今朝の『韓国側の輸出「規制」撤廃要求に日本側は「ゼロ回答」』の「続報」です。韓国メディア『中央日報』(日本語版)の今朝の記事を眺めてみたら、案の定、昨日の政策対話を「輸出規制を解除するための協議だ」、とする誤報(あるいは歪曲報道、捏造報道)が大量に掲載されていて、思わず呆れてしまいました。ただ、考え様によっては、「韓国の態度次第では、日本としては輸出管理適正化措置を緩和してやっても良いかもね」と匂わすだけで、韓国政府をコントロールすることができるようになった、という言い方もできるかもしれませんが…。
昨日の政策対話は当たり前の結論に
昨日開催された、輸出管理を巡る日韓政策対話の位置付けとその結果については、今朝、『韓国側の輸出「規制」撤廃要求に日本側は「ゼロ回答」』で報告したとおりです。
簡単に振り返っておくと、韓国側が輸出「規制」と位置付け、撤廃を求めていた日本政府による対韓輸出管理適正化措置を巡っては、事実上のゼロ回答に終わった格好です。次の一文がすべてを物語っています。
第7回輸出管理政策対話を開催しました(抄)
両者は、現下の国際的な安全保障環境にかんがみ、今後とも、それぞれの責任と裁量の下に、実効的な輸出管理を推進することが必要であるとの認識を共有しました。
これまでも当ウェブサイトで繰り返し報告してきたとおり、物事の本質は韓国における輸出管理の杜撰(ずさん)さにあります。つまり、韓国を「(旧)ホワイト国」に指定し続けていた場合、戦略物資の迂回貿易、目的外使用などがなされる可能性がある、ということです。
また、韓国側は日本に対し、輸出管理厳格化措置を元に戻すように要求しているものの、試験委員が採点するときに受験生と協議しないのと同じで、日本が韓国を日本の輸出管理上、どう位置付けるかについては、日本にその裁量と責任があります。
だからこそ、菅義偉(すが・よしひで)内閣官房長官を筆頭に、日本政府関係者らは繰り返し、輸出管理については「相手国と協議すべき性格のものではない」と言い続けているのです。
韓経の誤報が酷い
以上を踏まえたうえで、本稿では韓国メディア『中央日報』(日本語版)に掲載された、いくつかの記事について、レビューしておきましょう。最初に取り上げるのは、『韓国経済新聞』(韓経)が配信した、次の記事です。
韓経:3年半ぶりに対話再開したが…韓日「輸出規制解決」には平行線(2019.12.17 08:38付 中央日報日本語版より)
冒頭からいきなり、
「輸出規制問題を話し合う韓日局長級対話が再開されたことを受け、両国が葛藤解決の糸口を探るだろうとの期待が高まっている。だが、強制徴用賠償判決問題など根本的な懸案で見解の溝は埋まらず、劇的な反転は当分難しいだろうという見方もある。」
とありますが、これが本当に「経済新聞」を名乗る新聞の配信記事なのかと疑ってしまいます。
くどいようですが、日本の輸出管理適正化措置は「輸出『規制』」ではありませんし、昨日の政策対話も日本が7月1日に発表した輸出管理適正化措置について話し合うためのものではありません。韓国が3年半応じなかった政策対話を再開しただけのものです。
それに、「強制徴用賠償判決問題」(※)と輸出管理適正化措置は、別次元の問題です。万が一、自称元徴用工問題で日本が完全に満足するような解決が図られたとしても、日本が輸出管理適正化措置を撤回するものではありません。
(※なお、自称元徴用工問題のことを韓国では「強制徴用問題」と捏造報道しています。)
冒頭の記載からして間違っているうえに、韓国メディアが勝手に自称元徴用工問題と輸出管理適正化措置を混同しているため、出てくる結論は「日本が貿易制裁である輸出規制を解くか、解かないか」という、ハチャメチャなものとならざるを得ません。
韓経は
「両国は次の政策対話を近くソウルで開くことで合意した。だが、日本側は『輸出規制を解除するかどうかは自国が決める問題』という立場を守っていたという。日本の輸出規制を元の状態に戻すにはまだ先が長いとの観測が出ている。」
と述べているのですが、そもそも輸出管理適正化措置とは「規制強化」ではありませんから、韓国政府が日本政府からの要望に対し、マジメに自国の輸出管理体制を整え、「迂回貿易や目的外使用」などがなされていないと証明すれば、日本が再び韓国を「(旧)ホワイト国」に戻す可能性もあります。
もっとも、韓国メディアの報道ぶりや、韓国政府の現在の姿勢などを見ている限りでは、少なくとも1年や2年で日本が輸出管理体制を元に戻すとも思えません(※その前に、韓国という国自体が消滅してしまうかもしれませんね)。
エビアンとコーヒーに喜ぶ中央日報
次に取り上げるのが、こちらの記事です。
ホコリが溜まった倉庫→特別会議室…5カ月前とすっかり変わった日本の儀典(2019.12.17 08:02付 中央日報日本語版より)
中央日報は「同じ韓日間協議」なのに、今年7月に東京で開かれた「韓日実務協議」と違って、16日の政策対話では、準備が行き届いた会議室にコーヒーや水などの飲料も準備されていた、などとする記事です(ちなみに韓国メディアによると準備されていた水は「エビアン」だったそうです)。
くどいようですが、中央日報の記者が根本から理解していないようなので、改めて申し上げておきますと、そもそも今年7月の事務的説明会も、今回の政策対話も、いずれも「日韓協議」ではありません。
というよりも、7月の事務的説明会を巡っては、韓国政府が一方的に「第1回韓日協議」と発表し、日本政府が激怒した、という経緯もあった(『信頼に値しない国 やはり「言った言わない」の展開になった』参照)のを、中央日報の記者は忘れてしまったのでしょうか?
「近く追加協議」、そんな事実はありません
事実の歪曲が酷い、という意味では、次の記事についても紹介しておきましょう。
東京で10時間額を突き合わせた韓日 「近く輸出規制追加協議」(2019.12.17 07:18付 中央日報日本語版より)
中央日報は記事のタイトルで「追加協議」と述べたうえで、本文でも次のように主張しています。
「この日の政策対話はフッ化水素など半導体に関連する3品目に対する輸出手続き強化(7月)、貿易上の優遇措置の対象である「ホワイト国」からの韓国排除(8月)など、日本の輸出規制強化措置に関して協議する席だった。」
いいえ、違います。
ていますが、くどいようですが、そもそも今回の対話自体は「協議」ではありませんし、経産省の発表でもソウルで開かれるとしているのは「次回対話」であって「次回協議」ではないのです。中央日報はこの根本的な点を誤解(あるいは歪曲、捏造)しているためでしょうか、
「しかし、次の政策対話がいつ開かれるのか、いつごろ輸出規制が緩和または解除されるかについての言及はなかった」
といぶかしんでいるのですが、そもそも「輸出規制」ではない以上、それが「緩和または解除」されることはあり得ません。韓国がちゃんと「試験官」である日本政府の合格をもらえるに値するように輸出管理体制を整えたら、輸出管理上の優遇措置が復活するかもしれない、というだけのことです。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ただ、今回の一連の記事を眺めていて感じたのですが、日本と韓国は「教授と出来の悪い学生」の関係にそっくりです。出来の悪い学生が追試を受けにきたけれども、試験会場の態度も悪かったとしたら、教授としてはその生徒を落第させる以外にありません。
韓国側のメディアは「日本がいつ、輸出『規制』を解除してくれるのか」と必死ですが、日本としてはその時点、その時点で韓国の輸出管理体制をチェックして、「(旧)ホワイト国に戻すに値する」と思えばそうするでしょうし、思わなければそうしない、というだけの話に過ぎません。
いや、もう少しきついことを申し上げるならば、日本政府が「韓国の輸出管理体制がさらに甘くなった」と判断したならば、個別許可の対象品目を増やす、特別一般包括許可の対象品目を減らす、といった具合に、さらに厳格化することだってあり得ます。
もっとも、韓国政府、韓国メディアが「政策対話が続いている限りは日本が輸出規制を解除してくれるかもしれない」と感じてくれているのであれば、結果的に日本が韓国を良いようにコントロールすることができるようになった、と言えるのかもしれません。
(※「そんなもん、コントロールしたくないよ」、と思う人も多いと思いますが…。)
View Comments (33)
輸出管理ネタが多いですね。
>いいえ、違います。
>ていますが、くどいようですが、
「ていますが」 の部分は校正ミスでしょうか。
>日本政府が「韓国の輸出管理体制がさらに甘くなった」と判断したならば、個別許可の対象品目を増やす、特別一般包括許可の対象品目を減らす、といった具合に、さらに厳格化することだってあり得ます
これはないような気がしますね。
政策対話が再開された以上、韓国の輸出管理体制や運用が今以上に悪化することは想定できません。
韓国側の出来の悪い学生は、文政権の発足と同時に総入れ替えしたとの噂を聞きます。
サムスンなどの中国工場からファーウェイにかなりの半導体関連部品が供給されているという話も聞きますし、「入れ替え」は文在寅の意図的な中国すり寄りの一つの例ではないかと思います。
言い方が悪かったですね。
文政権の発足と同時に、優秀?な学生を総入れ替えし、出来の悪い学生が今残っている
という意味です。
てっきり「後頭部を殴られた」と怒りの報道があると思っていたのに、今回は日本に希望を託す論調なかりなのが意外でした。勝手に願望を垂れ流すのは「殴られた」より悪質ではありますが。
たぶん、「後頭部を殴った」んじゃなくて今回は正面から黙々と殴ったからじゃないでしょうかw
りょうちん様
韓国をロープに詰めて、韓国を正面に捉え、韓国からは正面ではない角度での、止む事のない連打。🐧
日韓の体力差・実力差がハッキリ解る連打だったのでしょう。🐧
レフリーがいるなら、試合を止めますが、いないと韓国を殺してしまうので、今殺しては不味いから、日本が都合の良い所で止めたのでしょう。🐧
日本政府の日韓政策対話総括が楽しみですが、もし韓国が再戦を希望するなら、その時は殺してしまった方が良いのではないでしょうか。🐧
いつも深い考察の内容、ご苦労様です。
当件、昨夜、BSフジのプライムニュース、BS日テレの深層ニュースに、はしごで元経産官僚貿易実務担当の細川氏(中部大教授)が出演され、後者の深層ニュースでは、一橋大教員の権氏を理詰めでコテンパンに論破してました。
元日経の鈴置氏、元東銀の真田氏のコンビもプライムニュースの半島経済ネタ常連になってますし、こういった経済、貿易ネタで、冷静な統計指標や法規を基に立論し、対処できるというのは、不毛な捏造史実論争より、よほど有効だと思いますし、今後の新たな展開も期待できますね。
権兵衛様
昨夜は、元経産省の細川さん、フジから日テレへスピード移動でしたね。たぶん21時53分頃までプライムニュースで、22時23分頃には深層ニュースに登場でちょっとビックリでした。
でも細川さんの説明はすごくわかりやすいですね。日本側と韓国側の発表に「それぞれの責任と裁量のもと」とあるのが重要で、このブリーフィングの摺り合わせに時間がかかったので対話が長引いたのだろう、と。
権さんは、李泳采さんよりは多少マシなような気もしますが、似たりよったりのヒダリマキですね…。
>ちかの様
コメントありがとうございます。
ご覧になっておりましたか。
そうなんですよ、お台場から汐留でしょうけど、局を出て車に乗るまでだって3-4分はかかるでしょうし、私も驚きましたよ。
東海の金慶珠が飽きられて、そこに上げられた恵泉教授の李が気持ち悪いので、よりジャパナイズされた面もある権氏の起用が増えてきたんでしょうかね。
でも、半島人らしいのは金慶珠、恵泉の李の方でしょうし、権という男は半島人にしてはちょっと弱いですね。
金、李のように、もっと無茶苦茶な発言してくれないと、半島人らしくありません(笑)
細川氏の指摘に、ほとんど言い返せず、枝葉末節で反論したとこも情けないだけでした。
韓国をホワイト国に認定したのが2004年1月。今回の日韓政策対話は7回目。
仮に、戦略物資取引実態のあるホワイト国との政策対話が年1回以上必要と仮定すると、本来は今回
書いてる途中で誤って送信されてしまったので続きです。
本来は今回が16回目以上であるべきという事になります。
差し引き、少なくとも9回分以上の対話材料が溜まっているのですから、宿題を片付けてからでないと、これからの話には入れないでしょう。
そもそも、ホワイト国でないグループBの韓国に対して、継続的に政策対話を行って『あげる』こと自体が、韓国を優遇して『あげているんだ』ということを、解らせてあげないといけないと思うんだよなぁ。
まったくそうですね。どれだけ韓国を優遇しているんでしょう、むしろ日韓の二国間の対話ではなくホワイト指定を望んでいる態度のいいグループBやCの国も一緒に政策対話に呼びお互いを競わせたりグループAに属さないことがいかに管理がずさんで先進国としてあええないか等々嫌味を言うべきかと思います。
更新ありがとうございます。
会議室が物置きじゃなかった?ふーん。
エビアンとコーヒー付き?ふーん。
しかし緩和措置がなかった?当たり前やろ。
で、日本人のひとりとして聞くけど、10時間も何の話でそんなにかかるんだ?8人と8人、16人も必要か?日本としては韓国側の言質を残さないといけないから、必要かもね(笑)。
韓国は輸出輸入の担当者が2倍になったから、日本の言う3つの条件のうち、2つはクリアした〜ッて言う事でしょうか。全然、その域に達してないんですが。
日本から輸出措置を緩める事はないよ。韓国が今の態度続けるなら、この先2〜3年どころか、ず〜と今のまま。もしくはCランク落ちだな。
「韓国部品でiPhone不良発生、やっぱりフッ化水素の国産化は困難?」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191217-00010001-newswitch-bus_all
少しは効果が現れているのでしょうかね?
ゴールド国に指定したらええねん。
「ホワイト国よりもずいぶんグレードアップですよ。」と(申請手続きが)。
個別手続き用の申請書の題を「ゴールド専用申請書」にして。
中身なんてなあんにも分からずにゴネてるねんから。色の問題やねん。
「ホワイト国・はく奪」じゃなくて「ゴールド国・特別待遇」ですよと。
担当者も「やりました!世界唯一のゴールド国です。」と胸張って帰れる。
メンツも立つ。
文句言いだしたら、「ゴールド国専用窓口にお問い合わせを。」ゆーてメールか自動音声案内で番号おさせたらええねん。
10時間も貴重な時間を割く必要あらへん。
おうごんすいさま
最高です。大笑いしました。
最初から最後まで、素晴らしいアイデアです。
おうごんすい 様
ナイスコメント!
最近見たコメントの中で一番です。
>やりました!世界唯一のゴールド国です。
韓国側のリアクションが脳内再生されます。本当にこんな喜び方しそうです。
いや、笑わせてもらいました。
・・・クレジットカードの最上位は「ブラック」カードなのです(ボソッ)
韓国側の捏造は、序の口でしょう。
中央日報の記事です
10時間のマラソン対話の翌日…日本メディア「輸出規制すぐには撤回されない」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191217-00000029-cnippou-kr
以下引用します。
ホワイト国からの除外に先立ち7月初めに日本側が実施したフッ化水素など半導体関連3品目の輸出手続き強化措置については「ホワイト国問題と比べると解決しやすい」という指摘が出ている。実際、日本経済新聞は17日、「ホワイト国問題は政令改正手続きなど条件が難しいが、3品目は散発的に輸出許可を出していて、この見直しは通達により即時実施できる」と伝えた。
引用ここまで。
この前の文章は、ホワイト国に戻すのは、要件を満足するのに時間がかかるから、当面有り得ないと、日本マスコミが言っている。だったら、日経新聞が簡単だと言っている、三品目をどうにかしてくれという話です。
その三品目が肝なのに、ある訳無いじゃん。
後は、その三品目で韓国が困ってる事を、自白してるようなものですかね。
使途不明の戦略物資を調査して報告することに関して一切ニュースが流れてこないのは何でだろうね。一番の原因なんだけど。
あと募集工問題は、「疑義が起きたときに両国の解決姿勢だけで前倒しで信用を与える」という信頼性の根拠になる物だからこれも大事なんだよね。基本条約も守れない国を疑ってかかるのは当たり前。
本日のお題である輸出管理を巡る日韓政策対話の3年半ぶりの開催は、韓国メディアがどう能天気に報道しようと実務者レベルではきっちり終わったようですね。経産省の皆様、お疲れさまでした。
ただ、韓国という国は、日本にだけではない、どこの国に対しても”おねだり”だけする国です。今回は経産省の皆様のきっちりとしたお仕事で、その”おねだり”を淡々と退けました。
さて、今月24日?に中国で行われると報道のある日韓首脳会談ですが、行われるとしたら、何の意味があるのかしら?賭けてもようございますが、文在寅さんは今回も空手で来ますわよ。よしんば、なにか約束らしいことを言ったとしても「約束を守るという約束はしていない。」それが半島人です。
宗主国である中国も、韓国の三不の誓いについて「守れるといいが。」と言ったといいます。半島と古代からの付き合いのある中国4千年の歴史ですかしら(笑)。
日韓外相会談は「日程が合わない」ということで回避されたとのこと。首脳会談もそれではいけませんの?
よもや、この段階で安倍総理が韓国の”おねだり”を受けるとは思えませんが、会っても意味のない会談ならスルーするのがよろしいかと。