産経「日中往来制限の長期化により中国で不良品頻発」
国であれ人間関係であれ、普段から信頼関係を構築することがいかに大切か、改めて痛感せざるを得ないエピソードがあるとすれば、例の武漢コロナ禍による入国制限措置でしょう。日本政府は先週、豪州など4ヵ国を対象に、条件付きで入国制限措置を緩和する方向で相手国と調整を始めたのですが、その相手国に中韓など、産業面で日本と密接に関わっている国が外れました。その一方、産経ニュースによると、中国では日系企業で駐在員が現地に戻れないことで、不良品の発生なども発生しているようなのです。
武漢コロナ禍と入国制限措置の緩和
例の武漢コロナ禍の影響が少しずつ出て来ているようです。
先週の『入国制限の緩和は4ヵ国からスタート 台湾・香港は?』でも紹介したのですが、日本政府は豪州、ニュージーランド、タイ、ベトナムの4ヵ国を対象に、条件付きで相互に入国制限措置を緩和する方向で相手国と調整中です。
また、これらの4ヵ国に加えて台湾も入国制限措置の緩和対象候補に挙がっている、といった報道もあるのですが、いずれにせよ、当初はビジネス客などに限定し、かつ、1日当たりの入国者の上限を設けるなどの工夫も講じられるようです。
これについては『正論:入国制限の緩和「中国は念頭にない」=茂木外相』などでも紹介してきたとおり、茂木敏充外相は記者会見の場などで、入国制限を緩和する際の条件を3つほど挙げており、当ウェブサイトはこれを「茂木3要件」と勝手に名づけています。
出入国条件が緩和されるための条件(茂木3要件)
- ①相手国が日本について「感染状況が落ち着いている」と判断すること
- ②日本が相手国について「感染状況が落ち着いている」と判断すること
- ③日本と相手国が同時に同様の入国制限緩和措置を実行すること
疫病がいつまでも蔓延し続けるということはないと信じたいところですが、やはり、武漢コロナの収束状況には国によって差異があることも事実です。だからこそ、茂木外相が示したこの3要件は、入国制限を解除するうえで当然に考慮すべき事項だといえるでしょう。
なぜ中韓が除外されているのか
さて、安倍総理の発言などによれば、今回、入国制限措置が先行的に解除されるのは上記4ヵ国であり、日本にとって産業面で密接な関係がある(とされる)中韓両国などに対する入国制限措置の緩和の予定については未定です。
中韓両国が除外された理由については、日本政府が公式に見解を述べたわけではありませんが、上記「茂木3要件」に照らせばあまりにも当然です。なぜなら、中韓両国ともに、日本が相手国について「感染状況が落ち着いている」と判断するだけの材料や信頼がないからです。
考えてみればわかりますが、相手国における武漢コロナの感染状況については、相手国が出す情報に依存せざるを得ませんし、それを信頼しなければならないでしょう。ということは、防疫問題を巡っても、相手国との普段からの信頼関係がなければなりません。
そもそも中国は武漢コロナ禍を全世界に拡散させた「犯人」でありながら、国際的な防疫において、正確な情報を出しませんでしたし、世界保健機関(WHO)をなかば私物化し、組織を腐敗させたことも、武漢コロナ禍を世界に広めた要因ではないでしょうか。そんな国を「信頼しろ」という方が無理です。
また、韓国については輸出管理適正化措置を巡る対日WTOや自称元徴用工問題を巡る公示送達手続など、日本との信頼関係をわざわざ踏みにじるような行為を続けて来ました。
輸出管理に関する政策対話もろくに機能せず、日韓請求権協定に基づく対話、協議、仲裁手続などをことごとく無視し、さらには日本の海自哨戒機に火器管制レーダーを照射してくるような国でもあります。そんな国を「信頼しろ」という方が無理です。
産経「技術者不在で不良品多発」
こうしたなか、産経ニュースに日曜日付でこんな記事が掲載されていました。
4割の日系企業の駐在員が中国へ戻れず、技術指導者不在で不良品多発も
新型コロナウイルス対策のため日中間の往来制限が長期化していることで、中国に拠点を置く日系企業の事業に影響が出ている。<<…続きを読む>>
―――2020.6.21 16:53付 産経ニュースより
リンク先は産経新聞中国総局特派員の三塚聖平氏の署名入り記事ですが、これによると、上海市などの日系企業に対するアンケートの結果、技術指導者の不在により工場で不良品が多発するといった事態が生じているのだそうです。
また、三塚氏によると、アンケートを実施したのは上海市、江蘇省、浙江省、安徽省の日系商工クラブで組織する「華東地域日商倶楽部懇談会」で、同クラブが18日に公表したアンケート調査によれば、1208社が回答し、うち4割の503社で「中国に復帰していない駐在員がいる」と答えたのだとか。
だからこそ、日中の往来の制限が長期化していることが、これらの企業の業績に大きな影を落としているのでしょう。
この点、今回はあくまでも華東地域の在中日系企業に関するアンケート調査ですが、おそらく影響はこれだけではないでしょう。同じような影響は、日本と産業面のサプライチェーンで密接なつながりを持つ国・地域でも生じているはずです。
もちろん、第一義的には、今回の入国制限措置はコロナ禍に基づくものであり、政治的な理由によるものではありません。しかし、もしも入国制限措置の遅延が、相手国が普段から日本の信頼を踏みにじるような行動を続けていることによるものなのだとしたら、それはそれで当然のことです。
あるいは、普段から日本との信頼関係を踏みにじるような行動を取っている国・地域に進出すること自体、企業経営にとってもリスク要因だといえるのかもしれませんね。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
中韓台港の出入国手続き簡素化が先延ばしになったのは人数が多くて対応できないからでしょうね。
私の近辺限定での話ですが,2週間以上の隔離期間があっても海外赴任をしなければならない人が増えてきました。ただ,豪州,ニュージーランド,タイ,ベトナムは知人の中には1人もいませんでした。
更新ありがとうございます。
総経理が不在長引く、技術や品質指導すべき人間が不在で不良品が多発しているもそうですが、私が目を引くのは『通院したい、日本の薬を入手したい』という切実な声でしょうか。
いわば中国に人質として捕られているようで、お気の毒。持病のある方は、海外赴任等から、ハナから外すのが従業員を大切にする会社です。
しかし、当面の4ヶ国の次はおそらく台湾、EU、米国、加、ASEAN。中韓は今年一杯は無いでしょう。
それで不良品が頻発しようが、新商品の開発が遅れようが、逆に日頃の行いに対する報いと思います。なお、個人的には数年間不通にして、日本は別のルート確立出来れば良いと存じます。
めがねのおやじ様
数年間不通にするは良いアイデアですね。
普段なら、理由に困る所 コロナを奇貨に不通を普通にするのは日本の為に最良です。
日本の企業も 数カ月不通になれば 対処に動き出しそうですね。
国債を発行し、インフレ率5%位にしたら わざわざ外国に工場作らなくとも 国内で賄えるのに。
これらを狙ってやってたら政府も中々のものです。
以前に小生が指摘したように、日本の技術者が渡航できなければ、生産ラインや測定機器といった部分に不具合が出ます。これは、日本独特の職人気質によるもので、いくら他国の技術者を指導しても、なかなか身につかない部分です。
小生の会社でもそのような懸念が出ており、日本製のラインや機器は韓国支店や代理店のstaffが掛かりきりで面倒を見ています。
故障したら即交換しか今のところ方法がありません。
駄文にて失礼します。
>故障したら即交換しか今のところ方法がありません。
部品ストックや運用マージンといった思考が根付いてなければ、ラインを1本止めて共食い整備しないといけなくなっちゃうのかもですね。(止まっても困らなくしておくことが利潤追求の肝⦅稼働率向上⦆なのかと・・。
定期メンテナンスや最低限の備えでさえも「無駄なコスト」って認識でしかなかったりするのでしょうか?
あくまで個人的な感覚ですが、中韓には「故障したら交換すればいい」という価値観が根強いように思います。
都合の悪いことは誰か他者のせいであって自分には関係ない、切って捨てて新しいのと入れ替えればいいと。
故障や不具合という現象に対して無対策。主体性を持ってどう対応するか考えるという発想がなさそうな。
日本の場合は(これも個人的感覚ですけど)、マトモな企業なら「なぜ故障したのか、どのプロセスに問題があったのか。そもそもコレはどのような仕組みで動いていたのか」と深掘りして原因究明と対策を行い未来に資するという考え方があります。
このような風土では、不具合をいかに早期発見してどのように改善できるかこそが重要であり、その能力が高い人は重用されます。
そして、その経験が豊富なほど組織は鍛えられ、技術が研ぎ澄まされていきます。
いわゆる職人気質とでもいうか。自らのミスを発見して改善するのも仕事のうちで、目先の損得を捨ててでもクォリティを突き詰めたいプライドみたいな。
対策や改善するという考え方がなければ、そのような事態が発生することは取り返しのつかない絶対悪であり、当事者が自らミスを報告して改善案を出すなど有り得ません。ミスや不具合などない(問題を直視せず目をそらす)という態度にならざるを得ないでしょう。
結果として、不都合が発生したらその都度隠蔽して、バレてしまったら他者に責任をなすりつける。
だから過去の経験から学習することもなく同じ失敗を繰り返す。
日本でもミスを隠蔽した大企業が凋落した例がありますね。
他人ごとではないのかもしれません。
カズ 様
ラスタ 様
韓国は故障しても見た目が大丈夫なら修理したとみなします。
過去に携帯電話(ガラケー)の画面が見えなくなったとき、裏を開けてセロテープを貼ったら映るようになりました。恐らくACF圧着時の不具合だと思われます。
KTXをガムテープで修理するくらいですから、携帯電話をセロテープで修理すのなんて可愛いもんです。
駄文にて失礼します。
同じ単語の繰り返しは出来れば避けるほうが無難です。
『不良品の発生なども発生しているようなのです。』
↓
『不良品の発生などの事態も起こっているようなのです。』
重箱の住人 様
>不良品の発生なども発生しているようなのです。
こういったご指摘は大変ありがたいです。
ひとりで書いているためでしょうか、ときどきこういう間抜けな表現をしてしまいます。
引き続きご愛読とお気軽なコメントを何卒よろしくお願い申し上げます。
ノートパソコン新調したら、不良品で返品するハメになったのですが、このせいだったのかw
中国や韓国のみならず、多くのアジアの国々では、偉い人や立派な技術者は机に座ってふんぞり返っているもので、現場を走り回るのは下っ端のやることという価値観です。
一方、日本の経営者は、労働者の質は万国共通で、同じ労働力なら人件費が安い国で作ればいいじゃん、と考えます。
その埋めがたいギャップを、身を粉にして埋めてきたのが現地に派遣された技術者達でしょう。
彼等の価値や働きを認めず、ないがしろにしてきた企業は、不良の山を抱えることになっても仕方がありません。
狭い経験ではありますが、
アセアンから来た留学生、博士の学位を取って帰国して、
大学の学科長、学部長、政府高官。
研究を続け、後進を育てた例を知りません。
>産経「(日本人)技術者不在で不良品多発」
「日本人が設計した製品は、日本人技術者・作業員がいないと、製造過程で不良が多発する」ということです。これは、日本製品の強みであると同時に弱みです。日本製設備と日本人技術者・作業員がいれば、先日の当サイト記事にもあったような、12N純度のフッ化水素でも生産できますが、逆にそれ程の品質を要しない汎用製品では過剰品質となり勝ちで、最終的にコスト競争で他国製品に負けてしまいます。
日本製品が、高品質と言われる割には世界でシェアを伸ばせないのはそういう理由もある訳です。このことは、私が現役時代から言われてましたから、現在では、少しは修正されてきていると思いますが、それでもまだまだということですね。
その点で、様々な民族を支配・使役した経験の長いヨーロッパ人が設計した製品は違います。どんなレベルの低い人たちが造ってもそこそこの性能が出せるように配慮していると感じます(その一つが、ヨーロッパ人主導のISOやIECなどの国際標準)。我々は、それをそのまま鵜呑みにする必要はないですが、市場やサプライチェーンの世界化を考える上では、上記のような、我々日本人の「島国性向」を自覚することは重要だと思います。
私の知る狭い範囲では韓国人エンジニアより中国人エンジニアのほうがレベル低いです。あと、韓国系中国企業に限っての話ですが顧客の中国人と韓国人が仲が悪く会議で揉めた時にうまくまとめるのが日本人エンジニアだったりします。技術サポートと潤滑剤の両方の役割をします。韓国人の悪口を酒の肴に中国人と飲むと盛り上がりますが趣味が悪いと自覚しています。