フッ化水素の対韓輸出高は金額、数量ともに前月比半減

日本政府が昨年7月に発表した韓国に対する輸出管理適正化措置を巡って、フッ化水素(厳密には品番2811.11-000)の輸出高を調べたところ、明らかに単価に異常値が発生していた、という話題については、先月の『対韓輸出が急減しているのは「低価格フッ化水素」か?』などでも触れたとおりです。こうしたなか、本日公表された普通貿易統計によれば、韓国に対する2811.11-000の輸出高は、金額、数量ともに前月比で半減しているようです。コロナウィルス騒動と関わっているのか、ほかにも理由があるのかはわかりませんが…。

2020/02/27 21:25付 追記

茶筒様からの指摘で誤植を発見し、修正しております。図表2の前年同月比の数量単位が誤っていました(なお、12月と1月の数値については「トン」で合っています)。

大量のフッ化水素はどこに行った?

昨今のコロナウィルス騒動の影響で忘れている方も多いかもしれませんが、日本政府が昨年7月1日に発表した韓国に対する輸出管理適正化措置の影響で、韓国に対するフッ化水素(厳密には「HS番号2811.11-000」)の輸出が急減しています。

これについては先月の『対韓輸出が急減しているのは「低価格フッ化水素」か?』などでも触れたとおり、わが国の財務省が作成する『普通貿易統計』のデータ上、韓国に対して輸出されたフッ化水素の重量単価が、昨年10月と11月に急上昇していることを確認しました。

なぜ韓国に対するフッ化水素等の輸出単価が急上昇したのかについて、その理由は正直よくわかりませんが、仮説としては次のようなものが成り立つでしょう。

  • 対韓輸出が継続していたフッ化水素は液体のものであり、気体のものは対韓輸出が止まっていた
  • 韓国に対するフッ化水素は低価格品の輸出が中心だったが、個別許可への切り替えにより、低価格品の輸出がほぼゼロになった

最新データを確認する

それはさておき、財務省は本日、今年1月までの普通貿易統計を発表しており、順次、データベースも整備されているようです。これによれば、品番2811.11-000の対韓輸出高が前月比で約半減したことが示されています。

フッ化水素の金額単価の推移(図表1)と金額と数量(図表2)を示しておくと、それぞれ次のとおりです(図表1)。

図表1 韓国に対する2811.11-000の輸出単価(昨年7月以降)
年月金額、重量kg単価
19年6月5億9469万円/2,932.7トン203円/kg
7月4億0098万円/479.1トン837円/kg
8月0円/0キロ
9月372万円/100キロ37,230円/kg
10月4064万円/896キロ45,353円/kg
11月4693万円/947キロ49,559円/kg
12月1億5042万円/793.8トン189円/kg
20年1月8303万円/398.3トン208円/kg

(【出所】財務省・普通貿易統計より著者作成)

図表2 韓国に対する2811.11-000の輸出高(昨年7月以降の金額、数量、前年同月比)
年月金額と前年同月比数量と前年同月比
19年7月4億0098万円(▲2.2億円、▲35.54%)479.1トン(▲2249.3トン、▲82.44%)
8月ゼロ(▲7.5億円、▲100.00%)0.0トン(▲3378.7トン、▲100.00%)
9月372万円(▲6.1億円、▲99.39%)0.1トン(▲3283.2トン、▲100.00%)
10月4,064万円(▲6.6億円、▲94.24%)0.9トン(▲3548.2トン、▲99.97%)
11月4,693万円(▲6.8億円、▲93.54%)0.9トン(▲3581.7トン、▲99.97%)
12月1億5042万円(▲4.3億円、▲74.06%)793.8トン(▲2152.6トン、▲73.06%)
20年1月8,303万円(▲5.4億円、▲86.75%)398.3トン(▲2950.1トン、▲88.11%)

(【出所】財務省・普通貿易統計より著者作成)

図表1で見る限り、韓国に対する「2811.11-000」の輸出単価が大きく跳ね上がったのは、昨年の9月から11月にかけての一時的な現象だったようです。ただ、2020年1月の「2811.11-000」の対韓輸出高は、金額、数量ともに、前年同月比では9割近く、前月と比べても半分に減少しています。

前月と比べて激減している理由はよくわかりませんが、輸出管理適正化措置の発動に伴い、少なくともフッ化水素は個別許可制度が適用されているため、単純に韓国へのフッ化水素等の輸出は、個別の輸出許可の状況に依存する、というだけのことかもしれません。

動きが怪しい、フッ化水素

次に、もう少し長い期間でも、対韓輸出高について示しておきましょう。

まず、図表3は、金額と数量をグラフ化したものです。次に、金額と数量それぞれについて、前年同月比を併記したものが、それぞれ図表4図表5です。

図表3 韓国に対する2811.11-000の輸出高(2016年1月以降)

(【出所】財務省・普通貿易統計より著者作成)

図表4 韓国に対する2811.11-000の輸出高(2017年1月以降、金額、前年同月比)

(【出所】財務省・普通貿易統計より著者作成)

図表5 韓国に対する2811.11-000の輸出高(2017年1月以降、数量、前年同月比)

(【出所】財務省・普通貿易統計より著者作成)

あらためて眺めてみると、韓国に対するフッ化水素等の輸出高は、2017年1月以降、金額、数量ともにジリジリと増えていたことが確認できます。しかも、その期間、日本から韓国への「半導体製造装置」の輸出高が減っているにも関わらず、です(※この点については近日中に最新データを紹介します)。

やはり、日本政府が韓国に対するフッ化水素などの輸出管理適正化措置に踏み切った理由は、「自国内で使う以上のフッ化水素を日本から輸入していたから」ではないか、という疑念が払拭できないゆえんなのです。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

なお、当然のことながら、2020年2月のデータはまだ出て来ていませんが、例の「コロナショック」と関連して、輸出高自体に急ブレーキが掛かっている可能性は十分にあるでしょう。

読者コメント一覧

  1. hiwochan より:

    単価が急増した理由について、仮説として考えられることがもうひとつ考えられるので指摘しておきます。

    商品の価格は必ずしも数量に比例しません。
    例えば管理費などの手数料は、数量との正の相関はあるにせよ、比例するわけではありません。輸送コストも然りで、極端な話、どんなに少量でも専用船をチャーターしなければならないとなれば、その船のキャパシティまでは船のチャーター料は同じです。
    なので、今回のように極端に数量が減ったケースでは、数量に比例しない部分の費用が相対的に高くなって、数量あたりの単価を押し上げた可能性もあるのではないでしょうか。

  2. 茶筒 より:

    更新ありがとうございます。

    すみません、勘違いだったら申し訳ないのですが、記事内

    図表2 韓国に対する2811.11-000の輸出高(昨年7月以降の金額、数量、前年同月比)
    の、数量と前年同月比
    12月 793.8トン(▲21.5トン、▲73.06%)
    20年1月 398.3トン(▲29.5トン、▲88.11%)


    12月 793.8キロ(▲21.5トン、▲73.06%)
    20年1月 398.3キロ(▲29.5トン、▲88.11%)

    ではないでしょうか。

    もし勘違いしてたら失礼しました。

    1. 新宿会計士 より:

      茶筒様

      誤植確認し、修正しました。
      19年12月 793.8トン(▲21.5トン、▲73.06%)
      20年1月 398.3トン(▲29.5トン、▲88.11%)
      比較の桁が2桁ずれていました。
      引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。

  3. だんな より:

    フッ化水素の人気が、急降下してますね。
    まあ、関係無く破綻するかも知れませんしね。
    私も、フッ化水素より、半導体価格やその韓国シェアが、どうなっているかに興味がありますもんね。
    アビガンの方が、ネタとしては盛り上がるかも知れませんね。

  4. しきしま より:

    フッ化水素の使途について、毎年日韓で情報共有することになっていたはずですが、韓国はそれを3年無視しています。
    その時点で真っ黒ですね。
    疚しいところが無いなら使途を説明できるはずです。

  5. ケロお より:

    ちなみに、HSコードのリストの一番最初は
    「馬、ろ馬、ら馬及びヒニー(生きているものに限る)」です。
    貿易されるすべてモノに番号を振った結果、何故そのようなモノがトップに来たのか…そもそも、生きた馬を貿易対象と考えたこともなかったが。

  6. ハゲ親父🐧 より:

    会計士様
    「輸出規制適正化処置」ではなく「輸出管理適正化処置」ニダ。🐧

    1. 新宿会計士 より:

      ハゲ親父 様

      誤植確認し、修正いたしました。引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。

  7. 匿名 より:

    自前で作れるようになった?ので日本からの輸入が激減した、というのはありえるんですかね
    自作成功という報道は多々ありましたけど

    1. イジワルばあさん より:

      私は、韓国がフッ化水素を国内で作れるようになったなんてことはないと思っています。理由は3つ。
      1、研究室レベルでできるということと、産業用に大量生産することは、天と地ほどの条件の違いがあるからです、
      特にフッ化水素は毒性が強く環境に絶対漏れてはいけないものだから、生産するには、施設、製造設備、貯蔵タンク、出荷するための容器のどれもが高い製造技術が必要なのです。輸出管理が厳格化されるまで国内生産をしてなかった韓国にこれらの技術があるとは思えないし、フッ化水素の製造方法だけでなくこれらの周辺技術も開発しなければならないとしたら、こんな短期間でできるはずがないと思うからです。
      2、元々フッ化水素の市場規模は大きくないですよね。後発で1で述べた技術開発にお金を掛けて産業として成り立たなければ製造に乗り出す企業もないのではないでしょうか?
      3、以前韓国では、我が国から輸入したフッ化水素を工場のタンクに移す際に漏れてしまい何人もの死者を出すという悲惨な事故があり、周辺の住民から猛烈な反発が起きて、これらを扱う工場に対する規制がとても厳しくなったそうです。そのためフッ化水素製造工場などを新しく作るのはとても難しいし、地域社会の同意を取ることも極めて難しいという話を聞いたことがあります。
      以上の課題を考えれば、韓国内でフッ化水素を生産するのは難しいし、やるとしても長い月日が必要なはずです。

      1. 元左派系?の初老 より:

        イジワルばあさん さん、不謹慎ですが、フッ化水素内製して欲しいと思っています。
        あんな、取り扱い要注意要注意の、知らねければ素手で触ってしまう液体。
        (一回だけ二重ゴム手袋+重装備で触った事が、その後過度の水洗をしました)
        3のループでしょう、内製化の過程で又又100%人災が起こるでしょう、下流の人々が犠牲になるのでしょうから大した事は無いのでしょうが。
        人間性を疑うコメントで相済みませんでした。
        では

  8. りょうちん より:

    ちょっと前までは「韓国ネタはもうおなかいっぱいだお・・・」だったのに、最近は「コロナネタはもうおなかいっぱいだお・・・」になっていますね。

    もはや、韓国経済は、中国経済の失速で日本の輸出管理どころでは無いレベルになっていますがこの先生きのこれるのでしょうか。

  9. ハリー より:

    フッ化水素は、昨年2019年12月に韓国への輸出が再開されて、また、今年に入って輸出が激減しているのですよね。

    その理由として、アメリカ外国投資委員会(CFIUS)が2019年12月に日本をのホワイト国から除外して(日経新聞によると)、その理由が、戦略物資を横流しにしている韓国にフッ化水素の輸出を再開したからだという意見があります。

    それで日本政府が慌てて韓国へのフッ化水素の輸出を止めたのでしょうか。本当のところは分かりかねます。

  10. 匿名 より:

    戦略物資を横流しにするような韓国へのフッ化水素の輸出は反対です。我が国の安全保障上問題です。そのような国には全面禁輸でいいと思います。

  11. 匿名 より:

    そういえば、このところ韓国がホワイト国に戻さなければ、ジーソニアを破棄するぞ
    みたいなことをまたいってますが、水素の輸出激減となにか関係あるのかしらん

  12. 匿名 より:

    韓国人入国制限措置50カ国に増加 「国連基準4分の1」
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200228-00000035-cnippou-kr

    こういうのみてると、「天に唾」「人を呪わば穴二つ」「因果応報」てな言葉が浮かぶなw
    理不尽な反日を長年やったブーメランがこれから始まるということだよ
    これはまだ始まりにすぎない

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