つ。
    兵器としての対人地雷は、生命を奪わず重症を負わせるよう設計されていうそうです。
    それは、生命を奪うより、重症を与えることにより、重症者を搬送・治療する人員を含め、より大きな負担を敵軍に与えるためだと聞きます。

    さて、「フッ化水素が足りない」「ワクチンが足りない」「尿素水が足りない」と頻繁に悲鳴を上げ、国家存亡の危機に陥る韓国は、米中対立・自由主義陣営と共産主義陣営の対立のなかで、何ら活躍できないくせに自ら地雷を踏んで致命傷を負いにゆくかのような行動を繰り返しているように見えます。
    それが意図的なものではないにせよ、韓国なんかを味方陣営に置いておき、友軍として扱うことは、韓国がいないことによるマイナス(が仮にあるとして)よりも、遥かに大きな負担になるお荷物を抱え込むことに他ならないのではないでしょうか。
    さっさとレッドチームに追いやって、あちら側のお荷物になって欲しいと思う次第です。
    レッドチームにさえ入れてもらえなくても、それはそれで、コウモリにふさわしい末路ですし。

    • 経済難民を国境の方角へ向かわせることで近隣国の不安定化弱体化を図る「高等戦術」もあるそうですし(棒)

    • イーシャ様

      南国は既に赤軍に入っておりますが、未だ入隊していないと
      思っているようです。
      しかし、戦場で南国が自由陣営側に入った場合、もしそこに自衛隊がいると
      敵軍に自衛隊の居る位置を教えたり、攻撃する可能性が100%なんですよね。
      でも南国は敵軍に自衛隊の位置を教えるのと、自分で攻撃するのと
      どちらを選ぶのでしょうか? どっちも?

      • 皆さま

        COP26で文大統領は脱炭素カーボンニュートラル脱原発の離れ業をするって言っちゃったんだから、任期中の年内に自動車から化石燃料禁止に前倒しすればいいだけですよね。

        他の人の治世にあとは任せるって空手形だけきり続けて…無責任な奴。

    • イーシャさま
      >当時、韓国がアンモニアを国内生産していたのかどうか情報が得られないのですが、大した利益を得られない「肥料用」硝酸アンモニウムを、韓国が輸出していたことに、改めて疑問を感じました。

      尿素のはなしですが、10年前に生産を止めたようです。
      韓国、尿素水不足騒動…あの工場はどうなったの?
      https://news.yahoo.co.jp/articles/de3595d297cc350b9f46986d0c6eee2d42d7bb33

      • >尿素のはなしですが、10年前に生産を止めたようです。
         と
         いうことは大韓民国はディーゼル車用の高純度尿素を製造したことがない!
         大韓民国がディーゼル車に尿素水を使う装置を使わざろうえなくなった法律施行は、2018年とか2019年だから、2011年に尿素製造やめた大韓民国は高純度尿素を作ったことはない。
         これからも作れない、ケンチェナヨ人種には難し過ぎるだけでなく無法地帯のChinaじゃないのだから大韓民国で製造するとなるとアドブルー(日産ディーゼル工業が発明!)の特許に大金を払わねばならずパクリもんのChinese尿素水には価格でかなわない!

  • そもそも韓国を積極的に助けたいと考える国は 無いと思います。
    「恩着せがましい」「一番最後だった」
    「〇〇だから感謝の必要がない」
    こんな事を政府レベルの人材が言うような国です

  • 日台間では色々な支援物資が届くのに対し、日韓間では尿素水が支援物資として送られてこないところ、助けて貰っても感謝しない者はやがて見捨てられ自滅するのだなぁと思います。

    たしかそんな寓話がありましたけど、何だったかなぁ。。。

  • 韓国は、アンモニアの自国生産を中止していたが、また立ち上げるという奇妙なことをやるようです。

    https://news.yahoo.co.jp/articles/28c73137651d1b137e674549e871500501f0b12f
    hhttps://www.kedglobal.com/newsView/ked202107160003?lang=jp

    ロッテの重光会長の人脈で、三井化学から1000トンの高純度尿素を確保できたそうです。
    https://news.yahoo.co.jp/articles/2554ce331c36ac0b80095a46fb8d0971abbf3d20

    >高純度の日本の尿素を産業用尿素に混ぜれば、車両用尿素水を作ることができる。

    いやいや、混ぜるなよ。

  • >なぜ日本が韓国の尿素水不足を助けないのか
    何故助けないとならないのか?だと思います。
    韓国は、リスクを無視してその場の利益を追求しますので、リスクが顕在化したときにこうなるのは、当たり前。
    コロナワクチンでもそうですが、他の国に依存して問題を解決しようとして迷惑をかけます。

    経済安保の観点からは、中国との輸出入は、中国政府の都合で何時止まってもおかしくないという事で、想定されるリスクだという事です。

  • >現実に、国内の主要産業各社が、ちゃんと経済安全保障を意識して、企業活動を行うことも必要です。

    ここのとこだけど、企業としてはコストを考えざるを得ないとこもあるので、企業だけに任せておく訳にもいかない気がするのです♪

    国が、経済安全保障を考えた行動をする企業に対して、何らかのメリットを与えて、経済安全保障に資する行動を取るように誘導するってことも必要なのかな?って思うのです♪

    朝日の社説だけど、

    >しかし半導体の安定的な確保は本来、電機や自動車といったユーザー企業が自助努力で行うべきことだ。
    (社説)半導体補助金 最善の選択か再考を
    https://www.asahi.com/sp/articles/DA3S15108971.html?iref=sp_rensai_long_16_article

    というとこは、一理あるかと思う反面、一企業だけで安定的な確保って難しいだろうから、そこに投資する企業が、市場での競争で不利益を被らないようにすることも大切だと思うのです♪

  • デイリーNKですが、と前置きして。
    中国のアンモニア、尿素の輸出規制で、北朝鮮の肥料生産も雲行きが怪しいようです。

    中国の輸出規制で北朝鮮の肥料工場が稼働ストップ寸前
    https://news.goo.ne.jp/article/dailynk/world/dailynk-144121.html
    北朝鮮の肥料生産も原料をほぼ中国に頼っていたようです。

    もう一つ。
    韓国のアンモニアや尿素の生産が無くなってしまった経緯などについて、肥料の面から触れたレポートがありましたのでご紹介します。韓国では肥料の統計に工業用の尿素・アンモニアも現れるそうです。
    (別のことを調べようとしてたまたま見つけたので)

    <業界レポート>韓国の肥料産業 BSI生物化学研究所
    http://bsikagaku.jp/f-materials/Korea%20fertilizer.pdf

    韓国では朝鮮戦争後、政策的な肥料増産で肥料輸出国にまで成長したそうです。大きくは、1995のWTO加盟による農産物の自由化で転機が訪れ、時とともに品目での選択と集中が行われたようです。
    硫安と化成肥料は現在でも生き残り輸出を続けているそうです。近年は中国に押されているようです。
    尿素、アンモニアは天然ガス価格の高騰などのきっかけで2012年に三星精密化学が国内生産を中止して全量輸入となったようです。

    韓国も建国当初は肥料自給のために肥料産業を立ち上げたものの、ある時から愚直な自由化政策で国内の生産基盤を放棄してしまったということのようです。
    ちょっと気の毒な面はありますが、結果から見れば、国内企業の競争力を踏まえた身の丈に合った政策が必要だったのでしょうかね。

    • 韓国も建国当初は肥料自給のために肥料産業を立ち上げたものの、ある時から愚直な自由化政策で国内の生産基盤を放棄してしまったということのようです。
      ちょっと気の毒な面はありますが、結果から見れば、国内企業の競争力を踏まえた身の丈に合った政策が必要だったのでしょうかね。

      世界各国とFTAを締結して、「韓国の経済領土が増えたニダ」とホルホルしていたのは好いが、そのFTAの影響で産業安保の基盤がボロボロになっていたのはご愁傷様です。

    • ちなみに、かの有名な水俣病は窒素工場が原因であることを意外と知らない人もいる。

      • メチル水銀が原因、というのは私が小学生のころの社会の教科書に書いてましたね。
        日本窒素肥料(チッソ)の水俣工場とは書いてなかったっけ?
        アセトアルデヒドを作るときの廃液らしいですね。
        詳しい工程はわかりませんが。

        • ちゃんと教科書に書いてあるけど
          水銀の方はほぼ全員が覚えているけど、アンモニア製造工場の方はきれいさっぱり忘れている人が少なくない

  • 尿素水に限らず、中国の石炭不足は電力不足を起こし、当面の代替燃料である天然ガスの中国による大量買いにより日本が発電用に使う天然ガスの高騰を招いています。とにかく中国という国は極端に振れる国であり、また人口が多い分経済的な影響大に加えて政治リスクが大きいため、企業の中国進出などはもっての外、輸入量にも要注意の昨今です。

    30年前はグローバル化のバスに乗り遅れるなとばかり政府の旗振りの元、企業は海外展開を推し進めた結果が今日の姿と言っても、あながち間違いではないと思います。韓国ばかりを笑ってはおられず、今からの10年は過去のグローバル化の逆の巻き戻しが強まり、アメリカ始め各国は技術・産業の囲い込みと生産の国内回帰を強めてゆくことが明らかです。西暦2030年の世界は確実に現在とは違う政治・経済の地図となっていると考えられます。もっとも2030年まで平和が続くかは少し悲観的で、大規模な多国間紛争が発生しなければの話ですが。

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