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【記事内容に修正あり】韓国銀行、50億ドル以上を為替介入で溶かした模様

昨今の「コロナショック」がもたらす経済的なインパクトは、おそらく、2008年の「リーマンショック」を越えるでしょう。こうしたなか、本日、韓国銀行の発表によれば、同国の3月時点の外貨準備高は、前月と比べて90億ドル近くも減少したそうです。「ドル高によるドル建て以外の外貨資産の換算額が減少した影響もある」などと説明していますが、これは果たして正しいのでしょうか?

2020/04/03 14:40追記

当初この記事は『韓国銀行、100億ドル近くを為替介入で溶かした模様』というタイトルで公表しましたが、その後、検算したところ、当ウェブサイトが置いている前提に従えば、為替変動の要因を過少に見積もり過ぎていたため、該当箇所を修正したうえで記事タイトルを『韓国銀行、50億ドル以上を為替介入で溶かした模様』に修正します。大変申し訳ございませんでした。

コロナショックはリーマンショックを超える?

新型武漢コロナウィルスSARS-CoV-2の世界的な蔓延の余波を受けて、先月は株式、債券、通貨市場などで、リスク資産が一斉に売られる、という動きが見られました。

このウィルス、最初は中国、次は日本、そしてイラン、韓国、イタリアと感染地が次々に広がり、現在では米国で猛威を振るっています(米国では感染者数が20万人、死亡者が5000人をそれぞれ超えているようです)。

また、こうしたウィルスの蔓延状況を受け、日本政府はすでに本日以降、世界のほとんどの地域からの外国人の入国を拒否する措置を講じている状況にあり(当面、4月末までの措置)、事実上の「鎖国状態」に入った、という言い方をしても良いでしょう。

新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る上陸拒否について

中華人民共和国で発生し,感染が世界的に拡大している新型コロナウイルス感染症に関し,令和2年1月31日以降の累次にわたる閣議了解,新型コロナウイルス感染症対策本部による公表等を踏まえて,法務省では,当分の間,以下のいずれかに該当する外国人について,出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)第5条第1項第14号に該当する外国人として,特段の事情がない限り,上陸を拒否することとしています。<<…続きを読む>>
―――2020/04/03付 法務省HPより

そして、今般の「コロナショック」は、経済的なインパクトとして見れば間違いなく2008年9月のリーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発する金融危機(いわゆるリーマンショック)を超えるでしょう。

なぜなら、産業のサプライチェーンも寸断され、物流、商流も混乱を来し、インバウンド観光だけでなく、国内の旅行、飲食、レジャー関連の需要も軒並み甚大な打撃を受けることが、ほぼ確実だからです。

外為市場では資源国通貨などが暴落

こうしたなか、コロナ騒動の余波を受け、先月は新興市場諸国を中心に、通貨が軒並み下落する展開になりました。

少し古い情報で恐縮ですが、いわゆるハード・カレンシーやG20諸国通貨などの主要26通貨について、コロナ騒動が始まる直前の1月20日時点と、先月の27日時点における対米ドル相場を比較したものが、図表1です。

図表1 主要26通貨の対米ドルの騰落(1月20日→3月27日)
通貨 相場変動 対ドルでの騰落率
ロシアルーブル 61.6→78.77 ▲27.87%
メキシコペソ 18.6637→23.391 ▲25.33%
ブラジルレアル 4.1904→5.1005 ▲21.72%
インドネシアルピア 13621→16140 ▲18.49%
ノルウェークローネ 8.9292→10.4877 ▲17.45%
豪ドル(※) 0.6872→0.6165 ▲10.29%
スウェーデンクローナ 9.5183→10.4877 ▲10.18%
トルコリラ 5.9147→6.455 ▲9.13%
NZドル(※) 0.6609→0.604 ▲8.61%
加ドル 1.3049→1.4023 ▲7.46%
タイバーツ 30.36→32.52 ▲7.11%
アルゼンチンペソ 59.9919→64.1724 ▲6.97%
マレーシアリンギット 4.0595→4.3276 ▲6.60%
インドルピー 71.04→75.47 ▲6.24%
シンガポールドル 1.3466→1.4278 ▲6.03%
韓国ウォン 1159.61→1212.74 ▲4.58%
英ポンド(※) 1.3009→1.2455 ▲4.26%
オフショア人民元 6.8673→7.0964 ▲3.34%
オンショア人民元 6.8669→7.0887 ▲3.23%
台湾ドル 29.969→30.182 ▲0.71%
サウジアラビアリヤル 3.7519→3.7557 ▲0.10%
香港ドル 7.7693→7.7514 +0.23%
デンマーククローネ 6.7346→6.7025 +0.48%
ユーロ(※) 1.1096→1.1168 +0.65%
スイスフラン 0.9684→0.9513 +1.77%
日本円 110.18→107.92 +2.05%

(【出所】WSJのマーケット欄等を参考に著者作成。通貨名の前にある①~⑤は、先ほど示した分類のこと)

(※なお、マーケット慣行上、(※)で示した英ポンド、豪ドル、NZドル、ユーロの4通貨は「その通貨に対する米ドルの価値」を表示していますので、数値が大きくなれば通貨高、数値が小さくなれば通貨安を意味します。この点については他の通貨と逆ですので、ご注意ください。)

これを見ると、対米ドルで価値が上昇しているのは日本円とスイスフラン、ユーロとデンマーククローネくらいなものであり、その一方、資源国通貨(とくにロシアルーブル)や新興市場諸国通貨(メキシコペソ、ブラジルレアル)などが大きく下落していることがわかります。

デンマーククローネの米ドルに対する価値が上昇している理由は、同通貨はユーロとのペッグ制度(ERM2)を採用しているためと思われます。また、香港ドル、サウジアラビアリヤルは米ドルとのペッグ制度を採っているため、価値はほとんど変動していません。

韓国ウォンの動きは不自然

こうしたなか、典型的な新興市場通貨であるはずの韓国ウォンが、意外と堅調です。

米韓為替スワップが締結される直前の3月19日には、1ドル=1300ウォンの大台を突破する直前にまで売り込まれたにも関わらず、その後は徐々に持ち直し、現時点においても1ドル=1210~1240ウォン前後で不思議と安定しているのです。

あくまでも個人的な感想で申し上げるなら、リーマン・ショック時の同通貨の動きからすれば、もっと大きく下落していても不思議ではありません。

ここで、韓国ウォンの対米ドル相場について、

  • ①リーマンの経営破綻翌日である2008年9月16日を0日目とする系列
  • ②コロナ騒動が本格化する直前の2020年1月20日を0日目とする系列

をグラフ化すると、興味深いことがわかります(図表2)。

図表2 韓国ウォンの動き(2008年9月16日以降vs2020年1月20日以降)

(【出所】韓国銀行データより著者作成。為替相場は終値)

いかがでしょうか。

リーマン・ショック時には、47営業日目の2008年11月21日に1ドル=1500ウォンを目前とする水準にまで同国の通貨が売られているのに対し、今回は47営業日目の2020年3月27日の時点で、1300ウォンの大台を突破せず、1200ウォン台に踏みとどまっているのです。

やはり、相当の額の為替介入でも行っているのではないか、との疑念は晴れません。

韓国の外貨準備高は90億ドルも減少!

こうしたなか、本日はこんな報道がありました。

先月の韓国外貨準備高、90億ドル減少…金融危機以降最大(2020.04.03 09:27付 中央日報日本語版より)
韓国の外貨準備高 約90億ドル減=リーマン・ショック以来の下げ幅(2020.04.03 06:00付 聯合ニュース日本語版より)

中央日報や聯合ニュース(※いずれも日本語版)の記事によると、韓国銀行が本日発表した統計では、同国の3月末の外貨準備高は、前月比89億6000万ドル減少の4002億1000万ドルだったそうです。その理由について韓国銀行は、次のように述べたそうです。

当局による外国為替市場の安定化措置や、ドル高の影響でドル以外の外貨建て資産のドル換算額が目減りした。

「当局による外国為替市場の安定化措置」とは耳慣れない表現ですが、平たく言えば為替介入で通貨防衛した、という意味でしょう。また、ドル高の影響で、米ドル以外の通貨(たとえばユーロなど)の米ドル換算額が減少した影響もある、とのことですが、これは意味がわかりません。

国際通貨基金(IMF)が発表する外貨準備高の通貨別構成比統計(COFER)によると、世界の外貨準備高に占める通貨の構成は、ざっくり、

  • 米ドル…60%
  • ユーロ…20%
  • 日本円…5%
  • 英ポンド…4.5%
  • 人民元、豪ドル、加ドル…それぞれ1.5~2%

といったところですが、2月末と比べて英ポンド、加ドル、豪ドルなど、人民元などが米ドルに対して下落していることは事実だとしても、ユーロ、日本円の両通貨に関してはむしろ米ドルに対して上昇しています。

このため、韓国の外貨準備高の通貨別構成が上記とほぼ同じだったと仮定したら、為替変動による影響はマイナス0.120.35%(つまり35億ドル弱)に過ぎず、為替介入による外貨準備高の減少は、少なく見積もっても8558億ドル、資産運用益を考慮したらさらに多額であるという可能性が濃厚です(※)。

(※)2020/04/03 14:40追記

当初の記事では為替変動による影響を「0.12%」と記載していましたが、改めて計算チェックを行ったところ、「0.35%」の間違いでした。大変申し訳ありませんでした。理由はスプレッドシート上、「コンチネンタルターム」で表示される通貨に対する「マイナス1」が一部の通貨について漏れていたためです。

よって、当ウェブサイトの前提条件に従えば、正しい「為替変動の影響」は0.35%であり、「100億ドルを為替介入で溶かした」という表現は行き過ぎでした(※これにともない、記事タイトルそのものについても修正しています。)

もっとも、韓国銀行は例年、3月頃に「資産運用益で外貨準備が増大した」などと発表していることから、資産運用益との相殺効果を勘案すれば、「為替介入100億ドル」というのもあながちピント外れではありませんが、この点についてはちゃんとした証拠がないので、機会を見て、追って議論したいと思います。

毎月100億ドルずつ為替介入をする余力は、韓国にあるのか

自然に考えて、それでも韓国には外貨準備高が4000億ドルあると彼らは言い張っています。もし彼らの説明が事実ならば、100億ドルくらい為替介入で溶かしたとしても、どうってことはありません(※もちろん、3月のように100億ドル近くも為替介入で溶かす、ということが40カ月続けば話は別ですが…)

2020/04/03 14:40 追記

文章を削除しました。

しかし、『外貨準備高に関する韓国銀行の説明は正しいのか?』などで繰り返し報告しているとおり、韓国の外貨準備高には不自然な点が多々あり、とくに、米国が公表する米国債などの国別投資残高とは明らかに矛盾もあります。

為替介入に使うことができる原資は、4000億ドルどころか、下手をするとその半額以下ではないか、との疑念は晴れません(もっとも、だからこそ、韓国は国を挙げて「日韓通貨スワップが必要だ」と言い続けているのかもしれませんが…)。

2020/04/03 14:40 追記

改めて、計算間違いについてお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした。

新宿会計士:

View Comments (38)

  • 外貨準備高が 4000 億ドルもあるんだから、いいんじゃないですか。(棒)

    • イーシャ様

      ご自慢の4000億ドルってことになっていますが、あれって実は、積み上がってきた貿易黒字の行き先を表沙汰にできないから、計算上そうなってるとでも言っておかなければ仕方がないという類いの金額じゃないでしょうか。

      なにせ小中華のカノ国、宗主国に習って、中抜き、ポッケナイナイで相当部分が匿名の個人資産に化けていてもおかしくないのでは。アメリカがその気になればいつでも凍結しちまえるような、米銀の口座に入ってるなんてことを妄想してみるんですが。

      • 伊江太 様

        おそらくポッケナイナイされている額は大きいでしょうね。
        仮に原資に手をつけずとも、ハイリスクハイリターンの金融商品で運用益はナイナイしていたでしょう。その結果、今は原資が毀損し買い手もつかない。

  • いつもありがとうございます。
    そもそもこの4000億ドルがどこまで事実か怪しい。
    それにしても、ウォンが暴落しないのは逃げ出す側にとってはありがたいことなのではないでしょうか。
    為替スワップ大成功と言ったところですね。

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。

     韓国のなかでは、減った外貨準備高は誰かが補填してくれることに、な
    っているのでしょう。

     駄文にて失礼しました。

     

  • 更新ありがとうございます。

    では残りの外貨準備高は3,910億ドルですネ〜。報告用は!(笑)。ご苦労様です。

  • まあ、外貨準備にはいろいろな資産がありますからね。
    40ヶ月もたないで限界がくるでしょう。

    今まで言及しなかった介入に言及した(隠せなくなった)はすごく重要な事実です。
    為替スワップのお金は国の手元にはないので介入には使えませんね。

  • ヘッジファンドが今日の晩あたりから攻撃掛けてくるかもですね。
    日本とのスワップだけが彼らにとって不安でしょうが、まあ、実務担当トップの麻生財務大臣の態度からして即救済はあり得ないと読むでしょう。
    ヘッジファンドにしてみれば、一度仕掛けたら暴落まで持ち込まないと利益にならない。途中で失敗したら逆に自分が死にますからね。

  • 戦争よりも経済的疲弊は国力を削りますし、立ち上がるのも容易でなくなりますので、どうぞこのまま彼らの誇る外貨準備高を消耗して頂きましょう。
    おそらく4/15には文在寅の永世大統領就任も確定でしょうし、日本にすり寄るのも不可能になるでしょうからね。

  • 日本が介入しそう、破綻は無いと思う。
    また日本が損するかも。
    族議員でなく国賊議員がいっぱいなので。
    もし破綻したら、ソフトバンクやみずほ銀など
    も危ないと噂されてますが?

    私は少しみずほ銀の株買ってしまったので
    心配だ、これは日本が介入したら、みずほも破綻
    が無いのでは?と望んで書いてるわけではありません。

    と、いうのはその通貨スワップ使いきる前に正式に
    打診してくると思います、もう水面下ではやってるのでは?
    麻生大臣の答弁も実際に大臣が知らないか、隠してるとか。

    何か約束しても守らないのは分ってるので、約束の履行を
    実際分る形で実施させるヤラセの茶番を両国が画策するかも。
    例えば、慰安婦像なんて撤去しても、活動家がいくらでも
    作れるので、そのときだけ履行させて後は韓国のやりたい放題
    とかはあり得ます。
    そもそも自民党は、日本人だけの政党ではないので、相当な
    帰化人や親戚に半島籍のもの、ハニトラ・マネトラに掛ったもの
    が大勢居ます。
    もう一つの可能性として、アメリカが要請したら?ハイ、終わり
    もう決定です、見返りは?今まで何かありましたか?

    • まだ分らない、劇的な何かが起こる可能性も・・・・様(お名前、長すぎ!)

      >そもそも自民党は、日本人だけの政党ではないので、相当な帰化人や親戚に半島籍のもの、ハニトラ・マネトラに掛ったものが大勢居ます。

      本当ですの!なにかというと、大陸や半島に心がなびくのは○○民主党だと思っておりました。
      いえ、古代から半島からの帰化人を受け入れてきた歴史がありますので、純血日本人?というのは難しいとは思いますが(多分、私のDNAの?%は半島かも)
      でも、意識はカッキリ日本人です。そもそも、日本人とは文化だと思っておりますのよ。

  • 自己コメントを失礼します。

    この記事の更新情報をツイッターにも投稿したところ、「米ドル、ユーロ、日本円、英ポンド、スイスフランなどのハード・カレンシーだけでなく、それ以外にも何か怪しい通貨を外貨準備に組み入れているのではないか」との疑念を提起してくださったツイッターユーザーの方がいらっしゃいました。

    いろいろな可能性を議論する価値がありそうですね。

    • 私的な興味としては、外貨準備高に含まれる"北朝鮮ウォン"の割合が気になっています。

    • なぜ誰も言わないのか分かりませんが、それは仮想通貨では?
      外貨準備に仮想通貨を使う世界初の国だったりして。
      ビットコインとウォンの相関関係とか見たら面白いかも知れません、
      そんなものがあるのか知りませんが。

      あとタイバーツとか?日本がタイと結んだのは迂回して韓国に適用する為
      とかは無いのですか?そんな事があるのかも分らないのですが

      (詳しい方、知ってましたら教えてください)

      • 匿名様がおっしゃるような裏道をタイが韓国に提供できるのでしょうか?

        タイに限らず日本も、いえ世界中どの国も、このコロナ禍に続く経済恐慌に戦々恐々している状況だと思います。ですからね。そんな時に頼ってこられる関係ではありませんので韓国とのスワップは論外だとは思います。日本は韓国経済からの火の粉を払うだけが精いっぱいじゃありませんかしら?

        ごめんなさい。金融の話はあさってな私なので、こんな話しかできません。

  • いつも楽しく拝見させて頂いています。
    ウソをそのまま垂れ流すどっかの村と違い、間違いに気づいたら訂正できるサイト主様は素敵ですね。

    個人的には昔から思っていますが、競馬の予想を外した新聞記者には、毎週月曜日に反省文を掲載して欲しいと思っています。

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