本稿では先ほどの『イランが米軍施設にミサイル発射』に続き、「手元メモ」的に、イラン情勢などに関連する報道をいくつか紹介しておきたいと思います。
着弾したミサイルは複数発
先ほどの『イランが米軍施設にミサイル発射』で「速報」的に紹介した、イランが駐イラク米軍施設に対してミサイルを発射したとする話題の「続報」が出て来ました。米メディアWSJの記事も米国時間22時過ぎ(つまり日本時間の本日正午過ぎ)に更新されています。
Iran Fires Missiles at U.S. Forces in Iraq(米国時間2020/01/07(火) 22:13付=日本時間2020/01/08(水) 12:13付 WSJより)
これによると、ペンタゴン(米国防総省)がイランによるミサイル発射を公式に認めたとあり、発射されたミサイルが「十数発の弾道ミサイル」(a dozen ballistic missiles)で、駐イラク米軍を狙ったものだと述べています。
また、攻撃されたのはイラク北部のアルビルと、イラク西部のアル・アサドにある基地で、攻撃自体は米国東海岸時間の午後5時半から開始されたとしていますが、これは日本時間でいう午前7時半、イラン時間では深夜2時半に相当します。
WSJによれば、米国の当局者は十数発のうち数発は墜落したとしつつも、いくつかが着弾したことを認めたうえで、「現在のところ米国人に被害は確認されていないが、イラク人に被害が出ているようだ」と述べているそうです。
イランメディアは「全ミサイルが着弾」
イラン側のメディアのひとつである『イランプレス』(英語版)は、今回の作戦をめぐり、イスラム革命防衛隊が「数十発のミサイルのすべてが米軍基地に着弾した」と発表したそうです。
All Iranian missiles hit the US Ain Al-Assad airbase in Iraq(2020/01/08 7:01付 IRAN PRESS英語版より)
といっても、イランプレス英語版の記事は非常に短く、今回のイランによる攻撃は「米国のテロリストによるカセム・ソレイマニ将軍に対するドローン攻撃」への報復だ、などとするにとどまっています。
一方で、時事通信によれば、イラン国営メディアは米軍が駐留する国々に対し、イランを攻撃するため米軍の施設利用を認めれば「標的となり得る」と警告したうえで、「さらなる損失を防ぎ、米兵の生命を危険にさらさない」よう、中東からの米軍全面撤退を要求したのだそうです。
イラン、米軍を報復攻撃 イラク駐留基地にミサイル―司令官殺害で本格衝突も(2020年01月08日12時23分付 時事通信より)
イラン、米同盟国に警告(2020/1/8 12:34付 共同通信より)
もちろん、本件については米軍が反撃に出て、なし崩し的に交戦状態に陥るのかどうかは、現時点で正確に見極めることは困難です。ただ、イランが報復措置に出たことで、米国にとっては再びイラン攻撃をする口実が得られたという言い方をしても良いでしょう。
ウクライナの航空機がテヘラン国際空港で墜落?
さて、本件に関係するのかどうかは不明ですが、同じく『イランプレス』(アラビア語版)は日本時間の先ほど、「180人の乗客を乗せたウクライナの旅客機がテヘラン・イマームホメイニ国際空港付近で墜落した」と速報しています。
ウクライナの旅客機がテヘランで墜落(イラン時間2020/01/08(水) 07:23付=日本時間2020/01/08(水) 12:53付 イランプレスより)【※アラビア語】
リンク先によると、ウクライナ航空のボーイング737が、ウクライナの首都・キエフに向かうためにイマームホメイニ国際空港から離陸した直後に墜落したそうです。これについては単なる偶然なのかもしれませんし、米軍の報復攻撃を装って何者かが民間航空機を撃墜したのかもしれません。
よって、これについても現時点では続報を待ち、当ウェブサイトにて報告すべきことがあればフォローアップします。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
そういえば、安倍総理訪問中にはホルムズ海峡付近を航行中のタンカー2隻が何者かの攻撃を受けたという事件もありました(『安倍総理のイラン訪問は成功?失敗? 長い目で見ることが必要』参照)。
日本は長年のイランの「友好国」として認識されています。
(※もっとも、『総論 対韓輸出管理適正化と韓国の異常な反応のまとめ』や『輸出管理の「緩和」を「対韓譲歩」と勘違いする人たち』などで報告したとおり、日本はイランを輸出管理上の「懸念国」に位置付けているようですが…。)
しかし、日本が中東に自衛隊を派遣するなど、イランから見て「米国の同盟国」としての振る舞いを続ければ、日本がイランから「敵国」として認定され、ホルムズ海峡を通過する日本のタンカーなどが攻撃を受けるという可能性も否定できません。
ただ、これも考え方であって、「日本が攻撃対象となり得る」ということは、「憲法第9条を守っていれば平和になる」という間の抜けた幻想から日本国民が脱却するチャンスでもある、ということです。
是非、これを機に、わが国で改憲議論が加速することを期待したいところです。
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>ウクライナ航空のボーイング737が、ウクライナの首都・キエフに向かうためにイマームホメイニ国際空港から離陸した直後に墜落したそうです。
これって、話題の737MAXと思ったのでが、Wikipediaで見ると、ウクライナ航空は737MAXw保有していません(2019年3月現在)。
撃墜されたと見るべきなのか、事故によるものなのかは続報待ちですね。
小生は今週末から3週続けて日本と韓国を往復します。航空機の墜落は他人事じゃないです。
また、オリンピックの年は航空機の事故が多いという話も聞いたことがあります。広島でのASIANAの着陸失敗以来、5年ほど韓国の航空会社は大きな事故を起こしていません。そろそろやらかしそうな予感もします。
駄文にて失礼します。
韓国在住日本人様
日本渡航の際はお気をつけください。
さてくだんのホメイニー空港は、ただのハブ空港というだけではなく、革命防衛隊が管理管轄する航空基地でもあるんですよね。
これがただの偶然とするにはやや胡散臭さがすぎます。
更に航空管制は事前に機体異常に関する通信を受けていなかったとか。つまりは突然墜落したことになる。
解析結果待ちですが、撃墜された可能性は十分にあると思います。
そもそもソレイマニ司令官がイラク国内で、武装勢力に携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)を配布する計画を支持していたという話もあります。
イランは国産のMANPADSを生産していますし、入手は容易でしょうが、イラン側がこのタイミングでウクライナ民間機を墜とす意味があるのかどうか・・・。
更新ありがとうございます。
墜落した旅客機がボーイング737シリーズなら、MAXでなくてもー700型やー800型でも、それほど遜色はないですよ。乗員乗客が180人という事なので、初期型〜中期型ではないと思います。
しかしウクライナ民間機を撃ち落とすか時限爆薬かで落とす意味は、考えにくいと思います。でもタイミング的にドンピシャ過ぎて怖い。
日本も「憲法9条守っていれば大丈夫」という笑福亭鶴瓶などの阿呆芸人に、発言をさせてはいけません。やはり国防をしっかりとやらないと、いつ何時テロが行われるか分かりませんので。
いやサイズの問題ではなく、737Maxには自動墜落装置が装備されているというネタですよw
あのぉ~。こんな話はこちらでは、遠慮しなくちゃとは思うのですが。ウクライナ機墜落と同時期にイランの原発の近くで、マグニチュード4.5の地震があったそうです。
アノニマスポストさんのコメントに注目してしまいました。
核実験ではないかというのです。その電磁パルスでウクライナ航空墜落したのではないかと。まさかね。
それはあまりにも物理学を知らない発言ですね。
地下核実験によるM4以上の人工地震と、地上機器に効果を及ぼすEMPの発生は両立不可能です。
EMPが飛行機に到達するには大気中爆発でないと無理ですし、大気中爆発では人工地震にはなり得ません。
地上核実験(笑)
これなら両立可能です(笑)。
地上核実験じゃ、拡散して無理じゃないかな・・・と資料を探しましたが、
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/kenshin/vol81_1.pdf
こちらの文献によると、6.8kTのTNTでマグニチュード4.1を観測できたというので、地上核実験ならイケるかもしれませんねw
皆様、私の与太話にお付き合い下さって、ありがとうございます。
やっぱりね。でも、絶妙なタイミングです。思わず信じてしまうとこでした。
自国の核施設の近くで核実験なんて、自爆テロの文化の国でもさすがに・・ですわよね。
なんとも厳しい状況になって来たようです…
パヨクが『酒を酌み交わせて平和を(笑)』なんて言っておられる状況では無くなって来ました。
日本は(汚くても)勝ち馬に乗らなくてはならないから、アメリカから命じられたならペルシャ湾(将来、『アラブ湾』に改称されるかも知れないなぁ~…)に自衛隊を送らざるを得ないのでしょうね…
ウクライナ機墜落については、真相は闇の中になるでしょう。
アメリカ側・イラン側、双方共に撃墜する動機はあります。まあ、日本はアメリカ側の報道を優先的に受けますから、イランの仕業であるとの主張が優勢を占めるでしょう。
ことここに至っては、ウクライナ機が墜落した真相などはどうでもいいかも知れません。
最も重要であることは、歴史のベクトルが『イラン戦争』開戦へ向けて、突き進んでいることだけだと自分は感じていることです。
今回の「ソレイマニ司令官_斬_首指令」は、極端な手段として示された案をあっさりトランプがGOしてしまったとかいう話。
つまりはアメリカの中枢部の決定過程をリークした者がいるという事。
で、こういう「案」には必ずメリットとデメリットが併記されるハズ。
この案を実行すれば、「死刑ファトワー」が発せられる危険もあると書いてあったハズ。
これが発せられたら五十嵐一教授の例を出さずとも、トランプは死_刑、また、その決定に関わった者も死_刑。
ファトワーは完遂されるまでは何時までも追われるもの。
そんな中で、このリークは「悪いのはトランプだけだ!」と言わんばかりな印象を受ける。
あれ?オレってば何を言いたいんだっけか?
斬首とか死刑ってここじゃNGワードでしたっけ?
と試しに書き込んで見るテスト。
???「『とにかくトランプが悪い』って夢を見たニダ!そうだ、新聞に書くニダ!」
という夢を見た。
そもそも米軍が守っているイラクに侵入した敵国イランの将兵(実はイラン最強のテロリストなんですっって)を殺したのは、単なる戦闘行為(戦場では当然のこと)であり、その結果に対して(国をあげて大衆動員して)の報復するぞ騒ぎは、まともじゃない。
まともじゃないが本気じゃない。本気で戦争するなら騒がず、さっさと開戦してるわな。。
侵
略者が、成敗されただけ...なんですよね。
イ
ランのロシアと支那の兵器じゃアメリカに0:100で負けると分かっている
イ
ランは、米軍とは戦争したくない。
海外の報道も調べる必要があり,状況分析に時間がかかりました。一応,アメリカ,イランいずれも事態拡大を避ける選択をしました。賢明な選択でしょう。
ウクライナ機墜落のニュースは日本より海外での報道のほうが大きかったですが,ミサイル攻撃が原因ではない,という点で一致していて,幾つかのニュースではその分析の根拠を詳しく解説していました。
ゴーン氏の記者会見も各国で報道されていましたが,日本の前近代的な司法制度に問題がある,という認識が強く,日本に分が悪いですね。この件は外務省に任せて,法務省と検察庁は大人しくしていたほうがよいのでは。
追伸です。
海外の識者の論説などさがしていたのですが,ゴーン氏の件については,日本の前近代的な司法制度を解説して,批判するものが大半で,ゴーン氏に同情的なものばかりです。日本以外の国の論説や意見で,日本を支持するものを見つけたら教えて下さい。
法務省や検察が頑張ると,国連人権委員会から勧告がくるかも。それはそれで,日本のためにはよくて,これを機に,司法制度を大改革するほうがいいでしょうか。
なお,ゴーン氏は日産をルノーの傘下に置くことを目的としていて,日産のクーデターでそれを阻止したのですが,日産の経営のほうは悪化してしまいました。フランス政府としてはゴーン氏を守らないと立場がない。人権問題では,仏>>日,です。
いやいや世界中
が
日本の方がフランスより司法制度も人権もまともだと思い知りますよ、日本人と称する朝鮮人?
が、
ゴーン(フランス人と称していたベイルート人?)と同じことして、フランスの優良企業を食い物にしてフランス優良企業の技術も莫大な収益も日本企業が(長期間)略奪、おまけに膨大な背任
そ
のうえ、その優良企業をフランスから奪って日本政府の傘下におこうとしてフランスの牢屋に収容されたら。
(尤も、我が国の超先端技術を超える企業がフランスにあれば、フランスがこんなイカサマやらないか)
そ
もそもフランス政府は政府だからルノーの持ち株を二倍持ってる計算で株主の権利を有すると言われ実行されて
『はい、そうですか』
と
認めてしまう日産の社長らが、うま鹿すぎる。
だいたい独房へ入れられたと文句を言ってるが、それは金持ちフランス人への優遇でしょうよ
連続殺人犯等々と一緒が良いなら、そう言ってくれればいくらでも雑居房にしてくれたのに。
日本政府は中東への自衛隊派遣を閣議決定しましたが、韓国は追加派遣の正式発表を今だためらっています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200108-00000010-cnippou-kr
もしかして、かなりビビッているのではないでしょうか。
韓国はUAEの原発受注の際、「UAEに非常事態が発生すれば 派兵韓国軍(実際UAEに派兵しています)が自動介入する」という約束をしているようです。
https://japanese.joins.com/JArticle/237260
原発も当初の予定を大幅に遅れて 今年ようやく稼動するみたいです。(かなりペナルレィーを払わされたでしょうね 笑)
自動介入の件もいつものように「無かった事」にするつもりでしょうか?