大韓航空での「職域接種」は「日本政府のおかげ」です

ウェブ評論をしていると、たいていのことには驚かなくなるはずなのですが、やはりとんでもない報道を目にすると面喰うこともあります。韓国メディア『中央日報』(日本語版)に今朝、「大韓航空のおかげで」在日韓国人への職域ワクチン接種が始まった」とする趣旨の『韓国経済新聞』配信記事が掲載されています。しかも、職域接種ができるのは「日本政府のおかげ」なのに、日本に対する感謝は、記事本文にヒトコトもありません。

急低下する「医療崩壊リスク」

東京で第5波?むしろ「感染危険指数」は伸びていない』と『ワクチン接種「増分」が初めて「1日200万回超過」』では、わが国におけるコロナ対策の実情を「数字で」分析してみました。

結論からいえば、「医療崩壊リスク」はコントロールできていると考えて良いでしょう。

というのも、とくに東京においては新規陽性者数が急増しているのは事実ですが、最新データで見る限り、新規陽性者のうち、「医療従事者」については激減しており、とくに7月4日(日)時点の新規陽性者については、「医療従事者」はゼロでした。

また、新型コロナウィルス感染症に罹患した場合の「重症化率」が高いとされる高齢者(正確にいえば60歳以上)の人が「新規陽性者」占める割合についても、ここ数日、顕著に低下しています。

当然、当ウェブサイトで提唱する「東京都感染危険指数」に関してもあまり上昇していません。

もちろん、新規陽性者数が急増しているという状況は懸念されるべきものでもありますし、現在、東京都で4回目の緊急事態宣言が発出される見通しが出ていることも間違いありません。

しかし、「感染の質」という視点を無視し、「新規『感染者』が増えている」、などと大騒ぎするのは、いかがなものかと思いますし、科学的知見やデータ分析を一切すっ飛ばし、いたずらに不安を煽るような報道姿勢には、むしろ強い嫌悪感すら覚えます。

韓経「大韓航空のおかげで在日韓国人へのワクチン接種」

さて、ワクチンに関連し、少し別の角度からも話題を取り上げてみます。

正直、ウェブ評論活動をしていると、たいていの記事にはあまり驚かなくなってきます。

ただ、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に今朝掲載されていたこの記事には、さすがに驚きました。

韓経:大韓航空のおかげで…在京韓国企業の駐在員と家族全員にワクチン接種

―――2021.07.08 08:18付 中央日報日本語版より

記事タイトルに「韓経」とあるとおり、おそらく元記事は『韓国経済新聞』が配信したものでしょう。

ただ、「大韓航空のおかげで」、のくだりについては、強い強い違和感を覚えざるを得ません。いわゆる職域接種のことについて述べているのですが、「在京韓国企業の駐在員と家族全員へのワクチン接種」ができるのは、「大韓航空のおかげ」ではありません。

日本政府のおかげ

でしょうに。

記事本文も、かなり挑発的です。

冒頭に「主要国のうち新型コロナウイルスワクチンの接種速度が最も遅い日本で」、とありますが、日本よりも接種率が低い韓国のメディアに言われるのは心外です。

しかも、「民間企業の機知のおかげで韓国企業駐在員の大部分が早期にワクチンを打てることになった」とありますが、記事の続きを読むと、ちゃんとこう書いてあります。

  • 大韓航空は日本政府から職域接種法人として承認を受け(た)」
  • 日本政府から提供されたモデルナ製ワクチン1500人分の1回目の接種を来週までに終え、来月中旬までに2回目の接種も終える計画

日本国内で暮らす人々に対し、日本政府の責任においてワクチン接種を進めるのは当然のことではあるため、日本国民の1人として、べつに「感謝して欲しい」と申し上げるつもりはありません。

しかし、「日本政府に対する感謝」は記事にただのヒトコトも出ておらず、それどころか「日本に居住する僑民と駐在員はさらに接種に困難を経験している」、といった具合に、日本に対する逆恨みが感じられる記述すらあります。

事実誤認だらけ

問題は、それだけではありません。

日本はすべての国民が接種できるワクチンを確保しながらも医療陣と接種場所が不足し接種にスピードを出せずにいる」。

これはもはや、事実誤認と述べても間違いないレベルです。

もちろん、公式の接種率については、著者自身の計算によると昨日時点で1回目が27.26%であり、G7諸国と比べれば非常に低いのは事実でしょう。

しかし、先ほどの『ワクチン接種「増分」が初めて「1日200万回超過」』で指摘したとおり、「ワクチン接種記録システム(VRS)」への入力遅れから、現実には「隠れ接種済み」の事例が、数百万回から、下手をすれば1000万回前後は存在するとも考えられます。

しかも、1日の接種回数は100万回を大きく超過している状況であり、田村憲久厚生労働相は昨日の国会の閉会中審査で、「10~11月までに希望する国民にワクチン接種を完了する」との政府目標については前倒しでの達成が可能との認識を示しています。

田村厚労相「ワクチン不足、接種加速が原因」 衆院厚労委で閉会中審査

―――2021年07月07日13時12分付 時事通信より

いずれにせよ、おせっかいかもしれませんが、韓経さんは外国のことを云々するよりも、まずは自国で「2回目接種に使うはずのワクチンを1回目に使ってしまったこと」、「最近、ワクチン接種が進んでいないこと」などを問題視した方が良いと思う次第です。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. 成田 より:

    「K防疫の日韓戦敗北」は国民総意で認めたくない自尊心案件ということが分かった。
    でも日本はそれに配慮する義理がないんだよね。
    何というか、”一発逆転首脳会談”の打席がどんどん遠ざかっているけど、もう諦めたら?

  2. だんな より:

    私は在日外国人にもワクチン接種する事は、日本国内の集団免疫を獲得する上で、必要だと考えています。
    一部の外国人は、接種しないで帰国させた方が、良いケースもあるように思います。

    1. 農家の三男坊 より:

      だんな 様
       >私は在日外国人にもワクチン接種する事は、日本国内の集団免疫を獲得する上で、必要・・

      は仰る通りであり、正論です。

      ただ、他人を出汁に使い、配送計画を混乱させるのは許せませんね。
      ”韓国人はオリ・パラ&ビジネストラックも含めて未接種者の入国を止めるべき”と思うようになってきました。

      1. 匿名 より:

        私見ですが かの国の接種証明は信用できますか?
        接種されたワクチンの種類により阻止能力も違いますしね。
        いま韓国では 人口比換算で 日本より多数の感染者が出ていて大爆発に向かっています。
        とりあえず入国拒絶で 日本を守りましょう。
        酋長も上陸拒否で。

  3. 農家の三男坊 より:

    雑談記事にも書きましたが、重要であり、こちらの方が適切なのでダブルポストになりますがご容赦ください。

    ***職域接種見直しの原因の一つと思われます。***

    日本のメディアで取り上げるところは何処か? 取り上げないところは何処か?
    これも興味のあるところです。

    ============
    流石、詐欺師の国のメディア。
    日本人の感覚なら、”恥ずかしくてかけない内容”を得意げに書くのは何とも言えない。

    こんな詐欺まがいのことをやる輩が居たので、職域接種の受付を停止しなければならなくなったという事ですね。

    運輸省(公明党大臣)はどのような処置をとるのだろうか? 乗り入れ禁止しろ!

    SBも同じようなものか?

    大韓航空(対象従業員数が150人)は日本政府から職域接種法人として承認

    理由:同じ航空連合のスカイチームに加盟するデルタ航空とエールフランスなど外国系航空会社を前面に出した(日本政府から提供されたモデルナ製ワクチン1500人分)

    故に:外国企業のうち職域接種の承認を受けたのは大韓航空が唯一

    実態:日本政府の承認が出るとすぐに駐日韓国企業連合会を運営する韓国貿易協会東京支部がネットワークを活用して主要韓国企業を対象に接種者を募集した
    大韓航空とアシアナ航空、ジンエアー、エアプサンなど日本にある韓国系航空会社と関連企業の社員と家族、東京に法人や事務所を置く韓国企業の駐在員の大部分にワクチンを接種した。
    返信

    1. IVD より:

      農家の三男坊様
      下に似たようなコメントをしてしまいましたm(_ _)m

      1. 農家の三男坊 より:

        IVD 様

         すれ違いはお互い様ですね。

         其れよりも同じお考えの方がいらっしゃって、
         意を強くしました。

    2. だんな より:

      農家の三男坊さま、IVDさま
      事実なら、日本政府が騙されて、「騙した大韓航空のおかげ」って話ですかね。
      一層、腹立ちますね。

  4. IVD より:

    (中央日報記事から引用)
    >>こうした状況から日本に居住する僑民と駐在員はさらに接種に困難を経験している。在日韓国大使館が大使館職員と駐在員の優先接種を何度も要請したが、日本外務省は韓国大使館職員4人だけ先に接種するようにとの回答を出した。

    はい。こういうところがほんとに嫌いです。特別扱いされて当たり前。特別扱いされないと恨み節。
    接種順位は「住民基本台帳に記録されている者と同様に、対象者の属性に応じた接種順位を適用する」というのが日本のルール。
    https://www.mhlw.go.jp/content/000763001.pdf

    それから「従業員数1000人以上で独自に医療陣と接種会場を確保できる企業」という要件がある中で、
    (中央日報記事から引用)
    >>こうした状況で従業員数が150人である大韓航空日本地域本部が承認を得られたのは、同じ航空連合のスカイチームに加盟するデルタ航空とエールフランスなど外国系航空会社を前面に出したおかげだった。
    >>外資系航空会社従業員の大部分が日本人である点を強調したことが日本政府を動かしたと評価される。

    要するに、他国の外資系航空会社やそこで働く日本人従業員をダシにして特別に承認を取った、ということではないですか?
    それで、まさかとは思いますが、「韓国企業が確保したワクチンなんだから在日韓国人とその家族にしか打たないつもり(日本人は知るか)」ってことはないですよね?

    1. ムッシュ林 より:

      4人はたぶん高齢者か基礎疾患があったのでしょう。外人だけ特別扱いなどしないのが先進国のスタンダード。
      中央日報の価値観というのは、先進国の人間たちは特別扱い当たり前というなんだか途上国とか帝国主義者みたいね。

      1. IVD より:

        ムッシュ林 様
        >>4人はたぶん高齢者か基礎疾患があったのでしょう。
        同意いたします。
         ①在日韓国大使館が、日本のルールを無視して自分たちだけ優先接種しろと「何度も要請」したけど、ルールに則り対応した外務省(わざわざ接種対象者かどうか調べて教えてあげる優しさよ)。
         ②大韓航空日本地域本部が、他の外資系航空会社やそこで働く日本人従業員をダシに使い「粘り強く交渉」した結果、折れてしまった国交省。
         ①については「特別扱いしない日本は意地悪だ!」、②については「日本を出し抜いた大韓航空GJ!」、というのが中央日報(というより韓国人全般)の価値観なのでしょうね。

  5. めたぼーん より:

    さすが日本の某新聞社の精神的アニキ分の中央日報だけ有って、高い道徳性を基礎としても更にそれを突き抜ける勢いの記事を放り込んできますね。

  6. 農民 より:

    >日本よりも接種率が低い韓国

     ある日本人が、韓国にて現地タクシー運転手から
    「日本は狭くて大変でしょう?韓国に住めばいいのに」
     というようなことを言われたというエピソードを思い出しました。思い込んだら一直線。

    1. とある福岡市民 より:

      夜郎自大ですね。

      【特報】
      新発見!!夜郎国は朝鮮にあった!!

  7. 引っ掛かったオタク より:

    ファイザーワクチンを前借り融通してくれたイスラエルにも逆ギレかましてる国民性ですから
    我が国としましては非韓三原則を遵守しながら遠目に眺めるのが良いかと思われます

    遠目とはいえ眺めるのは、スリ寄りの気配をいち早く察知し蹴り飛ばす段取りのタメでアリマス

  8. めがねのおやじ より:

    大韓航空って脚穴航空(アシアナ)を吸収した韓国唯一生き残る可能性のあるキャリアーでしたね。LCCは潰れたし(笑)。

    しかし、こんだけ出入国が規制されてるのに、正直言って来年迄残っているかどうか分からん会社です(笑)。日本でもJALがどうなるか分からない状態なのに、KAL如きがワクチンで韓国人に貢献した?笑止!

    嘘ばかりで、いろんな外国人搭乗員のうち、僅か数人の韓国人を入れただけの話だ。まずは日本政府に御礼を伝えるべき。この辺が、台湾と決定的に違うんです。自画自賛、自己中過ぎる!

  9. どみそ より:

    職域接種は 自治体に負担をかけず接種を促進するという意味では有効とは思いますが 不透明部分もおおいです。

    早い者勝ちでワクチンを大量確保した企業もあれば 対応力不足で出遅れ申請もできなかった 地域商店街など。

    すくなくとも 政府は職域接種枠で ワクチンを提供した企業団体名と提供ワクチン数を公表すべきですね。

    この企業でこのワクチン数なら妥当ですね。
    とか、
    社員数に比べ過大請求しているぞ。
    ととか 世間にさらされれば、 職域接種できなかった団体の方たちも 溜飲が下がると思います。

  10. より:

    どこかで聞きかじった話で、どこで聞きかじったかも覚えておらず、どこまで事実であるのか確認しようのない話であることを先にお断りしておきます。

    韓国語で「ありがとうございます」は「カムサハムニダ(감사합니다)」ですが、これは「感謝」+「いたします」で構成されている言い回しです。しかし、このような言い回しは、実は日本併合期以前には無かった言い回しなのであるとか。
    確かに、韓国(朝鮮)社会の構造からすると、なんであれ両班が白丁に向かって「ありがとう」などと言うはずがありません。つまり、上位者から下位者に向かって感謝の意を示すなどということはないわけです。なぜならば、下位者が上位者に奉仕するのは当然でしかないからです。
    一方、下位者が上位者から何らかの恩恵を受けた場合、「ありがとう」などという軽い言葉では済まされないでしょう。具体的にはわかりませんが、何かもっと大仰な言い回しがあったはずです。それこそ、「感涙に咽ぶ」とか、そのレベルの言い回しでしょうね。
    このように考えると、韓国語には気軽に謝意を伝えるような言い回しがなかったとしても、それほど不思議ではないように思えてきます。使う機会がなければ、言葉は廃れますので。

    ただ、以上のように考えると、ちょっと怖い結論が導かれます。謝意を表す言葉がなかったということは、そもそも「謝意」ということを思い浮かべることもなかったということです。ということは、たとえ何かしてもらったとしても、そのことに対して「感謝する」などという心情が起るはずもありません。そして、下位者が上位者に奉仕するのが当然、上位者が下位者に(気まぐれに)恩恵を施すのも、徳を示すという意味で当然という発想だと、「感謝」がそこに介在する余地はなく、何かを施すのは見返りを期待して当然ということになってしまうでしょう。

    以上は、事実かどうかもわからない話からの展開で、どこまで正鵠を射ているか全く保証の限りではないのですが、なんだか妙に韓国人の振る舞いに当てはまるような気もします。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

引っ掛かったオタク へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告