茂木外相インタビューがポーランド紙に掲載された意味
あまりメディアが報じている形跡はありませんが、外務省のウェブサイトに昨日、ポーランド紙に掲載されたという茂木敏充外相のインタビュー記事の日本語訳が掲載されていました。それほど長い文章でもないので、外交に関心のある日本国民であれば、ぜひとも読んでいただきたいと思います。あわせて本稿では、ゴールデンウィーク中の話題の中間締めという位置づけで、あらためて「外交」について考えておきたいと思います。
目次
専門外への領空侵犯
ポーランド紙が茂木外相にインタビュー
外務省ウェブサイトに昨日、こんな記事が掲載されました。
茂木外務大臣書面インタビュー(2021年5月6日付、ジェチポスポリタ紙(ポーランド))/「米国は我々の共通の主要同盟国である」
―――2021/05/11付 外務省HPより
これは、ポーランド『ジェチポスポリタ』紙による茂木敏充外相のインタビュー記事【ポーランド語】を日本語訳して転載した記事だそうですが、内容そのものが大変に興味深いだけでなく、大変に意味のある記事です。
なにがポイントかといえば、「日本から遠く離れたポーランド」で、日本が「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化する」ことを重要だと考えている、とする考え方が大きく取り上げられたという点にあります。
ウェブ評論の流儀:専門外のことをどこまで議論するのか
これについて触れる前に、改めて考えておきたいことがあります。
当ウェブサイトのポリシーをひとつ挙げるなら、それは「読んでくださった方々の知的好奇心を刺激すること」です。
『ウェブ評論のキッカケ作ったインチキ会計基準IFRS』でも説明したとおり、ウェブ主自身が金融専門家であるという事情もあってか、そもそも当ウェブサイトは、もともとは金融と会計に関するウェブ評論を行うつもりで設けました。
しかし、日々当ウェブサイトをご訪問下さっている読者の皆さまにとってはお気づきのとおり、当ウェブサイトでは本来の金融・経済・財政学に属する内容だけでなく、外交・軍事・安全保障などに関する話題についても積極的に取り上げることにしています。
また、最近だと『【緊急速報】「酢豚パイン問題」が台湾パインで深刻化』で専門外の料理に関する話題について取り上げましたし、また、『「青狸」が不法投棄した栗饅頭が星団破壊の原因なのか』では宇宙物理学について議論してみました。
正直、専門外のことを議論するのはなかなか骨が折れるのですが、『深刻化する「ビアフロ」問題 どうして収束しないのか』や『「覆面パンツマン」とは美少年勇者の成れの果てなのか』などで取り上げたとおり、専門外のことであっても頑張って論点を取り上げているうちに、自然とその分野に知見が得られるものです。
いずれにせよ、「酢豚にパイナップルを入れるかどうか」、「22世紀の青狸の素行の悪さ」などの論点は、当ウェブサイト的には専門外ではありますが、国民的な議論が必要な論点でもあるため、今後も積極的に取り上げていきたいと考えている次第です。
(※ただし、あまりにも専門外の内容であれば、ちょっと当ウェブサイトで議論するのは控えたいと思いますが…。)
専門性と一般性のバランスが重要だ
こうしたなか、個人的にこのウェブ評論活動をやっていて「良かった」と思えることがいくつかあるのですが、その最たるものは、「専門性を磨くこと」、「専門バカにならないこと」の重要性をともに実感することができるようになった、という点でしょう。
典型例をひとつ挙げておきましょう。
外交にしても経済にしても金融にしても、世間では「専門家」と名乗る人がしたり顔で議論しているケースが多いと思います。
「財政学の専門家」を騙る学者が「日本は財政破綻する」、「消費税は15%にまで引き上げなければならない」などと述べると、それを目にした人は、「あぁ、専門家の方がそう言っているのなら、そうに違いない」、などと感じてしまいがちです。
また、「外交の専門家」や元外交官の方々が、「日本は韓国との関係を修復しなければならない」、「クアッドに韓国を引き込まねばならない」などと主張すると、「あぁ、たしかに外交は感情だけで議論していてはいけない」、と感じる人もいるでしょう。
結論からいえば、どちらも間違いです。
あくまでも当ウェブサイトなりの見立てですが、財政学の専門家を名乗る人物(あえて実名は挙げません)は、得てして「財政法、財政規律の歴史、財政の歴史」などには詳しいのですが、意外なことに、金融市場については素人だったりします。
じつは、もう何年も前、「日本は財政破綻するかどうか」を巡り、主要経済誌にもよく意見を寄稿する某人物と個人的に議論を交わしたことがあるのですが、正直、議論になりませんでした。
その人物、「財政破綻」について議論しているわりに、現在の債券市場の参加者がいったい誰であるのか、金利スワップ市場と日本国債市場の裁定がどう働いているのか、財務省が実施しているCaR分析が何なのか、といった基本的な知識をまったく持ち合わせていなかったからです。
しかも、この人物、「このままだと金利が暴騰してアルゼンチンやギリシャのように国債がデフォルトしてしまうかもしれない」、「そうなってしまっては遅すぎる」、などと述べていたわりに、「金利の暴騰」が発生するメカニズム、日本国債市場の構造などをまったく理解していなかったのにも驚きました。
このような人物が偉そうに週刊誌などに「日本は財政破綻する」などと投稿しているというのですから、世の中は不思議ですね。
専門家以外が外交を論じる
「外交の専門家」が外交的判断を誤る現状を憂う
また、「外交専門家」の話は、さらに噴飯物です。
こちらは個人的な知り合いの事例ではなく、新聞に寄稿した記事を紹介しておきましょう。
日米共同声明を聞く(1)「クアッド」韓国引き込みを
―――2021年4月20日 2:00付 日本経済新聞電子版より
いちおう、有料記事ですので、全文を引用することは控えます。
執筆した人物は1959年生まれ、東京大学在学中に当時の外務公務員上級試験に合格されたというエリートの方ですが、「韓国は民主主義国家であり、60万人の兵力を持つ軍事大国」、「日本としてクアッド・プラスアルファに韓国を引き込まねばならない」、などと述べています。
正直、どうしてこういう思い違いをなさるのか、と、嘆息せざるを得ません。
当たり前の話ですが、たとえば、日本と外国との関係を論じる際には、必ず「タテ軸」と「ヨコ軸」を見なければなりません。「タテ軸」は歴史、「ヨコ軸」は地理・地政学です。そのうえで、ありとあらゆる行動を考える際に必要なのが「費用対効果」です。
「隣の国がもし自分たちの国の味方だったら、地理的に見て、さまざまなメリットがある」という命題が事実だったとしましょう。しかし、それと同時に歴史で見て、その「隣の国」とやらが、「自分たちの国の味方」になってくれた事例がなかったとしたら、これをどう考えるべきでしょうか。
たとえば、「歴史的に見て、この国はわが国と仲が悪すぎる」、「この国をわが国の友邦にするためには、コストが無限にかかる」ということがわかっていたならば、その国と仲良くするのではなく、なにか違う方法を考えた方が安上がりだったりします。
ましてや、その実情も見極めずに、安易に「韓国は民主主義国家で軍事大国」だから「日本としてクアッド・プラスアルファに韓国を引き込まねばならない」という結論を導き出すのは、いかがなものかと思います。
まことに失礼ながら、本当に外交官のご経験がおありなのでしょうか?
あるいは、「あなたがたがこれまで、そんなセンスで外交をなさってきたからこそ、現在の日本の外交的な力が弱いのではないか」、と言いたい気持ちになるのも仕方がないのかもしれません。
いずれにせよ、「外交は外交」、「経済は経済」、「金融は金融」、と、バラバラで語るのは良い話ではありません。
結局のところ、財政にしても外交にしても、専門知識はもちろん大切ですが(とくに外交プロトコルについては重要です)、しかし、その本質は「一般国民が理解できないほど複雑怪奇」というものではありません。
むしろ「専門家」を名乗るのならば、その「専門家」は自身の持論について一般人を説得しなければならないはずなのですが、一般人を説得することができない自称専門家があまりにも多すぎるという気がしてならないのです。
素人が外交を議論してはならない、ということはない
さて、外交の話が出たので、もう少し議論を続けます。
「外交」、「安全保障」などと聞くと、多くの人は、「本当に難しい話ではないか」、「自分には縁もない話だ」、などと頭から決めつけてかかるフシがあるのですが、こうした考え方は間違いです。
古今東西、どんな国も「人間の集合体」であり、その究極的な目的は、たった2つしかありません。
「平和」と「繁栄」です。
要するに、人々が戦争や自然災害などの脅威に怯えることなく、安心して最低限文化的で健康的に生きていくことができるようにすることが、「国家」が存在することの目的、というわけです。そして、この「平和と繁栄」を「国益」とヒトコトで呼ぶこともあります。
余談ですが、その目的を達成する方法が、「自由主義・民主主義」であったり、「共産党一党独裁」であったりするわけですが、日本の場合は明治維新以降、明らかに自由・民主主義の考え方に従い、国家、社会を建設し続けてきました。
(※なお、「日本にはアメリカのおかげで戦後、自由・民主主義が定着した」、などと勘違いしている人もいますが、これは大きな間違いです。ただし、これについて論じ始めると議論がズレていきますので、機会があれば別稿で説明したいと思います。)
そして、国家のありとあらゆる行動も、最終的には国益の最大化にあります。
(※もうひとつ余談ですが、財務省のように国民経済を破壊してまでも省益である増税を達成しようとする組織は、人体でいえば癌細胞のようなものであり、本来の政府機関としての役割を果たしていない組織でもあるため、日本社会からは排除しなければならない、というのが当ウェブサイトの持論です。)
外交も究極的には国益を最大化するための行動であり、「仲良くできる相手国と仲良くする」ことはもちろん、「国益のためなら、仲が良くない相手国とも我慢して無理やり仲良く付き合う必要がある」という結論になるのです。
人間関係の4類型
このことは、人間関係でたとえてみれば、よくわかります。
誰でも知っている話ですが、人間関係を議論する際に、「感情」「利害」という、少なくとも2つの視点が必要です。「感情」は「その人が好き」、「その人が嫌い」という視点であり、「利害」は「その人と付き合わなければならない」、「その人と付き合う必要はない」という視点のことです。
つまり、あなたから見た世の中のありとあらゆる人間関係は、少なくとも次の4つのパターンがある、というわけです。
人間関係の4類型
- ①好き、かつ、付き合う必要がある相手
- ②嫌い、かつ、付き合う必要がある相手
- ③好き、かつ、付き合う必要がない相手
- ④嫌い、かつ、付き合う必要がない相手
世の中のすべての人にとって、ほかのすべての人が①であれば、社会は円滑に動くでしょうし、私たちにとってもこれ以上楽な人生はありません。この場合にはそもそも人間関係自体を議論する必要などありませんし、以下の議論も必要ありません。
ただ、非常に残念なことに、「私は世の中の人が大好きです」と断言できるような人は、人間社会では少数派でしょう。本稿を読んで下さっている読者の皆さま自身を含め、世の中の圧倒的多数の人が、②の関係を持っているのではないでしょうか。
この②の相手は、もしかしたら職場の上司・部下・同僚かもしれませんし、学校の先生・学友、自分自身の親・兄弟・義理の親戚(たとえば嫁・姑関係)などかもしれません。
ためしに「人間関係まとめサイト」などを覗いてみてください。本当に飽きもせず、この手の「悩み相談」は、それこそ毎日山のように投稿され続けています。
外交は人間関係の延長で把握できる
さて、先ほど示した「人間関係の4類型」、そのまま外交関係にも成り立ちます。
ただし、人間関係でいう「好き/嫌い」、「利害関係がある/ない」は、国家という人間の集合体になった場合にそのまま当てはめることができません。そこで、これを国家次元に転換する必要があるのですが、その際のキーワードは「基本的価値」「戦略的利益」です。
これを展開したものが、「外交関係の4類型」です。
外交関係の4類型
- ①基本的価値を共有して、かつ、外交戦略上、付き合う必要がある相手
- ②基本的価値を共有せず、かつ、外交戦略上、付き合う必要がある相手
- ③基本的価値を共有して、かつ、外交戦略上、付き合う必要がない相手
- ④基本的価値を共有せず、かつ、外交戦略上、付き合う必要がない相手
当たり前の話ですが、日本は「自由、民主主義、法の支配(あるいは法治主義)、人権尊重、積極的平和主義」などの価値を大切にしている国です。
当然のことながら、同じような「自由、民主主義、法の支配、人権、平和主義」などを尊重する国が存在したとしたら、そのような国とは仲良くなれそうですし、逆に、「共産党軍事独裁国家」に対しては、それだけで心の底から打ち解けることが難しくなってしまいます。
その意味では、「日米豪印クアッド」を巡っても、個人的には、カースト制度が色濃く残るインドと、明治維新で「四民平等」を実現した日本が、本当の意味で基本的価値を共有しているといえるのかについては、疑問でもあるのです。
日本ってどんな国?
天皇陛下、世界の平和をご祈願される
さて、意外と私たち日本国民が知っているようで知らないのは、天皇陛下です。
日本国憲法第1条には、次のような規定が設けられています。
天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
そして、今上陛下がご即位された際の、朝見の儀におけるお言葉は、こんな具合です。
「ここに、皇位を継承するに当たり、上皇陛下のこれまでの歩みに深く思いを致し、また、歴代の天皇のなさりようを心にとどめ、自己の研鑽に励むとともに、常に国民を思い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望します。」
つまり、陛下は「国民の幸せと国の一層の発展、そして世界平和」をご希望されているのです。
ここで、陛下が自国の国益だけでなく、世界平和、あるいは諸国の人々の幸せにご言及されている点は、もっと私たち国民が意識して良いと思います。そして、このような陛下を戴いていること自体が、日本という国の本質を示していると思えてならないのです。
(※余談ですが、野蛮な軍国主義で周辺国を威圧する中国という国の国家主席を、天皇陛下の賓客として入国させること自体、いかがなものかと思う次第です)。
V4会合にあわせてて茂木外相がポーランド紙に答える
さて、この「外交とは共通の価値と共通の利益をどこまで共有しているかで決まる」という考え方がよくわかるのが、本稿冒頭でも触れた、外務省のウェブサイトに昨日掲載された次の記事でしょう。
茂木外務大臣書面インタビュー(2021年5月6日付、ジェチポスポリタ紙(ポーランド))/「米国は我々の共通の主要同盟国である」
―――2021/05/11付 外務省HPより
ちなみに「V4」とは、「ヴィシェグラード4ヵ国」、つまりポーランド、チェコ、ハンガリー、スロバキアという、東欧の有力4ヵ国のことです(※『行き詰まる一帯一路構想と中国に失望する中・東欧諸国』などでも触れましたが、奇しくも中・東欧は、中国の「一帯一路」構想における「欧州側の終着点」でもあります)。
茂木外相はこのインタビューで、まず「日本の対EU政策におけるポーランドとV4諸国の重要性」について尋ねられた際、次のように答えました。
- 中東欧の大国であるポーランドは、日本にとって、2019年に国交樹立100周年を迎えた歴史的な友好国である
- 両国は戦略的パートナーとして、政治、経済、文化等、幅広い分野で協力を発展させてきた
- 法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化するため、日・EU協力、そしてEU内で存在感を高めるポーランド及びV4との連携強化の意義が一層高まっている
つまり茂木外相は今回、遠く離れたポーランドに出掛け、「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化が大切だ」と述べてきた、というわけです。
遠く離れたポーランドで「基本的価値」強調する茂木外相
これは、大変に重要な発言です。
「法の支配」、「自由で開かれた国際秩序」を、(実質はともかく建前上は)ほかのどこの地域よりも重視しているのが欧州連合(EU)であり、旧共産圏でありながら、いまやEUのメンバー国あるポーランドで、こうした発言をすること自体、日本に対する国際的な尊敬を高める行動でもあります。
こうしたなか、「地政学的観点から、日本はポーランド及び中・東欧地域を戦略的に重視しているか」という質問に対し、茂木外相はこうも答えています。
- 日本とポーランドはともに米国の同盟国でもある
- 日本は米国などとともに、基本的価値や原則に基づく国際秩序の構築を目指す「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組を推進している
- 先般、EUが「インド太平洋協力のための戦略」文書を発表したことを歓迎する。
- ポーランド及びV4の積極的な支持を得て、EUが結束してインド太平洋地域への関与を深めていくことを期待する
まさに、地理的に遠く離れたポーランドに対し、「貴国とわが国は同じ価値を共有している」と発言すること自体、相手国からもかなりの好感が得られる行動ではないでしょうか。
茂木外相の中国に対する視点
さて、茂木外相の発言で興味深いのは、これだけではありません。
「米中対立が激化する中、日中関係の将来をどう見据えているか」という質問に対し、茂木外相は次のように言い切りました。
「【茂木外務大臣】中国については、気候変動や新型コロナ対策で中国との協力も模索しつつも、それによって、民主主義、基本的人権の尊重といった普遍的価値で譲ることはないというのが、日米共通の立場です」。
まさに、茂木外相は中国を、当ウェブサイトの分類でいうところの②、「基本的価値を共有していないが、戦略上は付き合わざるを得ない国」と認識しているのです。
そのうえで茂木外相はこうも述べています。
「先般の日米首脳会談や『2+2』でも、地域情勢につきやり取りをする中で、中国についても意見交換を行うとともに、ルールに基づく国際秩序に合致しない中国の行動について懸念を共有しました。そして、こうした問題を背景に、中国と率直な対話を行うことが必要であること、また、普遍的価値を擁護しつつ、国際関係における安定を追求していくことで一致しています」。
茂木外相のこの発言自体、日本が外交的に、非常に成熟した態度を取る国であるということを強く印象付けたのではないでしょうか。
日本外交は良い方向に変わった
さて、茂木外相といえば、中国の王毅(おう・き)外相が昨秋来日した際、尖閣諸島に関する発言を巡り、「炎上」したという事件もありました(『習近平氏は「来なくて良い」=王毅氏の尖閣発言の波紋』等参照)。
ただ、一部ネット界隈では茂木外相に対する厳しい見方も目にするのですが、あくまでも外務省から直接発信される茂木氏の発言などを読む限りにおいては、茂木外相本人こそが「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の戦略的価値を正確に理解し、行動していると思えてなりません。
実際、『日本政府、外交青書でFOIPから中韓を明らかに除外』や『外交青書:基本的価値の共有相手は韓国ではなく台湾だ』でも報告しましたが、FOIPの用語はむしろ、安倍総理が退任後、菅政権が発足してから活発化したフシがあります。
もちろん、外務省のともすれば「外交事なかれ主義」的なこれまでの行動を踏まえるならば、外務省が「完全に良い方向に変わった」と判断するのは尚早でしょう。
しかし、日本がFOIPを前面に掲げた外交を積極展開し始めているという事実に加え、日本が「まず、相手国が基本的価値を日本と共有しているかどうか」を見極める姿勢に転換したこと自体、素直に「大変に良い変化だ」と考えて良いと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
信頼できる専門家を見抜く目を養うべきとのブログを書きましたが、一般常識や知見から専門外の分野についても考えることも大事なことですね。
今上天皇皇后両陛下の台湾島ご訪問のある日を祈念している一国民です。それで日中関係が損なわれたりあるいは両国交戦状態になるのあれば、そもそも両国関係はその程度のものであったと歴史に書き記されるだけと当方はそのように考えます。
本記事とはあまり関係ありませんが、
大正時代にロシア国内の混乱でシベリアにいたポーランドの孤児を日本が救出したことがあるそうです。
日本の人はほとんど知らないことだけど、ポーランドの人はそれをよく覚えていて、日本にいい印象を持っていると聞きました。ポーランドの人に聞きました。
国と国の関係も人と人との関係と同じで誠実な行動が信頼につながるんだなと思いました。
匿名様へ
そのとおりです。18世紀にポーランドは、ロシアやプロイセン(ドイツ)などにより分割され、国家が消滅しました。その過程で抵抗運動に参加した人々やその家族がシベリアに流刑になりました。その後、第一次世界大戦の戦場となり、流民となってシベリアにたどり着いた人々も併せて約20万人になったそうです。その後のロシア革命の混乱により、彼らの生活は困窮を極め、せめて両親を亡くした孤児だけでも助けてほしいと、当時シベリアに出兵していた米、英、仏、伊、日本に救済を懇願しましたが、救いの手を差し伸べたのは日本だけだったそうです。こうして765名の孤児が救出され、日本で健康を回復して、全員が無事ポーランドに帰国することが出来たそうです。
また、リトアニアの日本領事館で「命のビザ」を発給した杉原千畝が救ったのは、ポーランドからのユダヤ人避難民でした。
現在、ポーランドでは、毎年、「日本祭り」が開催され、賑わっているそうです。
>「平和」と「繁栄」
「国益」のために戦争するのはありなのか。竹島や北方領土奪還の戦争はありかなしか。拉致被害者を救出するために北朝鮮と戦争も辞さないべきなのか。昔考えたことを思い出しました。
国益のための戦争には反対だが、拉致被害者を救出するために北朝鮮と戦争するのはあり得ない話じゃないと考えました。まあ政府にやる気はないという結論に落ち着きましたが。
2020年1月に、チェコの首都プラハのフジプ市長が、台北市と姉妹都市協定を結ぶと表明していましたね。
それに先立つ 2019 年 10 月には、北京市との姉妹都市協定を解消していました。
その後も、EU の対中姿勢にチェコが果たした役割は、大きなものがありました。
V4という括りは初めて知りました。
チェコとスロバキアは、かつて一つの国だったこともあり、似たところがあります。
ポーランドは、これら2国とはちょっと違い、ハンガリーに至っては、随分異なる気がします(否定的な意味ではなく)。
いずれにせよ、東欧諸国と日本がよい関係を築いてゆけることを歓迎します。
更新ありがとうございます。
茂木外務大臣書面インタビュー、ジェチポスポリタ紙(ポーランド)の記事、読みました。なかなか深く考えさせるインタビューですね。
法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化するため、「EUとの協力、ポーランド及びV4との連携強化の意義が一層高まっている」と言う茂木外相のコメント、とても良いです。
ともすれば英国や仏国よりも遠いイメージ、経済的な繋がりもまだまだこれからですから、楽しみです。FOIP(開かれたインド太平洋)に面した国以外でも、昔はソ連邦に抑圧されてたポーランド、チェコ、ハンガリー、スロバキアの東欧の有力4ヵ国とも基本的考えが一致すれば、絆は太くなるでしょう。
専門外を語るの悪例として、韓国の歴史学全般があります。
歴史や考古学について韓国紙で語る「教授」たちは例外なく、他の分野で博士号を取ったり教授職に就いたりしています。韓国では真面目に歴史学を研究して賞賛を受けるような成果をえることが出来ません。そんなことをするより、他分野で得た肩書きで権威付けをして歴史学に参戦する。それが一番手っ取り早いです。
今までの成果のおいしいところをつまみ食いしたり、不都合な部分は妄想で補ったり。
基礎となる成果は結構戦前戦中の日本人のものだったりするんですよね〜
外交官OBが韓国を同盟国と言及するのは、ポジショントークだと思いますよ。本音は別のところにあると思います。外交官OBとして有料執筆活動をするのであれば、それなりに現外務省の方針に沿った立場をとる必要があります。でなければ仕事がきません。第三者的な評論が欲しいのであれば、ブログ主のほうに執筆依頼がくると思います。そのほうがアクセス数が増えますから。
> 日本が外交的に、非常に成熟した態度を取る国であるということを強く印象付けた・・・
これではますます変な野党が政権を取ることはあってはならないことになります。
立憲共産党でなく立憲民主党や共産党は、そのメンタリティや行動が日本近隣の C国、南北K国、R国と同じように見えます。(特に前3国)
民主党は態度を変えてきていますが今のところ「用日」派のような感じでしょうか。
与党のK党は「在日K国民」でしょうか?
やたらにGDPでばかり論じると経済を見誤るのと同じように、兵員数などで論じても外交軍事は誤ります。全員が関ヶ原にでも集まってヨーイドンするならまだしも。
さて、髪や皮膚といった人体の部位を論じるのに、皮膚科医とメイクアップアーティストとでは真逆の事を言ったりしますね。食べ物でも、栄養士と調理師で見解が分かれたり、さらには歴史家や化学者まで乱入すると、乱闘発生です。そいや野菜も、生産者・消費者・市場・学者……でそれぞれが言う「良いモノ」もバラバラだなぁ(それぞれ生産性・味・販売性・成分、などに分かれるでしょうか)。同じ”分野”には従事していても、各々が取り扱う重要としている要素が違いすぎます。
武漢肺炎対策においても顕著でしたね。水虫の専門家がコロナウイルスを語ったり…といまだに口を出しているようですが。
その道の人からすればどれも真実なのでしょうし、多角的に物事を見るのは良いのですが。取りまとめる(あるいは取捨選択をできる)強いリーダーが必要になります。
農民 様
正鵠を射たご意見と例に感服しました。
>その道の人からすればどれも真実なのでしょうし・・
ただ、これは目的を押さえずに、反射的に、思い込みで、ある種専門バカとして、勝手に自己の視点に基づいて意見を述べる場合に起こると思います。
>取りまとめる(あるいは取捨選択をできる)強いリーダー
が備えるべきは、
①目的をしっかり押さえ
②現状を正しく把握・理解し
③それらに照らして意見・方針・策を取捨選択及び優先順位付け出来き
④選択した意見・方針・策を実行する力
だと思います。
> カースト制度が色濃く残るインドと、明治維新で「四民平等」を実現した日本が、本当の意味で基本的価値を共有しているといえるのか
この点については、過度に強調するべきではないと思います。これを言い出したら、日本だって米豪のようにキリスト教的価値観を共有などしていません。インドで今なおヒンズー教的価値観が影響を持っている(らしい)ことは否定できませんが、少なくとも法的には否定されているはずです。そして日米豪でも暗黙の階級差が全く存在しないとはとても言えないでしょう。であれば、カースト制度の名残が今なお存在していることでもって「価値観を共有していない」と疑う根拠としては薄弱であると思います。
外野から見ていていくつか不審に思うことはありますが、現時点でインドが世界最大の民主主義国家であるということを疑うに足る欠陥はないと思います。そもそも、アメリカ合衆国を含め、完全無欠の民主主義国家など地球上に存在しません。
FOIPが「価値観や理念の共有」をベースとした枠組みであるという点に疑問はありませんし、それは戦略的にも正しい方向性であると思いますが、まず「価値観共有ありき」という捉え方には若干疑問があります。インド太平洋という「地域」を対象としている限り、地政学的な要素を無視できません。一番重要な点である「法の支配 or 法治主義」という点さえ守られるのであれば、極端に言えば、少々の価値観の食い違いがあっても問題はないと考えます。FOIPの目的が「中国の野放図な膨張主義の抑止」であるとするならば、大同小異という視点は重要であり、致命的なものでない限り、少々の食い違いを咎め立てするべきではありません。
もちろん、「価値観」という視点が単なるお題目であるというつもるはありません。「中国の膨張主義の抑止」というのは、すなわち「中国的価値観を共有することへの拒否」に他ならないからです。一帯一路構想に見られるように、中国の膨張主義が天朝冊封体制への回帰を目指すものであるとするならば、それを拒絶すること、少なくとも許容しないことに大きな意味があります。なぜなら、日本にとって、FOIPは天朝冊封体制を海洋側から拒否するための枠組みであると考えているからです(おそらく、その点に関してはアメリカとも微妙にズレがあるはずです)。
そのように考えると、FOIPおよびQUADにおいて、インドは極めて重要なカギを握る国となります。西太平洋ばかりではなく、インド洋をも併せたことで、中国的膨張主義は海洋への展開がかなり制限されます(インドが中国と結託した場合を想像してみてください)。FOIPの将来的な姿は何とも言えませんが、当面はこの方向で良いと考えます。
余談:
つまるところ、法治国家ではなく、かつ天朝冊封体制への回帰を不満としない国はFOIPに参加させるべきではないということです。まあ、このように書くと、該当する国は限られますけれども。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(そう自分に言い聞かせないと、素人が舞い上がってしまうので)
(日本外務省だけとは限りませんが)日本の組織の場合、畑違いの人間が、自分たちの領域に口を出すのは、組織のヒエラルキーを乱す可能性があるので、嫌うのではないでしょうか。(なにしろ、これまでの出世の方法が、まるっきり変わるかもしれないので)
蛇足ですが、入管法改正が議論されていますが、これは「朝鮮有事の際に、難民が日本に流れ込んでくることも、想定している」と考えるのは考えすぎでしょうか。
駄文にて失礼しました。
独断と偏見です。(キッパリ)
バチガイナなカキコです。
司馬遼太郎が『坂の上の雲』で旅順攻防戦、奉天会戦で何度も述べていますが、戦の専門家である陸軍大学校卒の参謀の難解な作戦理論よりも、シロートでも簡単に理解出来る戦争理論の方が正しい、と何度も何度も述べています。
いまでは司馬史観と批判されている様ですが、あとの時代のニンゲンは新しく発見された資料で間違いを見つけて批判(だけ)するのは簡単だと思っています。
害務省OBの何ちゃらさん(武藤さんも含め)チョット信用出来ないワタシがいます。
ワタシは基本的にその道の専門家の言ってる事は、眉に唾をつけませんが、タメにするためのゲンドウかも知れないと、疑って聞いています。
何ごとにも例外は有ります。突っ込まれる前に弁解します。
お医者さん………、です。
蛇足です。
チョットお腹が空いたので、ミスでは卒業して美味しそうなモノを探してきます。
何が言いたいかとか言いますと、専門家モドキ、評論家の言ってる事は信用していません、です。
文在寅の約束破り様様です!普通の国同士の関係に!