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ウェブ評論「11年」の御礼と「違法行為という逆風」

ウェブ言論空間だからこそ、法令順守には厳しくあるべき

おかげさまを持ちまして、2010年7月22日に「新宿会計士」名義でブログを開設して以来、ウェブ評論活動も、本日で11年が経過しました。また、当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』は昨日で5年が経過しました。本当に早いものです。ただ、ウェブ評論を続けるなかで、いくつかの「トラブル」に直面したこともまた事実です。

早いもので11年目に!

ウェブ評論11年、当ウェブサイトは5年

早いもので、ウェブ主「新宿会計士」自身がウェブ評論を開始して、本日で11年が経過しました。

なぜ当ウェブサイトを開設したのかについては、ウェブ評論を開始して10年目の節目である昨年、『早いもので、ウェブ評論を始めて10年が経過しました』で詳細に述べたとおりですが、簡単に繰り返しておくと、次のとおりです。

  • 私たち日本人は現在、民主主義社会に暮らしているが、民主主義を健全に機能させるためには、自由で闊達な言論が必要である
  • ところが、日本では新聞、テレビを中心とする少数のマスメディア(あるいは「オールドメディア」)が情報を握ってしまっており、しばしば、そのオールドメディア自身が恣意的な報道を通じ、私たち国民の判断を歪めて来た。それが最も悪い形で出て来たのが、2009年8月の衆議院議員総選挙だった
  • こうした悲劇を繰り返さないためにも、オールドメディアとは独立した立場から、健全な言論の場が必要だ。幸いにも、現在、インターネット環境が急速に発達しており、ウェブ空間こそそうした言論の場として相応しい

…。

自分で言うのも変ですが、なかなか崇高な(?)理念です。

当ウェブサイトは、あくまでも既存のマスメディアとは一線を画し、資本的にもまったく独立した立場から、自由闊達な言論空間を作り上げようという試み、というわけです(それがうまくいっているかどうかは別として)。

当ウェブサイトの由来について

さて、これについて述べる前に、当ウェブサイトの在り方の由来についてもお話しておこうと思います。

「新宿会計士」自身は当初、大手ブログサイトの一角を借り、「ブログ」という形でウェブ評論をしていました。しかし、やはりこの形態だと、自分自身でウェブサイトを好きに構築することもできませんし、どうしてもウェブ評論活動を営むうえでは限界が生じます。

そこで、それまで大手ブログサイトの一角で営んでいたブログを休止し、当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』を立ち上げたのが、ちょうど5年前、すなわち2016年7月21日のことです。

ちなみに、当初は「会員制有料サイト」にして、読者コメントも登録した人限定にする、といった構想も考えたのですが、その構想については早々に断念しました。無名で怪しいハンドルネームの人間が有料サイトを開設して、人々に読んでもらえるはずなどありませんし、課金のノウハウもなかったからです。

また、「ウェブ空間に文章を晒すと、それについては自由にコピーされてしまい、好き勝手流用されてしまうのではないか」、「誰でもコメントが入力可能という状態にすると、荒らしコメントであふれ返ってしまうのではないか」、といった点も懸念したのですが、これらに関しても、対策を立てることもしませんでした。

代わりに採用したのは、最初から登録、課金、読者コメント等のハードルを一切設けず、守っていただくべき最低限の基準だけ設け、「もう誰でも自由に読んで下さい」、「コメントも勝手に打ち込んで下さい」、「引用も転載も自由にしてください」、というスタンスです。

結果的には「全部自由!」でOK

結果的には、これはこれで良かったのだと思います。

面白いもので、ほとんど規制していないにも関わらず、低レベルの煽りコメント、民族差別的なコメント、犯罪予告まがいのコメントなどはほとんど発生しておらず、正直、類似サイトと比べて当ウェブサイトの読者コメント欄のコメントレベルは非常に高いと思います。

もちろん、そのようなコメントが皆無とは言いません。やはり5年も続けていれば、何度注意喚起しても下品なコメントをやめない者も出現しますし、犯罪予告まがいのことをする者も出現します。

このようなケースだと、残念ながら程度に応じてアクセス禁止処理をせざるを得ませんが、そのような事例は、今のところは数えるほどです。

それどころか、大多数の読者コメントは客観的に見て非常にレベルが高く、下手をすると、新聞なんかを読んでいるよりも、当ウェブサイトの読者コメントを拝読している方が、はるかに有用だったりします。

一方、当初(少しだけ)おそれた、「勝手にどんどんと無断転載され、著者自身の意図と異なった形で情報だけが流通する」という事態も、今のところは発生していません。

というよりも、最初から「出所さえ示していただけるなら、当ウェブサイトの事前承諾を得ることなく、内容を丸ごと転載しても良い」というスタンスを取っているため、これを守っていただく限りは、そもそも「無断転載」という考え方が成立しません。

実際、某大手ウェブ評論サイトは、当ウェブサイトに掲載する記事を、当ウェブサイトの個別許可を得ることなく転載しているようですが、これについては当該ウェブサイトから過去に「転載したい」という申し出があり、「当ウェブサイトのポリシーに反しない限りは自由にしてよい」と回答したことによるものと思われます。

実際、そのサイトでは、当ウェブサイトの論考が(ときどき誤植もありますが)基本的にはそのまま転載されているようであり、かつ、記事末尾にも転載元URLが明記されているようです。いずれにせよ、転載方式自体が当ウェブサイトのルールに抵触していない以上、当ウェブサイトとしては「どうぞご自由に」、というスタンスです。

(※ちなみにそのウェブサイトから当ウェブサイトに原稿料や転載料が支払われたことはありませんので、念のために申し添えます。)

いずれにせよ、というウェブサイトでは「最低限のルール」を設け、それを守って下さるかぎりであれば、読者コメントについても自由、引用・転載についても自由、そのほか何をやっていただいても良いという方式で運営してきました。

(※なお、最近だと、「チップ」、つまり「おもろい」と思っていただいた際の「投げ銭」のようなシステムを実装してみても良いかとは思っていますが、これについてはなかなか実装には至っていません。)

YouTuber無断剽窃事件

ただ、やはりウェブ評論活動を長く続けていれば、それなりにトラブルに巻き込まれることもあります。

当ウェブサイトでは引用・転載に関しては「出所さえ示していただければ、商業出版でない限りは自由」というスタンスを取っており、この独自ルールは通常の著作権法の規定よりもかなり緩く設定しているのではないかと思いますが、世の中は広いもので、こうした最低限のルールすら無視する輩もいます。

「当ウェブサイトのルールを無視して無断転載・流用される」、というケースの典型例が、『ルール違反転載騒動の顛末とネット時代の議論のスキル』などでも紹介した、某YouTuberによる「ガイドラインに違反した当ウェブサイトのコンテンツ剽窃事件」です(図表)。

図表 当ウェブサイトのコンテンツを剽窃した証拠の画面のひとつ(クリックで拡大)

(【出所】YouTubeキャプチャ画面。なお、該当する動画はすでに削除済み)

このケースでは、当該YouTuber(というよりも気持ちの悪い女性キャラ)が当ウェブサイトの今年1月24日付の『帰国済み南官杓氏を日本政府がいまだ大使扱い、なぜ?』という記事を、あたかも自分の言葉であるかのごとく読み上げる、というものです(個人的にはこの手のキャラクターは大嫌いです)。

しかし、肝心の当ウェブサイトのコンテンツを読み上げているシーンでは、出所がたんに「日本のメディア」としか記載されておらず、当ウェブサイトの名称、記事の名称、URL、記事日付など、情報源を特定するに足る情報が何ひとつとして明記されていないのです。

さらに、YouTubeの文字起こし機能などを使いつつ、当該動画について確認してみたところ、記事に出て来る当ウェブサイト内の過去記事のリンクなど、当ウェブサイトが出所であるとわかるような情報については、ご丁寧なことにすべて削除され、出所が分からなくなってしまっているというものです。

動画の概要欄をいくら見ても、当ウェブサイトの記事のURLはおろか、『新宿会計士の政治経済評論』の「新」の字も出てきません。

本当に「出るところ」に出れば一発でアウト、です。

アップロード者からの意味不明な謝罪

これに対し、動画のコメント欄に著作権侵害である旨を指摘したところ、動画のアップロード者からは反省文が当ウェブサイトに書きこまれました。ちょっと長いのですが、チャンネル名称などを伏せたうえで、その他の部分についてはパートに分けながら、そのまま紹介しましょう。

サイト主様、初めまして。当記事を元に下記動画を作成しました、チャンネル運営主のXXXX子と申します。(※記事リンク)コメントにて、引用元を記載してほしいと、ブログ主さんからご意見頂いた事を知りまして、取り急ぎコメントに固定で引用元を記載致しました。この度はサイト主様の御気分を害してしまい、誠に申し訳ございませんでした」。

この者、この段階でかなりぶっ飛んでいます。

この者に対しては、べつに「サイト主の気分を害したから問題視している」からではなく、単純に著作権侵害だから権利者として、「当ウェブサイトのコンテンツを使用する以上は、ちゃんとルールに従え」と警告した、というだけの話です。

続きを読みましょう。

元々、紹介したい記事やコラムを引用して、考えや感想等を述べるスタイルで動画を提供しておりまして、『〇〇メディアより』という記載で引用である事を明記していたつもりではございますが、別の運営スタッフに任せていたということもありまして、(※改行)失礼ながら引用元の当記事の存在の把握や配慮ができておりませんでした。心よりお詫び申し上げます。大変失礼致しました」。

日本語としてもいろいろおかしい部分もありますが、ツッコミどころはほかにもいくつもあります。

「〇〇メディアより」という記載で「引用であることを明記した」つもりになっているというのも噴飯物ですが、まことに失礼ながら、あの程度のチャンネル登録者数で「別の運営スタッフ」とやらを雇えるものなのでしょうか。

また、引用(紹介)は困る、という事でしたら、削除等、迅速に対応致しますので、ご連絡いただけましたら幸いです。この度は監督不行き届きでご迷惑をお掛け致しまして、誠に申し訳ございませんでした」。

くどいようですが、「困る」、「困らない」という話ではありません。「ルールに従え」、という話です。

結局、この「事件」は、当該YouTuberが当ウェブサイトの記事を露骨に剽窃して作成した動画を削除したほか、当ウェブサイトの図表を無断転載していた動画についても出所を明示したのを確認したため、とりあえずは刑事、民事等の責任を追及するのをやめました(ちなみに時効の範囲内ならいつでも再開可能です)。

ただ、この者が当ウェブサイトの著作権を侵害したという事実は消えませんので、当ウェブサイトでも著作権侵害がなされたという事実を報告した記事については基本的に削除することはしません(本稿で名前を伏せてやっているのは「武士の情け」のようなものです)。

ただ、この者の著作権侵害の実態を調べるために、動画のいくつかを視聴したところ、当ウェブサイト以外の他サイトのコンテンツに関しても無断で使用しているような形跡が複数発見されました。

これについてはその権利者が申し立てない限り、使用を差し止めさせることはできませんし、当ウェブサイト側にこれらの違法アップロード動画の削除まで要求する義務はありませんので、当該ブロガー本人には「削除した方が良いですよ」などと親切に伝えてやる、ということはしていません。

(※ちなみにこの者は相変わらず下品な動画を多数アップロードしているようです。)

読者投稿について

読者投稿というシステムの長所と限界

さて、こうしたなかで是非ともお伝えしておきたい論点が、ほかにふたつあります。

ひとつ目は、「読者投稿」、もうひとつは「ブログ宣伝」です。

ただし、長くなるのは「読者投稿」の方ですので、先にこちらから説明しましょう。

当ウェブサイトでは「さまざまな立場の方々が自由闊達な議論を交わす」ということを重視しているのですが、なかには読者コメントだけでなく、自身の体験、自身で調査した内容、自身が考察した結果などを、まとまった論考にして発表する機会が欲しい、というご要望を頂くこともあります。

これも、当たり前の話です。人間、誰だって自分自身の考え方をまとめていけば、それを他人に伝えてみたいと思うものだからです。

また、そのような試み自体、大変に有意義です。自分の中で漠然と思っていることがあったとしても、それを他人に伝えるために言語化してみると、意外と難しく、それ自体がひとつの知的格闘となり得るからです。

こうしたご要望にお応えするために、当ウェブサイトでは2年ほど前から、「読者投稿」の窓口を常設化しています。

といっても、読者の方々が直接、当ウェブサイトにログインし、自由に記事を投稿していただく、という仕組みについては、採用していません。

基本的には、ご執筆いただいた原稿を「読者投稿専用アドレス」(info@shinjukuacc.com)宛にご送付いただき、それを当ウェブサイト側にて掲載するかどうかの可否を判断したうえで、手作業で当ウェブサイトに掲載可能なフォーマットに修正する、という流れです。

少々面倒なのですが、やはり、どうしてもウェブ評論サイトとしての外観的な統一性を確保するという観点からは、このような手続にせざるを得ません。このあたりの面倒くささが、読者コメント欄との大きな違いです。

ただ、投稿する読者の方にとっても、コメント欄ではなく、「ウェブサイト本文に」自分自身の文章を掲載していただくことができるというのは、それなりに新鮮な体験ではないかと思う次第です。

なお、このような形式ではなく、「ご自身のブログやSNSなどをお持ちの場合、そのブログやSNSに記事を投稿していただき、その記事を当ウェブサイトに転載する」、という形式での掲載も可能です。

(※ただし、その場合は、ご自身がそのブログ等の所有者であることを証明するという意味でも、「『新宿会計士の政治経済評論』への転載依頼をした」という趣旨の文言を付記してください。)

基本的なルールの再確認

読者投稿に当たっての基本的なルールは、『読者投稿の募集と過去の読者投稿一覧』のページにも記載していますが、あらためて概要を振り返ると、次のとおりです。

最低の形式要件

投稿に当たっては、最低限、投稿者名(本名でなくても構いません)や(もしあれば)簡単なプロフィール、希望するタイトル案、著作権を当ウェブサイトに譲渡するかどうか、など、形式面を整えていただきたいと考えています。

記事本文

そのうえで、投稿する記事の本文は最低2000文字以上、標準で5000文字前後とし、基本的に投稿者自身のオリジナル作品であることをお願いしています。実際、過去には2000文字弱のご投稿を頂いたこともあったのですが、やはり、それだとどうしても議論が深まりません。

引用ルール

また、後ほど述べる「ふたつ目の論点」にも関わるのが、他サイト(他人のブログサイト、ニューズサイトなど)を引用する際のルールです。

当ウェブサイトでは、常識的な範囲内であれば出版物、公表物、他サイト等の内容を引用しても差し支えないとしていますが、その際、出所(書籍の場合は書名とページ数、サイトの場合はサイト名やURLなど)、引用部分と自身の文章の区別がついていることが必要です。

ただし、それと同時に当ウェブサイトでは著作権を極めて厳格に解釈して運用しており、引用割合が引用先記事のおおむね10%以下となっており、かつ、その引用が批評、研究などの「引用の目的上正当な範囲内」にあり、また、引用部分が論考全体のおおむね10%以内に抑えられていることを求めています。

ただ、興味深いことに、当ウェブサイトで採用させていただく論考は、ほとんどの場合、外部サイトの引用がほとんどありません。データを公的機関やニューズサイトから入手している人もいますが、そのようなケースでも、その場合も図表自体は手作りです。

画像、図表等について

一方で、大変厚かましいお願いですが、画像を使用する場合は、画像を使用する場合はpng形式、jpeg形式などに変換したうえで投稿本文とは別ファイルにて送付することをお願いしています。

また、表を使用する場合は、せいぜい「3列×10行」程度までのシンプルなものでお願いしています。

なかには何百行もある膨大なエクセルファイルを加工せずにそのまま送付される方もいらっしゃいますが、基本的にはそのような投稿はお受けすることができません。

なお、「読者の便宜のため、小見出しを設ける」(一般に望ましいのは、600~800文字ごとに1つ以上の小見出し)、「そのままウェブサイトに掲載できるよう、文章を整える」などの工夫をしていただければ、なお、採用しやすいと思います。

ご参考までに、投稿を採用するための基準を箇条書きで示しておきましょう。

投稿を採用するための基準
  • 読んで下さった方々の知的好奇心を刺激する記事であること(大前提)
  • 政治、経済系の話題が望ましいものの、ジャンルは問わない
  • 筋が通っていれば、当ウェブサイトの主張と真っ向から反していても構わない
  • 「他人に読ませる」ことを意識した、読みやすい文体であること
  • コピーではなくオリジナルの文章であること
  • 個人情報などを特定される内容が含まれていないこと

わりとある「掲載を断る投稿」

ところで、最近になって増えているのは、「残念ながら、当ウェブサイトでは採用できない」とお断りする事例です。

コメントについてはほぼ完全に自由とさせていただいているのに対し、読者投稿については採用をお断りすることがある理由は、読者コメントと記事本文については、それを掲載するまでのハードルに大きな違いがあるからです。

こうしたなか、採用をお断りするケースとして増えて来たのが、そもそも「論考になっていない」、というパターンです。

当たり前のことですが、「論考」とは、基本的には「何かを議論する文章」のことです。一般に良い文章には「起承転結」がハッキリしている、などといわれますし、個人的な感覚で申し上げれば、「問題提起」、「規範定立」、「あてはめ結論」とう流れがしっかりしているのが良い論考だと思います。

もう少しわかりやすく、具体例を使いましょう。

「最近、世の中ではXXが問題点だと大騒ぎされていますよね」、から始まり、「でも、これは知識がない素人が大騒ぎしているだけなのです」、「専門家の立場からすれば、XXよりも▲▲の方が大きな問題なのです」、などと受け、「結論的にXXはまったく問題じゃないのです」、で締める、というパターンがあります。

あるいは、「世の中ではXXという問題点に注目している人はほとんどいませんよね」、から始まり、「でも、専門家の立場からすれば、じつはこのXX、▲▲や●●などの問題に発展する可能性もあるのです」、「だからこそ、もっとXXに注目すべきじゃないでしょうか?」と結ぶパターンもあるかもしれません。

当ウェブサイトだと、むかしから、「世の中的には『財政破綻』が大騒ぎされているけれども、日本国債の場合は自国通貨建てで発行されており、かつ、日本全体で資金超過状態が生じているため、日本国債のデフォルトはあなたの頭上に今すぐ隕石が落ちるよりも低い」、と述べて来ました。

また、最近だと、「東京都では新規陽性者数が急増中だ、などと大騒ぎする人もいるが、現実にはワクチン接種が進んだ影響で医療従事者や高齢者の発症が抑制されており、医療崩壊リスクはコントロールされている」、などと議論することもあります。

いずれも、「問題提起」、「規範定立」、「あてはめ結論」、というパターンに沿っているはずです。

論理性を無視した論考

ところが、最近送付していただく論考には、このうちの「考察」部分がほとんどないものや、根拠なしに断定しているもの、酷いケースでは「結論」がないもの(つまり「何が言いたいかわからない」という代物)が含まれているのです。

まず、「論拠がないもの」の事例です。

最近だとコロナ危機に乗じて自民党政権を批判するような論考も多く、「コロナとの戦いで自民党政権への不信感は決定的なものになった」だの、「菅義偉(総理)の無能さには呆れるばかりだ」だのといった記述を送って来られる方もいらっしゃいます。

この点、誤解しないでいただきたいのですが、べつに菅総理ら政治権力者を呼び捨てにして、舌鋒鋭く批判すること自体、当ウェブサイトとして排除するつもりはありません。

そもそも政治権力者に対しては、ときとして人格攻撃を伴った激しい批判をしても許されるというのが当ウェブサイトなりの考え方だからです(※といっても、当ウェブサイトの記事において、積極的にそれをやるつもりはありませんが…)。

しかし、「政治家を舌鋒鋭く批判して良い」からといって、「根拠なしに批判して良い」というものではありません。批判するならするで、「ただ何となく腹が立つ」、「ただ何となく無能だと思う」、というものではなく、ちゃんとした論拠に基づかねばなりません。

残念ながら、コロナ対策で菅義偉総理大臣らを批判している文章を読むと、「コロナ感染者(※原文ママ)が増えた」、「ワクチンが遅い」、「コロナ対策が何もできていない」といった印象で批判しているケースが圧倒的に多く、とくに6月以降、ワクチン接種が急速に進んでいるという事実を無視しているケースすらあります。

大変厳しい言い方ですが、こうした文章を書く人は、得てして、新聞やテレビなどが垂れ流している情報を盲信していて、ご自身の頭で考えることを放棄なさっているのではないか、と思わざるを得ません。

著作権侵害

こうしたなか、最近になってわりと目につくのが、著作権を無視した投稿です。

複数の投稿に見られる事例が、外部サイトの文章をそのまま引用し、自分自身が執筆している「地の文」と混ぜてしまう、というケースです。あるいは、いちおう「ここから引用」、「引用ここまで」と明示しているものの、ご自身が執筆された文章と比べて引用部分が長すぎる、というケースもあります。

著作権侵害という意味では、先ほどのYouTuberの一件にもあったとおり、当ウェブサイトはどちらかというと侵害を受ける側の立場ではありますが、著作権侵害がなされた読者投稿を迂闊に採用してしまうと、こちらが著作権侵害の加害者になってしまいます。

もちおrん、これについては「外部ウェブサイト(ニューズサイトなど)の記述を、一切、引用も転載もしてはならない」、という話ではありませんが、引用、転載するならば、しかるべきルールを守っていただく必要があります。

たとえば、著作権法第32条第1項には、こう規定されています。

著作権法第32条第1項

公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

ここで、「公正な慣行」、「目的上の正当な範囲内」が何を指すのかについては、さまざまな議論がありますが、基本的に当ウェブサイトでは、次のように考えています。

10%ルール

数値基準として、引用する部分は引用先記事全体の10%以内であり、かつ、自身の論考に占める引用部分の割合は10%以内に抑える(※著作権者の了解が得られている場合や、国、官公庁などの公表物を引用する場合などはこの限りではない)

地の文との明確な区別

引用した部分と自分自身が執筆した部分を明確に分ける(可能ならblockquoteタグを使用する)

出所の明示

外部サイトなどを参照している場合には、論考内に情報源がわかるような情報(ウェブサイト名、メディア名、記事のタイトル、URL、公表日時など)を明示する

…。

最初の「10%ルール」は若干厳格過ぎるにせよ、それ以外については、どれも当たり前の話ばかりだと思います。

こうした基本的な事柄を守っていただければ、読者投稿も採用されやすくなると思う次第です。

ブログ宣伝

ブログ宣伝を巡るトラブル

最後に、ブログ宣伝についても申し添えておきたいと思います。

ただし、ブログなどの宣伝に関する考え方やルール、そしてこれを巡るトラブルなどについては、昨日の『【お知らせ】ブログ宣伝専用記事廃止とリンク削除対応』でもすでに詳しく述べたとおりなので、ここでは要点だけを指摘しておきたいと思います。

以前から当ウェブサイトでは、ブログやSNSのアカウントなどをお持ちの場合、当ウェブサイトで積極的に宣伝していただきたい、などとお願いしてきました。

これについてはもっぱら『読者雑談専用記事』というカテゴリーの記事にご投稿いただくことを勧奨していたのですが、とある事情があり、6月以降は『ブログ宣伝専用記事』というジャンルをあらたに作り、ブログやSNSの宣伝をやっていただくことにした次第です。

ただ、結論的に言えば、この『ブログ宣伝専用記事』という仕組み、うまくいきませんでした。大変残念なことに、一部のユーザーの方のブログサイトに、著作権侵害(疑い)を含めた違法行為ないし不法行為が認められたからです。

この点、第一義的に、そのブログ等に違法行為がなされているかどうかを判断し、適切な措置を講じる責任を有しているのは、当該ブログの執筆者であり、また、当該ブログが大手ブログサイトに開設されている場合には、その運営者も、違法ブログを放置せず、警告・閉鎖などの措置を講じる義務を有しています。

したがって、本来ならば、当ウェブサイト側において、リンク先のブログ等において、何らかの違法行為がなされているかどうかを判断する義務はないはずです。

ただ、それと同時に、「違法性が強いブログ記事の宣伝コメントを放置して良い」、という話ではありません。

当ウェブサイト側にて違法性を明確に認識していたにも関わらず、それを放置し、結果的にそのブログサイトへのアクセスが増え、正当な著作権者のウェブサイトのアクセスが減ってしまった場合には、当ウェブサイトがそのブログ主とともに、著作権者に損害を与えた「共同不法行為者」となりかねないからです。

結果的に誠実な対応を取ってもらえなかったが…

かかる観点から、該当するブログ主には数次にわたって、自身のブログに違法性がないかどうかの見解とともに、万が一、違法なブログ記事等を発見した場合に適切な措置を講じるようにお願いしたのですが、個人的に「最終警告」と位置付けたコメントから72時間、何らアクションがありませんでした。さらにはその間、当該ブログ主は複数のブログエントリーをアップロードしています(ちなみにその一部はやはり新たな著作権侵害の可能性があります)。

よって、当ウェブサイト側にて、「新規ブログエントリーを執筆する時間がある」にも関わらず、「違法ブログ記事の是正には前向きではない」と判断し、当該ブログの宣伝を目的としたリンクを、基本的には削除することにした、というわけです。

もっとも、全部のリンクを削除することは非現実的であり、現在の措置としては、取り急ぎ①5月中旬以降の2カ月分の読者コメントのうち、②当該ブログ主自身が自らのブログを宣伝する目的で描き込んだと思われるURLを無効化ないし削除しています。

もちろん、本来ならば、ブログを適法に執筆しなければならない義務はそのブログ主自身にありますし、ブログ事業者も各ブログ執筆者が適法にブログを運営するよう、警告を発する義務を有しているはずです。

しかし、本件に関しては、ブログ主本人にも、ブログ事業者にも、それぞれブログの適法性を確保しようとする意欲が見られなかったのは大変に残念な話といわざるを得ません。

このように考えていくと、やはり、ブログやSNSを主体とした「適法なウェブ言論空間」を実現させるというのは、やはりまだまだハードルが高いのかもしれません。

それでもウェブ評論の可能性を信じる

ただ、こうしたトラブルを経験しても、やはり、「ウェブサイトがマスメディアに代わって言論空間を担うべきである」とする持論については変わりません。

本稿で言及したように、著作権侵害などの違法行為を行う残念なYouTuberやブログ主の事例もあります。

しかし、自動車が出現したときに使いこなせずに交通事故を起こす者が多発したのと同じで、現代社会は一種の「過渡期」のようなものであり、ウェブ評論の世界においても、「不法行為をしないようにする」、「他者に最低限の経緯を払う」などの慣行が確立するのを待つしかありません。

いずれにせよ、当ウェブサイトをあと何年続けられるかはわかりませんが、少なくとも健全なウェブ評論空間が広がっていけば、日本の民主主義はもっとよくなるはずですし、それが拡がらなければ、残念ながら日本の民主主義の将来は明るくないのかもしれません。

現代社会は、まさにその岐路に直面しているのだと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (14)

  • 毎日毎日ありがとうございます。
    ご苦労かと思いますが、毎朝期待しております。

  • 現代のweb空間は過渡期であり変化の途中だったのですね。その視点はありませんでした。

    飲酒運転も昔は大らかな時代で特に田舎に行くとその名残を未だに感じる地域があります。(主に北海道です)

    web空間にも未だにトゲと肩パッドを付けたモヒカンもおられるようですが。徐々に次の時代に向けて品行方正、襟を正さねばと思った次第です。

    トゲ付き肩パッドくらいいいではないか!
    そんな甘えももう何年かで通用しなくなるのでしょうね。

  • 日々さまざまな分野の話題に、ブレない姿勢と明晰な論理展開をもって、論評を重ねておられる。それに投入される知的作業の量たるや、驚嘆する思いですが、またそこに惹かれ、記事の内容に触発されて寄せられる読者からのコメントも、なかなかに高レベルのものが多く、それらを読むのもこのサイトにアクセスする楽しみともなっています。

    こうした双方向的な意見のやりとりを活性化するというサイトの運営方針は、読者の言語、情報リテラシーの資質を磨く道場という機能をも果たしているようにも思えます。ここで上達を目指すならば、個々の読者にとっては、「内省」という他人から強いることは出来ず、本人の心掛け次第でしかない、決して楽とは言えない知的作業が欠かせないのでしょう。

    普段の評論記事と趣が異なる、今回の「注意喚起」ですが、努力せずとも容易に多量の情報を手に入れることが、万人に可能になっている今日の情報社会では、それを無反省に安直に扱えば、世のため人のためにならぬなどと大上段に構えた物言いをせずとも、当人にとっても決して為にならぬという、お叱りという意味もあるのでしょう。

    あまりハードルを上げすぎて、気楽さやユーモアのセンスが失せてしまえば、サイトの魅力は半減します。かといって何でもありとしてしまっては、ゴミサイトと変わらないところに堕してしまう恐れがある。ときどきは、こうした読者にとっての辛口のコメントも交えつつ、従来の基本方針は曲げずに、これからもこのサイトを続けていっていただければと願います。

  •  ああ、ありましたね。犬館ゆり子問題。(私は晒しますよ。武士じゃないんで。どうせ仮名でしょうし)
     あれ、今年初めの話でしたか。ぬくぬく氏の頭のぶっ飛び具合が酷すぎて忘れてました。

     この記事のおかげで、耐えていた間の新宿会計士様の捉え方、考え方がうかがえて良かったです。私も同じように考えてました。安心しました。

     引用方法の教示と引用ルールの明確化をなされた事はとてもいい事だと思います。特に、10%という具体的な数字を出された事で、「これは引用の範囲だから」「批評のための引用だから」「批評が主で引用が従だから」という屁理屈をこねて無断転載と盗用を繰り返していたぬくぬく氏を吹っ飛ばす事ができます。

    > 結論的に言えば、この『ブログ宣伝専用記事』という仕組み、うまくいきませんでした。

     そうでもありませんよ。
     ぬくぬく氏を隔離するという意味では非常に有効な仕組みでした。「ぬくぬく隔離記事」という題では露骨過ぎますから、この形が最も無難です。
     りょうちん様の小説連載ブログが始まったというおいしい副産物も得られた事ですし。

     私がブログを始めるかどうかはわかりません。ただ、その前にぬくぬく氏という「失敗例」「反面教師」を通して注意点や問題点を先に学ぶ事ができたのは貴重な体験でした。そうでなければ私も知らぬ間にルールを破ってしまい、直し方もわからなかったでしょう。
     既にブログを書かれている方の成功例や失敗例、耳の痛いアドバイスをこれからも学んで行きます。

     ところで、政治ブログって競争が非常に激しいそうですね。そんなレッドオーシャンの中でランキング一位をぶっちぎりで獲得できたというのは本当にすごいです。

  • 11年おめでとうございます。
    毎日このレベルの記事を書き続けるのは並大抵のことではないと感服し、いつも楽しみにしております。
    自分はレベルの高いコメントには含まれているかどうか自信がなく恐縮至極ですが、おかげさまで他所での(特に一面的な)マスコミ報道ばかりを引用する評論には惹かれなくなり、複数の評論に当たる癖がついたようです。
    無理をなさらず健康には注意されて末長く続けていただければと思います。

  • 残念ながら 「悪貨は良貨を駆逐する」のが現実です。平気で嘘を付き 国際条約違反を続ける国々がのさばっています。なんとか この良心的かつレベルの高いweb評論を続けていただきたいと思います。投げ銭システムは自分は賛成です。虚報を大量に紛れ込ました新聞が月4400円。NHKも見なくても料金をむしり取るとは論外。

  • 「ウェブ評論11年、ウェブサイト開設5年」おめでとうございます!!私は、最近このサイトを知ったものです。ただ日韓関係が良くない原因については、以前から興味があり、韓国紙の日本語版なども、時折読んでいました。それらを踏まえて考えると、いわゆる大手マスコミの韓国分析がどうもポイントをはずしているな、と感じてきました。そこが本サイトに魅力を感じた大きな理由です。今までネット投稿もほとんどしたことがなかったのですが、自分の考えを整理し、推測・憶測を交えて、意見を述べる楽しみに、満足しております。一般的な嫌韓サイトは、どうしてもヘイトまがいの言動、感情的な言葉が多くなりがちですが、そのあたりを極力抑制しようとされる新宿会計士さまの努力にも、感謝しております。私は、日韓関係の改善には少なくともあと30年はかかる、と考えておりますので、本サイトの存在価値も30年は続くと思っています。新宿会計士さまも、健康にご留意いただき、末永く続けてください。

  • 新宿会計士さん所には、日々いや1分毎にアクセスが集中しているのでしょうね。

    本業の傍ら、それらに目を通して取捨選択は膨大なエネルギーが必要だと思います。いつも有難うございます。

    「ブログ宣伝専用記事」は、私にはあまり関係ないと思い、というかその元になる「雑談部屋」にもほとんど訪問してないので、特定の人が何故非難されてるかも、最初理由が分かりませんでした。何度お願いしても聞き入れて貰えない日本語の分からない(管理人、読者を無視した態度)方も居るんですネ。非常識極まる御仁でした。

    「ブログ宣伝専用」は廃止で良いでしょう。失礼ながら余り盛り上がっているとは思わなかったですし。ココの投稿者のどなたがブログを開設しているかも知らないです。もし、晒されるのが嫌で無ければ、コメント欄にご記入をお願いします。

  • 健全な言論空間の維持に日々尽力なさっていることに改めて感謝申し上げます。私には声援を送ることしかできませんが、今後益々のが発展を心から祈念いたします。

  • 11周年おめでとうございます。
    一回記事を自前で作成してみて、言論空間で持論を発表されている方々の苦労が良く理解できました。読ませることと説得力を持たせることと公平である事、並立するのは難しいものです。
    様々な意見がありますが互いに敬意を払い、貴サイトのみならずインターネット上での言論の自由が発展し、これからも集合知の場であり続けることを祈っております。

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