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「セクシー小泉」?小泉新環境相をどう見るか

「セクシー小泉」という単語が、ちょっと前からツイッターなどで話題になっています。これは、「気候変動サミット」に参加するためにニューヨークを訪問している小泉進次郎環境相が記者会見で「気候変動のような大きな問題はセクシーに取り組むべきだ」と述べた、とするものです。この発言自体、「気候変動枠組条約」の事務局長だったクリスティアーナ・フィゲレス氏の発言をなぞったものであるとの指摘もある一方、わが国のインターネット上では「意味不明」といった反応も出ているようです。

セクシー小泉

気候行動サミットに出席するためにニューヨークを訪問中の小泉進次郎環境相は現地時間22日、気候変動対策を巡って「楽しく、クールに、そしてセクシーに取り組むべきだ」と述べた、と報じられています。

といっても、これについては環境省の仕事が遅すぎるためでしょうか、環境省のウェブサイトを眺めてみても現時点で全文が掲載されていないので、ここでは英字メディアのロイターと日本語メディアの『テレ朝ニュース』から、それぞれ該当するリンクを拾っておきましょう。

Make climate fight ‘sexy,’ says Japan’s new environment minister(2019/09/23 02:31付 ロイターより)
「気候変動問題はセクシーに」小泉大臣が国連で演説(2019/09/23 12:01付 テレ朝ニュースより)

両報道をベースに、小泉環境相の発言を書き起こしておくと、だいたい次のようなものです。

“On tackling such a big scale issue like climate change, it gonna be fun, it gonna be cool, it ganna be sexy too.”

(※厳密にいえば、ロイターでは “it gonna be” の部分が “it’s got to be” になっているほか、テレ朝ニュースだと冒頭の “On tackling such a” の部分が省略されています。)

フィゲレス氏に対する敬意を払った発言

ちなみに、この “sexy” 発言、伏線があります。

いまからちょうど6年前の2013年9月、リオデジャネイロで行われた「リオ+20」で、当時、気候変動枠組条約の事務局長を務めていたクリスティアーナ・フィゲレス氏が、「気候変動問題をセクシーに取り組むべきだ」と述べた、というものです。

そして、テレ朝ニュースの動画で確認する限り、小泉環境相はフィゲレス氏の隣に座っており、 “it gonna be sexy too” の下りでフィゲレス氏の方を向いたため、これはフィゲレス氏の発言を尊重したものだ、という受け取り方をしている人もいるようです。

好意的に解釈するならば、小泉氏のこの発言の真意は、「セクシー」と述べることによって、日本だけでなく全世界の人々の気候変動問題に対する関心を持たせようとするものだ、と見ることができるかもしれません。

いずれにせよ、小泉氏は「イケメン」との呼び声も高く、また、フットワークの軽さ、記者会見での軽妙洒脱ぶりを見ていると、本当に人を魅了することに長けた人物なのだと思います。

ロイターが好意的に報じたということは…

この、「環境問題をセクシーに取り組むべき」と報じたロイターの記事を読むと、ロイターは小泉氏について、総じて好意的に取り上げているように見受けられます。

いわく、「日本では気候変動への対策が遅れていることに対し、数百万人という若者のなかには、東京で抗議デモを行った人たちも含まれている。」

いわく、「小泉氏の発言は、日本としてより積極的に気候変動にコミットしていく意思を示したものだ」。

とくに、ロイターは小泉純一郎元首相のことを「カリスマ的な元首相(charismatic former prime minister Junichiro Koizumi)」、小泉環境相のことを「安倍(総理)が退任したあとの首相候補として人気がある」、などと述べています。

ロイターが好意的に報じているという時点ですべての答えが見えている気がするのですが、ここでは敢えてその点に触れないようにしたいと思います。

それよりも、小泉氏といえば、環境相に就任した翌日、福島県を訪問し、原田義昭前環境相が福島第一原発の「汚染水」(?)を「海洋放出するしかない」と述べたことを謝罪した、とも報じられています。

小泉環境相、前任者の発言をおわび 訪問先の福島で(2019年9月12日20時35分付 朝日新聞デジタル日本語版より)

この発言のどこがどう問題なのか、指摘しようと思ったのですが、すでに髙橋洋一氏が『現代ビジネス』に詳しく問題点を指摘されているため、詳しくは次の記事をご参照ください。

初入閣で露見した、小泉進次郎の原発汚染水に関する「勉強不足」(2019/09/16付 現代ビジネスより)

無能な者ならば傷が浅いうちに排除すべし

ただし、私たち日本国民は、「見てくれの良さ」に騙されず、政治家の人となりを見抜く能力(とくに不勉強ぶり、見識のなさを厳しく査定する能力)を持つ必要があります。

ちなみに小泉氏といえば、当ウェブサイトとしては、昨年6月の時点で「単なるポピュリスト政治家ではないか」との疑いを抱いてしまいました(『【夕刊】そりゃないよ、小泉さん』参照)し、昨年9月の自民党総裁選では「(安倍総理ではなく)石破茂氏に票を投じる」と公言した人物でもあります。

まだ若い小泉氏が閣僚として頭角を現し、優れた成果を残すのか、それとも「客寄せパンダ」としての最低限の役割を果たすのか、はたまたさまざまな醜態をさらして無様に任期を終えるのかはわかりません。

しかし、たしかに小泉氏は「みてくれ」は良いのかもしれませんが、このインターネット時代において、「オールドメディア受けの良さ」だけを武器にした人物が政治家として生き延びていくほど甘くはないこともまた事実です。

その意味で、無能な者であれば、自民党にとっても日本にとっても傷が浅いうちに早めにその醜態をさらしておくというのも、もしかしたら安倍総理の閣僚人事の狙いなのかもしれません。

いずれにせよ、当ウェブサイトも政治経済系のウェブサイトのひとつとして、小泉氏が騙る内容とその行動の整合性などについては、深い関心を払っていきたいと思います。

新宿会計士:

View Comments (23)

  • この話題を取り上げることを待っていました。

    『セクシー』だと?
    政策が『セクシーか、否か』で決められてたまるか!
    これは鳩山由紀夫元首相の決めゼリフ、『友愛』に通じるものがあるでしょう。
    鳩山由紀夫からも擁護発言が飛び出し、二代目鳩山襲名へ向けて、小泉進次郎環境大臣は突っ走っているようです。(笑)
    パク・クネ前大統領に土下座の態を取った『あの』舛添要一前東京都知事まで、『言語明瞭、意味不明瞭』と叩っ切られる有り様…(笑)

    ロイターが喜んで取り上げることも当然でしょう。
    朝日新聞は、ロイターから優先的に外信の記事を受けております。
    まあ、小泉進次郎も父・小泉純一郎も、世界のメディアが如何なるフレーズを喜ぶのかの要点は心得ています。非常に浅薄なものではありますが…

    ≫いずれにせよ、小泉氏は「イケメン」との呼び声も高く、また、フットワークの軽さ、記者会見での軽妙洒脱ぶりを見ていると、本当に人を魅了することに長けた人物なのだと思います。

    この点は事実であります。
    選挙演説で、小泉純一郎元首相と直接対面したことがあります。連続する選挙演説で疲れた感じを出しながらも、聴衆の誰一人として無視することがありません。
    聴衆の一人一人の目を見て、直接語りかけようとするところから聴衆を魅了していきます。こうした手法は、進次郎氏も受け継いでいます。
    選挙受け、記者会見受けがいいことは間違いありません。

  • 私の勝手な持論ですが、「話せばわかる」と言うような政治家は絶対に信用・信頼しません。そんな政治家は、出家するか、宗教団体でも作って教祖になるかしてほしいと思ってます。
    人間関係があり、利害があり、そして力関係があり、交渉は行われます。「話せばわかる」なんてことは絶対に政治の世界ではありえません。

    逆に信頼に足る政治家は、汚れ仕事ができる人(嫌われる勇気を持っている人)です。政治とは決断でもあるとも思ってます。決断すると必ず反対する人や痛みを伴う人がいます。そこを恐れて何もしない人、できない人、慮ってばかりの人は政治家にならないでほしいと思います。

    翻って小泉環境相をみてみると、さすがに演説は上手いですが、きれいごとが先行しているようにも見えます。ここは先生のおっしゃる通り、注意深く見ていく必要がありそうです。ひとまず汚染水の問題を経産省とどう折り合いをつけるか手腕の見どころだと感じてます。

  • 単純な話、選挙に強い政治家はそれだけで時間的余裕というかなりのアドバンテージがあるのだから、しっかり国会議員の仕事をして欲しい。
    勉強不足でできないなら、勉強してほしい。
    今のところは評価するべきところは見当たりません。

    それにしても、何かと注目を引きたい感じがよく出ているので、キャッチとして「セクシー小泉」は定着しそうな予感がします。

  • オールドメディア対策として自分の味方とは必ずしも言えない人物を大臣にしてその力を利用する安倍総理の手法をどう評価するかですが、善悪はともかく今のところは話題性十分で目論見は成功しているようです。

  • いやー、これだったら、クリステルを環境大臣にした方が対応がマシのような気がしますが。

  • 小泉環境相は、言動とフットワークの軽さに「石破氏を叩いて渡る」賢明さを合わせ持てば政治家として大成できるのかもしれないですね。今のところは若さに期待してます。

    *****

    東京よりソウルの放射線数値が高いことにつき、どこからか「自然放射は問題ない」って根拠のない声があったみたいなんですけど・・。ほんとに自然放射だけなのでしょうか?

    自国が「福島原発での保管量をはるかに超えるトリチウム水」を日本海に放水した事実にたいしてはどんな弁明があるのでしょうね・・。さすがに「重水炉の設備で発生したものは問題ない」なんてことは言えないはずなんですけどね。

    *「だからと言って無条件に海洋放水していい理由にはならない」・・くらいでしょうか?

  • うーん、雰囲気だけかな...
    それでも、その雰囲気で、何かやってくれそうとか思う人もいるから人気があるんでしょうね。

    お父様がアレなので、ファザコンなのかな〜
    政治家になる前に社会人として経験もないそうですし、挫折した事なさそう(勝手なイメージ)
    これから挫折や人間関係の汚いところとか、沢山味わえて、良い経験になるんじゃないでしょうか。
    TV業界からは気に入られてるみたいだから、色々な面で利用価値はあるのかもしれませんよ。防波堤にできたらokみたいな。彼は、そういう役割得意そうだし。

    環境問題で、どれだけの事を行動で示してくれるのか見守っていきたいと思います。

  • Q.環境省は脱石炭火力発電に向けて今後どうする?
    A,(火力発電を)減らす
    Q.どうやって?
    A.・・・・・・・

    https://twitter.com/xcvbnm67890/status/1176124769420201984

    政策提言は全部ポピュリスト政策、
    取柄は世渡りの才能と上手い切り返しだけ。(芸人さんなら後者の才能は重要だが)
    父親の劣化版。話にならない。国内地上波程度はごまかせても、
    国際舞台に出れば、この程度。いきなり馬脚を晒してる

  • 育休取得して副大臣に指揮執ってもらった方が良さそうっ
    .
    https://iwiz-chie.c.yimg.jp/im_siggQ4wAYw10PFaqmv_xtwdT3g---x320-y320-exp5m-n1/d/iwiz-chie/reply-1127248910
    .
    〔参考〕
    気候変動のような大きな問題は楽しくかっこ良くセクシーであるべき
    .
    https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000165029.html
    .
    は、「原発ゼロ」と「温室効果ガス25%削減」の矛盾
    .
    https://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2013/01/25-1.php
    .
    を、解決策は示せないが、実現したいという鳩山由紀夫元首相の願望を引き継ぐ旨の宣言っ
    .
    https://iwiz-chie.c.yimg.jp/im_siggjtBc3lfgZGJD4BDEhrLVDw---x320-y320-exp5m-n1/d/iwiz-chie/ans-518264108

  • お父さんに喋り方が、良く似てる。
    まだまだ評価が、定まらない感じ。

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