日中貿易高に見る:「14億人市場」説の大きな間違い

日中貿易は中国の輸出高と見事に連動している(らしい)

中国の輸出は今年1月以降、前年同月比で2桁成長が続いています。コロナ禍のためでしょうか、電子デバイスなどの需要が伸びているからです。こうしたなか、日本の最新データを用いると、対中輸出高についても大きく伸びていることが確認できます。ただ、これについては手放しで喜んで良いものでもありません。

G7外相会合で大きな成果=日本

【資料】G7外相会合コミュニケ』で取り上げたとおり、日本でいうゴールデンウィーク中に英国・ロンドンで開催されたG7外相・開発担当相会合では、日本が推進する「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」と並び、北朝鮮の非核化や中国の無法行為に対する懸念が盛り込まれました。

あくまでも個人的な主観に基づき採点するなら、今回のG7に関しては100点満点とまでは言いませんが、「FOIP」「北朝鮮」「中国」という3つのファクターが盛り込めたという時点で、80点以上は取っていると考えて良いと思います。

中国リスクの最小化

日中関係についてじっくり考える

こうしたなか、日本がこれから国を挙げて急がねばならない課題があるとしたら、そのひとつが「中国リスクの最小化」にあります。

この点、ウェブ主自身は今年1月8日、ジャーナリストの櫻井よしこ氏が理事長を務める「公益財団法人国家基本問題研究所」(国基研)にお伺いし、櫻井氏を含めた国基研の企画委員の皆さまと『数字で読む中国経済』をテーマに議論をさせていただきました。

国基研で「数字で読む日中関係」について意見交換した

―――2021/02/14付 当ウェブサイトより

「数字で読む中国経済」 新宿会計士

―――2021/01/08付 国基研ウェブサイトより

詳細については当ウェブサイトないし国基研ウェブサイトの過去記事をご参照いただきたいと思いますが、ごく大ざっぱにいえば、「日本にとって中国は大変に重要な国ではあるけれども、日中関係は『切っても切れないものである』とまでは言えない」、というのが当ウェブサイトの主張です。

じつは、同じ趣旨の内容は、産経新聞社が刊行するオピニオン誌『月刊正論(令和3年1月号)』に寄稿した『「切っても切れない日中関係」の幻想』(同P74~)という記事のなかでも主張させていただいた次第です。

「日中関係は大事」とする3つの論拠

さて、当ウェブサイトの主張を簡単にいえば、日中関係に関しては深化させないで管理することが可能ではないか、というものです。ただ、これについて考える前に確認しておきたいのが、「日中関係は果たして重要なのかどうか」という点です。

よく「日中関係が重要だ」と述べる人は、たいていの場合、大きく次の3つの論拠を持ち出します。

①一衣帯水論

日本と中国は地理的にも歴史的にも近く、いわば、一衣帯水の関係にある。日中関係は切っても切れないほど密接であり、隣国同士、未来に向けてともに手を取り合い、発展していかねばならない。

②世界の工場論

中国は安価で豊富で優秀な労働力を抱え、「世界の工場」として発展しつつある。コスト優位性の観点からも、日本は「世界の工場」である中国と付き合っていかねばならない。

③巨大市場論

中国の人口は14億人ともいわれるが、この国が豊かになれば、その分、巨大な市場が出現する。日本企業はこの大きなチャンスを逃してはならない。

…。

これらについて、どう考えればよいのでしょうか。

①は論外、②③も微妙

このうち①については論外です。

「地理的・歴史的に近い」からといって、自動的に「両国関係が重要である」、という結論にはなりません。

実際、日本は地理的・歴史的に近いとされる北朝鮮とはほぼ断交状態にありますし、歴史的な関係はともかく地理的には近いロシアとも、さほど深い付き合いはありませんが、それで日本が困っているかといえば、実際のところ、ほとんど困っていません。

同じく、諸外国の事例を見ても、知地理的・歴史的に近い関係にある国々が密接に付き合っているとは限りません。むしろイスラエルとアラブ諸国、米国とキューバのように、ときとして敵対する関係にあるような事例も散見されます。

したがって、地理的・歴史的な距離感は、両国関係を決定するうえでの必然的な要素ではないのです。

ただ、②や③については、いまだに経団連所属企業の高学歴経営者の皆さんや、「経団連のミニコミ紙」こと日経新聞あたりが勘違いしている論点でもありますので、少し補足しておく必要があるでしょう。

人件費は高騰し、コスト優位は剥落

まず、②については、昨年の『人件費上昇でコスト優位を失う生産拠点・中国の現状』でも議論したとおり、そもそも中国が諸外国に比べ、圧倒的なコスト優位を保持しているという状況はすでに失われています。

ことに、三菱UFJ銀行・国際業務部作成『中国主要都市の最低賃金推移』(※PDFファイル)などを閲覧しても、この7~8年で見て、広東省など「珠江デルタ」と呼ばれる地域では最低月額賃金は6~7割上昇していますし、これが北京、上海などの大都市だと上昇率は9割前後です。

また、JETROが2020年4月15日付で公表した『アジアの労務コスト比較、意外に大きい賃金水準の地域差』という地域分析レポートの結果は、さらに露骨です(図表1)。

図表1 在アジア日系企業の月額基本給(ドル)
製造業非製造業
中国4931,029
タイ446859
インドネシア348472
マレーシア414890
インド278703
フィリピン236520
ベトナム236570
カンボジア196529
ラオス160540
ミャンマー159411
パキスタン129288
スリランカ130328
バングラデシュ104371

(【出所】『アジアの労務コスト比較、意外に大きい賃金水準の地域差』をもとに著者加工)

これによると、在アジア日系企業の人件費は、製造業、非製造業ともに中国がほかのアジア新興市場諸国を押しのけて圧倒的トップであり、とくに非製造業に至っては月額基本給が平均で1000ドルを超えているという状況だそうです。

正直、「コスト優位」といわれても、なんだか説得力がありません。

貿易高は中国の輸出と連動?

日中関係の現状

さて、「日中友好関係論」を裏付ける言説のなかで、最も実態から遊離している考え方のひとつが、③の「巨大市場論」なのですが、これについては後述します。

その前に、「ヒト・モノ・カネ」で見て、現在の日中関係がどうなっているのかについて、確認しておく価値はあるでしょう。ここで参考になるのが、日中交流の状況です(図表2)。

図表2 日中交流の状況
項目具体的な数値情報源と備考
①訪日中国人(2019年)9,594,360人訪日外国人総数(31,882,062人)の30%
②訪中日本人(2017年)約268万人出国日本人総数(17,889,292人)の15%
③在日中国人(2019年12月)813,675人在日外国人総数(2,933,137人)の28%
④在中日本人(2018年10月)120,076人海外在住日本人(1,390,370人)の9%
⑤対中輸出高(2020年)15兆0828億円日本の輸出高全体(68兆4066億円)の20%
⑥対中輸入高(2020年)17兆4776億円日本の輸入高(67兆7369億円)の25.8%
⑦対中貿易収支(2020年)▲2兆3948億円日本の貿易収支は6697億円
⑧日本企業の対中直接投資(2019年12月)1303.1億ドル日本企業の対外直接投資総額(1兆8583億ドル)の7%
⑨中国企業の対日直接投資(2019年12月)48.6億ドル日本に対する対内直接投資総額(3103.2億ドル)の1.57%
⑩金融機関の対中与信(2020年3月、最終リスクベース)879.3億ドル日本の金融機関の対外与信総額(4兆6905億ドル)の1.87%

(【出所】①日本政府観光局、②AFP通信記事とJTB総研データ、③法務省、④外務省、⑤~⑦財務省、⑧~⑨JETRO、⑩国際決済銀行)

簡単にいえば、①~④が「ヒトの流れ」、⑤~⑦が「モノの流れ」、⑧~⑩が「カネの流れ」です。

本当はこれに「情報の流れ」を推し量るデータも欲しいところですが(留学生の交流状況、インターネットの通信量など)、残念ながら信頼し得る世界統一的な尺度の指標に基づく統計というものが、なかなかみつからないのが現状でもあるため、このあたりは「今後の課題」といったところでしょう。

そして、「ヒトの流れ」「モノの流れ」に関していえば、確かに非常に多いのですが、「カネの流れ」に関しては、日中の経済規模、両国の地理的な関係などを踏まえると、意外なほどに少ないということに気付きます。このあたりに、日中関係の今後を占うヒントが隠されているのだと思う次第です。

つまり、「ヒト」、「モノ」の流れはたしかに膨大ですが、「カネ」については、日中関係はさほど重要ではないからです。

普通貿易統計の最新データ

こうしたなか、財務省が作成する『普通貿易統計』については、現時点において、2021年3月末までのデータが提供されています。

これについて眺めていくと、非常に困ったことに、日本の対中輸出額が大きく増えてしまっていることが判明します(図表3)。

図表3 日本の輸出相手国(合計額と上位10ヵ国の内訳、1~3月)
相手国2021年1~3月前年同期比
中国4兆0414億円+8178億円(+25.37%)
米国3兆3332億円▲1707億円(▲4.87%)
韓国1兆3488億円+1151億円(+9.33%)
台湾1兆3169億円+1358億円(+11.49%)
香港8724億円+607億円(+7.48%)
タイ8496億円+894億円(+11.76%)
ドイツ5307億円+95億円(+1.83%)
シンガポール5122億円▲156億円(▲2.96%)
ベトナム4672億円+118億円(+2.58%)
マレーシア4272億円+554億円(+14.89%)
その他5兆4963億円▲221億円(▲0.40%)
合計19兆1960億円+1兆0870億円(+6.00%)

(【出所】財務省『普通貿易統計』をもとに著者作成)

(※本当は輸入データについても分析を実施しようとしたのですが、『政府統計の総合窓口』を通じて入手しようとすると、現時点でデータが壊れてしまっているようであるため、とりあえず本稿では輸出高のみを分析対象としています。)

これによると、1月から3月までの日本の輸出高は前年同期比+1兆円と大きく増え、合計で19兆円少々に達しました。とりわけ最大の輸出相手国は中国ですが、この3ヵ月間だけで4兆円のおおだいにたっし、しかも前年同期比でみると8000億円以上増えているのです。

これは、いったいどうしたことでしょうか。

日中貿易は「資本財輸出」

これについて検討するうえで、日本の対中輸出高を品目別に分解してみました。これが、次の図表4です。

図表4 日本の対中輸出高の品目別分解(2021年1~3月)
品目名2021年1~3月前年同期比
合計4兆0414億円+8178億円(+25.37%)
 うち機械類及び輸送用機器2兆1703億円+3970億円(+22.39%)
   一般機械9615億円+2229億円(+30.18%)
   電気機器8096億円+1156億円(+16.66%)
   輸送用機器3991億円+584億円(+17.16%)
 うち化学製品7065億円+1415億円(+25.04%)
 うち原料別製品4743億円+1016億円(+27.25%)

(【出所】財務省『普通貿易統計』をもとに著者作成)

…。

いかがでしょうか。

「一般機械」、「電気機器」、「化学製品」、「原料別製品」は、いずれも「モノを作るためのモノ」、すなわち生産財や中間素材などです。

中国に対しては、「最終製品」であるはずの「輸送用機器」(自動車など)の輸出量もたしかに多いのは多いのですが、3ヵ月間で4兆円を超える輸出高の多くを占めているのは、結局のところ、「モノを作るためのモノ」、というわけです。

そして、おそらく中国に対する輸出高が伸びている理由も、「中国における製造活動が活発化しているから」だと考えると、辻褄が合います。というよりも、対米貿易が好調であるため、中国は1月から4ヵ月連続して、輸出、輸入がともに2ケタの増加となったようです。

中国、輸出・輸入とも2ケタ増 4月、対米貿易が好調

―――2021年5月7日 13:16付 日本経済新聞電子版より

すなわち、中国における製造活動が活発化すればするほど、「世界の工場」である中国における「モノを作るためのモノ」の需要が伸び、日本から中国への輸出も伸びる、というわけです。

おそらくコロナ禍の影響でPC、タブレット、スマートフォンなどの電子デバイスの需要が伸び、それが中国の製造業を潤しているであろうことは、想像に難くありませんし、それがデータのうえからも明らかになったと述べて良いでしょう。

「巨大市場」はどこに行った!?

ただ、ここまでの流れを見て、「日本企業が中国に進出すべき理由」の3番目、すなわち「14億人の巨大市場」理論は、いったいどこに行ったのかと疑問に感じます。

もしも、中国が14億人の一大消費市場となっているのであれば、日本から中国への輸出高も、家電製品だの、農作物だのといった「最終消費財」などで占められていなければおかしいはずですが、現実にはそうなっていないのです。

じつは、日中貿易においては、日本は中国に対し、「モノを作るためのモノ」を輸出し、中国からは最終消費財(とくにスマートフォン、PC、家電、衣類、100均などで売られている雑貨など)を輸入するという関係にあります。

このあたり、「14億人の巨大消費地」という議論自体、かなりの誇張であるという証拠にほかなりません。

しかも、中国は製造拠点を自国に誘致することなどを通じ、諸外国から技術を獲得し、そのことを通じて産業競争力の強化につなげてきたのです。

まさに、G7外相会合コミュニケでいうところの「技術の窃盗」そのものでしょう。

中国にはFOIP+G7で立ち向かう

さて、日中関係論に関しては、言いたいことは、ほかにもたくさんあります。

ただ、本稿ではひとつの事実として、「日本から中国への輸出品目のうち、多くを占めているのが生産装置や中間素材などの『モノを作るためのモノ』である」という統計データ、「中国の対外輸出が増え、日本の対中輸出も増えている」という統計データの存在を指摘しておきたいと思います。

要するに、現時点においては、中国が「事実上の世界の工場」となってしまっており、全世界が中国に依存しているという状況にあるため、なかなか中国との「デカップリング」ができる状況にはない、ということです。

ただ、それと同時に、G7外相会合コミュニケでも明らかにされたとおり、中国がさまざまな国際法を守らず、通商の世界においても不公正な競争体制を維持していること自体、日米英欧を含めた西側諸国が一致して対処しなければならない問題点でもあるのです。

当然、中国とは日本が単独で、米国が単独で、あるいは英国や欧州連合(EU)が単独で立ち向かうべきではなく、G7(日米英欧加)やクアッド(日米豪印)などが一致団結し、連携しなければならない時代、というわけです。

当ウェブサイトとしても、こうしたデータに基づく最新状況については、今後も随時、報告していきたいと考えている次第です。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. イーシャ より:

    14億人の市場などというのは幻想であり、中共がばらまいた嘘です
    中国人民の大部分は、日本の最終製品を買えるほど豊かではありません。
    習近平総書記は、貧困を根絶したと宣伝していますが、
    豊かなのは中共の一部幹部と、上海など一部の都市の富裕層だけです。

    ウイグルなどで収奪しているように、他国から収奪しているように、
    中共は中国内の人民からも収奪を続けており、多くの人民は豊かになどなりようがないのです。

    1. はにわファクトリー より:

      中國制造品は世界に溢れていますが、特に生活用品資材を中心に現状クオリティはお寒い限りです。Made in China には二通りあり、日本で売られているものとそれ以外で大別できると暗黙の了解があります。世界の貧困に付け込んで彼らは勢力を伸ばしてきた、そう言って過言でないでしょう。インチキ商品インチキ商法に日本は関わってはなりません。製品購入であれ製造支援であれ。国を挙げ地球規模で焼き畑農法を敷衍する20世紀の亡霊たちがいるとすれば、それは誰のことなのでしょうか。

    2. 農民 より:

       寿命だけ語っても寝たきりじゃ意味が無いから”健康寿命”なんて指標ができたのですから、同じように中国の”実質の市場規模”を測定できれば面白いのですけどね。
       国の借金論で「GDPの何倍~」とか無意味なことをしていますが、こちらでもGDPを基準にしようなどとするとダメですね。構造の歪さで全部台無しになっている(成り立って見せている)国なので。

       その点、新宿会計士様の、分野ごとの”金額”を分析する試みは面白いですね。

      1. 迷王星 より:

        >中国の”実質の市場規模”を測定できれば面白いのですけどね。

        製造装置ではなくて食料や家電製品や自動車など一般人が購入する消費財の品目に関する輸入額を合計すれば良いのではないでしょうか。

        1. 農民 より:

           そうですね、資料さえあれば案外簡単ですか。中国発表だけではなく相互に記録が残るわけですし。
           10~20年前あたりの中国進出に鼻息の荒かった経営者たちは、無責任な経済紙の煽りに乗るだけで、数値を見てなかったということでもありますか……伸び率という点では確かにすごかったのでしょうが。

  2. 月路です より:

    一衣帯水は、
    西暦589年、隋(都:長安)が陳(都:南京)に総攻撃を仕掛ける際、文帝が軍を鼓舞するために行った演説
    「一本の帯のように細い長江は障碍ではない。南朝人民を救おう!」
    の中で使った言葉
    https://www.y-history.net/appendix/wh0302-001.html

    2020年11月24日、王毅外交部長が
    「中日は一衣帯水のような関係」
    https://japanese.joins.com/JArticle/272761
    と述べたのは、或る日突然、総攻撃をかけて日本人民を開放する旨の宣言か?
    その翌々日、王毅外相は、韓国の康京和外相との会談で「守望相助」と中韓関係を表現した。日本に対抗して共に守り互いに見張りをしながら助けようと提案したのか?
    https://japanese.joins.com/JArticle/272761?sectcode=A30&servcode=A00

  3. ぬくぬく より:

    支那との関係は重要ですが、それは安全保障上の脅威でもあるからですね。支那は日本最大の輸出國ではありますが、最終消費財の輸出はあまり多くなく、中間財の輸出が多い。そのため14億人の市場は幻想に過ぎません。
    日本の支那への直接投資が必ずしも多くないのは良いことですね。日本の安全保障上の最大の脅威を日本が育てることはない。
    日本のGDPが成長しないで支那と益々離されると苦しくなりますから、緊縮財政を積極財政に転換してGDPを早く増やさねばなりません。

  4. 匿名29号 より:

    日本人は攻めるのは得意ですが、守るのはめちゃくちゃ不得意です。バブル崩壊後に守りの経済に回らねばならなかったのが、相変わらず攻めることばかり考え中国他へ生産工場や技術を移転し続け、ジリ貧の30年を招きました(結果論ですが)
    「14億人の市場」などの無意識に乗り遅れまいとあせりを与えるようなキャンペーンに惑わされずに、産業を国内に回帰させるのは同じく30年はかかると思い、じっくりと考え直す岐路に立っていると思います。

  5. yoh より:

    中国の輸出が増えると、日本から中国への輸出も増える構造になっているということですね。

    ただ、ウイグル、チベット、内モンゴル、香港等における人権侵害や、経済の中国依存への警戒等を理由として中国からモノを買わないのがトレンドになっていく感じを受けます。
    また、重要品目の内製化も各国推進していくだろうと思われます。

    オーストラリアでは戦略経済対話の中止、州政府が結んだ一帯一路協定の破棄、
    (https://news.yahoo.co.jp/articles/cf2f8e81aff6f3fed1285c4a92811fdf62ec1689)
    EUでは昨年末メルケルさんがまとめたEU中国投資協定の批准凍結、
    (https://news.yahoo.co.jp/articles/cb82679f43d5a17c9ef6f43921ca3489a4bec630)
    アメリカでは半導体の内製化
    (https://news.yahoo.co.jp/articles/f63052f08073ad9e9771d6847673d0b0e4e83966)

    ただちに世界経済から中国を切り離しはしないが、一方でこれ以上中国の存在感が増すのは許容しない、というのがおおまかな流れであると認識しています。

    この仮定が正しいとするなら、日本の対中輸出は頭打ちになると思います。

    DEEP MAXさんという方が簡潔に説明してくださっていますが、中国は国内経済が脆弱で、国内製造品を内需で消化できない構造になっているためです。
    (https://www.youtube.com/watch?v=2On3DsqFwHo)

    輸出が伸びず、14億という巨大市場も幻想なら、日本が中国の市場にこれ以上深入りする理由もないように思います。

    RCEPはやすやすと国会承認されてしまいましたが・・・

    1. 団塊 より:

      > yoh さん
      >2021/05/08 11:38 11:38
      >中国の輸出が増えると、日本から中国への輸出も増える構造になっているという…

       正確には
      日本からChinaへの輸出が増えた後にChinaの輸出が増えるなんじゃないですか!
       別の言い方をするなら
      日本が輸出したからChinaが輸出できる。日本が禁輸したらChinaは輸出できない!
       日本が禁輸したらChinaは半導体が作れない。原爆も作れない。
       半導体が作れなきゃ5G、スマホ、ミサイル、軍用機も軍用船も作れないでしょうね!

  6. カズ より:

    14億人市場が虚実ならば、生産財の供給先は中国でなくていいんですよね。
    で、そのためには「原材料の調達先」を代替しないとなんですけどね・・。

  7. しきしま より:

    「14億の市場」なんてのが既に怪しいのですが、百歩譲ってそれが本当だったとしても、10年後にはその市場の購買力は激しく落ちるでしょう。
    資源涸渇やら地球温暖化、さらにはコロナのような謎のウイルス流行などで、今後は中国に限らず「そもそも生き残れる人」が減っていくのだと思います。

    悪いけど中国は出遅れました。
    列強が植民地確保に血眼になっていた頃や、日本が必死に欧米を学んでいた頃、中国は惰眠を貪っていました。
    いまさら「我々も同じ人間だ、先進国と同じ生活させろ」などと言っても、それを可能にする資源は残っていません。
    おそらく14億のうち9割くらいは永遠に貧困から脱出できないままジリ貧で減っていくと思います。
    いわゆる先進国も「大きな市場で大量に製品を売って稼ぐ」という生き方を見直さなければいけないと思います。

  8. 団塊 より:

     半世紀前の日本(一億総中流と言われた時代)を思い出せば!
     Chinese1000万人いるかなぁ~、超お高くなってしまった今現在の made in JAPANをジャンジャン買えるChineseが。
     と
    分かるのにねぇ~!
     半世紀前、公務員の初任給が約三万円、年収五十何万円で、今現在の大半のChineseより高給取りだね。
     あの頃の日本人(消費税なし、アパートはテレビなし冷蔵庫なし風呂なしトイレ共用、台所は共用、電話なし)では、
     今のmade in JAPANは勿論海外製品の日本のメーカー品は、お高すぎて手が出せない。
     まして年収数千円、数万円とか十数万円の13億何万人のChineseには日本メーカーの製品を手に取ることすら無理!
     こんな当たり前のことが分からん社長さん達って夢でもみてるのか!それとも単なる🐎🦌なのか!
     いやぁ~、ほんとうに不思議だね。
     
     

    1. 団塊 より:

      訂正です。
      × 勿論海外製品の日本のメーカー品は、

      ○ 勿論、海外製の日本のメーカー品は、

  9. mog より:

    自動車メーカーだと、トヨタの中国投資はアメリカの1/50以下で例えるならお付き合いのための町内会費程度。
    軸足は完全に外れていてイザとなれば中国市場から逃げる気満々でしょう。
    心配なのはホンダと日産で、特に日産は起死回生を狙って中国にオールインしてるのが最悪ですね。
    個人的には「野生の勘」で何度も危機回避してるスズキが中国から完全撤退したので、そろそろ危ないのかなと思っています。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

カズ へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告