「国債ジャブジャブ」も韓国がやるとベネズエラ化か?
本稿は、ショートメモです。韓国メディア『中央日報』(日本語版)に本日、『お金刷って放出すれば良さそうだが結局ベネズエラみたいになる=韓国』というコラム記事が掲載されました。韓国メディアにしてはなかなか面白い記事だと思います。ただし、本日はあまり詳しく議論する時間が取れないので、手短に、拙著『数字でみる「強い」日本経済』などでも取り上げた「国債デフォルトの3要件」と「国の借金論」を振り返るとともに、同記事についてもごく簡単にコメントしておきたいと思います。
目次
国の借金論
普段から当ウェブサイトで主張している内容とは、「日本はそもそも財政危機ではないし、増税も必要ない」、というものです。これは、マスメディアや財務省の御用学者らが垂れ流す、次のような主張が、そもそも間違っている、というストーリーです。
「国の借金」と「財政破綻論」
- ①日本には「国の借金」が山ほどある。
- ②このままでは日本はにっちもさっちもいかなくなり、財政破綻する。
- ③財政破綻を避けるためには、財政再建が避けられない。
- ④財政再建のためには、いま、増税と歳出削減が必要だ。
この点、①については、「国の借金」なる概念はそんざいしませんが、「公的債務」(国債、地方債、政府関係機関債など)はたしかに巨額です。
日本の公的債務水準はGDPの3倍近くに!
この「公的債務」の範囲はあいまいですが、日銀が作成・公表する資金循環統計から国債・財投債・国庫短期証券・地方債の4項目の2020年3月末時点における金額(※時価ベース)を拾ってみると、ざっくり1207兆円という金額に達しています(図表1)。
図表1 国債・財投債・国庫短期証券・地方債の残高(2020年3月末・速報値)
発行主体 | 勘定科目 | 金額 |
---|---|---|
中央政府 | 国債・財投債 | 933.9兆円 |
国庫短期証券 | 98.2兆円 | |
財政融資資金 | 国債・財投債 | 98.7兆円 |
地方政府 | 地方債 | 74.2兆円 |
公的非金融法人企業 | 地方債 | 2.8兆円 |
合計 | 1207.8兆円 |
(【出所】日銀『データの一括ダウンロード』のページより『資金循環統計』データを入手して加工)
これに政府系金融機関や公的専属金融機関(たとえば日本高速道路保有・債務返済機構、地方公共団体金融機構など)が発行している「政府関係機関債」(77.1兆円)を含めれば、広い意味での公的債務残高はざっくり1300兆円、といったところでしょうか。
内閣府『統計表一覧(2020年4-6月期1次速報値)』によると、わが国の2020年第2四半期(つまり4−6月期)の名目GDPは年額換算ベースで506兆6416億円ですので、いまや公的債務残高GDP比率は2倍どころか3倍近くに達している状況にあります。
日本国債が「絶対に」デフォルトしない3つの理由
ただ、それと同時に、日本の公的債務の大部分(とくに国債の全額)は日本円という通貨で発行されています。このため、国債がデフォルトするための3つの要件(下記参照)のうち、要件(3)については満たしていないのです。
国債デフォルトの3要件
- (1)国内投資家が国債を買ってくれない状態
- (2)外国投資家が国債を買ってくれない状態
- (3)中央銀行が国債を買ってくれない状態
それどころか、日本の場合はそもそも国内で資金が有り余っているうえに、日本円という通貨が国際的に広く通用する「ハード・カレンシー」であるという事情を総合的に考慮すれば(1)~(3)のそれぞれに鉄壁のような守りが存在している、という言い方ができます。
いずれにせよ、先ほどの「国の借金と財政破綻論」のロジックで正しい(かに見える)のは①の部分だけであり、これに続く「②このままでは日本はにっちもさっちもいかなくなり、財政破綻する。」の部分にはどう頑張っても論理的につながらないのです。
(なお、③、④についてもそれぞれ論破するロジックがあり、説明したいところですが、『いまこそ確かめたい、「財政再建=増税」論の大間違い』や『武漢コロナ禍でまたぞろ「増税カルト信者」が出現』あたりでの内容と重複するため、本稿では割愛します。)
国によっては条件が満たされている場合もありますね
ただし、拙著『数字でみる「強い」日本経済』を上梓して以来、ふと気になったのですが、「国債がデフォルトするかどうか」については、現在の日本が偶然、上記(1)~(3)の条件を満たしていないだけのことであり、ほかのすべての国が(1)~(3)を満たさない、というものではありません。
たとえば、ドイツ国債の場合は共通通貨・ユーロで発行されている国債であり、自国通貨で発行されているわけではありません。このため、条件(1)~(3)のうちの(3)の条件を満たす可能性があります。つまりドイツ国債のデフォルト確率は日本国債よりも遥かに高い、ということです。
また、米国債の場合は、たしかに自国通貨である米ドル建てで発行されていますが、米国内に国債を買い支えるだけの資金的余力がないため、条件(1)~(3)のうちの(1)の条件を満たす可能性があります。つまり、米国債も独国債ほどではないにせよ、デフォルト確率は日本国債よりも高いのです。
さらには、一部のソフトカレンシー国(中国、韓国など)の場合は、自国通貨で国債を発行していたとすれば、たしかに(1)、(3)の条件を満たさないかもしれませんが、それと同時に人民元も韓国ウォンも国際通貨ではありませんので、(2)の条件を満たしてしまいます。
このため、中韓両国の国債は、独国債ほどではないにせよ、やはりデフォルト確率は日本国債よりも高いのです。
図表2 各国債のデフォルト要件
デフォルト条件 | 日本の場合 | 外国の場合 |
---|---|---|
(1)国内投資家が国債を買ってくれない状態 | 国内に資金が有り余っており、(1)の条件を満たさない | 米国は国内に資金が足りず、(1)の条件を満たしている |
(2)外国投資家が国債を買ってくれない状態 | 日本円自体がハード・カレンシーであり、(2)の条件を満たさない | 韓国ウォンはソフト・カレンシーであり、韓国国債は(2)の条件を満たしている |
(3)中央銀行が国債を買ってくれない状態 | 日本国債は日本円で発行されており、(3)の条件を満たさない | ドイツ国債は共通通貨・ユーロで発行されているため、(3)の条件を満たしている |
(【出所】著者作成)
このことを、拙著ではすっかり書き忘れていたのです。
韓国で国債ジャブジャブ、何が起こるのか
とくにソフト・カレンシー国の場合は、国内に資金が足りなくなった瞬間、(2)の条件を満たしてしまい、国債デフォルトを避けるためには中央銀行の直接引き受けという「禁じ手」に依存せざるを得なくなる傾向が見られます。
これを踏まえて、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に掲載された次の記事は、なかなか興味深いものがあります。
【コラム】お金刷って放出すれば良さそうだが結局ベネズエラみたいになる=韓国(1)
「ヘリコプターからお金をばらまく」というハリウッド映画にでも出てきそうな場面は、政府が国民に直接貨幣を与える財政政策を直接的に表現したものだ。<<…続きを読む>>
―――2020.08.18 11:48付 中央日報日本語版より
端的に言えば、日韓両国の違いは「自国通貨が国際的に通用するか、しないか」、というものであり、この一点をうっかり忘れて韓国が日本のように国債をジャブジャブ刷り始めると、韓国に待つのは「日本化」ではなく「ベネズエラ化」(あるいは「ジンバブエ化」)の未来なのかもしれません。
このあたり、論点そのものとしては面白いため、詳しく論じたいところですが、本日はやや時間が足りません。ただ、興味深いテーマでもありますので、ぜひまたどこかでじっくりと議論したいと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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ところでジンバブエでは日本円も使えるそうですよ。
ウォン?知らない子ですね。
2000年でしたがパリで買い物しました。諭吉様で。お店の方は普通にOKしてくれました。
この中央日報の記事は、嘘ばかりニダ。
輝かしいK防疫のおかげで、G7に参加するほど、韓国の国際的地位は、上昇したニダ。
その韓国が、日本やアメリカに出来て出来ない事が、あろう訳が無いニダ。
この記事を書いた記者は、間違い無く親日派ニダ。
政府は、親日派の書いた記者や、赤字国債など気にせずに、どんどんばら撒けは、支持率も上がって良いに決まっているニダ。
天災・文在寅大統領はウォン札をばんばん印刷すれば良い。壮大なインフレが起きるだろうが、それこそ南北統一への一番の近道。
文在寅の悲願達成後の朝鮮では将軍様がドル札をばんばん印刷すれば全て解決、見よ!統一朝鮮の力強い未来。
なおソウルのホテルなどでも福沢諭吉で決済ができるとか聞いたことがあります。
文在寅政権は国債の大量発行を目論んでいるようですが、さて、引き受け手がいますかねえ。
外資系は、現在の状況でウォンなどという弱い通貨建ての国債を大量に引き受けるなんてことはしないでしょうし、韓国の銀行も実は一行を除いて外資系なので、動きは同様でしょう。
となると、結局のところ、多くは韓銀か政府系金融機関で引き受けざるを得ないという展開が予想されます。世界でもほぼ類例を見ない「決算で赤字を計上したことのある中央銀行」であるところの韓銀にどこまで余力があるかな?
そうだ、ジム・ロジャース氏に引き受けてもらうというのはどうでしょう?
もしジムロジャース氏が引き受けられるならば健全です。まあ国家レベルの債券を全額引き受けるほどの財力はないでしょうし、そもそもうまくいっても利息しか出てこない債券に投資なんてしないでしょう。
国債を引き受けられるのは通貨発行権のある韓国銀行だけです。そのほかのところはそんな余剰のウォンを持ってません。
国債の直接引き受け。もうこれは通貨管理政策の放棄。一気にジンバブエ化ですね。
龍さま
単に通貨発行権を行使するのではなく、国債発行での資金調達であれば、ドル建てで発行したいところなのでしょうが、公的負債をつけまわされてる政府系金融機関に引受余力があるとは思えないですね。
「運転資金を日本のメガバンクから調達してるサムスン」から融通してもらうのか? 国家主権を質草に差出して韓国債最大保有国であるC国に頭を下げるのか・・。
既に日本がやったからと深く考えもせずに国民に給付金出しちゃいましたもんね。日本よりすんなり給付できたとか言って自画自賛。
その前にも失業率を4%から3%に一気に改善させる超短期高齢者雇用とか。。。
あの国はいろいろ統計をごまかすので、実態の把握が非常に困難です。企業の業績然り。コロナのGDPへの影響が小さいように見えるのもそういったごまかしの成果でしょう。
ジンバブエ化するための素地は既に出来上がっていて、後は何か発覚して一気に転げ落ちる感じ。
私の印象ですが、一応中央銀行である韓国銀行が最後の砦になってるような気がします。まあじきにトップが「運動圏」の人に差し替えられるでしょうが。
更新ありがとうございます。
以下、まさしく浅ましい下朝鮮的発言ですね、中央日報さん。もう少し品格のある書き方をしないと、ハリウッド映画会社から叱られますヨ!この部分です。→
→『ヘリコプターからお金をばらまくというハリウッド映画にでも出てきそうな場面』(失笑)。そんな米国映画は見た事無い。B級でも無い。邦画では列車内でバラまくシーンはあったけどね。紙幣を空から撒くという発想は、無いなぁ〜(棒読み)。
およそ発想が凄くチープなのよ、下朝鮮人さんは!香港カンフーか韓国妄想テレビ番組で見た間違いじゃないですか?
北朝鮮との統一を願ってるんだから、北の労働党印刷局で米国ドル紙幣を無制限で刷ってもらったらいいのでは?
原版はある、たぶん(爆笑)。精巧でかつ、表裏の天地が片っぽ逆ぐらいの誤差はあるかもしれないが(笑)。バレたら北の与正のせいにすればいい。
めがねのおやじ 様
ティムバートンのバットマンでジョーカーが車の上からお札をばらまいていましたね。その後風船から毒ガスが出てバタバタと人が倒れていましたが、結果同じようなことになりそうですねw
韓国人は無制限の日米通過スワップが切られた瞬間に円が終わると思ってるようですが、現実が円がドルの信用を支えてる要素の方が大きいと思います。
もし中国が米国債を手放して日本が全部それを買ってしまえば米国は日本に逆らえなくなるのでは?
アメリカには、借金を返さないという手があります。
全く違う話題で申し訳ありませんが気になる情報なので書かせていただきます。
突然湧いた謎の「安倍総理健康不安」叩き、理由が判明 来月の日印首脳会談で事実上の対中軍事同盟締結~情報は[青山繫晴 2020.8.18]
総理の検診、そして尖閣諸島をめぐって機密情報のぎりぎり手前まで主権者に広く伝えます ブログ速報の4
▼安倍総理の日帰り検診は、「世論戦」、「心理戦」という工作に今、利用されていると、わたしは考えています。その作戦に事実上乗っかる、日本の親中派に対峙して、わたしたちは護る会 ( 日本の尊厳と国益を護る会 ) を軸に淡々と粘り強く戦っていきます。
▼一方でその安倍総理は、尖閣諸島の領土、領海の防衛のためにも新たにインドとの事実上の軍事連携、日印米豪による4か国対中同盟を決断しました。上記の世論工作では、もう考える力も喪ったことになっている安倍総理にしては、歴史的な決断です。このような重大な決断は、内閣総理大臣にしかできません。
▼具体的には、9月の早い時期にインドのモディ首相と日印首脳会談を行います。(略
▼9月の日印首脳会談の肝になるのは、ACSA ( アクサ ) の締結を基本合意することです。ACSAは、たとえば日米のあいだで結ばれています。日米安保条約という軍事同盟を土台にして、軍事上の物品、つまり平時の訓練では燃料など、有事においては弾薬など、それから軍事上の役務、つまり平時の訓練では兵器の整備など、有事においては兵員の輸送などを、おたがいに融通しあう協定です。
早い話が、軍事同盟の要ですね。安倍政権が、集団的自衛権の一部容認を実現する平和安全法制を成立させたお陰で、日本はこれを、イギリスともオーストラリアとも結びました。これをインドに拡大するというのは、非常に画期的です。インドと日本は、地政学的に、中国を挟んでいるからです。
新宿会計士様
公共投資など国内需要喚起のために政府が発行する国債の最後の引き受け手としての中央銀行を考える上で日米で最も重要な違いは、アメリカの通貨であるドル紙幣の発行元としての「中央銀行」がアメリカ政府のものでは全くない(アメリカ政府は全く出資していない)という点ではないでしょうか?
一応は建前上ではアメリカ政府は連邦準備制度理事会のメンバーの任命権を握っており同理事会が各連邦準備銀行を統率することになっているけれども、実際に通貨発行権を握っている連邦準備銀行への出資は全て民間(しかも完全非公開)であってアメリカ政府による出資はないという異様な現状であるのに対して、我が国の場合には日本銀行の出資の約6割は日本政府が握っている(法律上も日本政府の出資比率は最低でも55%はあることが義務付けられている)。
つまりアメリカではアメリカ政府の意向通りにドル札を刷れるとは限らない(理事会のメンバー全員が大統領による任命であっても連銀の実際の出資者…その多くはヨーロッパ主要国の中央銀行やいわゆるユダヤ系資本と言われていますが…の意向を全く無視した連銀運営が行えるとは限らない)という異様な構造になっている点が日本とは決定的に違います。
収支や負債を考える際に政府と通貨発行権を握る中央銀行とを一体化して扱う「統合政府」の概念がアメリカの場合には通用しない、これは国債の最後の引き受け手としての中央銀行の役割を考える上で重大なポイントだと思うのですが。
『ニュース女子』 #279(ダウンフォール作戦・コロナ禍の真夏の怪談)
https://www.youtube.com/watch?v=tsuYEkvoHUg
韓国がジンバブエ、ベネズエラ化しても世界に影響は限定的、
デフォルトする国としては最大クラスですが、
日本側の持つ債権わ減らしていっている、ほぼ難民の流入が気になりますが
それよりも、コロナ禍の真夏の怪談の武田教授の話が気になります
5Gの進化によって、通貨価値が五分の一に下落、
コロナで穀物価格の高騰でどう生き残るか?
2022年には起こるだろう
こちらの方が気になります
新宿会計士さんが紹介なさっている『お金刷って放出すれば良さそうだが結局ベネズエラみたいになる=韓国』という記事を見に行って、中央日報にこんな記事を見つけました
「韓国製ワクチン接種した「コロナ猿」…1日でウイルス消えた」https://japanese.joins.com/JArticle/269335
翻訳の間違いかと思って本国語版も確認したら、やはり「ワクチン」でウイルスが消えたと書いてありました。英語版では記事そのものがなかったけど、記者がこんなレベルじゃノーベル賞はまだまだのようだね
韓国の皆さん。大丈夫。
経済の天才ムン大統領を信じてこのまま突き進んで下さい!
債権発行額によっては(1)を満たす可能性もあるかなぁ。
まあそれがいくらか?って話なんだろうけど。