日本列島一周の中露艦艇10隻、まるで「自民応援団」
今回の総選挙では、自民党が多少議席を減らすとの報道も見られますが、その一方で、日本にとっての「仮想敵国」の行動が興味深いです。北朝鮮のミサイル発射、中露両国の艦艇の日本列島周回など、むしろ日本国民に対して「近隣の危険な国々の軍事行動」を強く意識付け、結果的に自民党には追い風となるように思えてならないからです。
自民党は多少議席を減らすかもしれないが…
わが国は現在、選挙戦の真っただ中にあります。
与党である自民党にとっては、前回、安倍晋三総理大臣の下で実施された選挙戦で大勝し過ぎたためでしょうか、はたまた野党側が小選挙区における候補の調整に成功したためでしょうか、個人的には、自民党が現有勢力を減らすことは間違いないとは考えています。
これに加え、「武漢肺炎禍」、「コロナ禍」という流行病の蔓延もありました。
これについて、当ウェブサイトにおいては常々強調しているとおり、日本政府がコロナのハンドリングを誤ったとは思っていません(とくにワクチン接種が菅義偉総理大臣のイニシアティブで強力に進められたことは高く評価するに値すると思っています)。
しかし、コロナ禍は経済禍でもあり、飲食業を中心に、少なからぬ中小事業者が甚大な打撃を受けたことは事実でしょうから、こうした不満票の受け皿として、日本共産党、立憲民主党などの野党が少なからず躍進する可能性も否定できません。
個人的には小泉進次郎・前環境相が推進したレジ袋有料化などの愚策もあったので、自民党政権を100%評価するつもりもありませんが、それと同時に、少なくとも現段階で自民党政権が倒れ、立憲民主党政権が発足することが日本にとって望ましいとは思えません。
なぜなら、立憲民主党には政権担当能力がないからです(著者私見)。
ことに、日本共産党との「閣外協力」のうえで立憲民主党が政権を握るということでもあれば、それはなかば「共産主義政権」のようなものとなりかねず、当然、国民生活も経済も産業も、そして外交、安全保障などにも甚大な影響が生じることは間違いないでしょう。
仮想敵国の不思議な行動
ただ、日本国内がこうした衆院選の期間中であるならば、日本の「仮想敵国」からすれば、自民党政権よりも立憲民主党政権の方が望ましいのではないか、という気がしてなりません。
ところが、日本の近隣にある「仮想敵国」の行動は、どうも理解に苦しむものばかりです。
たとえば、先日『北ミサイル発射で露呈?日韓連携の「実質的機能不全」』でも紹介しましたが、日本政府の発表に基づけば、北朝鮮は19日、潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)と疑われる2発の弾道ミサイルを日本海に向けて発射しました。
また、その前日の18日には、中露両国の艦艇計10隻が津軽海峡を日本海から太平洋に抜けていく、という事案が発生しています。
中国・ロシア艦艇が18日に津軽海峡を初めて同時通過=防衛省
―――2021年10月19日9:04付 ロイターより
中露朝各国は、いったい、どういう意図があって、こんな行動をとったのでしょうか。
北朝鮮については日米韓3ヵ国安全保障対話などとの関係もあるのかもしれませんが、中露両国については本当に行動が謎です。
もちろん、津軽海峡自体は『特定海域』として、わが国の領海ではないとされており、外国の軍艦などの通行自体が領海侵犯にあたるということはありませんが、ただ、近隣国からこうした挑発がなされているという事実は、日本国民にとって安全保障上の危機意識を喚起するものでもあります。
言い換えれば、中露両国が日本をこうやって挑発する行動に出ること自体、裏返していえば、日本国民に対し「自民党政権じゃないとダメだ」、というメッセージを間接的に与えているようなものではないか、という気がしてなりません。
パシャパシャと写真を撮りまくった防衛省
こうしたなか、産経ニュースには昨日、こんな記事も出ていました。
日本列島をほぼ一周した中露艦艇10隻の一覧
―――2021/10/23 22:35付 産経ニュースより
あまり不謹慎なことを言うべきではないのかもしれませんが、記事を読んで、思わず笑ってしまいました。防衛省が提供した中露両国の艦艇10隻について、写真入りでひとつずつ紹介されているからです。
艦艇の姿をさらしまくって、いったい何がやりたかったのか。
もちろん、今回の中露両国の演習には、両国が合同訓練をするほど仲が良いということを世界に見せつけるという意味もあったのかもしれませんが、それ以上に、日米両国の防衛当局に対しては、この手の挑発により危機意識を強めさせるという効果があったのではないでしょうか。
とにかくパシャパシャと写真を撮りまくった防衛省は、内心ほくそえんでいるのかもしれません。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
なお、中国の軍拡に関連し、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に昨日掲載された、こんな記事についても目につきました。
「米国は包容性高め、中国は攻勢やめるべき」…東アジア賢人円卓会議
―――2021.10.23 12:13付 中央日報日本語版より
端的にいえば、「クアッド」や「AUKUS」など、米国による対中牽制の枠組みこそ、中国が敏感に反応して攻勢的な立場を見せる原因であり、米国は中国を刺激することを自制し、「より包容的な側面から中国との関係に接近する必要がある」、などとする主張です。
原因と結果が見事に逆転していて、これはこれで逆の意味で興味深いと思う次第ですが、これについては機会があれば、一両日中にでも、改めて別稿にて詳しく議論したいと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。
ツイート @新宿会計士をフォロー
読者コメント一覧
※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。
やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。
※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。
※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。
当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。
コメントを残す
【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
中国の軍事力が実質的に脅威でなかった時代なら、選挙中の軍事的挑発は自民党に不利だったかもしれません。今は(以下略)
世論は中国の動きを、国の危機と認識していると思います。
私の知る範囲では、中露の艦隊が津軽海峡を通過して、18日ころにはツイッターでは多少賑わっていましたね。
https://twitter.com/ddk121_ygm/status/1451032455847157761?s=20
大隅海峡を通過して産経が報道して、NHKもアリバイ的に触れてたようです。
日本のメディアの反応は鈍いですね。
司馬遼太郎氏の「坂の上の雲」の中に出てきたはなしだったと思いますが、バルチック艦隊の隊列を最初に目撃した偵察艦の乗員が、「ロシアの艦隊は変な隊列を組んでやってきた」と、当時の目撃談を書き残しているというのを記憶しています。事前に戦闘隊形を組む演習をやったあと、練度の不足から、通常の隊列に戻せないまま、日本海に近づいてしまったということだったようですが、果たして今回の中露混成艦隊は、海軍のプロの目で見たとき、よく統制が取れた行動と判断される類いのものだったのでしょうか?
前に中国空母の艦載機離発着訓練の様子を、偵察に当たる米軍艦の甲板上で、兵士がデッキチェアに寝そべり足を投げ出した格好で、馬鹿にしたように眺めている写真が、ネットに公開されていましたが、示威行動のつもりが、逆に敵に安心感を与える笑い話にもなりうるということは、老婆心ながら、ご忠告申し上げたいですね。
見えている洋上や上空から監視している姿よりも、水面下で各国の潜水艦はどうしているのかの方が興味深いです。今回のようなミエミエの航海の場合は潜水艦は来てないのでしょうか?
音源を取っているんじゃないですか? 日本近海では、まぁ潜水艦でなくても取れるでしょうけど。あちらさんも日本が仮想敵国のままでないと困るだろうから、助けてくれているのかもしれませんね。
こんにちは。
素人の邪推です。
防衛省のサイトに全艦の写真が出ているくらいなら、相当に詳細な分析もできているはずで、それをされてまで姿を晒すデメリットを上回るメリットってなんなんでしょうねぇ?
一部の方が「アベと中露間で密約ができていて自民党を勝たせるためにやったのだ(怒)」なんてこと言い出すのかな。北朝鮮のミサイルの時もそういう話がありましたね。
それでも立憲共産党は、話し合えだとか、関係が悪いのは自民党政権の責任だとか言うんでしょう。
R4は、今でも一発だけなら誤射かも知れないと言うのだろうか?
>今でも一発だけなら誤射かも知れないと言うのだろうか?
私の記憶が正しければ、これは朝日新聞の論説記事だったはず。でも、他国にミサイルを飛ばすなんてイベントが、最高指揮官の命令無くして行われることは、絶対にあり得ない。
今回津軽海峡並びに大隅海峡をも通過した10隻の中ロ合同艦隊(?)それぞれの音紋情報は、防衛省と自衛隊が美味しく頂き、米国海軍もその後ご相伴にあずかれることとなるでしょう。
但し、韓国がおあまりを食べられるかどうかは、現在の状況下では微妙なところでしょうね。
だって、半島を除くどこの国だってえだのんとかと話たくないでしょ?
時系列も論理的展開も理解出来ない党とは。
法律さえ蓮法という人間には理解しがたい独自のへりくつを使ってるし。
素朴な疑問ですけど、オールドメディアしか見ていない高齢者は、中ロ艦艇10隻が日本を一周したことを、知っているのでしょうか。(さすがに、北朝鮮がSLBM発射をしたことは、知っているかもしれませんが)
蛇足ですが、「選挙結果に影響を及ぼすことは、(実際には、自民党に有利に働くようなことは) 総裁選の報道をしすぎたことの埋め合わせもあって、報道しない」とリベラル系オールドメディアは、考えているのかもしれません。
駄文にて失礼しました。
中露艦隊は自民応援と日本の改憲論争に火をつけるために、わざわざ出張ってきて日本を一周してくれたんですかねー。ついでに中露空母も来てくれると嬉しかったんだけど。
しかし、このところ東アジアにはアメリカの他にイギリスの空母やら、ドイツのフリゲート艦、インド、オーストラリア、フランス艦などなどが姿を見せて軍艦の見本市のようです。
共産党の安全保障の公約です。
https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/10/2021s-bunya-073.html
>日米安保条約を廃棄し、対等・平等・友好の日米関係を築く
自衛隊と憲法の矛盾解決は国民合意で段階的にすすめる
など、そのまま中国に乗っ取られるように仕向ける公約です。
立憲共産党(変換しないで出るようになったな)が、政権を取ると影響を受ける事になるでしょう。
ピースボートかな
中国、ロシアは日本を見てないのでは。
連中は、自国民に向けて日本を威圧してるとアピールしてるだけで、実際に日本を殴る気はないのでしょう(今回は)。
自国の都合で他国を振り回すのは朝鮮半島の国と似てますね。
本気で攻め込むなら、こっそり背後から殴りかかります。
自民党応援団とかそんな事は関係なくなってきたのでは無いでしょうか。以下3点
1,軍事力では圧倒的に強くなった。
空母、ミサイル等に顕著。日本は防ぐだけで攻撃できない
2,日本侵食が順調に進み内部から崩壊する手はずが整いつつ有る。
今回の選挙で明確に防衛力強化に反対する政党・メデアが現れた。新聞TVは眉中眉韓が日常だ
3,アメリカの分断が進みつつ有る。
自国への攻撃を許して迄日本を本当に守るのか?
※自分の国は自分で守るのが基本ですね
また哨戒機が500mの距離でブンブン飛び回ったんでしょうか?
確かに、海外での活動が苦手な自衛隊にとって、
格好の情報収集の機会だったとは思いますね。
潜水艦の随伴って、あったのかねぇ。
この手の挑発は(高市さんが頑張っている)政党にプラスになったと思います。そして、時代錯誤で反省を知らないマスゴミの「お隣の国々には文句を言わず、身を守る寸鉄も帯びず、ひたすら話し合いで世界平和を」というタワゴトも、(高市さんが頑張っている)政党にプラスになっているのだと思いたい今日この頃です。
ロシアは相手が強固派の方が、むしろやりやすいと思っているかもしれないが
中国は圧力をかけたら相手が折れるものと信じて疑ってない
中露の示威(志位)活動の意味は、日本に見せつける事ではありません。
中・露の関係が親密である事を日本近海で合同訓練をする事で、世界に見せ
つける事ができましたし、米国を中心に行っている「自由の航行運動」を
国際海峡である事を知らない、又は知らないフリをして航行する事に意味が
あるのです。
軍事的問題は、中共が台湾・南西諸島・沖縄で無謀な行為を実行している時を
図って、露が何かしでかす可能性が高くなった事です。
最もこれは露の習性と決まっている事であり、弱みをみせなければ、問題無いのですがね。
例:北海道侵攻-道内にするのか、礼文・利尻にするかの問題です。
又、太平洋側からの攻撃も可能ですね。 その為、伊豆諸島近辺で演習したそうですから。
米国でさえ何とか半島と台湾周辺・北海道・太平洋側と4か所を同時に防御する事は
できません。 半島は中共が台湾にチョッカイ出す時、北国が行動を起こす事です。
日本? 最初からそんな能力はありゃしません。最初に無くなるのは弾薬、それから
何かな~。 不足している物が多すぎて、数え上げられません。 日本の内部で立憲
共産党が日本は降伏しろってデモするだろうし、立憲党等のお仲間もテロ活動し始めるし、
日本も大変だ~。
江戸時代の「海防論」から、状況はちっとも変っておりません。
聞きたいけど
民間船は自由に航行できるが
軍艦は事前許可が必要な国際海峡というのはあるの?
https://grandfleet.info/japan-related/intention-of-china-and-russia-tour-around-japan-reminiscence-of-the-united-states-arrival-in-the-south-china-sea-and-the-black-sea/
あまり「日本」には意味がないという見解。
ただ近所だったとばっちりですね。