米系投資ファンド「日本の地上波テレビに将来性なし」
米系のアクティビストファンドがテレビ朝日に対し、「地上波テレビは広告市場も縮小しているし、設備投資も必要だ。それよりも、もっと儲かるメディアコングロマリットを目指すべきだ」、とする株主提案を行ったそうです。いわば、米系ファンドからは「地上波テレビ局には将来性がない」と宣告されたという言い方をしても良いかもしれません。
テレ朝に「電波返上も検討を」
数日前の記事で恐縮ですが、テレビ業界を巡って、こんな話題がありました。
テレ朝HDは地上波電波返上含め検討をー米RMBが経営改善提起
米アクティビストファンドのRMBキャピタルは、在京テレビ局のテレビ朝日ホールディングスに対し、株主として提言する地上波放送の電波返上を含む経営改善策を公表する方針だ<<…続きを読む>>
―――2020年6月15日 19:00 JST付 Bloombergより
米RMB、テレ朝HDの経営改善案を正式発表ー地上波返上など言及(2020年6月16日 8:42 JST付 Bloombergより)
RMB Capital Proposes Share Buyback at TV Asahi’s Annual General Shareholders Meeting
RMB Capital (“RMB”), a Chicago-based independent investment advisory firm, is a long-term shareholder of TV Asahi Holdings, Corp. (9409 JP, “TV Asahi”) and owns approximately 1% of the firm’s total outstanding shares. RMB filed a shareholder proposal (Proposal #3) for TV Asahi’s 80th annual general shareholders meeting, scheduled on June 26, 2020 to buy back common stocks of 1.25 million shares, maximum 2 billion yen.<<…続きを読む>>
―――2020/06/15 19:00 EDT付 business wireより
この話題自体、すでに目にしたという方も多いと思いますが、これは、米国のアクティビストファンドがテレビ朝日ホールディングスに対し、「地上波放送の電波返上」を含めた経営改善策を公表した、というものだそうです。
RMB社の具体的提案
ここでは『ビジネスワイヤ』の記事をベースにRMB側の株主提案を列挙すると、だいたい次のような提案がなされています。
(1)RMBによるテレビ朝日の分析
テレビ朝日は親会社の朝日新聞、持分法適用関連会社である東映グループとの関係を活用し、ニューズやスポーツイベント、エンターテインメントを含めた、ウォルト・ディズニーのような総合メディアコングロマリットを目指すだけの潜在能力を有している
(2)テレビ朝日が抱えている問題点
しかしながら、テレビ朝日の株価は近年、本源的な価値と比べて低迷しているが、その理由は次の3点にあると考えている
- ①何年もROEが5%を下回っている
- ②日本における広告支出が構造変化を起こし、広告費がテレビ放送とインターネットで逆転している
- ③COVID19の蔓延により経営環境の不確実性が高まっている
(3)RMBの提案
テレビ朝日の経営陣は5月に公表した新事業計画のなかで、現在進行中の「360度戦略」をさらに強化すると説明したが、RMB社はこれに加え次の点を提案する
- ①地上波の無料番組に依存したビジネスモデルを改め、経営環境の変化に応じ、たとえば電波利用権を政府に返上することを含め、経営を抜本的に転換すること。とくに地上波テレビ広告市場は縮小しているのに対し、4K設備負担などは重くなっている現状を踏まえるべき
- ②大阪にある朝日放送を含めた系列局を再編し、地上波放送の設備投資を抑制する
- ③東映グループとの関係を強化し、同社の映画、アニメ、テーマパークビジネスなどをテレビ朝日グループの中核事業に据える戦略に転換すべき
- ④自社株の買入を含めた株主還元を強化し、その一環として東映との相互持合いに基づく15%相当の自社株買入により持合関係を解消すべきである
…。
いかがでしょうか。
RMBの提案をわかりやすくいえば、テレビ朝日の立ち位置に照らし、既存の経営資源を生かして「メディア・コングロマリットを目指せ」というものであり、カネがかかる地上波ビジネスについては設備投資を抑制するために電波使用権を返上することも検討せよ、という発想ですね。
非常に良い考えなのだが…
非常に良い考え方です。提案している内容は非常に正当なものばかりであり、とくに株主還元を兼ねた東映との株式相互持合の解消とコーポレートガバナンスの強化は、財務論の立場からも非常にまっとうな提案と言わざるを得ません。
この点、『埼玉県民様から:「日本の広告費2019」を読む』でも報告したとおり、株式会社電通が毎年公表している『日本の広告費』というレポートによれば、昨年はついにインターネット広告費がテレビ広告費を追い抜いた、という話題もあります。
企業経営の立場からすれば、企業が持つ経営資源は有効活用すべきです。
たとえば過去のテレビ番組のコンテンツ利用権もさることながら、アニメや映画の版権などを、遊園地・テーマパークやゲームなどに生かすことで、さらに巨額のキャッシュ・フローを生み出すことができるなら、そのような展開も有意義でしょう。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ただし、あくまでも個人的な予想ですが、わが国の民放各社がこうした提案に乗るとも思えません。というのも、NHKを含めたテレビ局各局の経営は、旧態依然とした利権に乗っかるだけのものであり、あまり積極的にキャッシュ・フローを生み出す力があるとも思えないからです。
それに民放テレビ局には20%の外資規制があるため、米系のアクティビストファンドがテレビ朝日の株式をさらに取得することは難しいでしょう。「外圧」を使って経営を変えていくということは難しいのではないでしょうか。
もっとも、外資規制にかからない、純国産のアクティビストファンドがあれば、そのようなファンドが日本のテレビ局に手を出し、総合的なメディアコングロマリットへの脱却を促す、という可能性はないわけではないでしょうが…。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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反日活動が目的の放送局ですから
社是が、利益よりも反日ですからね
リャンピ 様
「反日=利益」とする輩に牛耳られているのでしょう。
新宿会計士様が言われる通り、「外圧」を使って経営を変えていくのは不可能と思います。
しかし、何故ブルームバーグがこんな「ネタ話」記事を出したのか不思議です。
ちなみに、テレビ朝日の株主は 朝日新聞+東映で40%以上、関連部門(例えば、香雪美術館 九州朝日放送 朝日新聞文化財団など)を加えれば50%以上になると思います。
こういうところも「旧態依然とした会社」ですね。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(私はテレ朝と違って、間違える存在であると自覚しているので)
問題はテレ朝の株主提案で、別の選択肢もあるということを(他の株主
に)提示されたことではないでしょうか。(勿論、この提案が正解なのか
は分かりません)
そのため、もし今後、テレ朝が(このままで)構造的に行き詰まれば、
「なぜあの時、あの提案を検討しなかったのか」という不満が、他の株主
から出てくるでしょう。
駄文にて失礼しました。
現在の経営陣を全てクビにして入れ替えるという株主提案もどこかでされていたと思います。トップに立つと、とかく利権にあぐらをかきがちなので、皆クビにしちゃえ。
>RMBキャピタル
中国系なんですかね?
村上ファンドって娘さんが継承してたんでしたっけ?
旧態依然な企業の経営層は未来志向を言いますが、何故か過去の栄光から来る既得権益の死守をしたという幻想からは逃げられないのです
創業事業を捨てずとも成功している企業がありますが、
創業事業を切り離して他人に任せることで、事業も企業も生き残ってる企業もあるわけで