今月22日に行われる天皇陛下の御即位に関する即位礼正殿の儀にあわせて、多くの国から国家元首、政府要人らが日本を訪れると考えられますが、こうしたなか、お隣の国は文在寅大統領ではなく、李洛淵首相を日本に派遣する、という話題が出て来ました。韓国政府側はこの報道を否定していますが、それと同時にもし国家元首・首脳級を派遣するとしたら、李洛淵氏「くらい」しか適任者がいないというのも実情であり、それだけ韓国側の行為によって日韓関係が深く傷ついているという証拠ではないでしょうか。
皇室外交は国益にこんなに寄与する!
即位礼正殿の儀を今月22日に控え、都内でも天皇陛下の御即位記念パレードや交通規制などの話題がちらほら出てくるようになりました。
正直、交通規制があると何かと不便になることは事実ですが、それでも滅多にないパレードが開催されるというのは、非常におめでたい話であり、個人的には「東京都民で良かった!」と思う瞬間でもあります(東京都以外の在住者の皆さま、申し訳ございません!)。
さて、上皇陛下のお人柄もあってか、平成の30年間を通じて、国民はよりいっそう、皇室に馴染んだのではないかと思います。そして、200年ぶりの御譲位ということもあり、街は今上陛下の御即位をお祝いする雰囲気で溢れていて、世相は本当に明るいと思います。
日本国憲法上、天皇陛下は「国家元首」とは定められていませんが、首相の任命や法律・政令の公布などの権能を持ち、かつ、皇室がわが国で千年以上の長きにわたって深く敬愛されている事実などを踏まえれば、事実上、天皇陛下は国家元首に等しいと考えて良いと思います。
ちなみに、外交儀礼上は、一般に
- 国家元首である君主
- 国家元首である大統領
- 行政の長である首相
という順序で待遇される、という話を聞いたことがあります。
現時点でどの国からどんな人が来日するのかに関する報道はありませんが、それでも、次の日経電子版の記事によれば、外国賓客の人数自体は過去最多となるのだそうです。
天皇陛下、世界に即位宣言へ 海外賓客は過去最多(2019/6/20 20:15付 日本経済新聞電子版より)
即位礼正殿の儀にあわせて数多くの国家元首、首脳らが来日し、彼らを温かく歓待すれば、それだけでもわが国の国益に直結します。
まさに一世一代の大イベント、いまから楽しみでなりません。
「韓国首相が参列」報道?
その一方で、正直、「戸惑いを感じる」とは、このことかと思います。というのも、共同通信は昨晩、こんな記事を配信したからです。
韓国大統領、即位礼見送りへ/李首相の参列で最終調整(2019/10/7 22:48付 共同通信より)
この記事は、韓国政府が今月22日に行われる天皇陛下の即位礼正殿の儀に、(文在寅=ぶん・ざいいん=大統領本人ではなく)李洛淵(り・らくえん)首相を派遣する意向を日本政府に伝え、両国が李首相の参列で最終調整中であることを、「日韓外交筋が」7日、明らかにした、とするものです。
また、あわせて李洛淵氏は日本国内で「首相経験者」と会談する予定だともしています(のちほど紹介する韓国メディア『中央日報』の記事によれば、その相手とは福田赳夫元首相や森善朗元首相だそうですが、ついでに鳩山由紀夫、菅直人の両元首相あたりとも会談しておけば良いと思います)。
個人的な経験で恐縮ですが、共同通信などのメディアが「外交筋」だの「政府筋」だのを情報源に報じた記事については、正しい場合もありますが、間違っている場合(あるいは単なる虚報である場合)も多く、「正解率」は半分、といったところでしょうか。
そして、率直な感想を申し上げれば、李洛淵首相が参列するというのも意外な気がしました。というのも、この李洛淵氏という人物、自称元徴用工問題を巡り、今年5月に「韓国政府にできることには限界がある」と言い放った張本人だからです。
それでなくても即位礼正殿の儀には多くの国から国家元首級を含めた要人が続々と来日することが予定されています(ちなみに『天皇陛下の即位式に呼ばれていない国』でも触れたとおり、日本政府は日本が国家承認している195ヵ国中、194ヵ国に招待状を送ったそうです)。
当然のことながら、迎え入れる側であるわが国も、総理大臣や閣僚、国会議員らが優先順位を付けて、数多くの外国の代表団らと会談をこなさなければなりませんので。そもそも李首相が日本に来たところで、安倍総理を筆頭とする政府要人との会談などできるとも思えません。
李洛淵氏くらいしか考えられないのも事実
しかし、今回の共同通信の記事については、あながち「どうせ虚報でしょ?」とは言えません。日韓関係が急速に悪化していることは事実ですが、正直、韓国側から代表者が来日するとしたら、李洛淵氏くらいしか適任者がいないというのも正しいからです。
李洛淵氏が来日したところで同氏が日本政府要人との会談に応じてもらえるとも思えませんが、それと同時に、いちおうは「隣国の国家元首の即位式に首脳級を派遣した」という体裁だけはなんとか整うこともまた事実です。
そもそも文在寅氏は日本の安倍晋三総理大臣とのあいだで昨年9月の国連総会以降、首脳会談を行っていません。その最大の原因は、昨年10月30日の自称元徴用工判決で生じた国際法違反の状態を、文在寅政権が何ら手を打たずに放置しているからです。
実際、今年6月に大阪G20で来日した文在寅氏に対し、安倍総理がわずか8秒間の握手のみで対応し、首脳会談にも応じなかったことでもわかるとおり、現在の安倍政権が国際的な約束を守らない韓国を相手にする状況にはありません。
文在寅氏の来日が難しいのならば、文喜相(ぶん・きそう)国会議長を派遣すれば良いじゃないか、と主張する人もいるかもしれません。
しかし、この文喜相氏といえば、当時の天皇陛下に対して「日王」だの「戦犯の息子」だのと蔑んだうえで、自称元慰安婦らに対し「直接謝罪せよ」という無礼な発言をした人間でもあります(『何も学習しない韓国の政治家 天皇陛下に安易に言及する愚』参照)。
しかも、文喜相氏は自身の極めて無礼な発言について、上皇陛下と天皇陛下、そして日本国民に対し、ただのヒトコトも謝っていません(『悪い冗談?日韓関係破壊した張本人が「突破口を開く」の怪』でも触れたとおり、鳩山由紀夫元首相には謝ったそうですが…)。
もしこの文喜相氏が日本にやってきたとすれば、日韓関係をさらに悪化させることに寄与したとしても、日韓関係を改善させることに1ミリでも役に立つとは到底思えません。また、彼を相手にする政治家がいるとしても、せいぜい立憲民主党か日本共産党の議員くらいではないでしょうか。
また、現役の国家元首、三権の長、首相などを派遣することが難しければ、過去の国家元首や首脳を派遣する、というのはひとつのテクニックでもあります(実際、麻生太郎総理は2011年1月、(おそらくは当時の菅直人首相の代わりに)ブラジルの大統領就任式典に参列した事例があります)。
しかし、韓国の大統領経験者といえば、収監中の朴槿恵(ぼく・きんけい)前大統領、2012年8月に島根県竹島に不法上陸し、当時の天皇陛下に暴言を吐いた李明博(り・めいはく)元大統領という、ろくでもない人間ばかりです。
このように考えていけば、李洛淵氏は文在寅、文喜相の両氏や大統領経験者らと比べれば「まだマシ」な人物だとはいえるのかもしれません。
韓国側はさっそく否定
ただし、この共同通信の記事については、さっそく、韓国政府が否定しています。
共同「天皇即位式に李洛淵首相が出席調整中」…韓国総理室「決まったものない」(2019.10.08 07:56付 中央日報日本語版より)
中央日報は
「韓国総理室関係者は李首相の天皇即位式参列に関連して『決まったものはない』として否定した。また別の政府消息筋は『李首相の派遣を日本側に伝えたという報道は事実ではない』としつつも『天皇即位式が2週後に迫っている以上、韓国側の参列についてや誰が行くかなどを近く決めるものと承知している。早ければ今週』と話した。」
としており、この情報が事実ならば、先ほどの共同通信の記事は誤りだ、ということでもあります。
この点、現時点における個人的な見立てを申し上げるならば、韓国政府が日本に代表者を送り込む場合、少なくとも文在寅、文喜相、李洛淵、朴槿恵、李明博の各氏のなかでは、李洛淵氏が訪日担当者としては「最も適任」(というよりも「一番マシ」)です。
しかし、李洛淵氏すら訪日できなければ、韓国は首脳級(あるいは国家元首経験者)を日本に派遣することすらしない、という可能性も否定できないでしょう。
なお、今回の即位礼正殿の儀は、世界各国から国家元首、政府要人らが一堂に会する貴重な機会でもありますし、もしその場に大統領、首相、大統領経験者などを派遣すれば、日本政府要人との会談が実現しなくても、それなりに有意義な外交ができる可能性があります。
しかし、もし韓国が首相、大統領経験者を派遣しないということであれば、それはそれで好きにすれば良いと思います(諸外国には「隣国なのに国家元首の即位礼に代表団を送らない奇妙な国」と認識されてお終いだと思いますが…)。
View Comments (23)
>日本外交筋は「文在寅大統領の参列の可能性はなくなった」と明言した。
日本側が敢えて大統領の訪日の可能性にフタをしたように見えるんですよね。
韓国側は、大統領の訪問をちらつかせながら事務レベルで駆け引きでもやってたんでしょうかね。
日本側としてはどっちでもいいはずなのに勘違いして。これも瀬戸際外交?
ところで、朝鮮日報の記事にも触れてましたが、
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ペンス氏、即位礼の訪日見送り 米運輸長官が参列へ(日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50642600V01C19A0MM0000/
米ホワイトハウスは4日、22日に開かれる天皇陛下の「即位礼正殿の儀」にチャオ運輸長官が参列すると発表した。当初はペンス副大統領が参列する方向だったが、他の政治・外交日程を考慮して見送られたとみられる。
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ペンスが来るはずだったのが、運輸長官(誰?)に格下げだそうで。
台湾出身の方ですよ🎵
私は歓迎です‼️
チャオ❤️
改めて読むと、韓国側の出席候補者のロクでもなさっぷりが凄いですね(笑)
クロワッサンさま
もう、誰も来んでええわと言いたくなります。
ですねぇ…金正男の息子を韓国代表にする方が良さそうですねw
>改めて読むと、韓国側の出席候補者のロクでもなさっぷりが凄いですね(笑)
既に韓国とは事実に基づく議論ができなくなって久しい現状では、
司法も含めて韓国の政官界にロクな人が残っている方が驚きでは。
李首相が、参列する報道に対して、韓国ネット民の反応は、参列自体が親日的行為としてネガティブです。
ペンス副大統領の代わりは、(イレーン・チャオ)趙小蘭さんです(Wikiをつけておきます)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%AA
台湾出身で、アジア系アメリカ人女性として初めてアメリカ合衆国の閣僚となったとのことです。
格下げという事ではなく、即位礼に参加できない、台湾に気を使った見方もできると思います。
「だんな」様
>即位礼に参加できない、台湾に気を使った見方もできると思います。
なるほど、こういう見方もありですね。
習近平氏の国賓待遇での訪日など、過度な対中接近を牽制する意味合いなども言われていますが、それよりご意見の見方の方が腑に落ちる感じです。
私見では、中国から王岐山国家副主席が出席する反動の面もあるのではないかと考えます。
即位礼、招待はされていたようですね。
出席者は最終的にはカン外相になるのでは?
冷遇されるのは確定だし、そもそも今の国内情勢で
首相が国をあけるのは危険でしょう。
(文大統領と大統領府に任せていいの?)
米国もウクライナゲート対応でペンス副大統領の出席を
取りやめて大臣級を派遣することに変更しました。
韓国も暇なカン外相派遣でいいでしょう。
どうせ形式だけなのですから。
まさかこの機会に対日関係で何か進展するとは
思ってないでしょ?
いつも知的好奇心を刺激する記事の配信ありがとうございます。
韓国代表のオススメを当方は致します。
黒電話将軍の金正恩を韓国代表として招いたらどうでしょう(笑)。
強烈なメッセージになると思います。
以上です。駄文失礼しました。
更新ありがとうございます。
韓国の首脳級のなかでは、李洛淵氏が訪日担当者としては「最も適任」(一番マシ)ですか(笑)。ロクな奴、居ないんだね〜。式が穢れるから、朝鮮民族は呼ばなくていいと思う。
式典のあとでも、何を言い出すか分からない。対日の侮日宣伝に使われては迷惑だ。そこが日本人の甘いところです。
以下の通り選別すべきです。①国王を戴き皇室間の往き来多く、経済交流も多い是非来て貰いたい国、②国家間の交流多く、民主主義の浸透した是非来ていただきたい国、③どちらでもいい国、④無理して来て欲しくない国、そして⑤来るなッ!の国。→中国もだ!という意見もあるでしょうが、今は韓国限定で(笑)。
ホント、李さん要らんわ。外からテレビモニター見るぐらいなら呼んでもいいが(笑)。
今の時点で、韓国が首相(韓国ではNo.2?)なんかを出席させると、「韓国は日本に頭を下げ、歩み寄った」ように見え、韓国世論が黙っていないんじゃないですかね?
透明人間対応ですかしら?文在寅さんにしろ、李洛淵さんでしたっけ、にしろです。
国家に限らず、人間関係でも、約束を守ることは信頼の基です。それを破るということは、信頼を失うことを覚悟しなくてはなりません。約束を破っておいて、信頼関係における協力だけを求めるという。哺乳類にもあるまじき行為(隣家の犬でも、待てを破れば叱られることを知っています)を行う半島人は、そこにいると考えただけで無用なストレスになります。来るんでしょうか、来ないとする選択肢もありますのに。
前世界大統領のパン君がいるじゃありませんか
まぁ文は来ないだろうと思っていましたが。
日頃散々日本を貶めている韓国政府が首相を送って来るのは、やはり完全に日本と切れるのが怖いんでしょうね。
ここで政府要人を誰も送らなかったら壊滅的関係悪化ですから。
まだ眉唾レベルのニュースですが、こっそりGSOMIA廃棄を取り消そうとしているという動きもあるようです。
https://www.mag2.com/p/money/783465
今頃何言ってるんですかね・・・