当ウェブサイトではときどき議論する話ですが、外交・国際関係を議論するのは外交官や学者の特権ではありません。なぜなら、国というのも結局は人間の集合体であり、外交も「人間関係の延長」で議論するのが妥当だからであり、その意味では、むしろビジネスマンという感覚は外交を議論するのに役立つと思うからです。最近、少し時事的な話題が続いてきたのですが、ここで改めて、「外交」について深く考えてみたいと思います。
目次
「外交」は難しくない!
当ウェブサイトを以前からご愛読いただいている方であれば、当ウェブサイトでときどき、「外交もしょせんは人間づきあいの延長に過ぎない」と申し上げていることをご存知かと思います。
「外交」という言葉を聞くと、「なんだか国際政治学者や外交官など、ごく一部の限られた専門家が安全保障だのODAだの社交だのについて議論する高度な世界だ」と勘違いする人が多いのではないかと思いますが、これは完全に間違いです。
もちろん、外交とは「国と国との関係」のことであり、スケールが非常に大きな話であることは間違いありません。しかし、それと同時に、国といってもしょせんは「人間の集合体」に過ぎません。そして、古今東西、人間の考えることなど変わらないわけですから、外交も「人間づきあいの延長」に過ぎないのです。
どうしてそういうことを考えるようになったのかといえば、外務省や経産省などのご出身の著名人のなかには、日本の国益を外国に売ることを外交だと勘違いしているとしか思えない人が、非常にたくさんいらっしゃることに気付いたからです(あえて実名は出しませんが…)。
また、新聞やテレビで偉そうに「外交」について論じている人を眺めていると、どうも金融規制や輸出管理、会社法など、社会の「基本的なしくみ」を理解せず、非常にアサッテなことを議論しているな、と感じるような議論に出会うこともあります。
そこで、本稿ではあらためて「外交」に関する当ウェブサイトなりの理解について、説明しておきたいと思う次第です。
人間関係の基本
人間関係の2類型
さて、当ウェブサイトの読者の皆さまには、高校生、大学生、専門学校生などの学生の皆さん、民間企業で働くビジネスマン、役所で働く公務員、専業主婦、仕事を引退された方など、それこそさまざまな立場の方がいらっしゃると思います。
自分自身の人間関係に照らして考えるならば、多くの方にとっては
- 家族(両親、配偶者、子供など)、親戚
- 仕事付きあい(職場の同僚、上司、部下など)
- 学校付きあい(先生、同級生、先輩、後輩など)
- 仕事・学校を越えた個人的な友人
など、さまざまな関係があるはずです。
これらの人々とどう付き合うのかを考えていくと、家族・親族を除けば、人間の結びつきには、究極的には2種類しかありません。
それは、「利害関係があるかどうか」と、「ウマが合うかどうか」、です。
利害関係のお付き合いとは?
まず、「利害関係のお付き合い」とはいったい何でしょうか?簡単にいえば、「その相手と付き合わなければいけない状態」のことです。
たとえば、職場では、仮に上司が嫌な人であっても、無視するというわけにはいきません。相手の指示にはちゃんと従わなければなりませんし、場合によっては緊密に報告、連絡、相談をしなければなりません。また、接客業などであれば、どうしても嫌な人間を相手にしなければならないこともあるでしょう。
(※ちなみに著者個人的には、それまで勤めていた会社を辞めて起業したことで、いちばん良かったことは「上司がいなくなったこと」だと思っています。)
また、学生の場合、仮に嫌な先生がいたとしても、単位をもらうためには我慢してその先生に教えてもらわなければなりませんし、同じクラスに嫌な同級生がいたり、同じ部活に嫌な先輩がいたりしても、多くの場合は、我慢して付き合う必要があります。
では、なぜ嫌な相手と付き合わなければならないのでしょうか?
それは、その相手と付き合うことであなたが「利益」を得るからです。
仕事の場合だと、究極的には「カネを稼ぐ」ことが目的です。給料をもらうためには嫌な上司ともうまく付き合っていく必要がありますし、昇格するためには、人事上、上司から評価してもらわなければなりません。学生の場合だと、卒業するためには単位が必要です。
つまり、「カネを稼ぐ」「人事上、評価される」「単位をもらう」というのは、いずれも、「何らかの利益を得る」と言い換えても良いと思います。いわば、「嫌な人と無理やり付き合う」のも、「何らかの利益を得る」ことが最大の目的です。
そして、日本は「奴隷社会」ではありませんから、もしどうしてもその相手が嫌ならば、その相手と付き合うのをやめる、という選択肢もあります。会社の場合だと退職すれば良いですし、学校の場合だと退学すれば良いのです(あるいは、必修単位でなければその単位を落としてしまえば良いのです)。
ウマが合うお付き合いとは?
これに対し、「ウマが合うお付き合い」とは、「カネなどの利害関係がなくても仲良くお付き合いできる関係」のことです。具体例としては、たとえば共通の趣味を持っている友人であっても良いですし、昔の学校や職場で仲良くなり、今でも付き合いが続いている、という関係であっても構いません。
この「ウマが合うお付き合い」とは、「利害関係のお付き合い」とはまったく性質が異なります。なぜなら、「嫌ならば相手とのお付き合いをやめればよい」、という関係でもあるからです。
読者の皆さまにも、今でも親しく付き合っている、昔の学校の恩師や学友、昔の職場で仲良くなった元上司や元部下、先輩・同僚・後輩などがいる、という方は多いのではないでしょうか。そして、カネなどの利害関係が絡まない分、「ウマが合うお付き合い」は長続きする傾向にあります。
ホンネが言い合える関係はどっち?
この「利害関係」と「ウマが合うかどうか」という2つの軸は、非常に重要です。
もっといえば、「相手に自分のホンネをそのまま伝えても問題がないかどうか」、という点から、両者は厳格に区別する必要があるのです。
たとえば、Aさんは職場で、何だか苦手なBさんが上司になってしまったとしましょう。この場合、AさんはBさんに「苦手意識」を感じるだけではなく、何とかしてBさんとうまく付き合っていかなければ、自身の給料も上がらず、昇格することも難しいかもしれません。
そんなとき、同じ職場で「ウマが合う」Cさんという人がいたとします。そのとき、Aさんは「私は何となくBさんが苦手で…」と誰かに相談したいと思えば、Aさんが相談する相手はBさん本人ではなく、Cさんではないでしょうか?
これを一覧図にしておきましょう(図表1)。
図表1 人間関係の一覧図
区分 | ウマが合う相手 | ウマが合わない相手 |
---|---|---|
利害関係がある相手 | ①とても重要な相手 | ②嫌でも付き合わなければならない相手 |
利害関係がない相手 | ③利害得失を超えて付き合える相手 | ④無視して良い相手 |
(【出所】著者作成)
まず、「①利害関係があり、ウマも合う人」がいたとしたら、それはそれでハッピーなことですし、それこそ自分の人生の中で、もっとも大切にしなければならない部類の相手でしょう。「仕事で素晴らしい上司に出会った」、「学校で自分とウマが合う先生が担任になった」、といった人は、本当に幸運です。
一方、先ほど例に挙げた嫌な上司、嫌な先生のように、「②ウマが合わないけれども利害関係を考えたら付き合わなければならない」という相手もいます。おそらく多くの人が「人付き合いに悩んでいる」と感じるのは、得てしてこの②の類型の相手でしょう。
これとは逆に、「③利害関係はないけれどもウマが合う相手」というのは、その相手と付き合うことで何らかの金銭的・物質的利益を得るわけではないにせよ、利害得失を超えて付き合える相手であり、ホンネを言い合える、とても重要な相手でもあります。
なお、最後の象限にある「④利害関係もないしウマも合わない相手」なる人がいたとしたら、そんな人と付き合う必要などありません。放っておけば良いと思います。
外交はまったく同じ
基本的価値と戦略的利益
以上、人間関係でいうところの「利害関係」だの、「ウマが合う、合わない」だのといった表現は、いずれもざっくばらんとしていて、「こんなざっくりしたコトバが外交にどう関係するのか、わからない」と感じる方も多いでしょう。
- 利害関係のお付き合いとは?…仕事、学業などの都合で、その相手と付き合わなければいけない状態のこと。
- ウマが合うお付き合いとは?…カネなどの利害関係がなくても仲良くお付き合いできる関係のこと。
しかし、実は、私が考える「外交論」とは、まさにこの「利害関係」と「ウマが合うかどうか」という、人間関係の考え方を、そのまま応用したものではないかと思うのです。
国家というものも、しょせんは人間の集合体です。
ということは、国(たとえば日本)が他の国(たとえばアメリカ)と付き合う時にも、その国と「付き合う必要があるかどうか」(利害関係があるかどうか)と、「友人として付き合うに値するか」(ウマが合うかどうか)という、2つの評価軸があるはずなのです。
この2つの評価軸のことを、難しい言葉で「基本的価値」、「戦略的利益」と呼びます。
といっても、別に難しい考え方ではありません。
「基本的価値」とは、利害得失を越えて相手の国と仲良くできるかどうか、という評価軸であり、「戦略的利益」とは、「国益のためなら相手国と付き合わなければならないかどうか」、という評価軸のことです。
- 戦略的利益とは?…国益を最大化するために、その国と付き合わなければならない状態にあること。
- 基本的価値とは?…利害得失を越えて、その国と分かり合える関係にあること。
この2つの評価軸は、非常に重要です。
日本にとっての戦略的利益
では、「国益」とはいったい何でしょうか?
わかりやすくいえば、「平和と繁栄」のことです。
台湾のように、中国大陸の政府が「いつか攻め込んでやるぞ」というファイティングポーズを取ってくる敵対国に直面している状況だと、いわば、自分たちの生命や財産が常に脅かされているという状況にあるといえます。
また、北朝鮮のように、生まれてくる階級を間違えると、どんなに努力しても絶対に豊かになれないという国もあります。せっかくこの世に生まれて来るのなら、しっかり努力すれば豊かに暮らせるような国の方が良いに決まっています。
つまり、「平和と繁栄」とは、「国民みんなが安全かつ豊かに暮らしていけるような社会を実現すること」であり、これをもう少し専門的な言葉で、「平和」は「安全保障」、「繁栄」は「経済的利益」と言い換えることができるでしょう。
たとえば、日本には石油、天然ガスなどの自前資源がないとされており、エネルギーはどこかの国から買って来なければなりません。このため、石油や天然ガスの輸送路(シーレーン)の安全な通行を外国の軍隊に妨害されると、日本はそれこそ国家存続の危機となります。
さらには、シーレーンを邪悪な国が抑えてしまい、日本に対して「領土を寄越せ、さもなくば日本に石油が入らない状態にしてやるぞ」などと脅して来たとすれば、これなどは「安全保障」と「経済的利益」の両方を侵害されている状況にほかなりません。
そして、非常に残念な話ですが、日本の周囲には国際法を破る国だらけです。中国やロシアの場合、日本との境界線を頻繁に侵犯して来ますし、北朝鮮は工作員を日本領土内に送り込み、日本国内で無辜の日本人を誘拐して北朝鮮に連れ帰り、監禁し続けているという犯罪者集団です。
さらに、最近まで韓国は日本の友好国だと信じている人は多かったと思いますが、その韓国にしたって、島根県竹島を不法占拠し続けていますし、自称元徴用工判決問題や慰安婦問題で日本の経済的検疫を犯してきます。
へたに日韓通貨スワップなど結ぼうものなら、通貨安競争を仕掛けられ、日本の虎の子の産業を韓国によって潰されてしまうのです。
このように考えていくと、日本にとって守らなければならない戦略的利益とは、まずはきちんと国益を守ること――具体的には、ルールを守らない犯罪国家、ウソツキ国家からの窃盗行為を防ぐこと、危険で邪悪な軍事独裁国家との軍事衝突などを防ぐことです。。
日本にとっての基本的価値
もう1つ重要な考え方が、「基本的価値」です。
私たち日本国民にとっては当たり前の話ですが、日本は民主主義国であり、また、言論の自由、経済活動の自由などが保証された「自由主義社会」です。
日本国憲法にはさまざまな問題点があることも事実ですが、やはり、日本国憲法の優れている点は、自由主義、資本主義、民主主義、法治主義、人権尊重にあります。また、日本国憲法が掲げる平和主義について、「理念としては」素晴らしいと考えています。
(※もっとも、日本国憲法には国と国民を守るという基本的な規定が欠落しているため、この欠陥については早急に修正する必要があることは当然のことですが…。)
しかし、この「自由主義」だの、「民主主義」だの、「法治主義」だのといった価値観は、万国に通用するものではありません。
たとえば、私たちの近隣諸国の例でいえば、北朝鮮にはそもそも自由主義も民主主義も法治主義もありません。そこにあるのは独裁者・金正恩(きん・しょうおん)とその一味を讃えることしか許さない、おそるべき全体主義です。
あるいは、隣国・中華人民共和国の場合、共産党の一党独裁が国としての方針でありますし、最近になって習近平(しゅう・きんぺい)国家主席の個人思想(いわゆる「習近平思想」)が憲法に書き込まれたという話も聞きます。
その中国は、昨今の武漢コロナ騒動を巡っても自由で透明な情報開示を拒んでいますし、『どうせ法治国家でない中国、無理に法を作らなくても…』でも触れましたが、西側諸国のルールを採用している香港の一国家二制度を事実上潰すような暴挙に出ています。
いずれにせよ、少なくとも中国、ロシア、韓国、北朝鮮が日本と「基本的価値」を共有していないことは明白でしょう。
日本にとって「ホンネ」が言える国とは?
ただ、南北朝鮮はともかく、中国はアジアの「地域大国」であり、日本の「国益」を実現するためには、否が応でも関わらなければなりません。この「関わり方」を巡っても、論者によって異なるでしょう。個人的には、日本には次のような思考があると考えています。
- ①日本は中国と対決するのを避け、中国に全面降伏し、中国の植民地になる
- ②中国は変わらないという前提のもと、距離を置きつつ限定的にお付き合いする
- ③憲法を改正して武器を持って中国と対峙し、中国の民主化を図る
(※余談ですが、この①~③だと、個人的には②のアプローチがもっともしっくりくると思いますし、①③はあり得ないと思いますが…。)
ただ、先ほどの図表1では、人間関係で「ホンネ」が言い合える関係は、「利害関係」ではなく「ウマが合う関係」だったはずです。そこで、図表1に倣い、これを「国と国との関係」に置き換えたものが、図表2です。
図表2 国家関係の一覧図
区分 | 基本的価値を共有する相手 | 基本的価値を共有しない相手 |
---|---|---|
戦略的利益を共有する相手 | ①とても重要な相手 | ②嫌でも付き合わなければならない相手 |
戦略的利益を共有しない相手 | ③利害得失を超えて付き合える相手 | ④無視して良い相手 |
(【出所】著者作成)
まず、「①戦略的利益と基本的価値を両方とも共有する国」があったとしたら、それはそれでハッピーなことですし、それこそ国家単位でもっとも大切にしなければならない部類の相手でしょう。
一方、「②基本的価値は共有しないけれども戦略的利益を考えたら付き合わなければならない」という相手もいます。この場合、嫌でも付き合わなければならないわけであり、また、多くの国が「外交上の悩みがある」と感じるのは、得てしてこの「価値を共有しないが利益を共有する相手」のことでしょう。
さらに、「③戦略的利益は共有していないが基本的価値を共有する相手」というのは、利害得失を超えて付き合える相手でもありますし、また、ホンネを言い合える、とても重要な相手でもあります。
最後に、「④価値も利益の共有しない相手国」は、外交上、お付き合いする価値はありません。
具体的当てはめ
①基本的価値、戦略的利益の両方を共有する国
そこで、最新の状況をもとに、①~④を具体的な国と対応させておきましょう。
まず、①の象限に当てはまる国といえば、真っ先に思い浮かぶのは米国です。経済的にも軍事的にも重要な友好国であり、日本が米国を必要とするのと同じく、米国は日本を必要としています。まさに理想的な関係です。
(※もちろん、本当の文化的な点で日米が完璧にわかり合えるというものではないかもしれませんが、少なくとも「ウソをつかない」、「約束を守る」などの価値観の大切さについては共有しているはずです。)
ただし、米国だけが①の象限に当てはまる国であるべきではありません。やはり、地球上に心強い友邦を増やしていくのは外交の鉄則です。
こうしたなか、『安倍総理に核心突かれ逆ギレ=中国のわかりやすい反応』でも触れましたが、安倍晋三総理大臣は5月25日の新型コロナウィルス感染症に関する記者会見で、WSJのピーター・ランダース(Peter Landers)東京支局長の質問に対し、次のように答えました。
- 米国は日本にとって唯一の同盟国であり、日本は同盟国として、また、自由や民主主義や基本的人権、法の支配といった基本的な価値を共有する同盟国として、米国と協力をしながら、様々な国際的な課題に取り組んでいきたい
- 全世界に甚大な影響を与える感染症に対しては、自由、透明、迅速な形で情報や知見が共有されることが重要であり、日本は自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的な価値を共有する国々と手を携えながら、中国も含め、国際社会がよって立つべき原則を築き上げていく
…。
なかなか力強い発言です。
要するに、日本にとっては戦略的利益よりも基本的価値を共有する相手の方が大事だ、と、ハッキリ断言したのです。この安倍総理のセンスはなかなか優れていると個人的には思います(※もっとも、経済界には国益より自社の利益が大事だという経営者もたくさんいるのは事実ですが…)。
いずれにせよ、「海洋の航行の自由」という、日本にとって死活的な利益と、「自由・民主主義」などの基本的価値を共有すべき国は、米国だけでなく、英国、フランス、豪州、ニュージーランド、台湾などに広げていくべきでしょう。
②戦略的利益のみ共有する国
一方で、日本が基本的価値を共有していないが、どうしてもお付き合いしなければならない国の典型例が、中国とロシアの2ヵ国です。
中国は日本領である尖閣諸島周辺海域への侵犯を日常的に行っていますし、ロシアは戦後のドサクサに紛れて不法占拠した樺太、千島列島をいまだに日本に返そうとしません。いずれにせよ、どちらの国も日本とは価値観を共有できない国であることは間違いありません。
ただ、それと同時に、中国、ロシアを「同時に敵に回す」ことは、日本外交にとってはタブーです。
第二次世界大戦に敗北した要因は、さまざまな人がさまざまに指摘していますが、やはり、とくに終戦間際では中国、ロシア、米国の3ヵ国を同時に敵に回す状況を作ったことについては、反省しなければならないでしょう。
したがって、中国、ロシアの両国とは、表面上はニコニコしながら握手しつつ、テーブルの下で思いっきり足を蹴っ飛ばすくらいでちょうどよいのではないかと思います。
とくに、ロシアに奪われたままの北方二島(千島+樺太)については、平和交渉で返って来るとは思えません。結局のところ、もし戦争によらずにこれらの領土を取り戻すならば、ロシアという国自体を衰退させるよりほかに方法はないのです。
日本は国家が存在する限り、北方領土を取り返すチャンスは必ずやって来ます。そのときに備えて、日本はとにかく国力(経済力)を維持・拡充することが先決なのです。
③基本的価値のみ共有する国
さて、「戦略的利益は共有していないが、基本的価値を共有する国」というものがあったとすれば、日本にとってはそのような国も大切にすべきでしょう。ただ、考えてみれば、日本の場合はほぼ全世界と貿易を行っており、「日本にとって利益を共有していない相手」というものは、ほとんど存在しません。
敢えて言えば、欧州のなかの輸出大国・ドイツは、日本と自由主義、民主主義などの価値を共有している(かに見える)国ではありますが、「利益」を共有しているのかといえば微妙です(いや、そもそも「緊縮財政原理主義国」であるドイツと「価値」自体も共有しているかどうかという問題もありますが…)。
④価値も利益も共有していない国
そして、日本にとって価値も利益も共有していない国とは、北朝鮮や韓国がその典型例でしょう。
北朝鮮と友好関係を持ったとしても、あまりにも価値観が違い過ぎることに加え、中国、ロシアとの勢力争いに巻き込まれる可能性があるなど、却って日本の国益を毀損しかねない相手国の典型例こそ、北朝鮮だと思うのです。
また、最近だと韓国も、日本と利益を共有しているのか怪しいものです。
とくに当ウェブサイトでは最近、「朝鮮半島生命線説」については間違いだと考えています。
朝鮮半島生命線説とは?
- ①地理的に近い朝鮮半島が日本の敵対勢力に入れば、日本の安全保障に深刻な脅威をもたらす
- ②だからこそ、日本はあらゆるコストを払ってでも、朝鮮半島を日本の友好国に引きとどめておかなければならない
この「朝鮮半島生命線説」のうち、①については正しいのですが、②については必ずしも正しいとは言えません。韓国や北朝鮮がウソツキで約束破りの常習国であることは事実ですが、それは彼らが悪いわけではなく、彼らがそういう性質の国だということに過ぎません。
そして、外交の世界においては、相手を変えるよりも、「相手が変わらない」ことを前提に、いかに自国の国益の最大化を図っていくかが重要なのです。
永続的なものではない
もっとも、全世界の国が①~④にスパッと割り切れる、というものでもありません。
たとえばインドの場合は日本と同じ民主主義国であり、中国を牽制するという観点からは、地政学的にもきわめて重要な相手国ですが、それと同時にインドはカースト制度など前近代的な遺物が残っている国でもあり、「100%、日本と基本的価値を共有しているのか」といわれれば、微妙です。
また、東南アジア諸国連合(ASEAN)の多くは民主主義国であるとともに、日本にとっては戦略的利益を共有する相手ですが、約束を平気で破るインドネシア、半ば独裁体制のシンガポール、共産主義のベトナムなどもあるため、「100%、価値を共有している」とはいえません。
さらには、日本と同じ自由民主主義国でありながら、国際法違反の判決を放置し、日本の自衛隊哨戒機に向けて火器管制レーダーを向けて来た韓国の場合、そもそも価値も利益も共有する相手国ではない、という可能性を疑うべきでしょう。
このように考えていけば、「世界のどの国が日本と価値、利益を共有しているのか」、「その関係は永続的な物か」という点については、じっくりと考えるべきであり、これこそまさに「ウェブ評論」の醍醐味でもあるのだと思うのです。
TPP+東アジア版NATO
さて、先ほどの『どうせ法治国家でない中国、無理に法を作らなくても…』のタイトルは、ジャーナリストで優れたチャイナ・ウォッチャーでもある福島香織氏がJBプレスに寄稿した次の論考を紹介しました。
香港「国家安全法」の衝撃、習近平が暴挙に出た理由/香港の一国二制度が終わる日
中国の全人代(全国人民代表大会)の最終日の5月28日、いよいよ「香港特別行政区における国家安全保護に関する法律制度」、通称「香港版国家安全法」「香港国安法」が可決される。<<…続きを読む>>
―――2020.5.28付 JBプレスより
この論考の末尾には、次のような記述があります。
「私のひそやかな願いとして、もし国際金融都市で自由都市である香港が消滅するのであれば、台湾が香港を吸収する形で香港の役割を肩代わりできるようにはならないだろうか。米国や英国、日本、EU、オーストラリアあたりが本気で協力すれば、台湾を正式メンバーとして組み入れた国際社会の枠組みを再構築することも可能だと思うのだが、どうだろう。」
個人的には、香港が国際金融都市かつ自由都市でなくなるのかどうかについては、もう少し見極めが必要だと思いますが、台湾が自由・民主主義を愛する国際社会の構成員となり、価値と利益を共有する壮大な国際共同体を構成するという考え方には、強く賛同する次第です。
とくに、さしあたって台湾をTPPという「経済同盟」に招き入れ、将来的に東アジア版NATOを創設したあかつきには、自由と民主主義を愛する東アジア・太平洋諸国でこれを構成するということを、そろそろ日本は本気で検討しなければならないのではないでしょうか。
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新宿会計士様 更新お疲れ様です。
おっしゃる通り、国と国との関係は人間関係と相似してますね。
社会人での人間関係というより、学校での人間関係ににています。
自分の思い通りにならないと、すぐ癇癪を起こす奴、弱い者イジメする奴、真面目に勉強し ルールを守る奴、すぐに手を出したりする奴。
やはり、国毎に固定された性格と言うものがある気がします。
そして、外交とは 自らの国益を守るために 時には協力し 時にはケンカも辞さない覚悟が必要だと思います。
しかし、今の官僚試験ではケンカの得意な人は排除されるシステムだと思われます。
ケンカでは 腕力では無く、知識 周りを見る観察力 状況判断 最後に覚悟が必要です。
今の外交で、それが備わっているとは思えません。
ただし、安倍総理は違います。
もうそろそろ、官僚の試験を変えて行く時期に来ているのではなかろうか。
>>今の官僚試験ではケンカの得意な人は排除されるシステム
じゃあ、具体的にどんな試験にすれば“ケンカ”が強くなると?
下らない根拠なきステレオタイプの官僚叩き。
官僚は政治の枠組みの中でしか動けない。日本の官僚がハードネゴシエーターであることはTPPの対アメリカ交渉を見れば分かるでしょう。政治が担いでくれれば力を遺憾なく発揮できる。政治が担いでくれるなら全力で支える。
官僚は国民の使用人。使いこなすのは雇用主である政治家の責任なんだよ。
匿名様
たしかに、仰っしゃる通り どんな試験があるのかまで考えないといけないですね。
ただ、幕末と戦後 日本は沢山の人物を輩出した。
環境がそうさしたと言われれば そうなのかも知れないが、現場の叩き上げがトップになった時の方が 日本が上手くいってる気がするんです。
あと、日本の官僚が優秀かそうでないかと言ったら 優秀だと 自分も思います。
例えばですが、昔 角の大きなヘラジカがいました。その群れの中では角が大きければ大きい程 群れの中の順位は上がりました。結果 角が大きくなりすぎて そのヘラジカは絶滅しました。
例えが 悪いかも知れませんが 官僚システムは科挙に似ている様な気がします。
つまり、何が言いたいかというと 試験という 一つの角度からの評価だけでなく、様々な種類の人物を集める事で、どんな人物が国益に合致するか わかるのではないか?
言葉足らずで、上手く言えませんが 今のシステムは 国益より省益を優先させている様な気がします。
結論は、一つの方向からの評価で人を入れるのではなく、様々な人間を入れるシステムの方が 結果 上手くいくのではないかと思う次第であります。
駄文失礼致しました。
何か肝心なことを忘れておられるようですが,日本は米軍が駐留している,ある意味でアメリカの「衛星国」です。限られた範囲内でしか選択の自由はありません。
「利害関係があるかどうか」と「ウマが合うかどうか」、分ける必要があるのでしょうか。
実は、どちらも「金銭的」「精神的」に「利益があるかどうか」でしかありません。
金銭的利益は兌換である意味で物質的な意味での利益ですが、心はそれ以外の形でも報酬を受け取ります。
人身掌握などの話でよくあるように、その精神的な報酬と金銭的な報酬はある程度可換です。
結局の所、人間の活動は心が報酬で刺激されて意思決定して行うものだから、刺激は「金銭的」であっても「精神的」であっても同じ仕組みで同じように心に作用します。
結局の所、人間の活動は全て接触により交換を行う経済活動であり、交換するものは物理的なモノ(金銭)でも情報(精神)でも良いのです。
これが政治で最も重要なのが「経済」である所以でしょう。
逆にお伺いしますが、「利害関係があるかどうか」と「ウマが合うかどうか」を分けて考えることで不都合が生じるでしょうか?
分けても不都合はないし、分けなくてもも不都合はない、で良いと思いますよ。
どちらでも、変わらないから好きなように使い分ければ。
個人的な好みとしてはオッカムの剃刀で、シンプルなモデルを採用します。
ダーウィン
最も強いものが生き残るのではなく
最も賢いものか生き延びるでもない
唯一生き残る事ができるのは、
変化できるものである
H様 ダーウィンの言葉、ストンと納得いたしました。
つまり、国際社会で生き残るためには、国家としても必要な変化が遂げられなければならないということですよね。蛇足ながら続けると、思考停止では、変化も遂げられないということですわよね。
要は価値も利益も共有していない国(=韓国)を強調されたいと思うのですが、、
もう少しだけ現実に目を向けて欲しいです。「韓国大事だよー」というつもりはありません。「いろいろ準備できてないんじゃね?」というだけの話です。日本の国益のために「離韓するのは当然」なんですよ。ただし、日本に依存してる韓国から見ると、日本の離韓行為は自国に対する敵対行為なんですよね。要するに日本からの宣戦布告なんです。輸出管理強化への反応を見ていても明確でしょう。当たり前のこと言う低脳だなーと侮蔑されても構いません。ですが、敵対行為を仕掛ける(日本人はそう思ってない)にも関わらず、何の準備もしていないんです。具体的には「インテリジェンス機関」と「スパイ防止法」です。憲法9条改正ではありません。離韓を防ぐ為に韓国側は、影響力工作、スパイ工作のレベルを上げてきます。本気で困ると破壊工作すらありえるでしょう。でも日本人は韓国を嫌うだけで何の対策も取らないわけです。声を出して政府を追い詰めないと動きませんよ、、(安倍さん好きなので追い詰めたくないですけどー)
同じことは香港問題などでの中国への内政干渉行為でもいえます。基本的価値、戦略的利益の両方を共有する国との強調は大切です。中共に虐げられている人民を憂い、声を上げることも必要でしょう。とはいえ、基本的価値、戦略的利益の両方を共有する国との関係を維持するためにやればやる程、日本に対する中国からの敵視レベルがあがるわけですが、今の中国にとっては日本との関係は切れません。なので、中国側は影響力工作、スパイ工作のレベルを上げてきます。にも関わらず、日本は何の準備もしていないんです。かわいそうだーという無邪気な感情だけで戦略もなしに邪悪な超大国との敵対レベルを上げていってるんです。非難声明を出すのは良いのですが、反動で中国進出企業が被害を受けた場合にフォローできる体制もできていません。にも関わらず、多くの議員が無責任にも署名してしてしまっています。政府が「深く憂慮しています」という感じで済ませている背景を理解せずに日本政府は情けないとか無茶をいっている人も多いです。コロナ関連問題と一緒なんですよね、自分たち日本人の不作為や意識の低さが原因だと思えない人が多すぎますね。
憲法9条改正は大事です。とはいえ、現実には憲法の範囲内で武力行使する前に、影響力工作、スパイ工作、破壊工作で武力行使する意思と能力を奪われます。現実的には憲法9条改正とインテリジェンス機関及びスパイ防止法がセットでないと意味がないんです。最近の尖閣諸島への強めの行動も「影響力工作、スパイ工作に目を向けさせないための戦略 かも ねー」と思えずに「#尖閣周辺への中国船侵入に抗議します」で盛り上がる始末です。で、こういう最低限の想定も無しに、中共は瓦解してほしいとか、、妄想を言う人が多いです。中共が瓦解して民主化しても、中共=中国人なので、何も変わりません。逆に脅威ですよ、民主化されたチャイナなんて。さらに、日本にとっては「世界の巨悪である中共が世界の誰にでも理解できる巨悪のアイコン(ナチス級)として存続する方が国益に叶う かも しれない」と想像できない人が多過ぎですね。
長くなりましたが、日本の国益のために離韓を望むのであれば、外交には情報と武力というツールが必要というのを同時に伝えていって欲しいです。情報と武力というツールなしに感情だけで進めると環境はどんどん悪化していきます。
あと、香港と台湾の問題は難しいですね。民主化を求める香港人で中国人意識の方は必ずしも建国志向の台湾人と琉球は日本だと思う日本人の味方ではないということ。中国人意識の方まで移民で台湾が取り込むことで新たな問題が発生しそうなこと。あとは、少なくとも、日本人がごく普通の台湾人だと思っている台湾人からは「日本ちゃん、しっかりしてくれー」と思われてるので、東アジア版NATOとか気が早過ぎてー。だから何にしても、インテリジェンス機関及びスパイ防止法ですよ、結局は。情報もないのに機能しないですよ、台湾ちゃんに依存する気ですかね。
台湾から見た日本のイメージ
https://twitter.com/MOGAooo/status/1231275980125134849
台湾に公衆衛生を教えた日本
マニュアル人間に劣化した日本
日本が中国からの入国をすぐに全面規制しなかったことに賛否がある(当方はあれで良かった派ですが)とはいえ、中共の脅威と日々格闘している台湾人からはイラストのように「劣化したなー、教えてあげようか?」と思われてるんですよね。教えてもらう前提ならインテリジェンス機関及びスパイ防止法をすっ飛ばして東アジア版NATOを夢想しても良いとは思いますが、いつまで他国に自国の命運を委ねるおつもりでしょうか。
管理人さんは、離韓したい気持ちが強すぎです。何事も順番がありますので、冷静になられた方が宜しいかと思います。感情で動くとろくなことがありませんので。とはいえ、離韓には今が絶好のチャンスなのは間違いないんですよね、だからこそ同時に必要であるインテリジェンス機関及びスパイ防止法も訴えかけるべきです。
>中国、ロシアを「同時に敵に回す」ことは、日本外交にとってはタブーです
っていうのは賛同です、これも多くの日本人に認識させる必要がありますねー
東アジア版NATOと言えば、冷戦初期の1950年代に太平洋集団安全保障構想というのがありました。言い出したのは第6代フィリピン大統領のエルピディオ・キリノ。フィリピン単独では国内外の共産勢力に対抗できないため、アメリカを引き込む狙いがありました。これに台湾へ追われた蒋介石、ソウルから人民を見捨てて釜山へ逃げた李承晩が賛同します。
アメリカは当初乗り気でなかったのですが、冷戦が深刻化するとアメリカ軍の負担軽減が期待できる太平洋集団安全保障構想を検討する事になります。
以前、NATO設立の目的について、アメリカを中心とした集団安全保障体制を作り、西ドイツを含む西ヨーロッパ各国を加盟させ、アメリカ軍が西ドイツに駐留する事で「ソ連から西ヨーロッパを守る」「ドイツから周辺の西ヨーロッパ諸国を守る」「周辺の西ヨーロッパ諸国から西ドイツを守る」という3つの課題を同時に達成するため、と書きました。
フィリピンやアメリカが想定した太平洋集団安全保障体制は上記の西ヨーロッパをアジア太平洋、ドイツを日本に置き換えたもので、在日米軍がそれを担保するものになります。
この構想に猛反対したのが韓国の李承晩です。理由は「反日感情」、ただそれだけ。
地図を見れば一目瞭然ですが、ソ連、中共、北ベトナムといった共産圏を封じ込めるには日本を巻き込む事が必要不可欠です。アメリカもそう考えてました。
しかし頑迷な反日家の李承晩は頑なに拒み、韓国が主導する日本抜きの反共同盟を作ろうとします。指導力、外交力、人望がなかったせいか、失敗しましたけれど。
韓国の猛反対だけでなく、関係国は思惑の違いから足並みが乱れ、結局構想は頓挫。アメリカは日本、韓国、台湾、オーストラリアなどと個別に同盟を結び、同盟相手同士に連携を呼びかける形で太平洋集団安全保障構想に代える方針に変えました。日韓GSOMIAもその一環でしょう。
今のアメリカは冷戦期と違って圧倒的な国力はありませんので、日本を始め、アジア太平洋諸国にも相応の負担を求める事でしょう。それらの国が中共の脅威を共通認識にできるのなら、「経済同盟」のTPPを足がかりとして、太平洋集団安全保障体制という「軍事同盟」を構築して中共の封じ込めを図る事も不可能ではないと思います。韓国は絶対に反対するでしょうが、それなら韓国を排除して韓国諸共封じ込めるまでです。
もちろん、これを行うには日本も憲法を改正し、最低でも自衛軍保有の明記、できれば集団安全保障の参加をも明記する事が求められます。
余談ですが、「軍事同盟」を足がかりに作られた「経済同盟」のようなものが東南アジア諸国連合ASEANです。
東南アジアには東南アジア条約機構SEATOという反共軍事同盟がありました。ベトナム戦争の敗北以降は機能しなくなり、解散してます。しかしこの加盟国の一部が結成したASEANは反共連合から経済連合へ形を変え、共産圏のベトナムやラオスを加盟させて今に至ります。
日本人は、世界の中で長期間、地理的・文化的に孤立してきたため、現在も、思考様式(世界観、人生観、価値観、思考・行動様式)において孤立の尾を引きずっています。そのため、先人も度々云うように、世界から見ると非常に変わった考え方をもった存在です。ですから、我々日本人の常識は世界の常識ではないとの自覚が必要です。日本が異常に感ずる半島国や大陸国の方が、世界の中ではむしろマトモな存在だと認識すべきです。
その一例として、約束やルールを守ることに関し、日本人はそれを律義に守るのが美徳であり義務であると思っていますが、日本を一歩外に出れば、そんなことは褒められることでも何でもありません。間抜けなお人好しの証拠であるだけです。むしろ、約束を守らず食い逃げするのが賢さの証明です。これは国家間外交では特に顕著と言えるでしょう。ですから、ちょっとした契約でも、逃げ道を与えないように分厚い契約書を作りますし、約束を履行しない相手には制裁懲罰するのが当たり前です。ですから、「国際紛争解決手段としての武力行使を放棄した国」が、「約束を守れ!」なんて言っても遠吠えに過ぎません。
では日本はどう仲間を見つけ、孤立から脱すべきなのかということですが、管理人さんの言う相性から言えば、近い東アジアよりも遠い欧米の方が良いようです。これもジャパン・ミステリーの一つですが、どうやら、日本人の思考様式はアジア人よりも欧米人のそれに親和的なようなのです。その証拠は、明治維新後の急速スムーズな産業革命(西欧化)に、欧米以外では日本だけが成功したことに見て取れます。英国に始まった産業革命は、その後急速に大陸ヨーロッパにも伝播しましたが、英国と同じ思考様式の西欧諸国だったから可能でした。処が日本は、欧米とは地球の反対側の地理的・歴史的位置にあったのです。元々の思考様式において、たまたま、何か相通ずるものがあったとしか思えません。
ただ、日本人と西欧人とが部分的に似た思考様式をもつとはいえ、最近になって付き合い始めた、生まれも育ちも全く異ことなる者同士です。日本人同士のように心の底から分かり合うことは困難でしょう。ですから、妙な思い入れにとらわれることなく、冷静に、相手を知り己を識り、甘えず阿らず信頼を醸成しながら、節度をもって付き合っていくべきでしょう。
近隣の中国・半島国家については、なまじ、大昔から知り合っている分、妙な先入意識があり付き合いづらいですね。彼らが、旧来の東アジア的思考様式から脱し、欧米的、自由・平等・多様性などの価値観を持つようになれば、日本との関係も円滑になるでしょうが、当分難しそうです。やれやれ。
で、習近平中国について思い出されるのは、ヒトラーのドイツです。彼が、WW1で受けた屈辱を晴らそうとドイツ国民を扇動し近隣国を侵略するなど、ことさらに強硬策を用いているのとダブります。今、米国を中心とする欧米諸国も同じことを思い出しているのではないでしょうか?そして、宥和策をとったチェンバレン・英国の失敗も。今や世界は、新型コロナで経済・民心の動揺が止まない状態。加えてここに米中対立が風雲急を告げ、一触即発。香港事態がその導火線となる可能性も大です。日本も対岸の火事という訳にはいきません。来年は、五輪どころではないのかも。
外務省などの専門家の意見も重要ですが国民の意見も同様に重要で両方のバランスが大切ですね。
国民が広く議論をし、万機公論に決すべし。(そう言えばつい先日お隣さんもフォーラムなどをされているようです)
上下心を一にして、さかんに経綸(経済の議論)を行うべし。このサイトがなされている素晴らしいことかと思います。
ちなみに
下心を一にして、さかんに議論されているのがお隣の国の会議、フォーラムだと思います。
西洋の概念を日本から韓国へ輸出する際、ご過剰の御誓文の一文字が誤って抜けてしまったのでしょう。
更新ありがとうございます。
今回の会計士さんの論考区分 、【人間関係(国同士の付き合い)の分類】は以前にも何度も拝見して大要賛同して来ました。
しかし、今回はコメントを見ると、反論に近い新しい見方、意見が多いようです。「こんな事考えているのか」とお初でビックリの人もいるようですね。わたしゃ「前半は復習だな」と思った(笑)。
『基本的価値を共有する相手 』『基本的価値を共有しない相手』『戦略的利益を共有する相手』『戦略的利益を共有しない相手』
の4分類。コレがオカシイと思う人もいるんだね。
私が個人的に一番困ったのは戦略的利益があり、基本的価値を共有しない上司(爆笑)。誰でもそうでしょう。40年以上働いてストレスの半分はコイツでした。残りはクライアント。
今はソレから解放され、ストレステストでも0点!「極めて健康な心理状態です」と書いてます(今、働いてますが悩むことがない。 認知か?)。一度リタイヤしてから、メシウマです(笑)
さて日本と一番ウマが合い、利害関係があるのは当然同盟国の米国です。ま、米国も心の奥底は分かりませんが。昔メチャクチャ戦った東洋の島国ですからね。
次いで以前なら考えられなかった元EUの英国、豪州、カナダ、NZ、台湾、マレーシア、タイ、ベトナム等。スイス、フランス、スペイン、北欧3国、東欧の小国も手を繋ぎたい。
アレレ、北東アジアが無いよ。
いくら謝罪しても蒸し返す南朝鮮。歴史遺産として日本を貶め共産党独裁、大量安モンコピーと新型コロナウイルス産みの里の中国、天然資源しか無く経済的にジリ貧の露、愚連隊国の北朝鮮等、ロクな奴が居ません。
正直言って中国とは少しずつ距離を取る。日本又は他国で置き換え可能な分野はバイバイする。露はほっとけばいずれ潰れるでしょう。沈没間違いナシになって、北方領土を突き付ける。50年でも待つぞー。
南北朝鮮は、主敵でも重要でもない。もやし、かな。要らなければ、捨てればいい。
台湾のTPP加盟は是非にも。香港の代わりは微妙ですね〜。また『開かれた太平洋インド洋の環』構想の中心は日本、自由と民主主義を愛する諸国でこれを作って行く必要が急がれます。
日本は敗戦後に得た平和と繁栄は、戦後教育により日本国憲法に拠ると思っている人もまだまだ根強いと思います。日米の同盟も否定的に捉え国防に対してのあまりにも無頓着な論調や運動も続いていますよね。厄介ですが、一度思いこんだことはなかなか修正が効きません。
今は明治時代の国際情勢に戻った感があります。やはり過去に学ぶとすれば改めて明治維新、日清日露戦争、2回の世界大戦をもう一度捉え直す必要があると思います。
しきりに8月15日になると他国に謝りますが、ちょっと違って敗戦の本当に反省すべきは中長期的な戦略がなかったため、徒に多く被害を出して結果一時的でしたが国を失ったことだったと思います。
明治維新もつまるところ国防に対する危機意識によるものだったと思いますし、日清や日露戦争は自身の客観的な評価のもと政略、戦略を立て外交、諜報を重視し周到に行われたものと理解しています。
戦争の形も変わってくるでしょう。先の匿名さんが言われるように日本にもインテリジェンス機関が必要だと思いますね。もっと外交感覚、リスク意識を研ぎ澄まさないといけないでしょう。
ただこういう話も、履き違えたり勝手に決めつけて正確に報道せず批判するでしょうからなかなか今の日本の現状では難しいのかなと思いますね。ここが限界だと思います。
難しい、というところは同感です。
まずは、「まともな」歴史教育からでしょうか。時間が掛かりそうです。
インテリジェンス機関?
日本にもありますけど…
先の方の発言は再編または新設と言う意味かと思いますが…