現在の日本では、「NHKが存在することによって、国民がいかなる便益を得ているのか」、「その便益を得るために国民が支払っているコストは妥当なのか」、という視点からの議論があまりにも不足し過ぎています。このことは非常に深刻な問題であり、私たち国民がまさに「自分の問題」として議論に参加しなければなりません。改めてそのことを痛感する話題を発見しました。
NHK問題
以前から当ウェブサイトで積極的に取り上げている話題のひとつが、NHK問題です。
これについては直近、「どうやら、NHKがネット課金を目論んでいるらしい」という産経ニュースの報道記事を、先週の『日本国民に「NHKを倒産させる権利」はないのか?』でも紹介したところです。
当ウェブサイトの問題意識は、NHKという組織が「NHKの番組を見る、見ない」を問わず、テレビを設置しただけで一律に、決して安くない受信料を徴収することを、事実上、法律で保障されているということの不当性にあります。
正直、私たち日本国民が総合的な意思として、「NHKを経済競争の結果、倒産させる」という選択肢を取ることができない現在の仕組みについては、かなり不当だと思いますし、そのことを国会議員がなぜ問題視しないのかが疑問でなりません。
ただ、世間ではいっこうに進んでいる気配のないNHK改革議論を巡って、当ウェブサイトに読者の皆さまが寄せてくださるコメントを確認していると、勇気づけられる内容が多々含まれています。
単純なNHK存続・廃止論だけでなく、たとえば「番組の製作機能と放送インフラの維持・開発機能を分けてはどうか」、「教育番組は文部科学省に、国会審議中継は衆参両院事務局に、天気予報は気象庁に管轄を移してはどうか」、といった柔軟なアイデアが示されていて、非常に参考になるからです。
また、なかには「公共放送は必要だ」とする主張もあって、それはそれで一理あります(※ただし、「公共放送が必要だ」という主張が正しかったとしても、必ずしも「NHKが現在のままの姿で存続すべきだ」という主張につながるとは限りませんが…)。
当ウェブサイトでさえそうなのですから、世間では一般国民のNHK問題に対する関心はそれなりに強いはずです。その意味では、国会議員こそ、もっと積極的にNHK問題に踏み込んでいくべきですし、私たち国民の側も、「NHK問題」に斬り込む政治家を支援すべきなのかもしれないと思う次第です。
丸山議員の「怒りのツイート」
さて、NHKといえば、昨年7月の参議院議員通常選挙で比例代表区に1議席を確保するとともに、比例代表区で全国2%を超える得票率で政党助成法上の政党要件を満たしたのが、「NHKから国民を守る党」、略して「N国党」です。
このN国党は、典型的な「ワンイシュー政党」ですが、それでも政党要件を満たすほどの票を得たという事実は、一般国民のNHKに対する疑問の強さの証拠でしょう。
ただし、N国党が「NHKから国民を守る」という党是に沿った行動をしているかどうかはまた別問題です。とくに、同党の立花孝志代表は、せっかく国民の負託を得て参議院議員に就任したのに、自身はさっさと辞めて、各地で選挙に立候補しまくっているようです。
立花氏なりの戦略でもあるのかもしれませんが、正直、現状で見る限りにおいては、こうした行動は昨年夏の参議院議員選挙でN国党に清き一票を投じた有権者の負託に応えているとも思えません。本当に残念です。
ただ、このN国党には、2019年5月に日本維新の会を除名されたばかりの丸山穂高氏が参加したことでも話題をさらいました。その丸山氏が立花氏といかなる関係を結び、いかなる役割分担をしているのかはよくわかりませんが、久しぶりにその丸山氏の消息を発見しました。
スポーツ紙『東京スポーツ』の電子版・『東スポWeb』に、こんな記事が掲載されていたのです。
丸山穂高氏 NHK受信料の全世帯徴収見送りに怒!「どこの独裁国家だよ。ホントなめとるな」
丸山穂高衆院議員(36)が8日、ツイッターでNHKの体質に怒りをあらわにした。<<…続きを読む>>
―――2020年11月09日 14時05分付 東スポWebより
『東スポWeb』が昨日配信した記事によると、丸山氏は8日、自身のツイッターでNHKに対し「どこの独裁国家だよ」、「ホントなめとるな」などとつぶやいたのだそうです。
丸山氏はNHKが受信料制度改革を巡って、テレビ設置の有無に関係なく全世帯、全事業所から受信料を徴収する仕組みを時期尚早と判断し、見送ることになったことに対する話題について、次のように述べたのだそうです。
「当然だ。NHK受信料を全世帯徴収するなど国民の理解は得られないしテレビ有無の届け出を義務化したいとかどこの独裁国家だよ。政府関係者との話でも、認められないと認識共有があるライン/そもそも検討すべきはスクランブルの方だろ。軍艦島関連の日本を貶める偏向報道といい、ホントなめとるなNHKは」
口語体でのざっくばらんな物言いもさることながら、NHKに対する強い怒りが伝わってきます。
ただし、丸山氏は普通の評論家ではありません。
国会議員です。
しかも、国会議員に当選したときは日本維新の会に所属していましたが、現在は「NHKから国民を守る」ことを党是に掲げている政党に所属しているわけですから、現在のご自身および同党の活動についても、今後も積極的に発信していただきたいところです。
というよりも、立花党首の動きが見え辛いなかで、せっかく比較的若くて知名度もあるのですから、あくまでも有権者の1人という立場からすれば、丸山議員にはぜひ、次期総選挙では「NHK改革」も強く主張していただきたいという気持ちはあります。
いずれにせよ議論は必要
もっとも、正直、所属議員が1人や2人の政党だと、世の中を動かすのはそれなりに難しいでしょうし、彼らの掲げる「NHKをぶっ壊す」という公約についても、N国党だけで実現できるとは思えません。
ただし、あえて個人的な気持ちを申し上げるならば、立花氏、丸山氏が果たせる役割とは、「NHK改革を唱えれば票になる」という実績を作ることではないでしょうか。極端な話、立花氏や丸山氏らが、次の国会議員選挙で当選しようが落選しようが、あまり興味はありません。
国会議員とは結局、「国民が本当に望んでいること」を探し、それを実現させて国民を幸せにするための「御用聞き」です。こんなことを申し上げると「何という極論を言うのか」と叱られそうですが、これをもう少し難しい言葉でいいかえれば、こういうことです
「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」(日本国憲法前文)。
つまり、国政は常に国民のためになければならず、NHKだの、財務省だの、特定野党だの、日本学術会議だのの利権のために存在するものではないのです。これは日本国憲法前文にも、はっきりと書かれているのです。
したがって、NHK改革の議論も、「NHKが存在することによって、国民がいかなる便益を得ているのか」、「その便益を得るために国民が支払っているコストは妥当なのか」、という視点からなされるべきではないでしょうか。
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自己紹介 乙。
ですね。
NHK受信料、全世帯徴収見送り 23年度までに引き下げ要請 総務省会議
2020.11.8 時事通信社
https://news.yahoo.co.jp/articles/6e3e18c16b031feb35a4b38c0010a7d82aa191bb
>衛星波と地上波の受信料を一本化する案や、徴収単位を世帯から個人に変更する案については引き続き議論する。
個人単位での徴収・・。
さっさと国営化して欲しい。
>テレビ設置の有無に関係なく全世帯、全事業所から受信料を徴収する仕組みを時期尚早と判断し
「時期尚早」って、いつかはやるつもりなのかな?
((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
それはそうと、なんで受信料ってのに拘ってるんだろう??
「契約」と言いつつ、受信料を決めるにしても総務省の許可が必要で、NHKで勝手に決められないなんて、使い勝手悪くないのかな?
いっそのこと、NHK運営税みたいな目的税を導入すれば、NHK自身で契約を無理強いする労力を省けて良いんじゃないのかな?って思うのです♪
そしたら脱税防止目的で、テレビ設置の届出の義務化にも、道が開けるんじゃないかと思うのです♪
あと丸山議員のツィートの
>そもそも検討すべきはスクランブルの方だろ。
という部分なんだけど、
「スクランブル化して、受信契約した人だけが見れるようにすれば良い」
って意味だと思うのだけど、それは手段であって目的じゃない気がするのです♪
問題の本質は、放送法の「契約義務」だと思うのです♪
これをなんとかしないと、スクランブル化したところで「見たくない人に契約を強制する」って問題は解決しないと思うのです♪
契約義務さえ無くしてしまえば、スクランブルの導入自体はNHKが判断すれば良いんだと思うのです♪
無くさないまでも、せめて義務を課す対象を「受信設備を設置した者」から「視聴しようとする者」にするだけで良いと思うのです♪
これだと、多くの人が納得するんだと思うんだけど、どうかな?
追加なのです♪
NHKさんへ、
今のうちにこんな風に改正しとけば、ネットでの放送を始めれば、自動的にネットユーザから、受信料を取る根拠になりますよ♪
一歩下がると見せかけて、二歩進む戦略なのです♪
是非、検討をお願いするのです♪
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(なにしろ、自分でも「マサカ」と思うので)
もしかしたらですが、丸山議員はN国党がつぶれても、他の党に移籍できるようにするため準備をしているのではないでしょうか。
蛇足ですが、国会議員は、(相手が本気なのか、それを受けるのかは別にして)他の党から移籍を勧誘されるぐらいでないと、ダメなのではないでしょうか。
駄文にて失礼しました。
なんだったか元々N国入りしたときも立花氏とは一定間合いをとった立ち位置を表していたように思われますし、
案外あっさり国民民主あたりと会派組んでの~みたいのがあるかもしれませんね
結果的にNHK 問題に反応する国会議員が増えれば…と多少期待