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韓国メディア、中国向け輸出不振を日本に責任転嫁

昨日、韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)に、同国の貿易収支に関する記事が掲載されていました。これによると「日本の輸出規制などの影響で輸出額が10ヵ月連続して前年同月割れとなった」などと述べられているのですが、実際の生データを入手し、分析してみたところ、どちらかといえば日本が7月以降、順次発動している韓国向け輸出管理適正化措置は、韓国の貿易収支にほとんど影響を与えておらず、むしろ中国経済の低迷の方が、ダイレクトに韓国経済に打撃を与えているという実態が浮かび上がります。

韓国の貿易がキナ臭い

韓国の9月の貿易収支は8月よりは改善したが…

先月の『韓国の輸出不振と通貨危機のつながり』で報告しましたが、韓国の2019年8月の貿易が、輸出不振などの影響により、貿易赤字転落直前でかろうじて踏みとどまるという状況に陥りました。

ただ、昨日公表された9月の貿易黒字については大きく改善し、少なくとも「赤字転落」という状況は避けられた格好となりました。

昨日、韓国政府・産業通商資源部が公表した『2019年9月の輸出入動向(※原文韓国語)』によると、同国の9月の輸出高は447.1億ドル(前年同月比▲11.7%)、輸入高は387.4億ドル(前年同月比▲5.6%)で、貿易黒字は59.7億ドルと「92ヵ月連続の黒字」を記録したそうです。

同国の輸出高、輸入高、貿易収支を眺めてみると、次のグラフのとおりです(図表1)。

図表1 韓国の輸出入(2019年9月まで)

(【出所】韓国政府および韓国銀行。2019年9月のデータは速報値。軸の金額単位は十億ドル、グラフ中の金額単位は千ドル)

といっても、たしかに直近では貿易黒字幅が大きく改善していることは事実ですが、とくに今年に入ってから韓国の貿易黒字額が大幅に減少していることが確認できると思います。

年初から続くジリ貧

これについて、今年に入ってからの同国の輸出、輸入、貿易黒字を前年同月比で比較したものが、図表2~4です。

図表2 2019年1月以降の韓国の輸出高と前年同月比
時点 千ドル 増減率
1月 46,177,152 -6.18%
2月 39,483,836 -11.32%
3月 47,006,049 -8.39%
4月 48,806,919 -2.09%
5月 45,732,001 -9.78%
6月 44,038,033 -13.79%
7月 46,092,191 -11.04%
8月 44,128,637 -13.78%
9月 44,712,000 -11.72%

(【出所】韓国政府および韓国銀行。2019年9月のデータは速報値)

図表3 2019年1月以降の韓国の輸入高と前年同月比
時点 千ドル 増減率
1月 45,101,665 -1.54%
2月 36,607,642 -12.26%
3月 41,960,810 -6.54%
4月 44,973,803 2.93%
5月 43,667,533 -1.78%
6月 40,113,664 -10.86%
7月 43,735,770 -2.63%
8月 42,475,804 -4.25%
9月 38,738,000 -5.59%

(【出所】韓国政府および韓国銀行。2019年9月のデータは速報値)

図表4 2019年1月以降の韓国の貿易黒字高と前年同月比
時点 千ドル 増減率
1月 1,075,487 -68.52%
2月 2,876,194 2.67%
3月 5,045,239 -21.32%
4月 3,833,116 -37.74%
5月 2,064,468 -66.86%
6月 3,924,369 -35.45%
7月 2,356,421 -65.82%
8月 1,652,833 -75.76%
9月 5,974,000 -37.88%

(【出所】韓国政府および韓国銀行。2019年9月のデータは速報値)

いかがでしょうか。

図表2~4のいずれを見ても、ほとんどの月で輸出、輸入ともに前年同月比マイナスとなっており、2月を除けば、結果的に貿易黒字は前年同月比で数十パーセントの減少となっているのです。

やたらと「日本」を強調する聯合ニュースの記事

さて、これについて国ごとに見てみる前に、韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)に掲載された次の記事をチェックしてみましょう。

韓国輸出額が10カ月連続マイナス 日本向けは5.9%減(2019.10.01 10:34付 聯合ニュース日本語版より)

記事のタイトルによると、「日本向けは5.9%減少」とありますし、また、記事の中身を読んでみても、「米中貿易摩擦や日本による対韓輸出規制の影響」などとあります。

要するに、日本が「対韓輸出規制」(※くどいようですが、正しくは「輸出規制」ではなく、「輸出管理適正化措置」です!)を取ったことで、韓国の貿易収支が急激に悪化している、とでも言いたいのでしょう。

ところが、これは非常に酷い印象操作です。

というのも、国別の詳細を眺めてみると、韓国の輸出に急ブレーキがかかる原因となっている相手国は、明らかに中国だからです。

実際にデータを見てみよう

対中貿易黒字に急ブレーキ

これがわかるのが、図表5です。

図表5 韓国の中国との輸出入(2019年9月まで)

(【出所】韓国政府および韓国銀行。2019年9月のデータは速報値。軸の金額単位は十億ドル、グラフ中の金額単位は千ドル)

いかがでしょうか。

中国との貿易額を見ると、輸入はさほど変わらない一方で、輸出に急ブレーキがかかった結果、貿易黒字額が急速に縮小していることが確認できるでしょう。

先ほどの図表2(輸出高)、図表4(貿易収支)について、中国との関係のみを示したものが、次の図表6図表7です。

図表6 2019年1月以降の韓国の対中輸出高と前年同月比
時点 千ドル 増減率
1月 10,836,724 -19.02%
2月 9,532,828 -17.27%
3月 11,443,716 -15.71%
4月 12,431,459 -4.63%
5月 11,015,697 -20.48%
6月 10,423,675 -24.54%
7月 11,444,581 -16.59%
8月 11,319,811 -21.40%
9月 11,406,000 -21.83%

(【出所】韓国政府および韓国銀行。2019年9月のデータは速報値)

図表7 2019年1月以降の韓国の対中貿易収支と前年同月比
時点 千ドル 増減率
1月 499,422 -88.18%
2月 2,950,229 -24.82%
3月 2,640,690 -48.86%
4月 2,640,271 -38.81%
5月 1,073,880 -76.51%
6月 1,771,292 -65.28%
7月 2,056,564 -57.61%
8月 3,010,054 -48.77%
9月 3,210,000 -52.09%

(【出所】韓国政府および韓国銀行。2019年9月のデータは速報値)

図表6・7から判明するのは、中国からの輸入にはさほど増減がないにも関わらず、韓国の対中輸出に急ブレーキがかかり、結果的に中国との貿易黒字は、前年同月比で見て、少ないときで25%、多い時には90%近くも減少しているのです。

稼ぎ頭である対中貿易の低迷が韓国経済の重大なリスクとなっていることが、これらの図表からは明らかでしょう。

日本への輸出額はほとんど変わっていない

一方で、韓国メディアが連日のように、やれ「フッ化水素の輸出許可が出た」だの「出ていない」だの、やれ「韓日関係悪化、日本の貿易制裁」だのと大騒ぎしていることは事実ですが、少なくとも韓国の対日輸出については目立った変化は見られません(図表8)。

図表8 2019年1月以降の韓国の対日輸出高と前年同月比
時点 千ドル 増減率
1月 2,617,668 1.31%
2月 2,296,509 -6.12%
3月 2,261,120 -13.15%
4月 2,277,898 -8.25%
5月 2,535,820 0.88%
6月 2,263,823 -12.22%
7月 2,540,722 -0.06%
8月 2,251,290 -6.57%
9月 2,323,000 -5.91%

(【出所】韓国政府および韓国銀行。2019年9月のデータは速報値)

もちろん、月によっては10%近く減少しているケースも散見されるのですが、日本政府が韓国向け輸出管理の適正化措置に踏み出した7月以降で見ても、対中輸出高(図表6)と比べて決して大きな落ち込みとはいえません。

というよりも、むしろ日韓貿易関係は常に韓国側の一方的な貿易赤字ですが、グラフ化してみると、対日貿易収支はむしろ赤字幅が減少していることがわかります(図表9)。

図表9 韓国の日本との輸出入(2019年9月まで)

(【出所】韓国政府および韓国銀行。2019年9月のデータは速報値。軸の金額単位は十億ドル)

対日輸出の急減には要注意

ただし、輸入高については前年同月比割れが続いています(図表10)。

図表10 2019年1月以降の韓国の対日輸出高と前年同月比
時点 千ドル 増減率
1月 4,047,886 -9.75%
2月 3,806,080 -15.67%
3月 4,313,997 -17.45%
4月 4,629,945 -6.27%
5月 3,715,815 -15.98%
6月 3,881,019 -12.79%
7月 4,202,449 -8.35%
8月 3,885,838 -8.19%
9月 3,821,000 -8.61%

(【出所】韓国政府および韓国銀行。2019年9月のデータは速報値)

ちなみに日本が対韓輸出管理適正化措置に踏み切った7月以降、韓国の対日輸入額は10%近い減少が続いているものの、実は、年初来から韓国の対日輸入額の減少トレンドは続いており、「日本の輸出管理適正化措置を原因として」、輸入が減っている、という状況はうかがえません。

結論:韓国製品の需要減

以上の議論より、韓国経済全体の貿易収支については、おもに「①もともと韓国経済の中国依存度が高過ぎること、②中国向け輸出に急ブレーキがかかっていること、③中国の需要減により日本が得意とする素材・半製品などに対する需要が減っていること」、という3点から説明する方が自然でしょう。

そして、中国経済への依存度を高め過ぎた韓国に対し、さほど同情の余地は湧きませんが、それよりも昨日の『「行方不明の外貨準備」、やっぱり為替介入だった』でも触れたとおり、今後の焦点は韓国経済の悪化が通貨危機に発展するリスクの有無ではないかと思えてなりません。

引き続き、隣国発の金融市場の不安には注目する価値がありそうです。

新宿会計士:

View Comments (14)

  • 更新ありがとうございます。

    韓国はやはり中国から見捨てられた格好ですね。いくら『日本の経済制裁が影響している』と言っても、実は7月以後は、少し赤字が減っていますよ。

    韓国の対中輸出に急ブレーキがかかり、結果的に中国との貿易黒字は、前年同月比で25%から多い時は90%近くも減少している(笑)。中国にはもっと買えッと文句言わないのか?

    韓国は日本の貿易黒字のカモ、いや失礼お客様ですから、このままでも結構ですが、有らぬ事を言い放つなら、更に貿易基準の厳格化を一品二品増やされる事を期待します。

  • 本日も記事ありがとうございます。

    印象操作には、事実で納得が出来ました。

    ありがとうございます。

    本日も韓国の日本に対する敵視は変わってない。

    そう感じました。

    敵視から変えないと、仲良くはなれないような気がします。

  • 自国の脆弱な経済構造や緊張する国際関係等を分析・顧みることなく、左翼思想に基づく経済政策を推し進めた文在寅政権の失政が、韓国経済の低迷に拍車をかけていることは傍目にも明らか。

    手柄は自分のもの、失態は他者のせいにしないと収まりのつかない民族性、また、反日は国是ということんら、またいいつものように日本が悪者にされています。

    実にわかりやすいストリーです。

    • あくまで韓国国内向けの印象操作なのかもしれませんね
      景気減速を日本に責任転嫁にしつつ、反日自国民の政権支持につなげられるなら、文政権にとって日本の輸出管理措置は結果的にラッキーだったり・・・

  • そのうち自国の経済悪化をすべて日本の輸出管理のせいにし出すだろうと思っていましたがとうとう始まりましたか
    ただブルームバーグやロイターのここ最近の記事を読んでも韓国の輸出減は輸出依存型の韓国が米中貿易摩擦と世界的な需要減退の影響を受けたという見方がほとんどなので、この印象操作はあまり問題にならないと思います。

    ていうか北朝鮮またミサイル撃ったみたいですね・・・

  • おはようございます。
    いや、ムンムン、ラッキーですね!
    だいたい不景気で春頃から日本への観光客も減少始まってたし、対中国の貿易不振も何もかもすべて7月からの日本の輸出手続き見直し及びホワイト国解除のせいに出来て!
    韓国国民も、懐具合が悪化して日本旅行も行けなくなってきたことを、物が買えなくなってきたことを、NoJAPANのせいに出来て!
    ムンムンも韓国国民もWin-Winで、よかったですねw

  • 韓国が崩壊する前に日本側のリスク回避に目処が立ちますように。。。(。-人-。)

  • ここには数字有りませんが、中国向けの半導体輸出が、半導体の値下がりの影響で韓国の利益が減ったのが、一番の要因だと思っています。
    昨日時間外でウォンドルが、1200を超えてまた介入してると思います。ウォン安のトレンドは、当面変わる要素が有りませんので、韓国銀行の介入も続いて、手持ちのドルが減り続けるでしょう。
    昨日の投稿を見て思ったのですが、文大統領は表面上の数値を良く見せかけて、支持率を維持したいと考えていると思います。
    為替介入、株価介入も同じ事で、後の事を考えずに、短期的に数字が出れば良い。国の財政状況や、手持ちのドルが減る事も、どうでも良い様な気がします。
    悪い原因は、日本に押し付ければ、解決する国ですしね。

  • 「日本が悪いと言っておけば国民は納得する」と政府が嘘をつく。

    「日本許すまじ」と嘘を信じ込んだ国民が政府を突き上げる。

    国民に迎合するために自傷行為であっても反日に邁進するほかなくなる。

    やがて嘘を嘘と知る者もいなくなり、韓国内限定で確固とした真実となる。

    彼らなりの義憤に駆られて国際的に日本の非道を訴える。
    ↓(今まではここまでで1サイクルだったのですが、日本が反論するようになったので)
    無茶な反論をして論理破綻する。

    激昂して更に反日が捗る

    自称慰安婦、自称徴用工、竹島、日韓基本条約および見舞金、度々の金融危機、旭日旗、レーダー照射、戦犯企業(笑)製品不買、そして貿易の低調さまで、全て同じ構図です。毎回同じ手を使う韓国政府、毎回同じ手で騙される韓国国民、自制と自省のない国民性により、彼らに学習能力は亡いのでしょう。
    放射能で国民を焚きつけた挙句、本当に五輪ボイコットせざるを得ない状況に陥るよう、遠くから冷ややかに見守りたいものです。

    • 楽韓さんのエントリーにありましたが、外交カードにならないと散々言われていたジーソミア破棄を
      外交カードとして行使してしまった例をみれば、東京五輪ボイコットも現実味を帯びてきましたね。

      さすが斜め上の国、やってはいけないことを一番悪いタイミングでやる国の面目躍如となる気がしてワクワクしてきました。

  • 中央日報は、

    「産業通商資源部によると、中国向け輸出は昨年11月から今年9月まで前年同期比でマイナス成長を記録している。米国向け輸出は6月から前年同期比でマイナス成長に入り込んだ。問題は輸出で30%以上を占める対中輸出の減少幅が拡大している点だ。」

    と認めてます。

    https://japanese.joins.com/JArticle/258169

    普通に考えれば、日本は、中米より下の3番目以下の要素に過ぎない、というかむしろ、対日貿易赤字が減少して、韓国の貿易収支改善に貢献している。

    逆に、韓国の日本製品不買運動が衰退し始めた様で、JTI(日本タバコ産業の完全子会社)のシェアがさっそく復活しているらしい。タバコって生活必需品ではなく、全く消費しなくても困らないのに、こんな商品で不買が続けられなくなっているという事は、他の品でも、国民相互監視が減れば、不買運動衰退しそう。

    曺国氏使用のボールペンが「日本製だ!」とチクられた話は有名だが、タバコを喫煙している状態では、どこ製が見破るのが容易でない為、チクり難いという面はある。

    要するに、韓国の不買運動は、既に国民相互監視だけで持ちこたえている状態ではないかと思われる。

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。

     「韓国の貿易収支が悪化したのも日本が悪い」との韓国メディアの意見
    に、(報道をやっているつもりの)日本マスゴミ村や(政治に参加してい
    るつもりの)野党が同調して、「日本は韓国を助けろ(意訳)」と言い出
    さないように、監視(?)していく必要があるのでは、ないでしょうか。

     蛇足ですが、この(一日本人である)私のコメントが、どこまで効果が
    あるかは分かりませんが、日本マスゴミ村や野党(そして自民党の一部)
    が変なことをしないための牽制になれば、幸いです。

     駄文にて失礼しました。

    •  すみません。追加です。
       日本マスゴミ村や野党は、(自身に都合の悪いことは)毎日のように、
      言ってもらわなければ、覚えていないものかもしれません。(それは自民
      党も同じかもしれませんが、自民党なら(事実かは関係なく)日本マスゴ
      ミ村や野党が、毎日のように繰り返すからです)

       駄文にて失礼しました。

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